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日本現代中国学会 会員有志による意見表明

「“北海道大学教授の拘束”の状況と理由の開示と、日中間学術交流の健全な発展にたいする保証の確保を要請します」

2019年11月1日

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今年10月、北京滞在中の北海道大学教授が9月に中国当局によって拘束されたことが報道されましたが、このことは日本現代中国学会の多くの会員にとっても極めて大きな衝撃でもって受け止められました。拘束された北海道大学教授は本学会の会員ではありませんが、かれと同じように現代中国を研究対象としている本学会の少なからぬ会員にとっても、今回の“拘束”は強い懸念を抱かせる事件です。

本学会は、規約にも定められているように「現代中国および現代アジアに関心をもつ研究者によって組織され」ていることから(学会規約第2条)、資料収集、学術会議への参加、留学、就職、在外研究等、実にさまざまな目的の下、日々多くの会員が中国を訪れ、中国在住の研究者や友人たちと意見交換、相互理解に努めています。しかし近年、日本から渡航した研究者が研究目的での訪中期間中に明確な理由や説明無しに身柄が拘束されるという事件が相次いでおります。本学会の複数の会員も実際に拘束された例があり、理事長名で口答で懸念を総会で表明したこともあります。こうした状況の下、本学会の少なからぬ会員は、日中間の健全な学術研究・学術交流推進へのその影響を憂慮してきました。特に本件は、中国の国立研究機関である中国社会科学院近代史研究所による正式な招聘を受けての訪中期間中に起こったことから、学界には一層の懸念と困惑が広がっています。

“北海道大学教授の拘束”にたいして、今後も中国当局から何ら理由や説明が開示されず、状況が改善されなければ、日中の学術交流の今後に極めて大きな影響が及ぼされることは言うまでもありません。しかし同時に、私たちは、このような状況が継続し、日中の学術交流を停滞させてしまう事態もまた避けなければならないと思料しています。

そこで、私たち日本現代中国学会の会員有志は、中国当局および関係諸機関が、“北海道大学教授の拘束”の状況と理由を早急に開示すると同時に、日中間の学術交流が今後も健全に発展していくために必要な保証を確保するよう、強く要請します。

2019年11月1日

日本現代中国学会 会員有志