「持続化給付金」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うインバウンドの急減、自粛などの影響を受けている中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人といった会社以外の法人に対して、事業全般に利用できる給付金を支給する制度です。
漁業、農業、飲食業、小売業、旅館業など幅広い業種で、事業収入(売上高)を得ている法人・個人が対象となります。漁業、民宿、飲食店を営む方が知っておくべき「持続化給付金」のポイントをわかりやすく説明します。
※事務局のHPです。画像やURLをクリックすると申請ページにジャンプします
個人で漁業、民宿などを営んでいれば最大100万円の給付を受けられる可能性がある
スマホ、パソコンありません……でも大丈夫、子どもの代理申請はOKとのことです
新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年の月次売上が前年の同じ月比で50%以上減少していると受給対象
個人事業主は2019年の青色もしくは白色申告が必要となるが、所定の理由によって提出できていない個人事業者に対して給付するための条件もある
給付を受けるためにいくつかの書類を用意しなければならない
申請期間は2021年1月15日まで。イセエビ漁、海士漁の単価下落、自粛による観光客減によって月次売上が50%減となると、それを申請することができる
イセエビ漁、海士漁、夏の民宿業などひと月あたりの収入変動が大きい事業主向けの特例もある
まず、漁業、農業、民宿、飲食店などを営む個人事業主なども対象になります。
全国漁業協同組合連合会は4月27日付で各県の漁業協同組合などに向け、「個人事業者には漁業者、法人にはJFが含まれております。漁業者・JF段階における具体的な手続き等については、判明次第、改めてご連絡いたします」と文章で通達しています。
そのJA全中では「持続化給付金」について、「組合員の承諾書があればJAが申請の入力作業を代行できるよう、関係省庁と調整」(日本農業新聞 4/26)としていますので、JAの組合員の方は、所属するJAに確認するとよいでしょう。
また、宿泊業を営む方に向けて経済産業省は、「新型コロナウイルス感染症で経営にお困りの宿泊業経営者の皆様へ」と題した資料を公表。「持続化給付金」などの活用を紹介しています。
「持続化給付金」の申請は、基本的にWeb申請になります。漁業、農業、民宿経営などに携わる個人事業主の多くが高齢者。そのため、スマホ、パソコンは「持ってない」「触れない」「わからない」といった方が多いでしょう。そこで、事務局に、血縁者による代理申請が可能か問い合わせてみました。
「子による代理申請はOKか」と聞いたところ、答えは「大丈夫です」とのこと。血縁者間で代理申請について合意がとれていれば良いというのが事務局の見解で、委任状などは不必要とのことでした。
●千葉県漁連の見解(HPで公開された資料から抜粋して紹介)
Q. パソコン等を持たない組合員の申請は、JFが代理で行うのか?
A. まず、申請に必要な情報を整理・提供すること、相談に応じることを想定しています。JFが行う組合員向けのサポート(申請支援)とは、次のようなことを想定しておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
・申請についての基礎的な相談(HPの案内など)
・市場販売事業の仕切書などの組合員の売上高を示すものの再発行、月別合計の合算(組合員の月収の算定)や一覧表の作成
・「申請サポート会場」の周知・案内(対応が難しいJFは、順次発表されるサポート会場を活用すべく、こちらに誘導していただくことを想定しております)。その上で、対応が可能なJFにおいては、職員の方が組合員に代わって申請手続きをする(申請代行)ような対応も行っていただきたいと考えます。
