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研究紹介ページ

林研究室の紹介2020

自己紹介
研究室ミッション
研究例
人間の協同活動(コラボレーション)の解明と支援に関する研究
(1)対人や小集団での創造的なインタラクションの解明
(2)教育場面における協同学習活動の支援:Computer-Supported Collaborative Learning(CSCL)
視線計測(アイトラッカー)を用いた研究
会話分析/言語解析を用いた研究
表情解析に関する研究
ロボットや会話エージェントを用いた研究
バーチャルリアリティー(メタバース環境)に関する研究
人工知能の解析技術(機械学習)や計算機シミュレーションを用いた研究
学内広報誌(RADIANT)による研究室の紹介の記事

自己紹介

林 勇吾 / Yugo Hayashi

准教授 / Associate Professor

博士 (情報科学)/ Ph.D in Information Science

立命館大学/Ritsumeikan University

-総合心理学部/ College of Comprehensive Psychology

-人間科学研究科/ Graduate School of Human Science

-人間科学研究所/ Institute of Human Sciences

-認知科学研究センター/ Research Center for Cognitive Sciences

分野:認知心理学,教育心理学,社会心理学,認知科学,ヒューマンインタフェース・インタラクション

研究方法:心理学実験,会話分析(プロトコル分析),アイトラキング(眼球運動測定),表情解析,モーションキャプチャー,コンピューター・シミュレーション,システム開発,機械学習,統計学など

キーワード:

視線,表情,身体,言語・非言語コミュニケーション,協同問題解決,社会集団

知識発見,学習支援,創造性支援,ネットワークを介したコミュニケーション支援

会話モデリング,感情モデリング,人間と会話する擬人化エージェントの開発

ロボット(AI)とのコミュニケーションにおける心理学的分析

研究室では人と人,人とシステムとのコミュニケーションのメカニズムを「理解」することと,そこで得られた知見をもとに情報システムを用いてインタラクションを「支援」するための総合的な研究を行っています.

人間の「理解」のための基礎研究:知識処理、認知科学等に関する調査・研究

知覚(視覚、聴覚、触覚),認知・記憶・教育,学習,思考・推論・問題解決,感情,感性,表情分析,感情コンピューティング,認知モデル,コンピュータ・シミュレーション,会話分析など


人間の「支援」のための応用研究:教育,福祉,芸術,エンターテインメント等における情報・通信技術の適用に関する応用調査・研究

コミュニケーション支援,学習支援,創造性支援,集団での知識発見,人間とロボット(AI)とのインタラクション,ゲームエンタテインメント,バーチャルリアリティ(VR)空間における社会的認知など

研究室ミッション

本研究室の大きなミッションは,人間の心の働きを認知科学的に検討することと,その知見を応用して人間と情報システムのインタフェースのデザインを考えることです.ここでの研究アプローチは,(1)実験室で人間の認知や行動プロセスを検討し,(2)その知見をもとに理論やモデルを構築していきます.そして,(3)モデルをベースにした情報システムを開発し,その利用と評価を通じてシステムのデザインや人間とのインタフェースを総合的に検討しています.これまで独自に開発してきた情報システムには,擬人化会話エージェントと呼ばれる人工知能のチャットシステムやwebベースの学習支援システムなどがあります.また,分析方法も多様であり,言語(発話)データや視線の分析(眼球運動測定),感情状態の分析(表情,脈拍,瞳孔),計算機シミュレーションを行ってきました. 以下のリンク先に研究室で行ってきた代表的な研究を紹介します. <研究室HPより>

研究例

人間の協同活動(コラボレーション)の解明と支援に関する研究

(1)対人や小集団での創造的なインタラクションの解明

科学研究費基金研究(挑戦的研究(萌芽) 課題番号:20K20873)「小集団におけるインタラクション要因の解明:実験システムの開発と認知科学的検討」

#このテーマで研究をしたい学生さんを募集中です!

「3人よれば文殊の知恵」という諺があるように,人々が集まって協同作業を行うことで従来は困難だった課題を克服したり,新たな知識を創造する可能性までも期待できます.しかしながら,このような活動で本当にいいパフォーマンスを得るには,良いインタラクションを行う必要があります.それでは,どのようなインタラクションが良いのでしょうか.認知科学の領域では,人間の協同問題解決(Collaboration)に関する膨大な研究が行われてきており,現場観察や心理実験,計算機シミュレーションなど様々な手法で研究が蓄積されています. 本研究では,人間同士の協同問題解決における効果的なインタラクションについて,実験室実験によって検討しております.さらに,これらの知見に基づいて人間の発話行動に基づいて協同問題解決を行うコンピュータのプログラムの開発も行っております.

