名も無き勇者の英雄譚
比率 2:1:1
レオンハルト(♂):王国の誇る聖騎士 白銀の鎧を纏った見るからのパラディン
清廉潔白で騎士道を何よりも重んじる。
オマケに精霊と会話出来る
フラジール(♂):レオンハルトの戦友でありライバル
豪胆で気分屋、三度の飯より酒が好き
その腕一本で騎士団長にまで成り上がった叩き上げ。
持ってる武器はドラゴンごろしのアレ
カスティーリア(♀):ステア・ニール王国の姫様
人前に出る時は凛としているが、中身はやっぱり乙女ちん
ファフ・グレンデル(不): 旅の者 魔法とか使えちゃう。
?と(♂)レオンハルトとの兼役でお願いします。
配役表
レオン/?:
フラ:
カスティ:
ファフ:
---------------------------------------------------------------------------------
?:昔話をしよう。 これはかつて、俺が英雄と呼ばれていた時代の物語だ。
-ステア・ニール王国 修練場-
フラ:はぁ・・・はぁ・・・ ちっくしょう~! 流石、聖騎士様だ~ 今回は一本取られたなぁ!
レオン:はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・ 君の方こそ、最後の一手は流石だった。
完全に取られたと思ったよ。
フラ:取れなきゃ意味が無いってんだよぉ! あー!くっそ! イけたと思ったんだけどもなぁ・・・
レオン:あそこで君の目線を見逃していれば、僕は完全に討ち取られていただろうね。
フラ:これで504戦251勝252敗1引き分け・・・・
っと、さて。 体動かしたら、なんか腹が減ってきやがったな。
レオン!お前も一緒に行くだろ?
レオン:そうだな。 たまには僕もご相伴に預かるとしよう。
フラ:お! そうこなくちゃな!
レオン:因みに今日は僕の勝ちだ。 当然、昼食(ちゅうしょく)代は君持ちだからね?
フラ:はぁ~~~!? くっそ! まぁじかよ~~!
しゃあねぇ、敗者は語るすべを持たず・・かぁ!
くそが! 解ったよ!好きなだけ食えってんだ!
フラ:お? 丁度、飯時の鐘がなりやがった。
レオン:そうだな。・・・・いやまて、少し様子がおかしい・・・7回? これは・・・緊急招令!
フラ:おいおい・・・まじかよ・・・
レオン:急ぐぞ!フラジール!
フラ:お・・・! おい! あー!くっそ!
-謁見の間-
カスティ:緊急の招集に構わず、よくぞ集まってくれました。 まずは皆に感謝を。
皆も知っての通り、国王は今病に伏しておられます。
しかし、昨日(さくじつ)より容態が急変し、神官達の話に依れば、次の新月まで持つかどうか・・・
レオン:・・・・
カスティ:神官たちはこうも言いました・・・王の病は「竜の噛み跡(ドラグーンレビウス)」だと・・・
フラ:呪いだ・・と・・・
レオン:ドラグーンレビウス・・・・ 一度発症すれば、死は避けられぬと言う災い・・・
フラ:くそ・・・!何故それが今なのだ! 何故それが我が王なのだ!
カスティ:神官たちにもそこまではわかりませんでした。
これが父の・・いえ・・・王の運命(さだめ)だったのかもしれません・・・
フラ:竜・・・最果ての地・・グラズヘイム・・・・
レオン:フラジール!?
カスティ:いけません!グラズヘイムは神をも近づけさせぬと言う禁域、あの場所に立ち入ることは
何人たりとも許される事ではありません!
フラ:しかし姫!かの伝承によると竜の呪いを解く方法は・・・
竜の心臓を手に入れる他にありません!
グラズヘイムに住まうという・・・あの邪竜の心臓を手に入れる他に!
カスティ:なりません!
こうなる事は・・・王の運命なのです・・・
フラ:では、指を咥えたまま、ただ王に死の影が迫るのを黙って見ていろと仰るのですか!?
レオン:フラジール!口が過ぎるぞ!不敬であろう!
フラ:ぐ・・・
カスティ:よいのです、レオンハルト・・・ フラジールは幼少の頃より、この国に仕えてくれております。
国を・・そして王のお体を憂虞(ゆうぐ)して下さっているだけなのです。
レオン:・・・失礼致しました・・ どうかお許しを・・・
フラ:俺は・・・いえ、私は・・幼少の頃、たった一人の家族である母を・・・病で失いました・・・
身寄りが無くなってしまった私は・・・王に拾って頂き、多大なる庇護を賜ってきました。
勝手ながら、私にとって王は父とも呼べる存在・・・
王の為なら私は、この血の一滴までも捧げる所存!
カスティ:フラジール・・・
レオン:・・・姫殿下、ここで尽くさぬ忠義に何の意味がありましょうか・・・
フラ:レオン・・・?
レオン:私は聖騎士・・・ステア・ニール王国騎士団筆頭!聖騎士レオンハルト・パジルファール!
我が王国の為、必ずや竜の心臓を持ち帰る事をこの剣(つるぎ)に誓いましょう!
フラ:レオン・・・お前今・・・!?
レオン:ふっ・・我が騎士団の団長様が戦に向かう覚悟を决めたのだ。
私が共に行かぬわけにはいくまい?
