口から食べること、即ち摂食嚥下活動は、生活の楽しみのひとつである以上に、生命活動の根幹であり、同時に枢要な権利であって、病の場にあっては療養の基本でもある。これが疾病故に損なわれた状態が摂食・嚥下障害である。
しかしながら、「口から食べたい」との要求への対応は、その切実さに比べてなお、診断機能評価、処置技術、人権への配慮などの点で充分とは言い難かった。
近年、嚥下障害に対する機能評価と機能訓練技術の発見、高次脳機能障害治療の発達、口腔ケアへの関心の高まりなど、従来顧みられなかったこれらの分野における知識の蓄積や対応技術の進歩と共に、摂食・嚥下障害のリハビリテーションは大きく前進してきた。
一方、これらサービス供給体制は、局面ごと、施設ごと、リハビリテーション関連職個人で大きく異なり、結果として該当患者・障害者が適切なリハビリテーションを享受できているかという点からは、なお問題は少なくないように思われる。
そこで、これらの状況に鑑み、該当患者・障害者の福祉の向上に資することを目的に関連する知識と技能の情報交換と研鑽の場を設けることをここに提案するものである。
平成16年5月
「いわて摂食・嚥下リハビリテーション研究会」設立呼びかけ人
河島 寛(松園第一病院理事長)
木村 宗孝(南昌病院理事長)
佐藤 元美(藤沢町福祉医療センター所長)
高橋 明(いわてリハビリテーションセンター理事長)