Q. 高齢な組合員が多い中、パソコン入力など、JF(職員)が代理申請することは可能か?
A. JF(職員)がパソコン入力を補助し、組合員の名前で申請することは可能です。
Q. 「申請者のメールアドレス」について、例えばJFが代理で申請するとした場合、1つのメールアドレスで複数人の申請が可能なものか?
A. 1つのメールアドレスで複数人の申請をすることは可能です。(メールアドレスは確認事項があったときの「連絡先」としての位置付けのようです)
Q. 前年度の収入に、積立ぷらすや漁業共済からの補てんがある場合、50%以上減少の判定は、その補てん額を加味せずに行うことで良いのか?(事業収入には含めないということか?)
A. 2019年の収入については、確定申告書の第一表における「収入金額等」の事業欄に記載される額を用いるものとされておりますので、補てん金が当該欄に計上されている場合は、当該額をそのまま用いることになります。
◆ ◆ ◆
ご自身の漁業権のある漁業協同組合の対応次第ということになりますが、高齢者の場合、水揚げ伝票などの再発行などをJFにお願いを氏、血縁者が申請するのがベータな方法であると言えます。漁業、農業、民宿などに携わる血縁者がおり、高齢のため自身で申請ができない場合、以下に記載した必要な書類を用意してもらい、代理で申請することも検討してください。
2019年の売上高を基準にして、2020年内のある月の売上高(月の収入)が50%以上減少した月次売上高から計算することを基本としています。2020年1月から2020年12月のうち、前年同月比で売り上げが50%以上減少したひと月について個人事業主が選択できます。たとえば、2019年5月の売り上げと、2020年の5月の売り上げを比較し、50%以上落ち込みがあれば、給付条件をクリアしたことになります。算定方式は次の通りです。
◇給付額(上限100万円):2019年の年間事業収入―(前年同月比▲50%月の売上×12か月)
※金額は10万円単位。10万円未満の端数は切り捨てになります
算定式は申告方法によって若干異なります。青色申告、白色申告の場合を、以下の画像で確認してください。
青色申告の場合、任意で選ぶ2020年のひと月の売り上げと、2019年同月を比較し、売り上げが50%以上低下していれば給付要件を満たすことになります。この画像の場合、2020年4月の月次売上が13万円、2019年は30万円で、同月比で57%減少になります。そして、まずは、2020年4月の売り上げに「12か月」を掛け算します(13万円×12か月=156万円)。算定式にあてはめて、2019年の事業収入300万円から156万円を引き算すると、144万円。給付額の上限は100万円のため、このケースでは100万円の事業家給付金を受け取ることができます(画像は経産省の資料からです)。※確定申告ができていないケースは次の項を参照。
白色申告の場合、2019年の年間売上(年間事業収入)から2019年の月間平均売上(月間平均事業収入)を算出します。この画像のケースでは、年間売上が300万円なので、1つきあたりの平均売上は25万円となります。2020年4月に月次売上(月次事業収入)が10万円(2019年の同月比で60%減少)となるので、給付要件を満たすことになります。そして、要件を満たした4月度の月次売上に12か月をかけ(10万円×12か月)ると、120万円となります。2019年の事業収入300万円から120万円を引き算すると、180万円に。給付額の上限は100万円のため、このケースでは100万円の事業家給付金を受け取ることができます(画像は経産省の資料からです)。
国税庁は、4月16日まで申告期間を延長すると発表していた2019年分(令和元年分)の確定申告を、4月17日以降も受け付ける方針を発表しています。「感染拡大により外出を控えるなど期限内に申告することが困難な方については、期限を区切らずに4月17日移行であっても柔軟に確定申告を受け付ける」とし、実質的に無期限で対応する方針を示しています。そのため、2019年度分の確定申告が完了していない個人事業主が多数存在すると考えられます。こういった方々のための「持続化給付金」の申請方法が用意されています。
申請には2019年の事業収入に関する証拠書類などが必要になりますが、上記の理由などにより2019年分の確定申告書類を提出できない場合、次の2つのうちいずれかを代わりの証拠書類などとして提出することができます。
2019年分の市町村民税・特別区民税・都道府県民税の申告書類の控えを提出できます。
市町村民税・特別区民税・都道府県民税を提出した場合、月別の収入が確認できないため、白色申告と同様に、2019年の年間事業収入を12か月で割って月平均の事業収入を算出。2020年の任意の月の事業収入が2019年の月平均事業収入と比較して50%以上減少している場合は、給付対象となります。算出方法は白色申告のケースと同様なのでそちらを参照してください。(画像は経産省の資料からです)
2018年分の確定申告書類等の控えまたは2018年分の住民税の申告書類の控えを提出できます。2018年分の確定申告書類を提出する場合は、事業収入の比較は、2018年と比較することになります。(画像は経産省の資料からです)
申請には次の4種類の証拠書類などの提出が必要になります。
確定申告書類
青色申告の場合(確定申告書第一表(1枚)、所得税青色申告決算書(2枚)※少なくとも、確定申告書第一表の控えには収受日付印が押されていること)
白色申告の場合(確定申告書第一表(1枚)※収受日付印が押されていること)
2020年分の対象とする月(対象月)の売上台帳など(対象月の売上台帳など)
通帳の写し(銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人が確認できるもの)
本人確認書の写し(本人確認書類 → 運転免許証の裏表、個人番号カードの表面、写真付きの住民基本台帳カードの表面、在留カード・特別永住証明書・外国人登録証明書、のいずれか ※申請を行う月において有効なものに限る)
