「北大とアイヌ」を考える会

北海道大学が研究目的で各地から集めたアイヌ遺骨・副葬品の収集経緯、保管・管理体制、そしてその後のご遺族への対応に、どのような問題があったのか、北海道大学を構成する一員として私たちはこれらの問題にどう向き合ってゆけばよいのかなど、北大アイヌ遺骨と関わりのある様々な問題について、多様な立場性や考えがあることを踏まえつつ、さまざまな角度から、共に学び、考えていくための「連続学習会」を開催していきます。

学習会の日程や内容についてはこのページでお知らせします。また、この連続学習会では、学習会に参加できなかった北大関係者や一般の皆様にそ の内容を広く知っていただくために、また学習会で話題になったことを記録に残すために、可能な範囲で当日の記録・資料等を公表しております。 その「記録・資料等」もこのページに掲載していく予定です。

また「北大とアイヌ」を考える会では、学習会の開催以外にも、本学とアイヌの関係を検証し、本学が取るべき方策を実現させるための活動を進めていきます。そうした活動に関する情報もこのページに掲載していく予定です。さらに、この会に所属するメンバー有志による活動に関する情報も載せてゆく予定です。

● 連続学習会・第9回「北大キャンパスに アイヌ民族の足跡を辿る」のご報告(投稿日:2023年6月6日)

北大キャンパスにかつてあったアイヌ・コタンとその墓地の位置を検証している地質学者の講師(宮坂省吾さん、内山幸二さん)を講師に迎え、6月2日13:00ー17:00に第9回学習会を開催した。まずアイヌ・先住民研究センター会議室で講師からの概要説明があり、その後外に出てコトニ・コタンが所在したと推定される実験苗畑(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・札幌研究林の所管)、講師がコトニ・コタンの墓地の場所と考える西9丁目通りの高台、その最寄りの偕楽園緑地、それからサクシコトニ川の流路に沿って大野池まで歩いて、ところどころで講師の興味深い解説に耳を傾けた。講師以外に21名の参加があり、その中にはアイヌ共生推進本部、施設部さらには実験苗畑を所管する札幌研究林のスタッフも加わり、足元に確かに刻まれているアイヌ民族の暮らしの跡を共に辿った。これが北大・札幌キャンパスにおいてアイヌ民族の歴史を可視化する節目となることを願う(小田)。

有志による新たな「要望書」の提出とその後の動き(投稿日:2022年12月26日)


2021年10月31日に、北大教員6名が、アイヌの方たちと北大構内を歩き、歴史について学びあう会を開催しました。その会に参加された平取町の木村二三夫さんから、北大とアイヌ民族との歴史的関係を示す説明版を学内に設置するなどして、この地に暮らしてきたアイヌ民族の歴史の理解を深める必要があるとのご意見を頂きました。これを受けて北大教員有志(以下、「有志」)は、2022年4月1日、アイヌ共生推進本部設置にあわせて、以下の4項目からなる「要望書」を北海道大学総長およびアイヌ共生推進本部宛に提出しました。



5月18日にはアイヌ共生推進本部長から、”要望は本学とアイヌの今後の関係を議論していくにあたり重要な論点であり、アイヌ共生推進本部ではそれらを真摯に受け止め慎重に対応していきたい”旨の返答がありました。その約4か月後の9月7日、アイヌ共生推進本部長らと「有志」3名が面会しました。まず木村二三夫さんが用意した手紙を「有志」の一人が読み上げたうえで要望に対する取り組みについて意見を聞きました。その概要は以下の通りです。