カスティ:しかし、グラズヘイムは生きて帰ったものが居ないと言われる死の山
そのような所に、あなた方を行かせる訳にはまいりません!
レオン:姫殿下、騎士の誓いの重さは、口にせずとも解っておいでかと存じます。
カスティ:レオンハルト・・・
グラズヘイムまでの道は細く狭く、そして険しく、軍を送れるような場所ではありません。
まして、かの竜は用心深く、簡単には人前には現れないと言い伝えられているのですよ・・・?
フラ:ふふっ・・・あっはっはっはっはは!
レオン:フラ・・・ジール・・?
フラ:いや、軍なんて、そんな大層な物必要ありませんぜぇ姫様!
俺達は一騎当千、2人居れば2万の軍勢でも引けはとりゃあしねえ!
レオン:全く・・お前って奴は・・・算術も出来ないのか・・
ステア・ニール王国騎士団の名にかけて、必ずやその心臓、御身の前に捧げましょう。
カスティ:本当に・・・本当に行くと言うのですね・・・
レオン:騎士に二言は
フラ:ありゃぁしねぇよ!
カスティ:あなた達・・・・ 解りました。 ではせめて、旅の支度を整えさせましょう。
-ステア・ニール王国 城下町ヘブリニッジ-
フラ:さってぇ・・ 町での買い出しはこんなもんでいいか
フラ:つーかアイツ・・・ 用事を済ませてくるって言ってたけど、一体何だったんだ・・・?
フラ:んん!まぁ、いいか! お? おぉ!久しぶりだなぁおっちゃん! なんだよ、まだ肉焼いて売ってんのか?
んあ? 先週も合っただろうって? ははっ 男子3日会わずればなんとやら?って奴さ!
丁度いいや、2つおくれ!
ファフ:もし。
フラ:んあ?
-ステア・ニール王国 ステア・ニール城 城内-
カスティ:さ、これをお持ちになって あー!あとこれも! これも必要よね?
レオン:カスティーリア様・・・
カスティ:国の存命を掛けた戦に、たった二人で向かわせるんですよ!? 入念に準備しないと・・・!
レオン:カスティーリア様・・・・
カスティ:えっと・・・あとは・・・
レオン:・・・・・・・
カスティ:・・・私ね!
レオン:は・・・はい・・?
カスティ:貴方に受け取って貰いたいものがあるの。
レオン:!?
カスティ:はい、これ。
レオン:これは・・・ この指輪は・・・!
カスティ:そう。 このステア・ニール王国に代々伝わる、魔を退ける効果のある指輪なんですって。
レオン:し・・・しかし!それは亡き女王陛下の形見ではありませんか! 私などが受け取る訳には参りません!
カスティ:いいの。 貴方に持っていてもらいたいの。
レオン:ですが!この様な貴重なものをうけとるわけn
カスティ:(被せて)いいの!
レオン:・・・カスティーリア様
カスティ:この指輪はね、本来対になる物があったらしいの。
でも今は行方不明。旅の途中にでも見つけたら、拾ってきてちょうだい?
レオン:畏まりました。
カスティ:あっ・・でも実はね・・・? 拾って来てーなんて言ったけど、どんな物かは私は知らないの
レオン:・・・
カスティ:レオンハルト・・・無事に・・・必ず無事に帰って来るのですよ・・
レオン:無論でございます。 この我が身、必ず再び御身の前に。
カスティ:汝に・・・精霊の加護が有らん事を・・・
・
・
・
カスティ:レオン・・・必ず・・必ず生きて帰ってきて・・・
-ステア・ニール王国城門前-
フラ:よう! その大層なご用事ってのぁ終わったのかい?
レオン:あぁ、恙無く な。
馬の準備も・・・ よし、問題ないな。
ん・・・? その者は一体・・・
フラ:あぁ、なんか町で話しかけられてよ。
旅の者らしいんだが・・・・
俺達がグラズヘイムへ行くって聞いて、一緒に連れて行ってくれってさぁ
レオン:なんだと・・? 貴公は何者だ。 何故我らがグラズヘイムへ行くことを知っている?
ファフ:ご挨拶が遅れて申し訳ありません。 私の名はファフ・グレンデルと申します。
この世界の全てを知りたく、流浪の旅をしてる者に御座います。
付きましては、彼の地。グラズヘイムへ向かわれる事を耳に致しまして、随伴願えれば・・・と。
フラ:だそーだ。 で、どうする?
レオン:どうするも何も、連れていけるわけがないだろう!
我々が向かうのは、あのグラズヘイムなんだぞ!
それに、まだ何故我々が彼の地へ向かう事を知って居るのか聞いてはいない。
ファフ:この町に身を置いておればそのような噂、耳を塞いで居ても聴こえてまいります。
騎士団長と聖騎士が竜討伐に乗り出した・・・と・・・。
レオン:フラジール・・・ そんなに噂になっているのか・・・
フラ:かの聖騎士様が救国しに行くって言うんだぜ? しかもたぁった二人で。
そら街中その話で持ちきりよ!
知らねえのはお前ぐらいじゃないか?
レオン:ばかな!この任務は、あの時王宮に居た者しか知らぬはず! それが何故!
