9/1 Sunday
石橋 典
Decorated local systems and Stokes data
アブストラクト:Fock—Goncharov (2006) のモジュライ空間と
Stokes dataのモジュライ空間との関係についての観察を述べる.
またGoncharov—Kontsevich (2024) によって導入された
モジュライ空間の飾り付き版を定義し, その標準的な擬クラスター
(quasi-cluster) 構造について述べる.
後半は大矢浩徳氏, Linhui Shen氏との現在進行中の共同研究に基づく.
狩野 隼輔
Reductions for mutation loops
アブストラクト:TBA
岩尾 慎介
相対論的戸田格子と旗多様体の$K$-シューベルト類
アブストラクト:旗多様体の量子$K$-理論は, 旗多様体の$K$-理論に
量子積を導入することで定まる環である.
適切な局所化のもと, 以下の3つの環(i),(ii), (iii)が同型になること
が知られており, この性質を用いてそれぞれの環をよく調べること
ができる:
(i)相対論的戸田格子の解空間の座標環,
(ii)旗多様体の量子同変$K$-理論,
(iii)アフィングラスマン多様体の$K$-同変ホモロジー環.
(i)と(ii)の間の同型は, 相対論的戸田格子のLax形式から導出される
[Ikeda-Iwao-Maeno].
(ii)と(iii)の間の同型は, $K$-ピーターソン同型と呼ばれる
[Kato,Ikeda-Iwao-Maeno,Chow-Leung,
Lam-Li-Mihalcea-Shimozono].
本講演では, 古典可積分系の行列解の構成・ベックルンド変換などの
技法が, 幾何学の研究にどのように用いられているかを概説する.
本講演は池田岳氏(早稲田大学), 内藤聡氏(東京工業大学),
山口航平氏(名古屋大学)との共同研究に基づく.
嶋田 將史
量子対称対の余イデアル部分代数上の可積分両側部分加群に属する球関数と量子群の幾何
アブストラクト: 1990年代前半,量子対称対は量子対称空間の調和解析の研究において構成された.後に,量子対称対はDrinfeld—神保量子群$\mathbf{U}=\mathbf{U}_q(\mathfrak{g})$の組合せ論的表現論において定式化され,さらなる発展を遂げた.$\imath$量子群として知られる量子対称対の余イデアル部分代数の理論の急速な発達の中で,量子対称空間の調和解析の役割が分かりづらくなっている.
本講演では,$q$-変形された$SL(2)$の調和解析と幾何構造を持つその対称空間について述べる.量子対称空間の調和解析の新たな役割を見出すためには,Lie理論における対称空間の調和解析と幾何との結びつきを鑑み,量子群上の幾何構造を構築することが役立つであろう,という提案をする.球関数と関連する$q$-差分作用素を記述する幾何の道具を提供することが見込まれる準備中の試みにも触れる.
長谷川 浩司
モノドロミー保存系の量子離散化と量子群を用いた高階化の構成について
アブストラクト:複素球面上$4$点に特異点を持つ階数$2$の線形微分方程式系の
モノドロミー保存条件がパンルヴェVI型方程式であった.
解を解に移す変換はアフィンワイル群を成し, 対
称性を保つ離散化が神保と坂井により知られている.
更に, ハミルトン系であるので, 離散化と共に正準量子化を行う
量子離散化を考え得る.
それにはアフィンワイル群対称性の量子化による方法と,
モノドロミー保存系の量子離散化としての量子群を援用した方法とが
考えられるが, 両者は同じ量子離散系を与えることが分かる.
系のシュレディンガー表示は$5$次元超対称ゲージ理論の分配函数に対して
物理学者が提出したものと一致し
[arxiv/2211.16772, 2309.15364],
量子群を用いる方法によれば階数を$2$以上にした場合も構成できる.
これらについて可能な範囲で紹介したい.
9/2 Monday
水野 優磨
$q$パンルヴェ方程式の幾何について
アブストラクト:$q$パンルヴェ方程式について、有理曲面の幾何を用いた定式化である坂井理論の立場から概説する。また、ここで現れる有理曲面の上のクラスターポアソン構造について説明する。
武中 亮
$Y$-systemに付随する指数について
アブストラクト:TBA
茂木 康平
量子可積分系の分配関数と関連する特殊関数について
アブストラクト:量子可積分系の分配関数の文脈で出現する以下の特殊関数についての概説を行う.
余裕があれば3次元分配関数についても触れたい.
・ドメイン壁分配関数とソース関数, Izergin-Korepin行列式
・波動関数とウェイト関数
鈴木 貴雄
クラスター代数, ワイル群とパンルヴェ方程式
アブストラクト:
パンルヴェ方程式は動く分岐点を持たない2階有理型常微分方程式であり,
現在ではその背景にワイル群やリー代数が潜んでいることが分かっている.
そして, この背景にある代数構造は方程式を離散化することでより
見通しの良いものとなる.実際, 方程式の対称性と初期値空間は
アフィン・ルート系によって系統的に記述でき, また方程式自体も
アフィン・ワイル群の双有理表現として定式化される(坂井理論).
本講演では, このような背景にある代数構造をクラスター代数の理論を
利用して拡張し, それによって離散パンルヴェ方程式の高階化を
系統的に行う.また, 方程式の分類や退化構造についても考察し,
もし時間に余裕があれば量子化についても触れる.
長谷川 浩司
アブストラクト:9/1の欄を見てください.