木村二三夫さんからの手紙に対して/アイヌ共生推進本部の取り組みについて


・1年生向けのアイヌ関連科目の開講など着手できるものについては実行している

・創基 150 周年(2026 年)までにアイヌを含めた共生型の環境の整備を実現したい

・鋭意慎重に努力しているのでご理解いただきたい


要望1「アイヌ民族の出自を持つ学内外の多様な人材をアイヌ施策検討委員会委員に任命する」について


・現在はアイヌ出自の学内教員1人に加わっている状況

・委員の最終的な陣容についてはアクションプランを開示するときに公表したい


要望2「アイヌ民族の遺骨の「収集」、研究、管理などについて謝罪した上で、地域への積極的な返還を推し進める」について


・まずは共生のための環境整備が必要

・その一環として、アクションプランを今年度いっぱいにまとめ公表することが重要だと考えている

・アクションプランは最終版ではなく、それ以降も状況に応じて柔軟に改変していくつもりである

・当面は本推進本部を信用して見守っていただきたい


要望3「大学の敷地の来歴を『北大150年史』の中で明示的に取り上げる」について


・速やかに着手したいと考えている


要望4「アイヌ民族の歴史と関わりの深いキャンパス内の土地に説明板や碑などを設置し、学生・教職員・市民に歴史的事実の周知を図る」について


・すでに検討を進めている事案もある。速やかに着手したい。

・学内外に多様な意見がある。さまざまな方からご助言をいただきながら、進めていきたい


なお、この会合での意見交換をふまえ有志は、推進本部に定期的に情報を発進してもらいたいことを要望しました。アイヌと北大を考える会も推進本部の動向には今後も関心を持って見ていきたいと考えています。


<ご参考:これまでの経緯>


・2021年10月31日:北大教員有志6名、アイヌの方たちと北大構内を歩き、歴史について学びあう会を開催。そのなかで、参加された平取町の木村二三夫さんから、北大とアイヌ民族との歴史的関係を示す説明版などの設置を求める要望が出された。どのような要望をどのような形で出す、教員有志で話し合うことになったが、その後、しばらく目立った行動を起こすことが無いまま数ヵ月が経過。

・2022年3月22日:木村さんと教職員有志(8名)が北大で面会。上記要望について話し合う。その後、教員有志で総長およびアイヌ共生推進本部長宛の「要望書」を作成。

・2022年3月29日:「アイヌ遺骨問題に対する北海道大学の「謝罪」を求める要望書」(2020年3月27日提出)の呼びかけ人・賛同者に一斉メールを送信し、今回の「要望書」の送付人に名を連ねてもらえるかを依頼。3月31日に締め切るまでに26人(「有志」を含む)の賛同を得た。

・2022年4月1日:26人の連名で「要望書」を総長およびアイヌ共生推進本部長にメールで提出。

・2022年5月18日:アイヌ共生推進本部長より「要望書」に対する回答「アイヌ施策への要望書」が届く。その概要は以下の通り。①要望は本学とアイヌの今後の関係性を議論していくにあたり重要な論点であると認識している、②アイヌ共生推進本部ではそれらを真摯に受け止め慎重に対応していきたい、③こうした課題を前向きに検討していくため4月にアイヌ共生推進本部を設置した、④関係改善に向け着実に成果を出していきたいと考えており、その過程で学内の先生方にも適宜ご相談等をしたいと考えている。

・2022年6月6日:「要望書」の内容やアイヌ施策の進捗状況などについて直接会って意見交換をするため、アイヌ共生推進本部長に面談を依頼。

・2022年6月20日:アイヌ共生推進本部長より”これからアクションプラン等の作成に入る段階であり具体的成果がまだないためもう少し待ってほしい”旨の回答。

・2022年9月7日:北海道大学事務局にて、有志3名がアイヌ共生推進本部長らと面談。この面談には、本部長補佐および総務企画部総務課企画担当係長が同席。2022年8月26日付の木村二三夫さんからの手紙を有志が読み上げた後に意見交換を実施。

・2022年9月14日:意見交換に対する有志からの返答として、①推進本部には定期的に情報を発信してもらいたい、②木村二三夫さんに面談の報告をした、③今後も推進本部の動向には関心を持って見守る、の三点をアイヌ共生推進本部長に伝える。 

●2021年726日に開催した「北大とアイヌ」を考える連続学習会(第8回 )の内容(投稿日:2021年7月26日)

今回の学習会では、植木哲也 さんに盗掘だけが問題なのか?ーアイヌ遺骨発掘をどう理解するか」と題してお話しいただきました。ご講演の動画とご報告資料は以下でご覧になれます。質疑応答の内容は文章にまとめて後日このページにアップロードします

動画「盗掘だけが問題なのか?ーアイヌ遺骨発掘をどう理解するか」(植木哲也さん)

報告資料

「北大とアイヌ」を考える連続学習会 のお知らせ(投稿日:20217日)