フラ:あぁ、俺が買い出しに行ってる時に、ちょちょいと話したら、それはもうパァー!て広がってよぉ!
レオン:なるほどな・・・
フラ:別に戒厳令引かれてる訳じゃねえし、極秘任務!なんて一言も言われなかっただろう?
レオン:それはそうだが・・・! あぁ・・頭が痛くなってきた・・・
フラ:で?この旅人はどうするんだい?
レオン:・・・貴公、何故彼の地を目指す。
ファフ:世界の果てを見るために。
フラ:だってよ?
ファフ:言い忘れておりました。私、魔術の知識にそれなりに覚えがあります。
決して足手まといにはならぬ故
フラ:へえ! あんた魔法が使えるのか! そいつぁすげえ!ちょっくら見せてくれよ!
ファフ:それで信用に足るというのなら・・・ 漆黒より出(い)でし混沌の炎 暗き光に我が紅蓮の刃を・・
フラ:おいおい・・・ こいつぁ・・ハイキャスタークラスの!
レオン:なんと・・グレンデル殿!貴公の力は理解した!もうよい!
フラ:ふうん? で? お答えは?
レオン:はぁ・・解った・・・。共に行こう。
フラ:お?珍しく物分りがいいじゃねぇか
レオン:君には負けたよ・・・
改めて自己紹介をしておこう、私はレオンハルト・パジルファ-ル。
フラ:フラジール・バーンシュタインだ。 宜しくな!
ファフ:それでは、どうぞよしなに。
-グラズヘイムへの道 道中夜-
レオン:夜も更けてきたな、今日はここで野営しよう。
フラ:そうだな、これから先の道もどうなっているかわからん、ここで一晩明かすって言うのには賛成だな。
あー・・そう言えばレオン
レオン:何だ?
フラ:謁見の間での話だよ・・ お前、誓いまで立てて本当に良かったのか・・?
レオン:何なら、君にも誓いを立てようか?
フラ:はは・・ そいつぁ重てぇ・・
レオン:しかし、ドラグーンレビウスか・・
フラ:・・・
レオン:あ・・・あぁ・・すまない・・・失言だった・・・。
フラ:いいさ、昔の事だ・・・
・
・
・
レオン:よし、こんなものだろう。
フラ:よーし!そんじゃぁ飯にするか! あ、あと酒も忘れちゃいけねえな!
レオン:では、食料を下ろしてこよう。 フラジール、鍋の準備をしておいてくれ。
フラ:あいよい!
ファフ:では調理は私が。
フラ:いーや、今日は俺がやる!
レオン:いや、待て!フラジール!
フラ:任せておけって! これでも、幾多の戦場を渡り歩いた歴戦の戦士様だぜ?
野営時の食料調達から調理まで、慣れたもんよ!
レオン:そうか・・ ならば・・・任せるとしよう・・・。
ファフ:(小声でレオンに)本当に彼は大丈夫なのでしょうか?
レオン:(小声でファフに)あぁ・・・ 決して当てにはするな・・ 決してな・・
フラ:(鼻歌交じりで)よーし、ほら出来たぞ!フラジール様特性、スペシャルミックスあんこう鍋だ!
ファフ:あ・・・あん・・・?
レオン:いやまておかしい・・・ 私達の持ってきた食材に何故に深海魚が混ざっているんだ・・
そもそも、そのような物、荷に積んだ覚えがないぞ・・
フラ:まぁ、こまけえ事は気にすんなよ!な!
ファフ:これは・・・
レオン:なんというか・・
ファフ:なんでしょう・・この・・・ 吐瀉b
レオン:(遮って)それ以上は口にするな!
ファフ:いや・・これは・・しかし・・
レオン:みなまで言うな・・・
フラ:な! 美味そうだろう? まぁ実際美味いんだけどな!
レオン:そ・・そうだな・・・ では頂こう・・・
ファフ:正気ですか、レオンハルト殿!
レオン:何事も見た目に惑わされてはいけない。 百聞は一見にしかずだ・・
フラ:あん? なーにぶつくさ言ってんだ?
レオン:南無三!
ファフ:お待ちなさい!レオンハルト!
レオン・・・・ん・・・・?
ファフ:・・・・・・?
レオン:これは・・
ファフ:大丈夫・・・ですか・・・? レオンハルト殿・・
レオン:なんと言う事だ・・・これは・・・・ 美味い・・・!
ファフ:そんな馬鹿な事が・・・ あっ・・・・
フラ:な? これがフラジール様の腕前って訳よ! 剣の腕から飯炊き掃除に至るまで、どれを取っても一流ってぇ訳だ!
かー!最強すぎんだろ、俺! よし!飲むぞー!
レオン:明日もあるんだ、程々にな。
・
・
・
レオン:まさかフラジールの作った料理が、あそこまで美味い物だとは知らなかったよ。
ファフ:そうですね。 あの吐瀉b
レオン(遮って)それ以上は口にする・・・ あっはははは
ファフ:レオンハルト殿・・・?
レオン:(笑いながら)いや・・・このようなやり取りを、先程もしたばかりだと思ってな。
ファフ:貴方がそのような笑い方をするとは思いも寄りませんでした。
レオン:レオン・・
ファフ:?
