汚れ腐敗した世界に絶望し、全てを滅ぼして新しい世界を創造しようとする黒の大魔女ノアレーネ。
世界の自浄と再生を信じ、希望を捨てずに懸命な救済を続ける白の大魔女ブランシェーラ。
ノアレーネの思想に共鳴する黒の魔女/魔法使い達は世界の破壊を続け、ブランシェーラの思想に共鳴する白の魔女/魔法使い達がそれを回復し、自らの尾を喰むウロボロスのように、終わりなき争いは100年続いた。
その間にも、そもそも綻び壊れかけていた世界は、白の派閥の奮闘虚しく緩やかに滅亡へと向かっていく。
そして、全てが消え去るまで残すところついに数日となったある日、両方の派閥にお茶会の招待状が届いた。
差出人はどちらの派閥にも属さず中立を貫き、世界の変遷を観測・記録し続ける〝灰の魔女〟グリシルデ。
彼女が持つ《運命の書》は一度しか開けない代わりに、ひとたび開かれれば膨大な魔力を解き放ち、使用者の願いを叶えるという。
ノアレーネは世界が滅びた後の新たなる世界の創造のため。
ブランシェーラは世界を再生し、失われたかつての姿を取り戻すため。
それぞれが《運命の書》を開くよう、グリシルデに働きかけていた。
『世界が滅びるまで、残すところ僅かとなりました。
どのみち全てが消え去ってしまうのであれば、私は《運命の書》を開かなくてはなりません。新たな世界を観測し続けるにせよ、今の世界が復興するにせよ、世界が無くては観測も記録もできなくなるからです。
しかし、どちらの派閥にもそれぞれの正義があり、どちらの魔女/魔法使いにもそれぞれの信念があり、私には《運命の書》をどちらのために開くべきか判断がつきません。
そこで、両派閥から代表者を4名ずつ、計8名による話し合いを行い、多数決にて決定することにいたしました。
なるべく多くの人が納得できる結果となるよう祈り、ここにお茶会の招待状を送ります』