曲紹介

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「きみ歌えよ」

混声合唱とピアノのための「新しい歌」の第3曲。なめらかなスイングに乗って歌が進みます。合唱なのに「一緒に歌おう」ではなく「きみ歌えよ」。きみの全部をさらけ出せばいいんだよ、と言っているようです。

「-前へ-」

東日本大震災の被災者の方々にエールを送る「歌おうNIPPON」プロジェクトのために書き下ろされた作品。時間が止まってしまった世界から、音楽という力で一歩ずつ進みだそうと歌われます。

「反語」

組曲「青春のネガティブ」の終曲。「絶望」と「希望」、「冬の寒さ」と「春の芽吹き」のように極端な反語の世界を行き来する青春。それでも人を愛し信じ合うために生き続けるのが青春なのかな、と思わせてくれます。

「地球星歌~笑顔のために~」

半年間にわたる世界一周の旅をきっかけに作られた歌。地球のどんなところも空を通してつながっている。出会ったことのない人を想い、祈りながら毎日を過ごすことが平和な世界を創っていく。そんなやさしい気持ちにさせてくれる曲です。

「いきる」

いのちをテーマに描いた「いのちへのオマージュ」の終曲。川も花も虫も鳥も、それぞれの宇宙で生きている。その宇宙を見ると、私もいっしょうけんめい生きていこうと歌い上げます。

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「Gloria in excelsis Deo」

ミサ曲の第1曲として作曲されたグローリア(栄光の賛歌)。リズミカルで華やかな小品です。10年ほど前に某かつらメーカーのCMでも登場したらしい。

「Lacrimosa」

よく知られるレクイエムの第7曲「涙の日」。続唱の最後の部分にあたる曲、実に美しく心に響いてきます。モーツアルトの作品として有名ですが、生前に全曲は完成できず、この曲も大半は弟子のジュスマイヤーの補筆によるそうです。

「Sanctus」

イギリスの作曲家ラターのレクイエムの第4曲「聖なるかな」。死者のためのミサ曲レクイエムの中では華やかな一曲です。パートをまたがるメロディのかけ合いをお楽しみください。

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「友よ、さあ飲み明かそう(乾杯の歌)」

オペラ「椿姫」の超有名曲。パリの社交界、青年貴族アルフレードが乾杯の音頭を取りつつ、想いを寄せる高級娼婦ヴィオレッタに熱い視線を送ります。

「流浪の民」

ヨーロッパの町々をさすらうロマの人たちの生活を歌う作品。夜の宴、故郷への思い、夜明けとともに新たな移動が始まる姿が、エキゾチックなメロディに乗って広がっていきます。合唱曲として有名ですが、元はこのような重唱の曲だったようです。

「みやこわすれ」

遠流となった順徳上皇が、庭の花に慰められたことから名づけられた可憐な花、みやこわすれ。薄紫の花を愛でながら遠い日々に思いを馳せる、切ないメロディの中に姿を見せるシンコペーションが印象的です。

「一人になってしまった」

役人を殴ったことで刑務所に入ることになった侯爵。妻、女中との悲しい別れのはずなのになぜか3人ともウキウキ。それぞれ内緒で同じパーティーに出かけようとそわそわしています。そのパーティーでは侯爵への仕返しが待っているとも知らずに。

「hm!hm!hm!」

夜の女王のアリアで有名なオペラ「魔笛」。嘘をついて口に錠をかけられたパパゲーノですが、女王の侍女たちに赦され、魔法の笛を与えられた王子のお供として自分も銀の鈴を与えられ、女王の娘を悪の手から救い出すために出発します。

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「野辺に咲く花」

「花のうた」という一連の詩の中から恋を歌った5編を組曲とした作品。どこにでも咲くような野辺の花ひとつひとつに、ほのかに恋の香りが乗せられています。青い「つゆくさ」は密かに想う恋、薄紫の「あじさい」は追憶の中にある恋、紫の「すみれ」が咲きほこっても私の心には咲かない寂しさ、真っ白な「わたすげ」は別れを予感する揺れる思い、青い「わすれなぐさ」は、忘れないように思っていてもいつか忘れてしまう切なさが歌われます。全体に清楚で素敵なハーモニーが続きますが、「すみれ」だけはアップテンポ。短調で進むメロディが、最後に長調で閉じていくのが印象的です。

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「はじまり」

目の前に広がる畠や川から森、地平、雲、空、星へと視点は移り、何もないところを通り過ぎていく光と風とから、何かが始まろうとするわくわくする作品です。ゆったりと視線が移る冒頭と、始まりを躍動的に描く後半の対比が素敵な曲です。


(文責:テノール鈴木亮二)