レオン:レオンでいい。
ファフ:ふふふ・・解りました。 では私の事もファフ、とお呼び下さい。
レオン:あぁ、宜しくな。 ファフ
ファフ:此方こそ、レオン
レオン:そうだ、フラジール! おや? フラジール?
ファフ:あぁ・・もう、寝ちゃってますね。
レオン:あれだけ飲めばそれはそうか、エールの樽が2つも空いてる・・
ファフ:私達もそろそろ床に付きましょう。 明日もあります。
レオン:それもそうだな。
ファフ:それでは、おやすみなさい。
-グラズヘイムへの道 道中 朝-
フラ:いやあ、こうもすんなり進むと、逆に気持ちが悪いな・・・
ここいらで、こう・・ なんか、ぐわー!ての出て来たら雰囲気出るんだけどなぁ
レオン:フラジール、滅多な事を口に出すな・・・
道中、平和な事は良いことではないか。
フラ:だってよぉ? な?ファフ・・つったっけ? あんたもそう思うだろ?
ファフ:私もレオンに賛成ですね。 何事も事無き事が一番ではありませぬか。
フラ:はぁ~・・ どいつもこいつもつまんねぇなぁ・・・
ん?と言うかお前ら・・・ 何時からそんなに仲良くなった?
レオン:全く、お前と言う奴は・・・
まぁ、昨晩ファフとは色々と話しをした。お前も呼んだが、飲むだけ飲んで、さっさと寝てしまったようだからな。
さて、そろそろ麓の村が見えてくるは・・・あれは・・?
フラ:んあー?どうしたー?
レオン:あの煙は・・・
フラ:おいおい! あれって・・・ 村がやべーんじゃねぇのか!
レオン:くっ! 急ぐぞ!
-グラズヘイム麓の村 カーディッチ-
レオン:これは・・・ 何と言う・・・
フラ:くっそ! 何があったって言うんだ!どこもかしこもボロボロじゃねぇか・・ おーい! 誰かいないかー!
レオン:とりあえず、手分けして生き残りが居ないか探そう。
ファフ:お待ちください。
フラ:!?
ファフ:ここは私が力になりましょう。
レオン:どういう事だ・・・
ファフ:まぁ・・・ 見てて下さい。
大地に巡りし、龍脈よりいでたる我が眷属よ、血の盟約に従いその姿を示せ。
フラ:なんだ・・光の玉が無数に・・・こいつは・・・
レオン:精霊術か・・・
ファフ:さぁ、我が眷属よ。 この村で何が起こったのか、その真実をここに映し出しなさい。
フラ:な・・・光の玉が・・ まるで鏡みたいに・・・
レオン:なるほど・・この子たちは、今しがた起こった大地の記憶を私達に教えてくれるらしい。
フラ:おま・・ この魔法を知っているのか!?
レオン:いや・・ 初めて見る魔法だ。
フラ:は?
レオン:この子たちがそう言ってる。
フラ:お前・・ 精霊の言葉がわかるのか!?
レオン:多少はな。 物心付いた時から聴こえては居た。まぁ、加護のような物だと思ってるよ。
フラ:へぇ・・・ そういうもんなのか・・・?
ファフ:なるほど。 そうであったか。 ありがとう、もう帰って大丈夫だよ。
レオン:そういう事か・・・
フラ:をいをい!お前ら二人だけ解った話してんじゃねぇよ! 俺だけ蚊帳の外かよ!
レオン:あぁ、すまない。 どうやらこの町はサンドリザードの群れに襲われたらしい。
フラ:サンドリザード? 一匹じゃただのでかいトカゲってだけで、大した事はねえが・・群れとなると・・
レオン:あぁ、成体のサンドリザードは成人男性のそれを有に超える。しかしおかしいな・・・ あの種は本来そんな獰猛な種族では・・・
フラ:こいつあ・・ いよいよ怪しくなって来たな。
フラ:とりあえず、周囲を捜索しよう。 まだ息のある者が居るかもしれない!俺は教会の方を探すぜ!
ファフ:その必要はありません。
フラ:何!?
ファフ:もうこの町に・・・ 命の形跡はありません・・・。 人の・・・ではありますが。
フラ:!?
レオン:そう言う事だ。 構えろ!
フラ:くっ! ・・・・て・・・マジかよ・・・なんだよこの数は・・・
レオン:ざっと目視で200・・・ いや、300は居るか・・・
ファフ:どうやら、談笑して居る余裕は与えてくれそうにありませんよ。
レオン:くるぞ!
フラ:へっ!上等だ! てめぇら一匹残らず叩き潰してやんよ!
いくぜっ!壊放のセカンドバースト!決壊!エクスターナル・ファントムブレイズ!
フラ:レオン!
レオン:あぁ、此方は任せておけ。
輝け!我が白刃の剣(つるぎ)よ!咲き乱れろ、フラクタルアラート! ファクト・オブ・エクスピアシオン!
ファフ:あっという間にこの大群の半数を・・ な・・! あちらでは大地が吹き飛んでいる!? ならば、私も負けては居られませんね。
紅き黒炎、万界の王。天地の法を敷衍(ふえん)すれど、我は万象昇温の理、塑性(そせい)を脆性(ぜいさい)へと葬り去る。
強き鼓動を享受せん。アンリミテッドリンク開放!ブレイズ・フル・ラグナンジュブラスター!
