私たちの想い

  石川・能登未来知図に興味関心を寄せていただき、誠にありがとうございます。本団体の代表をしております、金沢大学医学類5年の橋本晃貴と申します。はじめに、今回の地震で犠牲となられた方々に哀悼の意と、今なお避難生活を余儀なくされながらも故郷の復旧・復興に邁進する能登の方々、発災直後から今日まで被災地の復旧復興に尽力されている方々に心からの敬意を捧げます。私たちも微力ながらにも能登が再び元気に、もっと魅力溢れ活気ある場となるためのお手伝いをさせていただきます。ここでは私たちがこれまでにおこなってきたことと想いを書かせていただきます。

【急性期:金沢からできることを】

 今回の地震では発災直後は金沢市内においても元旦からスーパー等が営業を取りやめ、ガソリンの給油制限や幹線道路では長い渋滞が発生するなど混乱が生じました。田上地区では家屋が地滑りで流され、内灘では海辺地域で液状化し多くの家屋が被害を受けている惨状を目の当たりにし、大変なことが石川県において起きたのだとより実感しました。1月5日には有志学生らで「今何ができるのか」を話し合い、まだ能登には行けないが金沢でできることをするという考えのもとに調剤薬局の開局情報を示すMAPや自治体発表の情報を一覧化する情報サイトを運営しました。また、DMATによる転院搬送車両の誘導支援やフェムテックジャパン様のご好意によりノンポリマーナプキンを7700枚ほど大学病院へ後方支援として寄贈させて頂くなどもいたしました。急性期には現地に行かずともできることがあることや車両誘導など普段は必要なくとも非常時には想定していない役目が必要となりうることがあることなど災害医療の一端を学ばせて頂きました。

【生活復興期:金大学生有志「石川・能登未来知図」、奥能登へ】

1月中は県からの奥能登への移動自粛要請が続いていたことと余震がつづいていたことから能登へ行けずにおりました。その間にも実習で能登から避難されてきた患者さんと接し、能登への想いや惨状を聞き、学生ボランティアの必要性を実感するに至りました。その折に縁あって駒澤大学(当時は津田塾大)の柴田邦臣教授から輪島市の被害状況や学生など若い力がどれだけ求められているのかをzoomで教えて頂きました。2月12日、柴田教授チームに同行する形で震災後初めて輪島へ行きました。報道で被害を見ていたとはいえ、かつて見た街並みが破壊され、変わり果てた姿を目の前にすると言葉を失いました。惨状を見て知るたびに自然の力の恐ろしさを実感し無力感さえ覚えましたが、夜に灯った街灯と避難所を運営する地元の方々の姿に勇気づけられ、この地を必ず再び元気にするためにできることをしようと思うに至りました。現地での復旧・復興のお手伝いをするべきだと金沢で仲間と話し合い、WEBサイト運営からボランティア派遣調整へと主たる活動を変え、「石川・能登未来知図」としての災害ボランティア活動を始めました。輪島・珠洲では「(公社)シャンティ国際ボランティア会、(一社)TLAG、黒島復興応援隊、災害支援NPOありんこ」などの実績と経験ある団体に安全指導を頂きつつ活動を行ってまいりました。具体的な活動としましては倒壊ブロック塀の撤去や倒壊した墓石の修復、家財道具の搬出、瓦拾い、祠の修復、お祭り(天領祭・雪割草まつり)の運営補助、子供たちの遊び相手などの活動がありました。8/25までに42日程延べ183名の派遣を行いました。初期の頃は学生間でカンパを募って活動しておりましたが、本年7月12日に赤い羽根共同募金(社会福祉法人 中央共同募金会)より「ボラサポ・令和6年能登半島地震第3回助成事業(中長期)」に採択され全国の篤志の方のご寄付によりガソリン代等を助成していただいております。

【奥能登の今と私たちの未来】

 発災から半年以上が過ぎ去りましたが、奥能登ではまだまだ災害ボランティアのニーズがありますが、実績のある大型NPOなどは撤退しつつあり、地元の学生や有志がより一層求められています。一方で能登への支援の是非を問う声があることも承知しております。いっそのこと金沢などに集中させた方がいいのではないかと。確かに危機的な状況ではありますが、イノベーションの可能性を秘めた地でもあるとされています。奥能登は日本の未来を先行体験し、実証実験を行うことができる場、つまりはイノベーション拠点となり得る地域として国内外の企業から関心を持たれています。好例は福島県会津若松市におけるデータアナリティクス人財育成とイノベーション拠点形成です。福島の事例と比較して今の奥能登に求められるのは医療、雇用、教育、インフラを確かなものとすることによる「安心」です。これらの安心がなければ人は離れてしまいます。ではどうやって医療従事者を集めるのか。いつからか私たちは「知り合いがいて、自分が学生時代に関わった地なら医師として住んでみたい」と思うようになりました。全員がこの考えに至るというわけではないですが、能登での関係人口が増え「寂しさ」が緩和されれば能登で働くことを考える学生が増えてもおかしくはないと考えます。だからこそ私たちは後輩たちが「そうだ、能登行こう」くらいの感覚で能登へ行き関係人口を増やし、能登で医師として過ごすことを選択肢に加えるような流れを今後も作り、医療課題解決や地域の課題解決の一助になれればと僭越ながら考えております。

【ご寄付のお願い】

私たちの活動は皆様のご支援によって勇気づけられ、

より奥能登を力強く支えることにつながります。

「寄付先:北陸銀行 小立野支店 普通預金 6074130(名義:イシカワノトミライチズ)」