Hiroshima University Combinatorial Game Theory Research Group
我々は広島大学で組合せゲーム理論を研究するグループです。
組合せゲーム理論とは、運や勘に頼らず頭脳だけで勝負するゲーム(専門的にいえば「偶然や運が関係する要素がない(確定性)」「隠された情報がない(完全情報性)」という二つの性質をもったゲーム)を数学的に研究する学問です。例えば皆さんが一度は遊んだことがあるかもしれない将棋、囲碁やオセロは組合せゲームです。一方で麻雀やポーカーは隠された情報(牌やカード)があったり、運が絡むため組合せゲームではありません。
組合せゲームはしばしば数学的に美しい勝ち方が存在することが知られています。
ここでは21ゲーム、すなわち「二人で交互に1~3の数字を言い合ってその合計が21以上になれば負け」というゲームを考えましょう。
あるとき一方の人が1~3の数字をどれか言ったとします。するともう一方の人は「4-(さっき相手が言った数)」を言うことで相手が言った数と自分の言った数を足すと4にすることが出来ますね。この戦略を使うと、後から数字を言う人の番で合計が4, 8, 12, 16, 20となるように数字を言うことができます。そうすると次は最初に数字をいう人の番で、必ず1以上の数を言わざるを得ず、どうしても合計が21以上となって負けてしまいます。
つまり、このゲームは合計が4の倍数になるように数字を言うことで後から数字を言う人が必ず勝つことができるのです!
では他の数字から始めるとどちらが勝つでしょうか? 実は先ほどの戦略を使うことで、目標の数字が4で割って1余るなら後から数字を言う人が、そうでないなら先に数字を言う人が必ず勝つことができます。
更にルールを変えるとどうなるでしょう? 例えば言う数字を変えたら? 最後に数字を言った方が勝ちにしたら? 二人が言える数字を別々に設定したら? このゲームを同時にいくつも遊んだら? 3人で遊んだら?……
遥か昔から様々なゲームが遊ばれてきましたが、その勝ち方を数学的に研究する組合せゲーム理論が分野として確立したのは約50年前と、(数学の歴史の中では)とても若い分野です。そのため上のような簡単な拡張でさえ一般的には解かれていない問題がたくさんあります。ぜひ我々と一緒に新しい発見をしましょう!