フラ:!?・・・をいをい・・・ 村が・・半分吹き飛びやがった・・・
レオン:何と言う魔法だ・・いや・・ あれは魔法なのか・・・
フラ:レオン:冗談だろ・・・
・
・
・
フラ:よし・・・あらかた片付いたな。
レオン:そうだな、村の・・・
ファフ:フラジール殿、少し怪我をしていますね。
フラ:ん?あぁ、このぐらいなんて事はないさ、ちょっと引ひっかかれただけさ。
ファフ:腕を。
フラ:ん?
ファフ:大地に満ちたる生命の躍動、清らかなる生命の風よ・・・・
フラ:おお・・傷がみるみるうちに塞がって・・・ あんた、回復魔法も使えるのか!
レオン:しかし何故サンドリザードの群れが・・・
ファフ:きっと龍脈が乱れたせいでしょう。
フラ:龍脈の・・乱れ・・?
ファフ:ええ、世界には龍脈と言われるヒトツの力の流れのようなものが存在します。
私達が駆使する魔法も、その龍脈の力を借りて初めてなし得るものなのです。
フラ:へぇ・・なるほどな・・
ファフ:龍脈の乱れは私達、魔法を使役する者なら誰でも感じざるを得ません。
大地を奔る力が・・いままでと違う・・・。
レオン:ファフ、もしかして君は・・・その乱れの原因を調査する為に旅を・・・
ファフ:・・・
レオン:なるほど・・・そう言う事であったか・・・
ファフ:・・・あなた方は、龍穴という言葉をご存知か。
フラ:聞いたことはあるな・・ なんだっけか・・そのー・・・?
レオン:確か・・・龍脈の終着点であり・・・始まりの場所・・・
ファフ:そう・・・その場所が・・・
レオン:・・・・・!?
ファフ:グラズヘイム。
-ステア・ニール王国 王の寝室-
カスティ:お父様、レオン達が出立してから今日で7日目・・・
本当に無事で居てくれているのでしょうか・・
母様、願わくばレオン達を・・父様を・・どうかお守り下さい・・・。
カスティ:・・・!
カスティ:お父様の体が・・・燃えるように熱い・・!? 震えが止まらない・・・!
あ・・・あ・・・・あぁ・・・神官は!神官は何処に! 早く神官を呼んでください!
-グラズヘイム山 麓-
フラ:やっと着いたな。
レオン:抜かるなよ。ここからが本番だ。
フラ:しっかしなんだこれ・・・断崖絶壁にも程がある・・
オマケに生き物の痕跡は愚か草木一本生えてねえ・・
それにこいつは・・山ってより崖だぜ・・
こりゃホントに、いよいよ竜のお宅訪問って感じだなぁ。
レオン:ふざけてる場合か・・・ 此処から先は何が起きても不思議ではない。 気を引き締めていくぞ。
フラ:あぁ・・・しかし、この惨状・・伝承は本当だったか・・?
レオン:噂に違わぬ死地だな。 ここからはもう馬には頼れない。徒歩で渡るしか術はないだろう。
フラ:それに、この山岳地帯は急勾配すぎる。荷物も最低限しか持っていけねえな。
ファフ:お二方、此方に。
レオン:ん?ファフ、何か見つけたのか。
フラ:ふーん・・なるほどな。他を見回しても岩肌の壁、ここを登って行くしかねえって事だな。
ファフ:さぁ、急ぎましょう。
-グラズヘイム山 山頂-
フラ:ふぅ・・・ やっと頂上が見えてきたか・・・
レオン:もう一息だ。
ファフ:見えました。 あそこです。
フラ:なんだ・・ありゃぁ・・・
レオン:こんな岩山の山頂に・・・あれは・・森・・いや・・泉とでも言うべきか・・?
ファフ:さぁ、進みましょう。
・
・
・
レオン:これは・・ 神殿なのか?
フラ:何かこう・・もっと、悍ましい所を想像していたぜ。 なんだよここ・・ 神聖な雰囲気さえ感じさせる。
ファフ:ここが旅の目的地、始まりであり・・ 終わりの場所。
レオン:・・・・
フラ:さ、さっさと竜退治と行こうぜ。 つか、こんな所に本当に竜なんて・・・
ファフ:あなた達には真実を見てほしかった。 そして聞いてほしかった。
レオン:ファフ・・・?
ファフ:ここは・・ この山は元々緑が生い茂り、とても美しい場所でした。
人は私を愛し、崇め、信仰し、平和な共存がそこにはありました。
しかしいつの日か、人は私を忘れ、己の為だけに生きるようになった。
私はそれでも良かった。 人が平和に暮らしていけるのであれば・・・
レオン:ファ・・ファフ・・ 君は一体何を言って・・・
ファフ:しかしそうはならなかった。
人は戦争を繰り返し、幾多の血が流れ、幾多の国々が作られ・・ 消えていった・・・。
そして人は私利私欲の為に、大地を削り、海を汚し、木々を根こそぎ奪い取っていった!