小集団による協同活動_少数派効果/Collaborating in Small Groups_Miniority Effect

Hayashi, Y.(2018), The power of a "Maverick" in collaborative problem solving: An experimental investigation of individual perspective taking within a group, Cognitive Science, 42(S1),69-104

集団内の信頼性構築による知識発見/Influence of trust development in groups for knowledge discovery

林勇吾(2017), 信頼構築プロセスが協同問題解決の視点取得に及ぼす影響:エージェントを利用した実験的検討, 人工知能学会論文誌, 32(4),E-G91_1-9

ロボットを用いたアイディア生成の支援/Supporting Idea Generation unsing a Robot

Maehigashi, A. Hayashi, Y.(2019), Effect of Suggestions from a Physically Present Robot on Creative Generation, Proceedings of the 41st Annual Conference of the Cognitive Science Society(CogSci2019),2242-2247

(2)教育場面における協同学習活動の支援:Computer-Supported Collaborative Learning(CSCL)

科学研究費補助金研究(基盤B 課題番号:20H04299)「協同学習における主体的な学びの育成のための知的学習支援システムに関する総合的検討」

#このテーマで研究をしたい学生さんを募集中です!

自分が行った行動を振り返ることによって,これまで見えていなかった側面に対して新たな気付きや発見を生まれることがあります.このように自己を再評価する心的活動は,メタ認知と呼ばれており,日常場面における様々な場面において効果があるとされています.研究室では,教育場面(協同学習)に着目し,人工知能の技術を用いてメタ認知を支援する方法や利用効果について研究しています.このような人間同士で行っている活動を学習システムにより支援できれば,認知理論に即した効果的な学習方法を提案することが期待できます.

【解説】知的学習支援システムとは?/What is Intelligent Tutoring Systems?

私のブックマーク「知的学習支援システム(Intelligent Tutoring Systems)」

複数のエージェントによるファシリテーション/Facilitation using multiple agents

Hayashi, Y.(2019) Multiple Pedagogical Conversational Agents to Support Learner-Learner Collaborative Learning: Effects of Splitting Suggestion Types, Cognitive Systems Research, 54, 246-257

視線計測(アイトラッカー)を用いた研究

視線ジェスチャを用いたファシリテーションと眼球運動測定/Facilitations using gaze gestures and eye-tracking

林勇吾(2018)知識統合型の協同学習における身体性を持つ教育エージェント:眼球運動測定を用いた助言と視線ジェスチャに関する実験的検討, ヒューマンインタフェース学会論文誌, 20(1),79-88

会話における言語情報と視線情報のモデル推定/Predicting dialogues and gaze movements

林勇吾(2019),知的学習支援システムによる協同学習の支援に向けて:視線情報と言語情報を用いた学習プロセスの推定モデル,認知科学,26(3),343-356

会話分析/言語解析を用いた研究

認知タスク分析による会話分析/Cognitive Task Analysis

Hayashi,Y., Koedinger, K.(2019), What are you talking about?: A Cognitive Task Analysis of how specificity in communication facilitates shared perspective in a confusing collaboration task(CogSci 2019), 1887-1893

語彙ネットワーク分析/Lexical network analysis

Hayashi, Y.(2016)Lexical Network Analysis on an Online Explanation Task: Effects of Affect and Embodiment of a Pedagogical Agent, IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences, E99-D(6),1455-1461

表情解析に関する研究

表情から心的状態の検知/Detecting mental states from facial expressions

Hayashi, Y.(2019)Detecting Collaborative Learning through Emotions: An Investigation using Facial Expression Recognition, Proceeding of the 15th International Conference on Intelligent Tutoring Systems(ITS2019), 89-98

ロボットや会話エージェントを用いた研究

擬人化エージェントのデフォルメによる印象の検討/Effect of embodied agent's deformed chracteristics

Kitamura, A. Hayashi, Y.(2016)Effects of Deformed Embodied Agent during Collaborative Interaction Tasks: Investigation on Subjective Feelings and Emotion, Proceedings of the 4th international conference on Human-Agent Interaction (HAI2016), 235-237

会話ロボットの言い淀みによる人間らしさの表現/Effect of embodied agent's grudging

阪本綾香・林勇吾・小川均(2011)コミュニケーションロボットに対する人間らしさの帰属の要因,日本認知科学会第27回大会発表論文集(CD-ROM),1-26

ジレンマゲームにおけるエージェントの振舞い方と構えの検討/Investigating the influence of bahaviroa nd cognitiikon in an Dilenma Game

Hayashi, Y. Okada, R.(2017)Compound effects of expectations and actual behaviors in human-agent interaction: Experimental investigation using the Ultimatum Game, Proceedings of the 39th Annual Conference of the Cognitive Science Society(CogSci2017), 2168-2173

言語同調/Lexical Alignment

Hoshida, M., Tamura, M., and Hayashi, Y. (2017). Lexical Entrainment Toward Conversational Agents: An Experimental Study on Top-down Processing and Bottom-up Processing. Proceedings of the 5th International Conference on Human Agent Interaction, 189-194.

