研究

非線形現象を用いた探索・サンプリングアルゴリズム

大規模な非線形力学系に見られるような複雑性を情報処理や問題解決に活かすための方法について研究しています。特定の処理に特化したGPUのようなデバイスや現在開発が進む量子コンピュータなど、現代の計算・情報処理のかたちは多様化が進んでいます。また、脳神経の活動や細胞内の情報伝達など、情報処理と呼ぶべき現象は人工の計算デバイスだけに見られるものではありません。このように計算・情報処理は様々なかたちで実現されているのですが、これらはみな非線形で動的な現象に支えられていると言えます。計算・情報処理のための非線形力学系を数理モデルを通して考えることで、新しい計算のデバイスの設計の指針となるような、あるいは効率的な数値シミュレーションを通じてそれ自身が有用なアルゴリズムとなるようなダイナミクスのモデルが得られるのではないかと考えています。

具体的な研究としては、充足可能性問題やイジング問題などの最適化問題や、複雑な確率分布に関する数値積分などについて、探索・サンプリングアルゴリズムの開発や性能の解析、およびそのための数値計算法の研究を行っています。これらは工学上の問題の数理的表現として頻繁に現れる一方、単純で規則的な列挙・探索が非効率になってしまう問題としても知られています。このため、複雑性を加えるための確率的ノイズを用いた手法が現在広く用いられているのですが、このような問題について非線形力学系が示す複雑な挙動を効率的に用いることが可能なのではないかと考えています。

また、より広く、非線形数理を現代社会における問題解決に活用するため、様々な分野における共同研究にも携わっています。

キーワード

  • 非線形現象を用いた情報処理、計算の数理モデリング、ソフトコンピューティング、Unconventional computing、Analog computing、組合せ最適化、メタヒューリスティックス、充足可能性問題、イジング問題、ボルツマンマシン、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)、焼きなまし法、誘導局所探索、数値積分法、可変刻み幅、Herding、準モンテカルロ法、ニューラルネットワーク、確率モデリング、ベイズ推論、統計的因果解析