そこに生きる者たちの事など考えもせずに!
レオン:・・・・
ファフ:やがて龍脈はその力を弱めていき、ゆっくりと衰弱していった・・
この世界が破錠して行く姿を見守るだけと言うのは私には耐えられなかった。
だから私は、調律者としてでは無く、一個の個として世界を見て回る事にした。
そして知った・・・。
レオン:・・・・貴方は・・ 何を知った・・
ファフ:ステア・ニールの初代王はとても良き王でした。
人々の暮らしを見守り、慈しみ、調和の為の努力を惜しまない人だった。
私もそれに応えた。
発展の為に脅威となる魔獣から守った。
時には、知識を分け与えた。
そして、やがて世界でも屈指の強国として栄えるようになった。
ファフ:何故だろう、人というのは。
力を手に入れれば、それを使う事に躊躇いなど無くなってしまう。
大切だったものを忘れてしまう。
それが、何を奪う事になっても。
レオン:貴方は・・600年以上も、この世界を見守って来たのですね・・・
ファフ:私は間違ってしまった。
人に触れてはいけなかった。
レオン:違う!貴方は間違ってなどいない!
ファフ:人に触れるのはこれが最後になるでしょう・・・
さぁ、国へお帰りなさい。
そして伝えなさい。
私の存在を。
ここで起きた全ての顛末を。
レオン:私は・・ 私達は・・・
フラ:っざげんな・・・ っざけんじゃねえ!
レオン:フラジール!?
フラ:小難しい事ばかりごちゃごちゃと並べやがって・・・!
世界の終わり?んな事は知るかよ!
て事は何か?ずっと俺たちを騙して、影で嘲笑ってたって訳か!
レオン:違う!この方は!
フラ:黙ってろレオン! 俺たちにはまずやる事があるだろ!
ファフ、お前の事は何者なのかもわからねえ・・ ただ・・
竜と関係がある事だけは解った!
ファフ:そうですか・・・
レオン:止めるんだフラジール!
フラ:600年以上も生きてる? ハッ! てめえも十分化物じゃねぇか!
ファフ:・・・
フラ:竜は何処だ・・ 答えろ!
ファフ・・・
フラ:俺達は一刻を争ってるんだ、目の前に守るべき者が居るんだ!
明日の事すらわかんねぇし、未来の事なんか知ったこっちゃねえ!
フラ:俺は騎士だ! 民を守る義務がある!君主に命を捧げる覚悟がある!
目的を見失うな!俺達は・・ 俺達の目的は何だ!
レオン:しかしっ!
フラ:ファフ!答えろ!
ファフ:無駄だと思いますが・・・
その刃を収める気は無いのですね。
フラ:くどい!
ファフ:・・・ならばその目で見ると良い・・・そして感じると良い。
そなたが今、どれほど無謀な事をしているのかを。
フラ:答える気はねえみてえだな・・
ならば仕方ねえ。
無理にでも吐いて貰うぜ、化物野郎ッ!
レオン:よせ!
フラ:!? 馬鹿な・・・! この重量剣を・・・ 片手で!?
ファフ:無駄だと、言った筈ですよ?
フラ:くっ!ならばァ!
契約に従い、来たれ炎の覇王! 燃えろ燃えろ燃え盛れよ我が一刀!
七つの鍵にて万象一帯灰燼と化せ! マグナ・ブレイカー!
レオン:あいつ・・! くっ・・!
フラ:ハァ・・・ハァ・・・ すまねえな、レオン。
これで竜は自力で探すしかなくなっ・・・
※無傷のファフが立っている
フラ:そんな・・・・ ばかな・・・!?
ファフ:だから言ったでしょう? 全て 無駄だと。
※巨大な鞭のような何かがフラジールを横薙ぎに襲う
レオン:避けろ!フラジール!
フラ:なっ! んんぐああああああああああああああああああ!
※それをくらい神殿の壁まで吹き飛び衝突する
フラ:あ・・・・・・・・・ が・・・・・・・・・ ぐぼぇ・・・
レオン:フラジール!!
ファフ:まだ・・・ 抗うつもりですか?
レオン:ッ! 大丈夫か!
フラ:がはっ・・・くっそ・・・ハァハァ・・
言ったはずだ・・・ 俺は騎士だと・・・!
ファフ:そうですか・・・
※ファフの体が光に包まる
レオン・フラ:!?
レオン:やはり・・・ 貴方が・・・
※光が収まると眼の前には巨大な竜の姿が
フラ:・・・・・・ そう言う・・・ 事かよ・・・
ファフ:我が名は、ファフニール。
神域に住まう者
人の子よ、我は汝を赦そう。
レオン:ファフ・・・ニール・・・
フラ:赦す・・・・? はは・・上等だ・・・ どけ・・・レオン・・・
レオン:無理だ! その体では到底かなうh
フラ:(被せて)どけと言っている!
レオン:!?
フラ:ハァ・・ハァ・・・竜よ・・・貴様は母だけでなく、我が王まで亡き者にしようと言うのか!
ファフ:・・・・? それが世の理であるならば。
フラ:そうかよ・・・俺は騎士だ!こんな所で・・・倒れてる場合じゃねぇんだ・・・!