※これを保有していない場合は、住民票の写しとパスポート、住民票の写しと各健康保険証(両面)のいずれか
次の2つのうちいずれかを代替の証拠書類などとして提出できます。
2019年分の確定申告の義務がない場合やその他相当の事由により提出できない場合
2019年分の市町村民税・特別区民税・都道府県民税の申告書類の控えを提出
「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」に基づいて、2019年分の確定申告を完了していない場合、または住民税の申告期限が猶予されており当該申告が完了していない場合
2018年分の確定申告書類等の控えまたは2018年分の住民税の申告書類の控えを提出
申請は基本的にはWebからになります。スキャンした画像だけでなく、デジタルカメラやスマートフォンなどで撮影した写真(データ形式は、PDF、JPG、PNG ※スマホで撮影する際はJPG画像になります)も許可されています(文字認識できるように撮影することが重要です)。
たとえば、任意で選ぶ2020年の対象月の売上台帳は、自身のエクセルで作ったデータ、会計ソフトなどから抽出したデータで大丈夫です。たとえば、漁業従事者であれば、漁業協同組合に水揚げデータを問い合わせしてみるのもいいでしょう。水揚げ時の漁獲量、その翌日にわかる浜値を基に自身で売上台帳を作成し、それを申請に活用するのも大丈夫です(画像は経産省が公表した資料より)。
5月1日から申請用のホームページで申請受け付けを始めました。Webからの申請を基本としています。
▽ホームページはこちら(パソコン、スマートフォンから申請可能)
→ https://www.jizokuka-kyufu.jp/ (こちらをクリックしてください)
持続化給付金コールセンターも用意していますので、不明瞭な点などがあれば問い合わせをすることができます。ただ、5月は現在のところ、電話がつながりにくい状態になっています。
▽持続化給付金事業 コールセンター
受付時間:8時30分~19時00分(5月・6月は毎日、7月から12月は土曜日を除く)
直通番号:0120-115-570
IP電話専用回線:03-6831-0613
Webでの申請の流れです。パソコン、スマホからできます(画像は経済産業省が用意した資料より)
「持続化給付金」のホームページで申請ボタンを押し、メールアドレスなどを入力(仮登録)。届いたメールから専用ページでID・パスワードを入力してマイページを作成、必要書類の添付など手続きを行います。
「申請する」ボタンを押して、メールアドレスなどを入力[仮登録]
入力したメールアドレスに、メールが届いていることを確認して、掲載されているURLをクリック。[本登録]]へ。
ID・パスワードを入力すると「マイページ」が作成できます
■マイページで入力する項目
基本情報、口座情報を入力し、証拠書類などを画面上に添付します。
【基本情報】
屋号・雅号
申請者住所
書類送付先
業種(日本産業分類)
創業日
申請者氏名
生年月日
申請者電話番号
申請者メールアドレス
2019年の事業収入
対象月
対象月の月間事業収入
対象月の2019年同月の事業収入
【口座情報】
金融機関名
金融機関コード
支店名
支店コード
種別
口座番号
口座名義
※口座名義人は申請者名と一致している必要があります。
新型コロナウイルスの感染拡大は長期戦の様相を呈しています。そのため、夏の海開き中止、外出自粛などが懸念されます。また、夏に向けて消費低迷、飲食店の仕入れ減少などによって、魚介類の卸値が大幅に減少することが考えられます。
夏といえば海士漁が始まっていますし、8月から伊勢エビ漁が始まりますが、浜値がどう動くか読めません。また、年間民宿も夏期民宿も夏の観光シーズンを迎えますが、海開き、コロナの長期化が大きな影響を及ぼす可能性は少なくありません。
いわゆる季節性収入の変動が大きい個人事業主に向けて、季節性収入特例という特例条件が設けられています。
特定期間の事業収入が年間事業収入の大部分を占める事業者で、以下の適用条件をすべて満たす場合、特例の適用を選択することができます。以下の画像と合わせて条件をチェックしておきましょう。
2020年の任意の1か月を含む連続した3か月(対象期間)の事業収入の合計が、2019年同期間の3か月(基準期間)の事業収入の合計と比べて50%以上減少している
2019年の3か月連続の期間(基準期間)の事業収入の合計が、2019年の年間事業収入の50%以上を占めること。ただし、基準期間が複数の事業年度にまたがる場合(季節性収入が年度をまたぐ場合)は、基準期間の終了月の属する事業年度の年間事業収入の50%以上を占めること
※対象期間の終了月は2020年12月以前
季節性収入特例の算出例です。このケースでは、2019年2~4月がかき入れ時で、2019年の事業収入の50%以上を占めています(年間事業収入500万円のうち、2~4月で500万円を稼いでいる)。2020年では、新型コロナの影響で、2~4月の収入が200万円に。2019年2~4月の3か月連続期間と、2020年2~4月の3か月連続期間を比べると、2020年は50%以上減少した計算になりますので、季節性収入特例にあてはまります。
ちなみに、特例をあてはめずに、通常のな計算式を用いてみましょう。2020年4月は2019年4月と比べて、売り上げは50%以上減です。減少額の100万円に12か月を掛けると1200万円に。しかし、2019年の年間事業収入500万円を超えることになってしまうので、給付額は0円になってしまいます。通常な計算式をあてはまると給付額が0になってしまうような変動収入がある事業者に向けて、このような特例が設けられています(画像は経産省が公表した資料より)
※このコンテキストは経産省が公表した資料に基づいて作成しています。詳細なことを知りたい方は、持続化給付金事務局のHPをご確認ください。