バーチャルリアリティー(メタバース環境)に関する研究

人工知能の解析技術(機械学習)や計算機シミュレーションを用いた研究

傾聴コミュニケーションとモデル推定/Predicting Communication States from Listener's view

黄宏軒・澁澤紗優美・林勇吾・川越恭二(2016),傾聴エージェントの実現に向けた傾聴会話参加者の自他評価による数値化モデルの提案, ヒューマンインタフェース学会論文誌,18(4),373-384

信頼形成のシミュレーション研究/Simulation on trust development in a social network

Hayashi, Y. and Kryssanov, V,. (2013), An Empirical Investigation of Similarity-driven Trust Dynamics in Social Networks, Procedia - Social and Behavioral Sciences, 79(6), 27-37

学内広報誌(RADIANT)による研究室の紹介の記事

自分とは違う視点の意見を聞くことで物事に対する理解が深まったり、新しいアイデアを思いついたりした経験はないだろうか。「認知科学の領域では、異なる視点や知識を持つ他者とのインタラクション(相互作用)がメタ認知や批判的思考を促す上で有効であることが知られています。相互作用を繰り返すことで他の知識との関連に気づいたり、より客観的に知識を捉えることができるようになるのです」と解説した。人は他者とのコミュニケーションや相互作用を通じてどのように新たな視点や知識を獲得していくのか。林はそのメカニズムを探究するとともに、コンピュータを使って人と人、あるいは人とシステムやロボットとの対話や協同学習を支援する方法を探究してきた。林によると、こうした研究は近年HCI(Human Computer Interaction)と呼ばれる学問領域で盛んに行われているという。「しかし情報工学的なアプローチだけでは人のインタラクションを十分に捉えられないことがわかってきました」と林。そこで林はHCIに認知科学のアプローチを統合することで協同学習による知識獲得のメカニズムを解明し、その知見を生かして新しい協同学習システムやロボットを作り出そうとしている。 現在研究しているのが、複数人が一緒に学ぶ際に効果的なインタラクションを促す「擬人化エージェント」いわば「コンピュータの教師」を使った協同学習システムである。「誰もがすぐに学習効果の高いコミュニケーションを実践できるわけではありません。そのため教育の現場では教師や学習の補佐役によるファシリテーションが重要になります。学習場面でこうした教師的な役割を果たす『コンピュータの教師』は『PCA(教育用会話エージェント:Pedagogical Conversational Agent)』といわれます」と林。PCAを知的学習支援システムに生かそうという研究は数多くあるが、具体的にどのようにファシリテートすれば学習者同士のインタラクションを活性化し、協同学習を促進できるのか、いまだ最適な方法論は確立されていないという。林はまず心理学の手法を用いて人と人の対話実験を行い、どのような言葉かけがインタラクションを促進するかを明らかにした。とりわけ認知科学はこうした情報技術を用いる前段階、人のどのような言動をどう捉えるべきかを考える上で重要な役割を果たす。続いて抽出した言葉を機械学習で解析してインタラクションモデルを構築。そのモデルをPCAに実装し、効果を確かめている。その一つが、学習者のペアがある概念について学んだ後、それについて「互いに説明し合う」ことでさらに理解を深めるという協同学習を支援するPCAだ。林が開発したPCAは音声認識と自然言語処理技術を使って2人の発言内容を検知・解析し、対話が滞ったり学習に関係ない発言が続くと効果的な対話を促すキーワードを提示する仕組みになっている。また林は「言葉」以外にも学習効果を高める介入因子を検討。人の身体からさまざまな情報をセンシングし、複数のコミュニケーションチャネルを使ったマルチモーダルなインターフェースを協同学習システムに生かそうとしている。例えば「感情表出」という因子もその一つだ。学習場面では、褒め言葉などのポジティブな言葉に加えて、嬉しそうな顔といったポジティブな感情を表す画像を提示すると、学習者の学習意欲や理解度が高まることを実証した。さらに林が注目したのが、「視線」である。互いに離れた場所にいる2人がパソコンのモニターを介して協同学習する際、眼球動測定器を使って視線の動きをリアルタイムに検知し、互いのモニターに表示するインターフェースを開発した。「離れた場所にいる相手との対話では、互いの存在を実感することが重要だといわれています。私たちは、学習者がどこを見ているかで相手に対する関心や集中の有無を推し量るアルゴリズムを構築。学習者の視線を誘導し、相手に対する集中を促すことで対話が活性化することを確かめました」。 「最新の研究では、異なる根拠に基づく批判などのコンフリクト(対立や軋轢)を起こすような論争的な議論が協同学習に有効であるという先行研究から、効果的なコンフリクトを引き起こす議論を誘発するような協同学習システムの開発に着手しています」と林。議論に不慣れな学習者が建設的な議論を行えるよう「議論のやり方」を教える教師役=PCAの開発を考えた。まず議論に熟達したエキスパートによる理想的な論争的議論から学習を深めるプロトコルを導き出し、「議論モデル」を構築。それをPCAに実装して効果を検証していく計画だ。例えば未来の教室では、林が開発した自律的なPCAが人に代わって教師の役割を果たしているかもしれない。あるいは臨床心理の現場でのグループセラピーやカウンセリングにも応用可能性は広がる。林の研究成果が社会実装される日が待たれる。
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