ファフ:良かろう。
ならばせめてもの慈悲に、生という鎖を断ち切り、死を以てその魂を開放しよう。
フラ:はは・・・ 死? 丁度いい・・ 俺もヴァルハラには興味があったんだ・・・!
レオン:よせ!本当に死ぬ気か!
フラ:俺は・・・俺はステア・ニール王国騎士団団長!フラジール・ルドラゴン・バーンシュタイン!
推して参るッ!
レオン:待て!
ファフ:ルドラゴン・・・ そうか・・そうであったか・・・
フラ:覚悟しろよトカゲ野郎!
原初の炎、万物の根源たる紅き炎よ、深淵の縁にて我が寄辺に答え、その全てを食らいつくせ!
イグニッション!!フルバースト!
レオン:待つんだフラジール! その傷じゃ無理だ!
フラ:血に染まりし猛る炎よ、この身を糧とし世界を消し去れ!!
んあああああああああああああああああっ!
喰らえ!イフリーテッド・フレイム・ディストラクションッ!
レオン:フラジール!!
※鈍い音と共に大剣が折れる
フラ:畜生・・・化物め・・・
ファフ:スターダスト・フォトンレイン
レオン:やめろおおおおおおおお!
※無数の光の矢がフラジールを貫く
フラ:ぐ・・・が・・・・・・・あ・・あぁ・・・がはっ
レオン:フラジールウウウ!
※走って近づき抱きかかえる
レオン:はっ・・ はっ・・ フラジール! しっかりしろフラジール!
フラ:すまねえな・・・ レ・・・オン 文字通り・・・ 刃が立たなかったぁ・・・ごはぁ・・・
レオン:もう喋るな・・・!
フラ:自慢の大・・・剣も・・・ごふっ・・・へし折れちまった・・・
レオン:もういい・・・
フラ:そんな・・・顔・・・するな・・・男前が台・・無し・・だぜ・・・?
レオン:もう・・喋るな・・・
フラ:飯の約束・・・守れなかった・・・なぁ・・
レオン:・・・・
フラ:じゃあな・・・友よ・・・ヴァルハラで・・・待ってる・・・ぜ・・・
レオン:フラジール・・・・・・
ファフ:眠れ、人の子よ。
レオン:他に・・・他に道は無かったのですか・・・
ファフ:・・・その者が選んだ道、我はそれに応えただけの事。
レオン:・・・
ファフ:騎士レオンハルト、汝はどうする? 誓いの為に我を滅ぼすか?
それとも、友の亡骸と共に祖国へと帰るか?
レオン:私は・・・
ファフ:この場を去ると言うならば、我は止めぬ。
レオン:私は・・・これが正しいのか解らない・・けれど・・・!
※レオンは剣をファフニールに向ける
ファフ:愚かな・・・ 汝では我に届かぬ。
その者と同じ末路を辿るつもりか?
レオン:愚かか・・・そうかもしれない・・・
だが、私は御旗に・・・友に誓いを立てた!
ファフ:誓いの為に死ぬか・・・
騎士の名誉・・・解らぬ訳ではない、だが。
死ぬと解っている戦いに何を見出す。
レオン:貴方の言うことは正しい、そして人は過ちを犯してきた・・・
天に見限られたとて、それは当然の報いであろう・・・
ファフ:我を滅ぼしたとて、世界の崩壊は止まらぬぞ?
レオン:だが私は・・・騎士だ!
聖騎士、レオンハルト・パジルファ-ル!ステア・ニールの名にかけて、貴様を討つ!
ファフ:ならばその命、亡きものと知れ。
レオン:蒼剣の煌めき、精霊の加護を我に与え給え!
舞い散れ!フラクタル・アラート! サウザント・フルーター!
ファフ:どうした?
レオン:くっ!やはり斬撃は効かないか・・ ならば!
右手に水、左に風 極寒の息吹で白き世界に埋め尽くせ!
アブソリュート・リシュレーション!
ファフ:そんな物か・・・
レオン:まだだ! 炎の精霊よ・・・集い来たれり敵を貫け! ヴァレステッド・フレイ・・
ファフ:もうよい。
※ファフの尾が詠唱中のレオンを薙ぎい吹き飛ぶ
レオン:ふぅぐ・・・! がっ・・・・!
ファフ:これで解ったであろう・・汝が我を滅ぼすなど・・・夢物語であると。
レオン:まだだ・・! まだ私・・・は!
※ファフの尾が更にレオンを叩きつける
レオン:がっ・・・ふぁ・・・ あ・・・ぁ・・・
ファフ:汝は十分に強い、人としてはな ・・・最後はせめて、一息で逝かせてやろう。
※ファフニールの口中に光が集約し始める
レオン:くっそ・・・! ここまでか・・・! 申し訳・・・ありません・・・!カスティーリア様っ・・・!
カスティ:レオン・・・必ず帰ってきて・・・
レオン:!? カスティーリア様!? な・・・なんだ・・頭のなかに声が・・
!・・・指輪が・・・何だこの光は・・・光が・・・続いて・・・
レオン:あれは・・・ フラジールの・・・ どういう事だ・・・ はっ!
Mカスティ:この指輪はね、本来対になる物があったらしいの。
レオン:対になる・・・ まさか・・・! んん!くぅ!
