デジタル教科書やMy Picture Dictionary(MPD)に備わっている豊富な視覚教材を検索し、単元や既習内容に応じて取捨選択し、WEBカードとして一枚に配置することで、授業中に活用したい教材を瞬時に提示することが可能になる。 これにより、授業の流れがスムーズになり、児童の集中力を維持しやすく、視覚的な理解を深めることに繋げられる。さらに、プロット図を用いることで、単元全体の授業構成を見通し、各授業でどのような教材を使用し、どのような活動を山場として設定したいかを計画的にデザインすることができる。これは、単元目標の達成に向けた道筋を明確にし、系統的な指導を行う上で非常に有効であると考える。
このデザインは、年間を通して継続的に行い、共有教材として所属校や他の派遣校にもデータを保存している。そうすることで、組織的な教材開発と知識の蓄積に大きく貢献することができる。異動などにより担当者が変更になった場合でも、蓄積されたデータによって授業デザインの意図や単元の流れを容易に理解することができ、教育の質の維持・向上に繋がる。
デジタル教科書の活用により、表現が使われる場面や意図を視覚的に捉えさせ、児童の興味関心を引き出し、具体的なイメージと結びつけて学習できる。“I want to〜” のto不定詞の形を変化させたリピーティングやシャドーイングは、音声に慣れ親しみ、正しい発音を習得するために重要であり、帯活動の中に位置付けている。また、チャンツ教材の段階的な活用(再生速度の調整、字幕の有無)は、無理なくリスニング能力を高めるための工夫として、どの学年でも年間を通して行なっている。
MPDカードを用いたビンゴゲームは、新出の語彙を楽しく習得・定着させる効果的な活動であり、帯活動として継続することで反復学習の効果も期待できる。また、担当児童を決めて活動を行うことで他者理解の視点を取り入れたり、文字と音の一致、書き写しへと繋げる点は、複数の技能を統合的に育成するという観点からも重要なものと考えている。
教科書内にある例文を基に、自分オリジナルの内容へ変化させていく。教科書内の例文を応用し、児童が自分オリジナルの内容へと変化させる活動は、単に知識を習得するだけでなく、それを活用する力を養うことが期待できる。その際には、新出表現に十分に慣れさせた上で、児童同士で自由に内容を考えさせていく。また、最終的な発表に向けたポスター制作を並行して行うことで、単元全体の学習目標が意識され、実践的な言語活動が促されると考えられる。
最終ゴールのポスター発表に向けたポスター制作は、言語活動と創造的な活動を統合する良い機会であり、各授業に時間を設け、友だちと自由に制作活動へ取り組むことは他者との協働を促し、コミュニケーション能力の向上も期待できる。また、日本各地の観光ポスターを作成するというテーマは、児童の興味・関心を引き出しやすく、社会科の授業内容と合わせた教科等横断的な活動となる。ポスター作成については全9時間(単元テスト含)の内、10分間×4回を計画した。
新出語彙や表現の中から特に重要なものをロイロノートで書き写す練習は、文字と音を結びつけ、スペルを定着させるための基礎的な活動として重要である。毎回同じ提出箱に提出することで、児童自身が学習の履歴を振り返り、担当教員も児童の進捗状況を把握し、個別指導や支援に役立てることができる。必要に応じて音声カードへの録音活動を行うことは、発音練習に繋がり、「聞くこと」「話すこと」の技能向上に貢献している。6年生や中学生においては、Microsoft Teamsのアクセラレータ機能を活用したAIによる音読チェックを行なっている。これらの活動全体を通して、児童は知識の習得だけでなく、それを活用し、他者と協働しながら主体的に学ぶ経験を積むことができる。
対話活動においては、単に教科書の例文を繰り返すのではなく、児童が各々考えた文を用いて対話を行うことで、応用力や表現力を養うことが期待できる。さらに、発表を聞いて感じた感想を伝え合うことや、相手の紹介した文に対してどのような質問を投げかけるかを児童同士で思案させるという活動は、他者への関心やコミュニケーションにおける主体性を高め、思考力や判断力を育む上で非常に有効であると考える。
教科書の例文に加えて、担当教員が毎時間異なる内容の例文を黒板に示すことで、同じ表現のフレーズでも多様な文脈で使用されることを理解させ、語彙力と表現力の幅を広げる機会を提供している。これは、言語材料を多様な場面で活用することの重要性を示唆しており, コミュニケーション能力の基盤を築く上で欠かせないものだと考えている
ポスター作成に関しては、児童が主体的にタブレットを用いて調査し作成するという点が重要である。教師は、その過程で適宜アドバイスやサポートを行うことで、児童の自主性を尊重しながら、情報収集能力や整理する力、そして表現力を高めることができる。今回、資料作成にあたって計画していた時間内に全員が作業を終えることができた。毎時間の作業において明確な作業目標を設定することで完成までのビジョンを児童に示すことが重要である。このポスター制作は、言語活動と創造的な活動を統合する良い機会であり、視覚的な情報伝達能力も養うことができる。
授業中に児童が気になることや活用したい言葉を自由にタブレットで調べられるようにしている。これは、自律的な学習を促し、学習へのモチベーションを高める上で非常に効果的である。主体的に学びに向かう姿勢を育み、知的好奇心を満たすとともに、情報を活用するスキルの習得にも繋がる。
