糸島でドラッカーを学ぶシンポジウム
コンピューター、インターネット、そしてAIの登場によって、社会は「脱」組織の時代になりました。個人でできることが大幅に拡張する一方、組織でなければできないことは激減しました。
そのため、あらゆる組織はそのマネジメントの大きな変革を余儀なくされています。日本においても転職やフリーランス、リモートワークや副職といった働き方が当たり前になり、そうした中でかつての組織論を持ち出すと「老害」と非難されるようになりました。今、入社したての若者が簡単に辞めていくことや、その連絡を「退職代行サービス」が行うことなどが、一種の社会現象となっています。
それゆえ、マネジメントの大家であるドラッカーは今、大きな曲がり角を迎えているといえます。かつて一世を風靡した「組織マネジメント」は、企業運営における主役の座から撤退を余儀なくされているからです。
そこで、我々ドラッカー学会は、ドラッカーがその晩年に提唱した、ある考え方に注目しました。それは、「すでに起こった未来」というものです。
現在、「組織マネジメント」の役割が減少する一方、「未来をマネジメントすること」の重要性が増しています。なぜかといえば、社会の急激な変化が常態化し、市場に「継続性」や「周期性」というものがなくなって、「前例」というものが通用しなくなっているからです。そうした時代においては、誰もが「未来の変化を予測し、それに対応する」という姿勢が求められます。
そしてドラッカーは、この「未来の変化を予測し、それに対応する」一つの方法として、「すでに起こった未来に着目せよ」と述べました。
「すでに起こった未来」とは、例えば人口動態です。2023年に日本で生まれた子供は75万人余りですが、18年後において、成人する日本人がこれ以上増えることはありません。おそらく微減して、75万人前後でしょう。また、日本の人口が減ることや、空き家が激増すること、あるいは社会保障の負担額が増加することなども、もはや確定した「すでに起こった未来」といえます。
思えば、少子化が始まったのは1990年頃で、そのときすでに「人口減少」が起こることは「すでに起こった未来」でした。しかし多くの人はそれへの備えや対応をすることもなく、今になって慌てふためいているという状況です。もし仮に1990年の時点で「すでに起こった未来」を真摯に受け止め、備えや対応をしていたならば、今とは違った状況になっていたのではないでしょうか。
そこで2024年秋ドラッカー学会糸島大会においては、ドラッカーの「すでに起こった未来」を足がかりに、「未来の変化を予測する方法」について論じ、深める機会にしたいと考えました。
そこでは、あらためてドラッカーの唱えた「すでに起こった未来」の考え方の概要について紹介するとともに、金融、教育、建築など各界から著名な講師の方をスピーカーとしてお招きし、さまざまな分野における「すでに起こった未来」と、それへの対応方法について、貴重なご意見をうかがっていきます。
NPO法人ドラッカー学会は、経営学の創始者として名高い故ピーター・ドラッカー博士の研究と普及を目的とする民間の学術団体です。2005年に発足し、19年の歴史を持ちます。
ドラッカー学会では、毎年春と秋の2回、会員及び一般の方々を対象とした大会(講演会)を開催しております。これまでイトーヨーカドーの創業者である伊藤雅俊様や、ユニクロの創業者である柳井正様など、各界リーダーの方々にご講演をいただきました。
佐藤等公認会計士事務所所長
ドラッカー学会共同代表
九州大学教授
ものづくり大学教授
ドラッカー学会共同代表
大和アセットマネジメント
投資家
経済アナリスト
教育者
社会起業家
建築家
東京大学名誉教授
「もしドラ」作者
糸島大会実行委員長