※フラジールの大剣に必死に手を伸ばす
レオン:もう・・少しだ・・・っ! んんんっ! あぁ!
※レオンがへし折れた大剣に手を触れた瞬間
レオン:うっ・・! なんだ・・! 光が・・・!
ファフ:・・・!
レオン:これは・・・
ファフ:その黄金の輝き・・・ まさか・・・!
レオン:バルムンク・・・・ 伝説に謳われた、竜をも穿つと言う聖剣・・・
ファフ:馬鹿な!汝は選ばれたと言うのか・・・ その剣に・・!
レオン:あぁ・・・ 今なら解る・・どうやらそうみたいだ・・・ この剣が・・・フラジールの魂が私に教えてくれた!
ファフ:ならばその剣諸共、この世から消え去れ!
レオン:これで最後だ・・・ ファフニール!
レオン:輝け!黄金のニーベルング! 今こそ我に力を示し、天に昇りて大地を穿つ槍となれ!
汝のあるべき姿に還れ・・・ジ・エリオ・ラグナ・ブレイク!!
ファフ:グ・・・グオオオオオオオオオオオオ・・・・・
レオン:が・・ がはっ・・ 相打ちか・・・ 神を相手に相打ちなら・・・ 悪く・・・ 無い・・・か・・・
ファフ:レオンハルト・・・ 人の身で有りながら我を滅ぼすとは・・・ いや・・・ もう人では無いか・・・
さらばだ・・・レオン・・・
・
・
・
レオン:ん・・・ 私は・・・ な・・・何故生きて・・・ はっ! フラジール!
レオン:フラジール・・・ 君は・・・何時から知っていたんだ・・・
ん・・・? 体が・・・ 傷が・・!? 何故・・!?
レオン:・・・・
レオン:ファフニール・・・ 私は本当に・・・これで良かったのだろうか・・・
せめてこの剣と・・・我が友と共に・・・静かに眠ってくれ・・・
-ステアニール王国 場内-
カスティ:なんですって・・・ レオンが・・・!?
レオン:・・・・
カスティ:レオン!?
レオン:カスティーリア様、竜の心臓・・・ 只今手に入れて参りました。 ここに・・・。
カスティ:大変・・・ 血だらけ・・! 誰か!すぐに傷の手当を!
レオン:いえ、心配はご無用です。 これは返り血を浴びただけの事・・
傷は・・・・ もう治りました・・・。
カスティ:な・・治・・? あぁ・・・いえ、良く・・無事で戻られましたね・・・
・・・? フラジールは・・・フラジールは何処です・・・?
レオン:かの竜と戦い、騎士の名に恥じぬ使命を、最後まで全うしました・・・。
カスティ:そんな・・・ あぁ・・・フラジール・・・・ ごめんなさい・・・ ごめん・・なさい・・・
レオン:全ては騎士としての誓いを立てた時から、覚悟は決まっての事。
どうか・・・お気を病まぬ様・・・
カスティ:わかっては居ても! そんな事は解って・・・いても・・・
レオン:それよりこれを、王の元へ・・・
カスティ:そう、ですね・・・ そうでした・・・ ありがとう。レオンハルト・・・
レオン:この命、何時でも御身の前へ・・・
-ステアニール王国 謁見の間-
カスティ:この度は危険な任務、ご苦労でした。
レオン:はっ 有り難き幸せ。
カスティ:ここに、この者の栄誉を讃え、ステア・ニール十字勲章を授けます。
そして、カスティーリア・セレニア・ツールド・ホル・ルドラゴン・ステア・ニールの名において
勇者(ヘルト)の称号を授与する事を宣言致します。
レオン:光栄の極み。
カスティ:今日この場に、フラジールの姿が無いのは、非常に残念に思います・・・
辛い旅でしたね・・・本当に・・・本当にお疲れ様でした・・・ そしてありがとう・・・レオン・・
-何処かの港町-
?:それから程なくして王は死んだ。
竜の心臓は万病に効く薬なんかじゃあなかった。
ましてや竜の呪いなんかじゃない。って事だ。
その後、神官達は大慌てでな。
偽の情報に踊らされて戦士長一人を亡くしちまった、だの・・
俺達が嘘を付いて偽物を渡していた、だの・・・
本当に散々な有様だったよ。
あいつは邪竜なんて呼ばれていたけれど、決してそんなモンじゃぁ無かった。
じゃあ、何なんだって?そいつぁ俺にもわからねぇ・・けど、そんな気がするんだ。
悪魔に取り憑かれていたのは・・・俺たち人間の方かもしれないな・・。
ん? その後お姫様はどうなったかって?
さぁ・・どうだろうな・・・ 俺も国を出て、世界を見て回る事にしたんだ。
この足でな。
あぁ、ちゃんと断りは入れてきたぜ?
あの時のカスティーの顔は、未だによく覚えているよ。
そして今日、この日の今、俺はこうしてこの場所に居る。
ん? 俺の名前かい?そんな事はどうだっていいだろう?
何だよ、どうしても知りたいってのかい?
しゃあねぇな・・・俺の名はレオ・・・ いや、この名は捨てたんだ・・
ジークフリート。 そう呼んでくれ。
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