本研究室では、量子化学計算を数値や手法の優劣を競うための道具としてではなく、
触媒反応機構という現象を理解し、共有し、説明可能にするための言語として位置づけています。
私はこれまで、反応を単なるエネルギープロファイルの集合としてではなく、
どのような条件・制約のもとで、どの経路が選ばれたのかという
「反応の物語」を語るために計算化学を用いてきました。
本研究室では、このような研究姿勢と日々の判断の積み重ねが、
結果として反応射影フレームワーク(Reaction Projection Framework)と呼び得る
枠組みへと結実していくことを目標としています。
本計算研究ポリシーは、その到達に向けた指針を示すものです。
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本研究室における計算研究の目的は、
計算結果を得ることそのものではなく、触媒反応の仕掛けを理解する力を共有することにあります。
本研究室では、量子化学的反応を、
その不変性や有効な射程を意識しながら、
理解・設計・判断に結びつく構造として捉える姿勢を重視します。
経験や立場に違いがあっても、研究に向き合う姿勢は対等です。
ここで研究をともに進める若手研究者は、
将来の良き後輩であり、良き同僚となる存在です。
計算化学は、答えを吐き出す機械ではなく、
考えるための共通言語です。
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(1) 手法よりも「問い」を共有する
DFT、QM/MM、表面モデルなど、利用可能な手法は多様です。
しかし本研究室では、どの手法を使うかは、
問いを共有した後に自然に決まると考えています。
- 何が分かっていないのか
- どこに反応の分岐がありそうか
- どの自由度(電子・スピン・構造)が支配的か
まずはこれらを言語化し、研究を進めます。
(2) 開殻性・スピン状態を当たり前に意識する
金属反応やラジカル反応では、
- 開殻電子状態
- 複数スピン状態の競合
- スピン交差
が反応の帰結を大きく左右します。
本研究室では「単一スピン状態で安心しない」ことを暗黙の前提として共有し、
反応の仕掛けを見誤らないようにします。
(3) 数値よりも「なぜそうなるか」を語る
計算結果は、数値を並べるだけでは意味を持ちません。
- なぜそのエネルギー差になるのか
- なぜその構造が安定なのか
- 何が変わると結果が変わるのか
これらを自分の言葉で説明できることを、研究の到達点とします。
これは、結果を理解として定着させるための重要な判断基準です。
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(1) モデルは「最小限だが、本質を含む」
計算モデルは小さければ良い、大きければ良いというものではありません。
- 反応の仕掛けが残ること
- 考察が可能であること
この二点を満たす最小限のモデルを一緒に考えます。
(2) 実験・現象との接点を常に意識する
計算は独立した作業ではなく、
- 実験で何が見えているか
- どこが説明できていないか
- 計算でどこまで踏み込めるか
を対話しながら整理するプロセスです。
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計算基盤の設計・運用は、単なる管理業務ではありません。
研究が止まらず、思考が継続するための知的インフラです。
- 計算が途中で止まらない
- 再計算・再検討が容易
- 他者が見ても再現できる
こうした環境を整えることで、
個人に依存しない研究の流れを共有します。
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関係性は「教える/教えられる」ではなく、
考え方を共有し、ともに磨く関係でありたいと考えています。
- 判断理由を互いに言語化する
- 条件選択を説明し合う
- 結果を第三者に伝えられる形で整理する
これらを通じて、研究者として自立的に思考し判断できる姿勢を育みます。
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本研究室での計算研究を通して共有したいのは、
- 計算結果を疑い、考える姿勢
- 数値の背後にある電子状態を読む感覚
- 触媒反応の仕掛けを自分の言葉で説明する力
計算はゴールではなく、理解に向かうための共同作業です。
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計算化学は、一人で黙々と行う作業のように見えますが、
本質的には考え方を共有する営みです。
触媒反応の仕掛けをみぬけ。
本計算研究ポリシーは、完成された方法論ではなく、
日々の研究判断において進むべき方向を示す「羅針盤」として位置づけられます。