"神話"
それは、人の世が始まる前の記録。
それは、遠い時空の無秩序な御伽噺。
真偽や証明をなおざりにして、多くの人を救い、傷つけ、突き動かしていく。
世界で1,2位を争うほど治安の悪いスラム、ロンドタウン。そこで生まれ育ったユタはスクール生のレナとうさぎのサッチョビと暮らしていた。ある日、ユタは自身の『もう一つの名前』を知る謎の男たちに、命を狙われ追われることになる。ユタはピンチに陥るが、純白に身を包んだ不思議な少女と出会ったことで、ユタの運命は狂い始める。
目を覚ますとユタは見知らぬ部屋にいた。ユタを連れてきたと思われる目の前の男はネラと名乗る。彼はどうやらユタを、とある人物との待ち合わせの場所まで連れて行かなければならないらしい。服を新調してもらって自然公園に連れていかれるが、そこには病弱そうな少年が待っていた。
虚ろな少女の独白と、儚い少年の怨言。
色事にふける生活を送っていた男、ネラ。その正体は、裏社会で暗躍する情報屋Microtomeである。ある日、彼の元に珍妙な依頼メールが届く。その内容は、最近名声を挙げている確実無比の暗殺エージェント「DER=RACS(ディアラックス)」の護衛であった。情報屋の自分に送るとは的外れな依頼と思いつつも、メールの内容に心当たりのあったネラは、その依頼を受けることになるが...
ネラの隠れ蓑であるシーシャバーにて、ユタは何者かが閉店中のバーに侵入してきた気配を察知する。
第六感の強いネラでさえ何も感じていなかったが、尋常ではない様子だったため様子を見に行く。
護衛でありながらユタを負傷させた手前、ネラはここで挽回しなければならないと焦りを覚えていた。息を潜めて1階に降り、ラウンジに差し掛かった時に感じたのは"おぞましいほどの悪意"であった…