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(参考)磁気共鳴現象の古典力学的説明例
- 原子は原子核とその周囲に一定の確率分布する電子から構成される。原子番号と質量数がともに偶数でない原子核は0でない核スピン量子数 I と磁気双極子モーメントの2つの物理量を持ち、その原子は小さな磁石に例えられる。しかし、(物質全体として自発的に磁化されていない限り)それぞれの核スピンの向きはばらばらであり全体でキャンセルされるので巨視的な磁化を発生しない。ここで外部から静磁場を作用させると、核スピンの持つ磁化は磁場をかけた向きに一定の配向を示し、全体として静磁場をかけた向きの巨視的磁化(縦磁化)となる。
- このような環境下では、核スピンは静磁場が発生する磁束方向を軸として歳差運動を発生する。歳差運動とは、磁束方向と書くスピンの軸が一致していないために生じる現象(コマの首振り運動に例えられる)であり、歳差運動の回転速度(ラーモア周波数)と言われ、静磁場強度と観測核の持つ磁気モーメントに比例する。1.5Tの静磁場強度では64MHzであり、FM放送の周波数帯に相当する。
- 磁気共鳴現象を発生させるためにラーモア周波数に合わせてラジオ波(RF Pulse)を照射すると、横磁化が生じる。最も強い横磁化を発生させるラジオ波の条件を90度パルスと考える。その2倍の強度(180度パルス)で照射すると横磁化は発生せず、縦磁化が反転した状態になる。横磁化はラーモア周波数に一致したラジオ波を放出しながら定常状態へと復帰してゆく(横緩和現象)が、検出される信号強度の減衰速度を時定数で表現したものが横緩和時間である。
- 直接観測できる(受信コイルに電位を発生させる)のは横磁化のみである。縦磁化は直接観測できないので、元々の横磁化成分を減弱させた上で縦磁化成分を横磁化に変換して縦緩和の減衰(縦緩和現象)を観測し縦緩和時間を算出するのである。
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