公開日:2025/10/12
最終更新日:2025/10/13
執筆者:渡辺
Processingで作ったゲームをスタンドアロンに実行する方法を探していたところ、アンドロイド端末で行う方法を見つけたので、格安タブレットである Amazon Fire HD 8(第10世代) での実機デバッグを試行します。
https://qiita.com/usatodo/items/27a857d607481f10cedb を見れば以下を読む必要はないですが、少々の差異があるのでまとめておきます。
実行環境
・PC
Windows 10 Pro
Processing 4.3
・タブレット(Fire HD 8(第10世代))
FireOS 7.3.3.1 (Android 9)
適当なAndroid端末を探すべく、大学の近く(それほど近くではない)のハードオフに行くと、ジャンクコーナーにAmazonのFire HD 8(第10世代)が2750円(税込)であったので、これに入れてみることにしました。
今回買った端末。目立たないが上部に割れがあった。
余談
AmazonのFireシリーズのOSは基本的にはAndroidですが、(そのままでは) Google Playからアプリがインストールできないなど改変が施されています。
だた今回行う作業には特にアプリを入れる必要はないし、インターネットに繋ぐ必要すらないので、それによって特に支障はありません。
(もしかしたらAndroidのシステムの基幹にかかわるようなコードを書く場合は影響が出るかもしれませんが、今のところ私にそこまでの技量はないのでこのまま進めます)
初期化された画面では大きく「端末を登録」という表示がありますが、特に登録する必要はありません。
(Amazonのサービスを利用したければアカウントの登録が必要です)
実機デバッグのためにはまず開発者オプションを有効にすることが必要です。
設定→端末オプション→Fireタブレットのバージョン情報と開いて、「シリアル番号」と書いてある所を何回かタップします。
そうすると、「あと1ステップであなたも開発者です」という表示が出るので、念のためもう数回タップしてから「端末オプション」の画面に戻ると「Fireタブレットのバージョン情報」の下に「開発者オプション」という項目ができています。
そこをタップして開発オプションをオンにし、少し下にスクロールして「デバッグ」というメニューのUSBデバッグもオンにします。
(「スリーブモードにしない」という項目もオンにしておくとPCにつないだ時スリープ状態にならないので便利です)
https://processing.org/ よりPCにProcessingをインストールします。(ここはスキップ)
インストールできたら何かのコードを書いて正常にインストール出来ているか確認しましょう。
Processingを開くと右上に「Java」と書かれた部分があるので、そこを選択してプルダウンメニューの「Manage Modes」を選択します。
そこで「Android」と検索して、AuthorがThe Processing Foundationの「Android Mode for Processing 4 | This mode lets you ...」を選択して右下の方の「Install」を選択してインストールします。
途中、Android SDKのインストールを要求される可能性がありますが、これはAndroidアプリを開発するためのツールやライブラリのセットなのでこちらもダイアログに従ってインストールします。
インストールが終わったら、再び右上の「Java」と書かれた部分を選択して「Android」に切り替えて下さい。
PCとFire HD 8をUSB通信ケーブル(USB type-Aオス↔USB type-Cオス)でつなぎます。
そうするとFire HD 8に「USBデバッグを許可しますか?」というダイアログが出るのでOKを選択します。頻繫に繋ぐ場合は「このコンピュータを常に許可」にチェックを入れると便利です。
この状態でPCのProcessingのメニューバーのAndroid→DevicesにUSBケーブルでつないだAndroid端末が表示されているかを確認します。
Fire HD 8だと「Amazon KFONWI [~~~~]」と表示されているはずです。
そうしたら以下のコードをコピーして「ScreenSize」という名前で保存します。(日本語の文字が使えないので注意)
このファイル名がFire HD 8側でもアプリ名として表示されます。
Processingの実行ボタンを押します。そうすると実機デバッグが始まり、しばらくしてProcessingのコンソールに「BUILD SUCCESSFUL」と表示されれば成功です。
Fire HD 8側では全画面で10pxごとにマス目が表示されていると思います。(下の画像はモアレがひどいですが)
成功すると、PCで書いたコードがFire HD 8側で独立したアプリとしてインストールされており、ケーブルを抜いてもアイコンをクリックすればいつでも実行することができます。
ここまできたら後は自由にコードを書いてゲームやアプリを開発できます。
① Fire HD 8のスクリーンサイズは1280×800pxですが、setup()内で「size(1280,800);」と書くのではなく、「fullScreen();」と書いて画面を1280×800pxで設計するとメニューバーが表示されずきれいに見えます。(「fullScreen();」を入れる場合は「size(~~~,~~~);」を無効化すること)
② パズルやゲームなどをコーディングする場合は、大抵インタラクティブなコード(クリックする、ドラッグするなど)を書く必要があると思います。
(コントローラーとして物理マウスを繋げるなどをする場合は別にして)Android上ではマウスイベントの代わりにタッチイベントを使うと便利です。
Javaモードで書いたPC用のコードがすでにある場合、イベント「void mouseClicked() 」を「touchStarted(TouchEvent te)」に変え、その中にある
mouseX → te.getPointer(0).x
mouseY → te.getPointer(0).y
と変えれば、応急処置的にクリックイベントをタップイベントに変えることができます。
より詳しくは以下などを参照
ハノイの塔が遊べるコードを置いておきます。
Fire HD 8上では、上の画面サイズを確認するコードは7.75MB、ハノイの塔のコードは5.81MBでした。