インフォーマル政治研究会(Informal Politics Forum)は、国家の公的な統治機構と結びつく意味での政治(フォーマルな政治)に伴うインフォーマルな部分(informality)や、私的とされる領域で日常的に行われているインフォーマルな政治に注目した議論を目的とする研究会です。
本研究会は、以下に掲げる①と②の双方を含む緩やかな意味で「インフォーマル政治(informal politics)」を捉え、さらに③と④も視野に収めることで、多様な議論の広がりと深まりを志向しています。
①国家権力と直結するマクロでフォーマルな政治に見出せるインフォーマルな側面(公的意思決定過程のバックステージで展開される諸活動、非国家主体が果たす事実上の役割、非法的・非制度的に行われる統治実践、非実体的な言語や心理の働きなど)
②さまざまな形態で社会に遍在するが、必ずしも国家権力とは直結しないミクロでインフォーマルな政治(家庭、学校、職場、集合住宅、地域コミュニティ、市民社会組織、社会運動団体といった民間組織・社会集団における権力作用や集合的意思決定など)
③フォーマルな政治とインフォーマルな政治が取り結ぶ関係や、フォーマル/インフォーマル、公/私、政治/非政治などの境界設定・境界横断をめぐる政治
④上記の①~③を適切に取り扱うための方法論および研究倫理
本研究会は、国家中心的政治像や方法論的国家主義の相対化という問題意識から出発した非国家的政治研究会(2021年3月~2025年3月)における議論と、その成果である松尾隆佑/源島穣/大和田悠太/井上睦編『インフォーマルな政治の探究――政治学はどのような政治を語りうるか』(吉田書店、2025年3月)の内容を引き継ぐかたちで、2025年4月に発足しました。活動を通じて私たちが第一に目指すのは、特定の対象や方法を偏重しがちな政治学の現状にどこか「馴染めなさ」や「飽き足らなさ」を感じる研究者たちが、のびのびと交流できる場を創出することです。
同書は、さまざまな政治をさまざまなアプローチで語る可能性を追求することで、今よりも多様で開かれた、包摂的かつ応答的な政治学の発展を促進しようとする試みでした。このため本研究会では、政治学に見出せる豊かなポテンシャルを探究する協働に幅広い方々が安心して加われるように、参加者が留意すべき点をまとめた倫理ポリシーを策定して公開しています。
定期研究会は原則メンバーのみで行っていますが、不定期の合評会などは公開で開催する場合があります。過去の活動実績や今後の開催予定などについては、活動状況のページをご覧ください。研究会への参加希望など各種のお問い合わせは、下記の研究会アドレスまでお願いします。
【2025年5月】2025年5月16日号の『週刊読書人』も吉田徹氏(同志社大学教授)による書評が掲載されました。
【2025年4月】吉田徹氏(同志社大学教授)が『インフォーマルな政治の探求』をSynodosにてご紹介くださいました。
https://synodos.jp/library/29813/
2025年度幹事
松尾隆佑(宮崎大学)
大嶋えり子(慶應義塾大学)
お問い合わせ
informalpolitics.jp[at]gmail.com