連続学習会(第回)を以下の通り726日にオンラインで開催します。参加される方は、以下から事前登録をお願いします。

https://zoom.us/meeting/register/tJ0ud-usrDMuHdJQ5gX4lct3saKbO_jhgSk8 

盗掘だけが問題なのか?ーアイヌ遺骨発掘をどう理解するか 

・日時:2021年7/26 (月)18:30〜20:30 ・話題提供者:植木哲也 さん・内容:北海道大学は一連のアイヌ遺骨収集について謝罪を拒んでいます。遺骨の取り扱いに「適切な配慮」を欠いたことは「反省」するが、盗掘を示す資料はない、という説明をこれまで繰り返してきました。あたかも盗掘だけが謝罪の必要な不祥事であるかのようにも聞こえますが、はたしてそうでしょうか。盗掘でないから謝罪しないと言い張ることで、大学が失うものはないでしょうか。そもそも盗掘がなかったと言い切れるのでしょうか。1930年代から戦後にかけて行われた北海道大学によるアイヌ遺骨収集の経緯を振り返り、過去の出来事が現在にとってどのような意味をもつか考えたいと思います。 
2021年7月第8回学習会チラシ_rev.pdf

「スッキリ」検証番組に関する要請文の提出 (投稿日:2021年3月31日)

2021年3月22日に開かれた日本テレビ定例記者会見において、3月12日放送の「スッキリ」に関する検証番組を放送することが表明されました。そのことについて、北海道大学教員有志は、以下の要請文を送りました(3月26日発送)。 

検証番組に関する要請

日本テレビ「スッキリ」の放送内容への抗議とそれに関連した要請の提出(投稿日:2021年3月31日)

2021年3月12日の日本テレビの番組、「スッキリ」において、アイヌ民族への差別に相当する表現が放送されました。北海道大学教員有志は、そのことに強く抗議し、今後の対応を要請する以下の文書を提出しました(3月20日発送)。  

日本テレビ放送網株式会社に送付した要請文

北海道アイヌ政策推進方策(素案)への意見提出文書 (投稿日:2021年3月31日)

2021年2月3日から3月2日まで、北海道環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課(アイヌ政策推進グループ)から、「北海道アイヌ政策推進方策施策(素案)」への意見の募集がありました。「北大とアイヌ」を考える会世話人会が中心となって意見交換を行い、取りまとめ役名で3月2日に以下の意見書を提出しました。なお、取りまとめ人の携帯電話番号は黒塗りにしています。  

北海道アイヌ政策推進方策(素案)への意見提出文書

「第2次札幌市アイヌ施策推進計画」の素案に関する意見書の提出 (投稿日:2021年3月31日)

2020年12月24日から2021年1月27日まで、「第2次札幌市アイヌ施策推進計画」の素案に関するパブリックコメントが募集されました。「北大とアイヌ」を考える会の世話人会が中心となり意見交換を行い、1月27日に以下の意見を提出しました。

「第2次札幌市アイヌ施策推進計画」の素案に関する意見書

「北大とアイヌ」を考える連続学習会7 のお知らせ(投稿日:202122日)

連続学習会(第7回)を2月24日にオンラインで開催します。参加される方は、以下から事前登録をお願いします。

https://zoom.us/meeting/register/tJMld-GhpjkoGNaRMacFR7naLgaRaShGZHyC

『ラウトリッジ 先住民族「返還・帰還」ガイド』の紹介:第12章「アイヌ民族への遺骨の返還・帰還のパラドクスと可能性:歴史的背景、現代のたたかい、未来の展望」を中心に

日時: 2/24 (水)18:15-20:15 

話題提供者:ジェフ・ゲーマン(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院/ 教育学院)

報告は基本的に英語で行いますが、ところどころ日本語を交えて説明します。テキスト(同書第12章)の「日本語原本」(第第12章は、日本語で書かれたものを英語にしたもの)は、こちらからダウンロードできます。可能な方は、事前に目を通しておいていただけると幸いです。

You can download the flier in English here.

『北海道新聞』の「水曜討論」(2020年12月9日付)に、アイヌの権利をめざす会・共同代表の貝澤耕一さんと「北大とアイヌ」を考える会・メンバーの加藤博文さんの「アイヌ民族の権利回復」に関するコメントが掲載されました。研究者が収集したアイヌ民族の遺骨の返還が権利回復の一つであることや大学による謝罪が必要であることなどが述べられています。

●2020年10月13日に開催した「北大とアイヌ」を考える連続学習会(第6回 )では、平取「アイヌ遺骨」を考える会共同代表/平取アイヌ協会副会長の木村二三夫さんにお話しいただきました。木村さんのお話は、以下でご覧になれます(投稿日:2020年11月13日)。

