目次
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● 日時
06.07.sat --- 18:30 開演
06.08.sun --- 15:00開演
※開場は、開演の20分前を予定しています。
※公演時間は、およそ80分です。
● 会場
国際こども・せいねん劇場みやざき
(CandYシアター)
〒880-0841 宮崎市吉村町南田甲1093
TEL 0985-33-9110
※最寄り駅 宮崎駅から徒歩28分
※最寄りバス停 イオンモール宮崎駅から徒歩14分
※当劇場には、専用駐車場はありません。お越しの際は、公共交通機関をご利用ください。
🇭🇰香港
Li Tuo Kun & ZHANG Yu Tong
リー・トゥオクン & チャン・ユートン
🇲🇴マカオ
Cynthia Sio
シンシア・シオ
🇯🇵日本
Kanae Asakawa
浅川奏瑛
🇵🇷プエルトリコ
Abraham Texidor & Norberto Collazo
ノルベルト・コリャソ&アブラハム・テキシドール
[フェスティバル オーガナイザー]
んまつーポス(日本/宮崎)
んまつーポス/namstrops
2006年結成。 「逆さから物事を考えることで新たな価値を創造する」実践的研究を展開。
2008・2011・2012年の横浜ダンスコレクションファイナリスト。これまでにアジアの国・都市はもとよりアメリカ、エストニア、ルーマニア、ドイツ、クロアチア等 (15カ国40都市)で作品を発表。国内外の公演の他、子どもから大人まで実践的研究を活かした「SOUSAKU-DANCE」のワークショップ ・企業研修を行なっている。2017年から7年連続でキッズデザイン賞を受賞。日中は保育園の子どもたちの体育館、週末と夜はコンテンポラリーダンスを上演する劇場という二つの機能をもつ 「透明体育館きらきら/ 国際こども・せいねん劇場みやざき」 (CandY)も運営中。著書に「うそうとツーポス〜競争しないとスポーツはアートになる」(2021/e-book)。
【日時】2025年6月8日(日)10:00-11:30
【会場】錦本町 ひなたキャンパス|宮崎大学
2024年、MIYAZAKI C-DANCE CENTERが国際交流基金地球市民賞を受賞したことを記念し、「みやざき国際ダンスフェスティバル2025」の関連企画として実現。
第1部ではエストニア・ルーマニア・香港のディレクターが登壇し、子どもとダンスの出会いや文化とのつながりを紹介。
第2部では横浜市芸術文化振興財団の中冨勝裕さんをファシリテーターに、会場全体で「ダンスの未来」を熱くディスカッションしました。
共通していたのは「身体を通じて何を感じ、どうつながるか」。
宮崎から生まれる子どもたちの表現が、世界と響き合う未来を感じられる時間となりました。
レネ / Renee Nõmmik
(エストニア / Fine5 Dance Theatre)
ダニエル / Daniel Yeung
(香港 / Hong Kong Dance Exchange)
ティブ / Adrian Tibu
(ルーマニア / Gong Theatre)
フォーラムのなかで参加者から集まった質問について、後日、登壇してくださった3名に回答していただきました!
以下のタブをクリックすると、それぞれの質問の回答をご覧いただけます。
ダンスの本質・教育・表現に関する問い
Q1. 皆さんがダンスに出会ったのはいつですか?
レネ:学生時代、私はスポーツや音楽に取り組んでいました。ある学校のパーティーで音楽に合わせて踊ることが驚くほど楽しく、そのとき一緒に踊った女の子にダンストレーニングに誘われました。最初は自分に合うか分かりませんでしたが、そこからすべてが始まりました。
ダニエル:子どもの頃から体を動かすことが大好きで、それがスポーツであれ、遊びであれ、ダンスであれ、呼び方は気にしませんでした。今振り返ると、それらすべてが「ムーブメント・アーツ(動きの芸術)」の種であり、その中でダンスは最も重要な表現のひとつになっています。
ティブ:子どもの頃、民俗芸能や学校行事を通じて、そして後には演劇を通じて出会いました。これら初期の経験が、ダンスを「動き」と「物語」の両方として理解する基盤となり、それは子どもたちとの活動においても中心的な考え方となっています。
Q2. ダンスとは皆さんにとってどのようなものですか?
レネ:ダンスは動きであり、動きは人生であり、人生とは生きることそのものです。ダンスは一部の人にとって無駄な活動に見えるかもしれませんが、人間の脳や身体に与える影響は想像以上に大きいものです。
ダニエル:自由な表現であり、自分や他者を驚かせる創造的な方法です。楽しいだけでなく、とても深く力強い創造性にもつながります。
ティブ:身体を通じて思考や感情を直接伝える非言語の言語です。子どもたちは言葉で説明できる前から、このことを直感的に理解しています。
Q3. コンテンポラリーダンスの魅力は?
