2026
2026
季刊【石ピープル】(創刊号)二〇二六 春
文・絵・作字 佐藤静紅
デザイン・撮影 山本駿平
二〇二六年、大阪府東大阪市某所にて、山本駿平(やまもとしゅんぺい/やまもとはやひら)と佐藤静紅(さとうしずく)のユニット「石ピープル(ISHI-PEOPLE)」は誕生した。
「石」、それは自然の力によって地から切り離された鉱物質の塊、我々の足元に転がって何になるでもなくただそこにあり、長いときの中で同じ形を保ち続ける姿はせいぜい百年ほどの短い命にとって計り知れない偉大さを纏っている。
後半「人々」という意味を持つ「ピープル」。英字表記「PEOPLE」だと気が付きにくいが、カタカナ表記にしたとたん、赤子の音が鳴る靴のようなかわいらしさが生まれるではないか。
この二つの単語を合わせるとどうだろうか?パ行が全体の3割3分を占めているという何とも間の抜けた音感を持っていながら、不変の風格も持ち合わせている。この斬新で謎めいた響きはまるで、宇宙のはるか彼方から超文明を引っ提げて襲来した異星人のごとくである。宇宙に浮かぶでかい石に、でかい石がぶつかって、ロックが、ポップが、フォークが生まれたのだ。
元来、山本は油彩画や漫画の制作、佐藤は水彩画やZINEの制作を行ってきた。これから石ピープルが何をしていくのか?
一つ目は、共同で作品をつくることだ。作品の形は本かもしれないし絵かもしれないし、もっと今までつくったことのないものの可能性もある。
二つ目は展覧会を企画することだ。我々が企画した展覧会は、主に東大阪市石切の地に門を構える「ひらくきち」にて開催となる見込みだ。
そして三つ目に定期的なフリーペーパーの刊行だ。また何か報告できることを楽しみにしている。
石ピープルはどこへ向かうのか? 実のところそれは本人たちにも分からない。活動頻度も、どのくらい続くのかも、何の見通しも立っていない。とりあえず、気長に見守っていただければありがたい。
最後に、目先の活動予定について記す。興味があればぜひ来てみてほしい。
四月四日(土曜日)
大阪の極東石切「クリエイティブ拠点 里松文化」にて
謎のお花見大会&野外展示。
五月
石切商店街「ひらくきち」にて
山本、佐藤二人展「試運転(仮)」開催予定。
続報は本インスタグラムアカウントにて。
文・絵・作字 佐藤静紅
デザイン・撮影 山本駿平
2026.6.5(金)ー 6.29(月)
今年のはじめ頃、東大阪でまちづくりに取り組むbaamu lab.の仙入さんに、クリエイティブ拠点『ひらくきち』のギャラリー区画を、佐藤と山本で運営してみないかという話をいただきました。
クリエイティブ拠点『ひらくきち』は、多様な人々が自由に出入りし、様々な交流をする場として2022年、生駒山のふもと石切にオープンし、これまで地域の方々と共に多くのイベントが開催されてきました。
現在ではカフェ、占い、あめ細工、ワークスペース、シェアアトリエ、シェアハウスそしてギャラリーといった機能を併せ持つ複合的な拠点となっています。
このような特殊な場でどのようにギャラリーを運営するのか、運営形態や内容、頻度などを二人で相談するなかで、「石ピープル」が生まれました。
ひらくきちのギャラリー区画に独自のギャラリー名を掲げるのではなく、あえてユニットのような形をとったのは、これからの「石ピープル」の活動が過去の『ひらくきち』での様々なイベントと異なるものとしてではなく、地続きなものとしてありたいという思いと、場所や枠組み、ジャンルにとらわれることなく好奇心の赴くままに、活動を拡張させ変動し続けていきたいという考えによるものです。
そんな石ピープル第一回目の企画として、ギャラリー運営者「石ピープル」の佐藤静紅と山本駿平による展覧会「滑らかな火打ち」を開催します。
本展では、佐藤と山本の絵に加え、それぞれのコレクションやお気に入りの紙物、置物などを展示します。
これまでの『ひらくきち』から滑らかに変速しながら、企画第一回では佐藤と山本が、そして今後の企画では「石ピープル」と「なにか」がかち合うことにより、新しい火を灯らせていきたいと思っています。
どうぞお気軽にお越しください。
佐藤静紅
SATO Shizuku
大分県出身、大阪府在住。
2021年に絵画教室に通い始めるとともに作家活動を始める。自分が立ち会った美しい瞬間や、ときめくものを描いています。
2026年
「あったこと・間・遠くをみる」(cumonos/大阪)
2025年
個展「野光画林」(アトリエ三月/大阪)
2024年
公募展「FLAG2024」Second Prise(アトリエ三月/大阪)
2022年
内海・佐藤静紅二人展「やがて雨になる」(siroiro.ギャラリー/大阪)
2021年
個展「この世の不純物たちよ」(ギャラリールナ/兵庫)
山本駿平
YAMAMOTO shumpei
兵庫県出身、大阪府在住。
ドローイングや絵画、漫画などを使って絵を描くことを軸に、本を造ったり、人と関わりながら絵というものを知ろうとしている。
2026年
「あったこと・間・遠くをみる」(cumonos/大阪)
2025年
名もなきものたち(ホトリヲ/大阪)