第6回学習会_木村さんのご講演部分.mp4

「北大とアイヌ」を考える連続学習会 のお知らせ(投稿日:2020年1013日)

北大の歴史、アイヌ遺骨問題、そして謝罪について考える

連続学習会(第6回)を10 月19日(月)に18:30よりオンラインで開催します。どなたでも参加できます。以下をクリックし、ZOOMに入ってください。

https://zoom.us/j/9905619425?pwd=NHZjTEJVSlJXK0pubmFvV00xbk9UUT09

「北大とアイヌ」を考える連続学習会第5 回 )「大学と先住民族との関係および研究倫理のあり方:カナダ・ユーコンの事例に学ぶこと」のご報告(投稿日:2020年106日)

2020年9月30日に第5回学習会を開きました。参加者は話題提供者を含め計31名でした。学習会では、3名の話題提供者からの報告と、30分以上にわたる活発な質疑応答が行われました。カナダ・ユーコン準州での研究倫理制度ならびに大学と先住民族との協働を、いかに北海道の現場に活かしていくのか当事者として考え、実践を積み重ねていく必要性を確認しました。

当日の発表・参考資料をご覧になりたい方は以下をクリックしてください。

葛西奈津子「先住民のクラスメートとともに学んで」

山口未花子「ユーコンでのフィールド調査」

小田博志「2つの「倫理」の出会うところ:カナダの研究倫理審査を経験して」

 - TCPS2CORE(カナダ政府の研究倫理オンライン講習)Module 1-8

 - TCPS2CORE Module 9(先住民族関連のモジュール)

  -ユーコン準州調査ライセンス申請手順

  -ユーコン大学研究倫理委員会申請様式

  -ユーコン大学研究倫理委員会承諾書ガイドライン

「北大とアイヌ」を考える連続学習会第5 回 のお知らせ(投稿日:2020年9月14日)

連続学習会(第5回)を9月30日にオンラインで開催します。どなたでも参加できます。参加される方は、お手数ですが、以下にアクセスし、事前登録をお願いします。

https://zoom.us/meeting/register/tJUucOihpzMsHNC9OqJZwnv4bQ3TyYV1JnZY 

大学と先住民族との関係および研究倫理のあり方:カナダ・ユーコンの事例に学ぶこと」

日時: 9/30 (水)18:30-20:30 

 ※話題提供者の止むを得ない事情で急きょ日程変更になる可能性もございます。予めご承知おきください。

話題提供者葛西奈津子山口未花子、小田博志

2020年7月学習会チラシ(新).pdf

●総長候補者の公開質疑における回答について(投稿日:2020年9月1日)

 総長候補者との公開質疑が8月18日に開催されました。「北大とアイヌ」を考える会・世話人は、所定の手続きに則り、候補者に向けた質問を事前に提出していました(ウェブサイトをご参照のこと)。しかし、公開質疑当日に配布された「意向聴取対象者からの質問(選考会議選定分)」ではそれらの質問は取り上げられていませんでした。当日「教育・研究」に関する質問という限定つきで挙手による質問が受け付けられましたので、文学研究院の小田博志教授が下記の質問を口頭で行いました。

以下、その回答の趣旨をここに掲載します。掲載にあたり、以下の回答を候補者ご自身に確認していただき、掲載の許可を得ました。

---以下、公開質疑における質問と回答

・小田博志教授の質問

「北海道の先住民族であるアイヌと本学との関係は、教育研究の点でも非常に重要です。過去を振り返ると遺骨問題のような負の遺産を本学は抱えています。それを踏まえて、今後どのような教育プログラムを進めていかれるのか、また研究の倫理性を高めるためにどのような方策をお考えかお聞かせください」

この質問に対する回答は以下の通りです。

笠原正典候補 

「先住民族との関係は重要なものだと認識しています。公約に私はダイバーシティ戦略を掲げていますが、この中にアイヌの方々との和解・共生の施策を含めています。本学は大学ですので、教職員の研修、全学教育の拡充、専門教育の充実、関係者とのコミュニケーションの促進など、アカデミズムの見地から適切と考えられる試みを広げていくのがまず基本だと考えています。その他に、アイヌ・先住民研究センターとも協力して、フォーラムのような活動をサポートしていきたいと考えています。アイヌの方々と真摯に向き合っていくことが必要だと考えています。先住民族を含めてダイバーシティ――ジェンダー、人種、民族、様々なことに対して差別を行わない大学であることを内外に宣言したいと考えています」 