レネ:コンテンポラリーダンスは、人間の思考、感情、哲学、コミュニケーションや相互のつながり、そして現代世界に生きる一員としての在り方を、自由で創造的に身体で表現できるものだと捉えています。
ダニエル:コンテンポラリーとは「常に変化している」ということ。だからこそ一番驚きがあり、決して古くならず、退屈もしない表現形式です。
ティブ:多様な影響を受け入れ、現代的で複雑なテーマを革新的に扱える点です。それは私が講演で述べた発達的な変化とも呼応しています。
Q4. 踊ること、ダンスすることを楽しんだり、好きになるにはどうしたらよいでしょうか?
レネ:誰の中にも「内なるダンサー」がいると私は信じています。その存在を見つけ、自分の友達になってください。
ダニエル:難しく考える必要はありません。音楽のリズム、風、匂い、思考など、自然に自分を動かすものを感じたら、そのまま体を動かしてみる。そうすればきっと楽しめるようになります。
ティブ:間違いを恐れず、自分の動きとのつながりに集中することです。技術的な完璧さではなく、子どもたちが自然にダンスに向き合うように関わることが大切です。
Q5. ダンスを言語として考えるとき、多くの若い人は学ぶべきでしょうか?
それとも自由な表現として学ばなくてもよいのでしょうか?
レネ:両方とも良いと思います。ただし、ダンスを芸術形式として、また他者の内面世界の表現として深く理解したいのであれば学ぶべきです。学ぶことは、より共感的な世界につながる道のひとつです。
ダニエル: 「べきかどうか」ではなく、誰もが自分自身の言葉や表現を見つけるべきだと思います。それが音楽であれ、ダンスであれ、他の形であれ。 (「自由な表現として~」の問いについて)もちろん大丈夫です。ダンスには多くの形があり、自由であることは最も楽しい表現のひとつです。ただし、他の方法があってもよいのです。
ティブ:両方必要です。構造的な学びはツールを与え、自由な表現は本物の創造性を守ります。子どもの発達段階に合わせることが重要です。
ダンスと文化・国際性に関する問い
Q6. ダンスや音楽を含む芸術は、国際言語としてどのように活用できるのでしょうか?
レネ:言語だけが人間のコミュニケーション手段ではありません。聴覚、視覚、触覚などの感覚を通じた非言語的な交流を通して、人や人生、そして自分自身について学びます。ダンスはその重要な一部であり、非言語言語としての大切な活動です。
ダニエル:言葉が尽きたとき、私たちはため息で表現します。ため息すら尽きたとき、残るのは身体を通じた表現です。
ティブ:翻訳を必要とせず、共通の感情体験を生み出すからです。異なる文化の子どもたちが一緒にパフォーマンスに反応する姿を何度も見てきました。
Q7. ゲストの皆さんの国から見た日本のダンス文化の印象は?
レネ:私は日本文化(ダンス文化も含む)についてもっと学びたいと思っています。ただ、これまでの経験から、動きに対するアプローチ、ユーモア、内なる強さや孤独感(時に暗さ)、自然や人間への謙虚な敬意、勤勉さなど、多くの点で深くつながっていると感じています。
ダニエル:「国」という視点ではなく、あくまで個人的な印象ですが、1970〜90年代の日本のダンスはポップ音楽のコンサートでの商業ダンスというイメージが強かったです。その後、日本には民俗舞踊もあると知り、さらにアジアの多くのモダンダンスは日本の第一世代の舞踊家から大きな影響を受けていることも学びました。
ティブ:深い伝統と現代的な革新の両立。そのバランスは、過去と未来を統合するモデルとしてとても刺激的です。
Q8. 国によって(例えば日本と自国)コンテンポラリーダンスの違いはありますか?
レネ:もちろん違いはあります。気候、文化、社会環境の違いが私たちの身体的存在や世界における在り方に影響を与えています。
ダニエル:それぞれの国の「コンテンポラリー化」が異なるため、当然違いがあります。
ティブ:ルーマニアはしばしば外へ目を向け、グローバルな影響を取り入れます。一方、日本は伝統を織り込みながら現代的な形をつくる。この違いは文化的背景から生まれています。
Q9. ダンスを見たとき、踊ったときの子どもの反応に、国による違いはありますか?
レネ:はい、全く異なります!
ダニエル:はい。教育や生活環境によってまったく違います。
ティブ:はい。身体表現に関する文化的規範や触れる機会の多さによって、参加の仕方や関わり方は大きく異なります。
創造性・継承・導入に関する問い
Q10. 新しいダンスの形が生まれる中、伝統的なダンスはどう継承できると思いますか?