各々が考えた文と作成したポスターを用いてペアやグループで対話練習を行うことは、これまでの学習の成果を具体的なコミュニケーションの場面で試す良い機会となる。自分たちで考えた内容を用いることで、主体性が促され、教科書で学んだ知識を応用する力を養うことができる。。また、前時までに気付いたことやよく使う表現、プレゼンテーションを行う際に注意すべき点などを丁寧に共有することで、学びの定着を図り、発表の質を高めるための準備をすることができる。これは、単元全体の学習目標を意識させ、実践的な言語活動を促すことにもつながる。また、各々が不得手と感じているポイントなども教員が個別に話を聞きながらサポートを行うことで、個別最適化された指導が実現し、学習の不安を解消し、自信を持って発表に臨むことができるように支援している。
今回、Unit7の新出表現は参観者とのやり取りに活用することに設定し、スライドをプレゼンする際の表現は既出のUnit1~6で扱ってきた表現を組み合わせた。これは、新出事項の習得と既習事項の定着を効果的に両立させるための工夫である。ポスターを紹介する英文をUnit1~6で学んだ表現とすることで、学んできたことの振り返りの機会となり、既習事項の重要性を再認識させる。そして、紹介後の参観者との英会話交流にUnit7の表現を活用することで、新しい表現を実際のコミュニケーションで使う練習となり、実践的な運用能力を高める。また、外国語専科として担当している泰野小・山重小・伊﨑田中(1年)の児童生徒と、Canva上において作品を見せ合う活動やコメント交流を行うことで、他者との協働を促し、多様な意見に触れる機会を提供することで、児童の視野を広げ、学習意欲を高める上で非常に有効であると考えている。他校の児童や先輩たちの発展的な作品に触れることで、新たな視点や表現方法を発見し、自身の学習に活かそうとする意欲が生まれている。
Canvaによるパフォーマンス資料の作成は、ペアやグループで行うこともある。また、振り返りシートはGoogleスプレッドシートを活用し、あえて互いの振り返りや成果物の作成過程を参照できるようにしている。そうすることで、協働的な気付きや学びを促進させることでメタ認知を促し、自己の学習を客観的に見つめ、改善に繋げるための重要な機会としている。他者の振り返りを見ることで、新たな発見があったり、自身の課題に気づいたりすることが期待できる。
単元テストに関しては、教材会社から購入したものを活用している 。これは、一定の基準に基づいた知識・技能の習得度を測るための一般的な方法と言える。一方、各単元の最後には、児童が作成した成果物を用いた発表の様子やプレゼンテーション資料を、Canva、ロイロノート等を用いて収集・共有し、担当教員だけでなく、他教科を担当している教員や保護者などにも共有している。掲示できるものについては、校内の外国語コーナーや教室後方等に掲示している。
ロイロノート:授業デザイン、WarmUp教材、ライティング活動、リーディング活動
Googleスプレッドシート:振り返りシート
Canva:ポスター作成、他校との交流活動
MicrosoftTeams:AIによる音読チェック
Googleサイト:家庭学習用英語学習サイト(小中合同)
教科等横断的なICTの活用は、児童生徒のICT活用スキルを向上させる上で重要なポイントである。学習指導要領においても、情報活用能力は学習の基盤となる資質・能力として位置づけられ、各教科等の特質を生かしながら教科横断的に育成することが求められている。本校の実践においても、活用しやすい教科やICT活用が得意な教員が、率先して児童に活用方法を指導することで、その知識やスキルが他の教科にも波及し、学校全体でのICT活用を促進することができた。また、チーム担任制により児童が多くの教員に様々なことを相談しやすい環境は、児童のICT活用への不安や困難を軽減し、様々な教科でのICT活用を進める上で有効であった。また、児童のみならず、職員間においても同様の効果が見られた。加えて、職員の活用スキルの向上においては、ICT推進係による教員向けの自主研修を行なっている。各学期に複数回開催し、参加できる時に参加して情報を共有できる機会を設けることで、授業のみならず校務DXの側面においてもICT活用を進めることができている。
1学期:基本操作の練習。初めて使うアプリケーションがほぼ全ての状態。意見の集約を行う活動をメインに毎時間必ず活用した。2ヶ月程度でアプリケーションの活用に関してはほぼ全ての児童が完了。2学期からは、他の学校との交流があることを事前に伝えている。そのため、コメントなどを行う際の情報モラル指導なども同時に行っていく。
▶ ロイロノート(4月~)
▶ スプレッドシート(5月~)
▶ Canva(7月~)
2学期:ロイロノートとスプレッドシートの活用練習は終了しているため、次の段階としてCanvaにおけるコメント交流を、まずは自校のみで行う。Canvaに関しても、外国語の授業だけではなく、学活や委員会活動等でも活用していく。
▶ Canva活用(7月~)
▶ Canva交流開始(9月上旬~)
▶ Canva他校交流開始(9月下旬~)
3学期:発展練習を開始。テンプレートを自由に選択して自分の作品を作ることをスタートし、少しずつ文字やスタイルを自由に選択できる部分を広げていく。学活、総合、委員会活動においては自由作成をメインにする。授業内においては準備しているテンプレートを活用するパターンと併用していく。
▶ Canva写真位置(1月~)
▶ Canvaテンプレート選択(2月~)