・宝金清博候補

「僕は札幌生まれですが、母が日高の三石町出身で、小学校の夏休み・冬休みは、6年間、三石町で過ごしました。ご存知のように、当時、日高にはかなりアイヌの方がおられました。個人的な経験でも、身近にアイヌの方がおられました。母も亡くなった祖母もアイヌの方とフラットに付き合っていました。そのような経験を通じて、アイヌの方々を身近に感じる環境であったと思っています。アイヌ問題というのは広い意味ではダイバーシティの問題、ただ特殊なダイバーシティの問題だと考えています。具体的には慰霊碑を本学の中に設置するとも聞いています。個々の問題は様々にあるので、単純な対応は難しいと執行部の方から聞いています。基本的にはアイヌの方々の民族の誇り、尊重される生活様式、まさにそれを北大が継承していく、そういうことにおいてダイバーシティを北大で実現していく。北大にとっては重い課題ではありますが、同時に、北大らしさを出せる非常に重要なテーマだと考えています」

・横田篤候補

「アイヌ問題については非常に本学の懸案になっているところです。札幌農学校からの開拓使にさかのぼる本学の歴史とも深く関わっています。開拓使の学校であったということで、当時は農業技術、人材育成ということで開墾していきました。その中でアイヌ方々の土地を奪ったり、権利を奪ったりしたことがありました。国策として行われていましたが、軋轢を生んだ。それから遺骨の問題にしても、とうてい今の倫理観から許されるものではありません。その点についてはやはり深く反省をして謝罪することが重要だと考えます。しかし負の面ばかりではありません。札幌農学校が取り入れた灌漑技術によって、泥炭地であったところが食料生産基地となり、これはこれで成果があった。マイナスの面、プラスの面両方見なきゃいけない。コロナもそうですが、いまは自然破壊、環境破壊が進んで、異常気象が起こる時代です。アイヌの方々は必要以上に(資源を)取らない。そういう知恵がある。今やアイヌの方々のそういう知恵を逆にわれわれは学ばなければいけないし、尊敬の念をもって 将来を考えていくうえで尊重していかなければなりません。これから未来志向で、(アイヌに関する研究成果を)授業にも活かしたり、アイヌ・先住民研究センターの研究成果を皆さんにお伝えしたりして、知識と理解を深め、和解、謝罪の方にいけばいいと考えています。(北大創基)150年を期して、わだかまりを取りたいと考えています」

●総長候補者の公開質疑における回答について(投稿日:2020年8月26日)

総長候補者との公開質疑が予定通り8月18日に開催されました。その前に、「北大とアイヌ」を考える会・世話人で作成した質問を、インターネットで提出しておりました。しかしその質問が、公開質疑の当日配布された「意向聴取対象者からの質問(選考会議選定分)」から省かれており、会場から挙手で質問が可能な時間帯に小田が口頭で質問しました。「教育・研究」に関する質問をするようにとの限定が付けられましたので、インターネット提出版から以下のように表現を変更しました。

「北海道の先住民族であるアイヌと本学との関係は、教育研究の点でも非常に重要です。過去を振り返ると遺骨問題のような負の遺産を本学は抱えています。それを踏まえて、今後どのような教育プログラムを進めていかれるのか、また研究の倫理性を高めるためにどのような方策をお考えかお聞かせください」

(なお、アイヌは北海道だけでなく、サハリン、千島列島、カムチャツカ、東北地方の先住民族でもありますが、北海道大学との関係を趣旨とする質問であったため「北海道の先住民族」と述べました:小田注)。

この質問に対する3候補からの回答は、現在、北海道大学学内限定の総長選考会議のページで動画としてご覧になれます:

北大ウェブサイト→「教職員向け」→お知らせ(2020/8/18) 公開質疑の動画配信及び意向聴取の実施について」→「公開質疑動画」→「共通質問~意向聴取対象者からの質問」のYoutube(1:09:35~1:17:06))。

回答内容を本HPに掲載する方向で、現在調整中です。

●次期総⻑の選考にかかる公開質疑の質問を提出しました

次期総⻑の選考にかかる公開質疑(質疑応答)が8月18日(火)に行われます。「意向聴取対象者」(専任の教授,准教授及び講師、課長補佐相当職以上の事務職員など)は事前にウェブサイトで公開質疑の質問を送ることができます(事前に集められた質問のうちあらかじめ選定されたものが当日の質疑応答で取り上げられることになっています)。