レネ:それを大切にし、発展させる人々によって守られます。
ダニエル:両者は別の領域です。健全な社会であれば、それぞれ専門家が担うべきであり、心配はいりません。
ティブ:学校や地域の行事で実際に踊り続けることです。そうすることで、伝統は「止まる」のではなく「進化」します。
Q11. 元々興味を示さない相手への導入方法は?
レネ:最初から「ダンス」という言葉を使わない方が良い場合があります。「ダンス」という言葉が、形式的な技法や美学を指すものと感じられ、自分の身体の内側からの動きを聴くこととは結びつかないことがあるからです。
ダニエル:無理に押し付けないこと。自然でいいのです。ダンスが合わない人もいて当然です。
ティブ:馴染みのある音楽や気軽な場から始め、まずは安心感を育んでから技術に進むことです。
Q12. 世代ごとのリズムの違いについてどう考えますか?
レネ:身体は年齢とともに変化し、動きやリズムも変わります。そこには美しさと大きな価値があります。
ダニエル:(理解しにくい質問との回答)
ティブ:それぞれの世代の動きは、その文化的環境を映し出しています。共通のリズムを見つけることは世代間をつなぐ手助けとなり、それは子ども向けの演劇・ダンスにおける世代を超えた橋渡しにもつながります。
Q13. 高校生まで・中学生までにしておくべきことは?
レネ:(回答なし)
ダニエル:(理解しにくい質問との回答)
ティブ:即興的な動きの楽しさと、振付を学ぶ規律の両方です。それらは自己形成や社会的つながりへの道となります。
Q14. 60歳以上になってからできることは?
レネ:とても個人的なことです。私はまずシンプルな動きのアイデアから始め、その後少しずつ複雑にしていきます。音楽とのつながりも大切です。
ダニエル:「ダンスを楽しむ方法」と同じです。考えすぎず、音楽や風、匂い、思考に動かされたら自然に動くこと。それが楽しみにつながります。
ティブ:あらゆる形のダンスです。年齢を重ねることで自己意識から解放され、より深い表現につながることもあります。
パーソナルな問い(ゲスト個人への関心)
Q15. ダニエルさんへ:エネルギッシュなパッションの源は?
ダニエル:出会った素晴らしい人々からです。特に宮崎の皆さんのように素敵な人たちに会うと、大きなエネルギーをもらえます。
Q16. ダニエルさんへ:大人になってコンテンポラリーダンス公演を観に来るきっかけは?
ダニエル:好奇心です。大人は若者や高齢者よりも人生に多くの疑問を抱くことが多く、コンテンポラリーはまさに人生そのものを扱うからです。
Q17. レネさん・ダニエルさんへ:人前で踊る上で最も大切なことは?
レネ:なぜ、何を踊るのかを理解し、自分自身と観客とのつながりを創り出すこと。身体的にも精神的・感情的にも。
ダニエル:自分に正直であること。
Q18. レネさん・ダニエルさんへ:ダンスをしたことのない人に最初に教えることは?
レネ:私は安全な空間を整え、その人が自分の動きを発見し、挑戦を伴うとしても動くことの喜びを見つけられるようにします。
ダニエル:まずは遊びやゲームの中で体を動かし楽しむことから始めます。ダンスでなくても構いません。真剣になりすぎないことです。
「空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」について(3名からのコメント)
レネ:「空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」は特別です。ワークショップ、上演、ディスカッション、出会いの場が、年齢や文化を超えた創造的な人々を結びつけます。そして、参加者全員がまるで自分の家にいるかのように感じられます。これにより、既存のパートナー、新しい仲間、観客との交流や協力の基盤が築かれます。運営は非常に専門的でありながらも温かく、内容は多様で豊かです。異なる文化のアーティストの価値観が反映され、ダンス芸術の社会的側面について新たな視点や未来へのインスピレーションを与えます。これはアーティストにとっても観客にとっても、刺激的で有意義な体験です。
ダニエル:「空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」は、私が参加した中でも特に特別な存在です。多くのフェスティバルがコンテンポラリーダンスの上演に特化しているのに対し、このフェスティバルは子どもやティーンエイジャーを中心としたダンス教育や普及に力を注いでいるため、まったく異なる雰囲気を持っています。とてもエネルギッシュで、楽しく、生き生きとした空間です。
宮崎の子どもや若者は、世界の平均的な同年代と比べても、はるかに開かれた感性を持っています。これは、長年にわたり「んまつーポス」やフェスティバルが積み重ねてきた教育の成果です。プログラムには本当の多様性があり、次世代の参加者たちが非常に創造的であることに強く感銘を受けました。
