インテグラルフォトグラフィ

ホログラフィは自然光下での記録に適しておらず,これは3次元テレビ実現への問題点の1つとなっています.この問題を解決するために,インテグラルフォトグラフィ(IP)という立体写真技術を利用し,実写動画像から電子ホログラフィを作成・再生するシステムが開発されています[1].IPは自然光下で撮影可能であり,光線の強度とともに光線の方向を記録するため,3次元情報の記録が可能です.当研究室では,再生像の高画質化や視野角拡大,システムのリアルタイム化に向けた高速計算等の研究を行っています.  

再生像の高画質化

IPカメラは多数の凸レンズからなるレンズアレイを用いて様々な角度から被写体を撮影します.撮影された画像中の画素を配置し直すと,異なる視点からの被写体の画像が得られます.これらの画像群に対し再構成型超解像技術を応用し,高解像度なCGHを作成することで,再生像の高画質化を実現しています. 

再生像の視野角の拡大

このシステムの再生像の視野角(再生像を見ることができる範囲)は,従来手法では水平・垂直ともに5°と非常に狭いものでした.そこで,私たちは視野角を拡大するために,IPカメラによって撮影された1枚の画像から所望の方向情報を持つ画像を3枚再構成し,これらより作成された3枚のCGHを時分割で表示するという手法を提案しています.これによって,再生像の水平方向の視野角を15°に拡大しています.右の動画は提案手法による再生像の様子です. 

GPUとIPを用いたCGH計算の高速化

IPで撮影された画像は要素画像と呼ばれる多数の画像群で構成されます.要素画像からのCGH計算は各要素画像に対し独立に行えるので,並列計算が可能です.本研究室では,GPUを用いた実装により,IPからのCGH作成を従来手法に比べて22倍の高速化に成功しました. 

References