そこで「北大とアイヌ」を考える会 は、以下の通り「アイヌ遺骨問題」と「北大とアイヌとの関係のための将来のヴィジョンと方策」についての質問を提出しました。

-----以下、提出した質問

学内教員有志で構成する『「北大とアイヌ」を考える会』を代表して質問をさせていただきます。「考える会」は、文字通り、本学とアイヌの関係を検証し、本学が取るべき方策を大学に促し実現してもらうことを目的として、学習会の実施や大学執行部への働きかけを行って参りました。この会の趣旨には、現時点で90名以上の教職員や名誉教授が署名賛同しており、この度の総長選挙にも大きな関心を持って注視しているところです。質問は大きく二つあります。

質問1 アイヌ遺骨問題について

遺骨問題についてアイヌの内からも「未解決である」という声があります。そうした遺骨問題の経緯と現状をどう考え、その解決のためにどう取り組み、また学内外でどう説明と協議をしていくおつもりかお聞かせください。

質問2 北大とアイヌとの関係のための将来のヴィジョンと方策

北大の研究・教育活動の在り方にアイヌの声を取り入れ、アイヌ自身の参画を開くために、どのような方策があると考えでしょうか。

-----ここまで 

以下の質問への回答があった場合は、このサイトで紹介していく予定です。

●2020年7月31日に予定しておりました連続学習会 第5回「大学と先住民族との関係および研究倫理のあり方:カナダ・ユーコンの事例に学ぶこと」は、話題提供者のやむを得ない事情により延期することといたしました。ご了承ください。新しい日程は後日通知いたします。 

● 2020年6月26日に開催した第4回連続学習会「世界の趨勢から見た、先住民族の権利保護及び謝罪の理由・意義――民法学の観点から」(話者:吉田邦彦さん)のご報告資料を公開します。著者に無断でこの資料を転載・転送・公開することはお控えください。 

連続学習会第4回_20200626_吉田邦彦_rev.pdf

●2020年5月24日に開いた連続学習会(第3回)「遺骨返還当事者が研究者に求めること」(話者:橋本隆行さん)の内容をまとめました。

※この連続学習会では、学習会に参加できなかった北大関係者や一般の皆様にそ の内容を広く知っていただくために、また学習会で話題になったことを記録に残すために、可能な範囲で当日の記録・資料等を公表しております。 

学習会記録0524_final.pdf

●連続学習会(第4回)を以下の通りオンラインで開催します。どなたでも参加できます。ふるってご参加ください。

連続学習会(第4回)

「世界の趨勢から見た、先住民族の権利保障及び謝罪の理由・意義ーー民法学の観点から」

話題提供者:吉田邦彦さん(北大法学研究科教授) 

日時:2020年6月26日(金) 18:30~20:00

参加方法:zoom(ウェブ会議システム)で行います。参加には事前登録が必要です。お手数ですが、以下で事前登録をお願いします。

https://zoom.us/meeting/register/tJYqdeuhpzovHNQoJPnJIGxcjPd_rDTNrMCB 

●しばらくお休みしていた学習会を以下の通り、オンラインで開催します。

連続学習会(第3回)

「遺骨返還当事者が研究者に求めること」

話題提供者: 橋本隆行さん

日時:2020年5月24日 (日)13:30~15:00 

参加方法:zoom(ウェブ会議システム)で行います。参加申し込みが必要です。以下から登録をお願いします。

https://zoom.us/meeting/register/tJwsceygrj8jEtUIGfPGv62uoX7FaBnnUOhx

●4月学習会について: 4月学習会は新型コロナウィルスの影響を考慮して中止いたします。次回学習会は5月以降に開催します(オンライン形式の開催を検討中です)。あらためて本HPで案内させていただきます。 

●3月の学習会について:連続学習会を月に一度のペースで開催する予定でしたが、新型コロナウィルスの感染リスクを減らすため、3月の学習会は中止とします。次回学習会については、追ってこのホームページ上などでお知らせします。

●連続学習会(第2回) を以下の通り開催します。どうぞご参加ください。次回の学習会では『北海道大学医学部人骨収蔵経緯に関する調査報告書(2013年3月)』を読みます。報告書はこちらで入手可能です。学習会に参加される方は、事前に報告書にお目通しください。

●連続学習会(第1回) を以下の通り開催します。どなたでも参加できます(参加費・参加申し込みは不要です)。どうぞご参加ください。