CMB GROUP

The KAVLI IPMU

Welcome

カブリ数物連携宇宙研究機構CMBグループは宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background=CMB)の偏光観測を通して初期宇宙の物理を研究しています。「宇宙の始まりを知りたい」、また「どういう法則に従って今我々がここにいるのかを知りたい」、など素朴で基本的な疑問を出発点に研究を行っています。1965年に発見されたCMBは、その発見以来初期宇宙の情報を多くもたらしてくれています。CMB観測を含む多くの実験によってもたらされたデータから宇宙を記述するパラメータは1%以下の精度で決定する事ができています。 

「宇宙の始まり」を考える場合、どこまで実験的に時間をさかのぼれるのでしょうか?現在、多くの観測データから宇宙初期(宇宙開闢後~0.000000000000000000000000000000000001秒後)に指数関数的宇宙膨張(インフレーション)があったことをと示唆する宇宙に我々は住んでいます。このインフレーション仮説が正しい場合、インフレーション由来の原始重力波を介してCMBの偏光に特殊なパターン(原始重力波Bモード)を残していると予言しています。よって、CMB偏光を精密観測する事により、インフレーション仮説を実験的に検証できると期待されており、この発見に向けて世界的に熾烈な競争が行われています。これほどの初期宇宙は重力と量子が出会う時代であり、物理にとって非常に重要な極限です。さらに、インフレーションモデルの検証だけでなく、ダークマター、ニュートリノやダークエネルギーなどはCMBに対して影響を及ぼすことから感度をもち、宇宙進化を探るツールになっています。


我々はインフレーション仮説を検証するCMB実験に参加し、装置開発、シミュレーション、そしてデータ解析などを通して研究を進めています。CMB実験は広い物理、そして多岐に渡る観測技術また数理アルゴリズム等の開発が求められます。さらには国内はもとより国際共同研究は必須で、出張で海外に行くなど非常に軽いフットワークが求められる研究分野でもあります。Kavli IPMUの国際的な研究環境にて半分英語/半分日本語で、衛星も地上も気球も問わず、観測宇宙論分野にて「自分で装置を作り、測り、モデルを立てて説明し、新しいことを予言する。」を短期的には苦労しながらも楽しく、長期的には野心的に正眼の構えで鋭意研究中です。興味がある人ぜひご連絡ください。

Research

Projects

JAXA宇宙科学研究所戦略的中型2号機として採択されたLiteBIRDは原始重力波Bモード探索に特化した衛星計画です。カブリ数物連携宇宙研究機構では、低周波望遠鏡に搭載する偏光変調器、データ解析を担当すべく研究を進めています。

POLARBEAR, POLARBEAR2(PB2)/Simons Arrayはチリ・アタカマに設置されたCMB偏光望遠鏡です。POLARBEARは観測を終え、PB2が2019年より望遠鏡へのレシーバー搭載を終え、2021年に観測をスタートします。


CMB地上望遠鏡 Simons Observatory (SO) はチリ・アタカマにて観測を行う次世代CMB実験です。カブリ数物連携宇宙研究機構では、SO小型口径望遠鏡を中心に参加しています。

Future Missions

将来ミッションの創出は常に検討されています。CMB偏光地上望遠鏡計画CMB-StageIV、CMB将来衛星計画PICO、次世代気球観測計画などのミッション概念検討に参加しています。

New Technologies

Development of millimeter optics components and characterization

ミリ波・テラヘルツ光学素子(レンズ、波長板、フィルター、吸収体等)の高精度化、広帯域化、また精密測定方法の開発を行っています。

Cryo-mechatronics

低温環境での動作する機構は挑戦的な技術課題です。超電導技術などを用いて低発熱にて液体窒素またヘリウム温度環境で動作する機構開発を進めています。開発の応用先として衛星搭載も目指しています。

Cryogenic detector characterization

観測の要である検出器は極低温環境で動作します。TESボロメータを含む極低温検出器の性能評価を行い、観測に用いた場合の宇宙論的な影響を示唆します。  

Linking Theory and Observation

Algorithm development

観測機器の設計、シミュレーション手法、また解析手法において、新たなアルゴリズム開発を行っています。こうした研究により、より効率的に観測装置と宇宙論を結びつけることが可能となります。また、delensingや非ガウス性のように、高感度化また新たな観測量を産み出し、さらなる科学成果に結びつける可能性があります。

(BICEP/Keck Array Collaborations 2018)

Data Analysis

CMB実験によりもたらされるデータ解析を進めています。時系列データからマップ、パワースペクトル、そして導出する物理量まで、様々なツール・統計を駆使して解析を行います。またデータの較正も大事なステップであり、ハードウエアとソフトウエアを跨いだ活躍ができます。

Synergy between CMB and other cosmological probes

CMB観測はインフレーション探索にとどまらず、宇宙史における様々な痕跡を探索できます。特に、銀河サーベイ、超新星の観測、さらには重力波観測など、多岐にわたる観測と掛け合わせることで、さらに精密な宇宙論を確立することができます。様々なアイディアを探索しています。

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Access

東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構

〒277-8583 千葉県柏市柏の葉5-1-5

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