彼らのダンスへの理解と創造力は、日本国内の多くの地域と比べても進んでいます。ダンスは文化の国境を越える国際的な言語です。長期的には、これは宮崎の大きな強みとなり、この次世代が日本を代表して国際的な文化交流や協働の場で文化大使となるでしょう。
ティブ:「空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」は、ダンスがまさに「世界共通の言語」として、言葉を超えて国籍や世代をつなぐ力を持つことを実感させてくれる、活気あふれる場です。表現的な動きが、言葉では伝えきれない感情や文化を伝え、個々の理解だけでなく、ダンスの未来そのものを形づくる姿に深く心を動かされました。
このフェスティバルは、世界のダンス文化を発見する素晴らしい機会を提供しています。日本をはじめ世界各地のコンテンポラリーダンス作品を観ることで、子どもや地域との関わり方など、国ごとのアプローチの違いが非常に興味深く感じられました。「ネイティブ・コンテンポラリー」ダンスは、その深みと真実性によって特に印象的であり、大規模な公演はエストニアでの類似のイベントを思い起こさせ、動きを祝祭として共有する普遍的な在り方を改めて確認できました。
また、個々の成長や教育への重視も大変感銘を受けました。参加者も観客も自由に自己表現を行い、多様な視点を尊重し、子どもたちにとって豊かな空間を共に創り上げることを奨励されています。宮崎のフェスティバルは、つながりと創造性、そしてダンスが持つ普遍的な力を祝福する場だと言えるでしょう。
外部の視点から見ると、「空はひろいな!みやざき国際ダンスフェスティバル」は単なる一連の公演ではなく、文化理解と芸術的革新のための“実験室”として機能しています。伝統と現代、地域と世界の間に真の対話を生み出すその力は、21世紀におけるダンスの物語を形づくる上で、単に「意義がある」だけでなく「不可欠」な存在であるといえます。
<ファシリテーター>
中富勝裕(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団) ※写真左から3番目
宮崎においてコンテンポラリーダンスのフェスティバルを立ち上げることは、地域の文化的土壌や認知度を考えると、大きな挑戦であったと言えます。首都圏であっても収益確保や広報、観客層の開拓といった課題は少なくありませんが、地方での開催はさらに「ダンス自体を知ってもらう」段階からの取り組みが必要であり、その意味で本フェスティバルは非常に意義深いものと感じます。
主催であるMIYAZAKI C-DANCE CENTERのメインメンバーとなるんまつーポスは、これまで国内外で培った経験やネットワークを基盤にしながらも、宮崎という地域に根差す姿勢を大切にしています。ゲネプロを地域住民や特別養護老人ホームの方に公開する試みは、フェスティバルを単なる公演にとどめず、地域との対話、地域に開いた文化芸術活動として位置づけています。また、運営ボランティアにも参加する高校生を対象にしたワークショップは、アーティストや身体表現との出会いを通じて次世代の創造力を育む仕掛けとなっており、教育的な波及効果も期待できます。
フェスティバルのコンセプト「空はひろいな! The sky is vast!」は、ダンスを通じて世界とのつながりを実感できるという強いメッセージを備えています。宮崎にいながらにして国際的なアートの文脈、人との出会いに触れられる機会を創出しています。アーティストやボランティアへの「宮崎流のおもてなし」は、居心地のよい環境づくりを実現し、フェスティバルに関わる誰もが「また参加したい」と感じられる循環を生み出しています。
こうした取り組みは、単発のイベントにとどまらず、日常的な地域との対話の延長線上にある点が大きな特徴です。その積み重ねがフェスティバルの基盤を支え、持続可能性を高めています。今後は、これまで十分に接点を持てていない企業や団体、異なるジャンルや地域へと働きかけを広げることで、ダンスや身体表現の魅力を新たな層に届けることが期待されます。
さらに、宮崎のプロスポーツチームであるテゲバジャーロ宮崎やヴィアマテラス宮崎、サーフィンとの協働は、地域全体での文化とスポーツの連携という新たな可能性を開きます。観客層の拡大や地域内外での認知度向上にもつながるでしょう。
本フェスティバルは「地域に根差しつつ、世界とつながる活動」というユニークな価値を提示しています。地域貢献、次世代育成、国際的発信という多面的な効果を備えたこのフェスティバルを継続していくために、これまで心理的にフェスティバルや劇場から距離のあった企業や団体、さらには異なるジャンルや地域にも働きかけ、ダンスや身体表現の魅力や楽しさを伝えていくことを期待します。
空はひろいな! みやざき国際ダンスフェスティバル2025