トゥールビヨン23 第一期(Oギャラリーeyes/大阪)
GROUP SHOW - spring -(cumonos/大阪)
2024年
@JUNCTION(アイギャラリー/大阪)
四回生展(近畿大学KUDOS館/大阪)
個展「0の接近遭遇」(cumonos/大阪)
季刊【石ピープル】(第二号)二〇二六 夏
写真・挿絵・文(上) 山本駿平
デザイン・文(下) 佐藤静紅
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『石ピープル第1回企画展
「滑らかな火打ち」終了しました。』
今回の企画でゆるく意識していたことは「わかりやすさ」でした。
石ピープルの活動の初回として、石ピープルのことや、今回の会場だった『ひらくきち』の紹介を兼ねての企画展示だったので、周りの人たち、特にこれまでの『ひらくきち』の利用者や地域の方にとって、(絵の内容はさておき)展示として「よくわからない」で終わるものにはしたくないという気持ちがありました。
ギャラリーや展示というものは、(絵を描いたりしていると)忘れてしまいがちですが、多くの人にとって生活の中に自然とあるものではなく、あまり馴染みのないものなので、そういった重さを展示の作り方で軽くすることができるのではないか、と考えていました。
特にフライヤーについて、これまではかっこよさ、面白さ重視の、わかりづらいフライヤーを作っていたので、今回は文字を大きく、配置もシンプルにしつつ、デザインの良いものを目指しました。
いままではそれらを両立することが難しく、二者択一を迫られがちでしたが、今回は割とうまくいったのではないかと思います。
というようなかんじで今回は第一回企画として、わかりやすさを意識した企画展示を行いましたが、もちろん、将来的にはバチバチにかっこよくて変すぎる企画とかもしていきたいです。
そして、第二回企画を9月26日より開催します。
第二回では石ピープルは企画・運営として裏方に専念し、作家をお呼びしています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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『「考える」の構造について
「建築型」と「数珠状ドーナツ型」』
目の前の仕事を達成するための手順は、人によって様々である。例えば「まず何から着手するか」「どこに要点を置くか」「進行速度や順序」など。人によって仕事の進め方が異なるのはなぜなのか、と考えているうちに、ある仮説を思いついたのでこの場で共有させてほしい。それは、このような思考の型には、主に「建築型」と「数珠状ドーナツ型」※の二つがあるのではないだろうかということである。
建築型
その名の通り、まずは目指すべきゴールが設定され、設計図が用意される。いざ手を付けるとしたら基盤を固めるところからだろう。展示会の場合、コンセプトやステートメントの部分である。その上に鉄筋であれ木造であれ骨格が作られてゆき、壁、天井ができ、最後に塗装が行われる。この思考の特徴としては、ある程度建設が進むと、基盤を大きく変えることが難しいという点が挙げられる。基盤を変えるためには、壁をはがし、骨組みを壊し、更地に戻す必要がある。そのようなことが起きないためにも、建設の過程におけるメンバーの意思疎通が重要視される。作業はその分慎重に進められるだろう。
数珠状ドーナツ型
一方でこちらはいたってシンプルである。生地を成形し、揚げて、完成である。球状の生地たちはそれぞれ企画を形成するための様々な思案事項だと考えてみる。これらは互いに同等な存在であり、同一平面状にリング状に存在している。例えば、このうちステートメントに手を加えたいとき、リングから球を千切って再成形し、リングへ戻す、隣同士の生地が連結さえすればいい。つまり、建築型が「一つの土台から全体を積み上げていく」のに対し、数珠状ドーナツ型は「複数の要素を行き来しながら、全体の形を徐々に整えていく」思考である。 ただし作り手は一人であることが理想かもしれない。二人、三人と作り手が増えれば増えるほど、一つのドーナツの穴をつくるには連携がとりづらいし、いちいち「この球はなぜこの大きさ、この形なのか?」という議論は避けるべきだろう。
人の行動の傾向は、「直感派」「計画派」などと大まかに分類されることがある。しかし、それら各々の頭の中で、どのようにゴールまでの道筋が導き出されているのかというところまでは、本人が自覚すらしていないかもしれない。
今回挙げた「建築型」と「数珠状ドーナツ型」は、二項対立するものではなく、あくまで私の主観から生まれた二つの考え方に過ぎない。一人の人間の中でも、建築型と数珠状ドーナツ型が混在することや、この二つのどちらにも当てはまらないこともあるだろう。考え方の異なる者同士が対面したとき、お互いのやり方を正面からぶつけても、なかなか話は噛み合わない。なぜなら、お互いが異なる構造の上に立って考えているからである。だからこそ、異なる考え方の構造を互いに享受し合うこともまた、大事なのではないだろうか。
※数珠状ドーナツとは「ポン・デ~」から始まるドーナツのこと。