高エネルギー分解能三軸分光器

HER@C11

High Energy Resolution triple-axis spectrometer at C11 port 

by ISSP NSL Masuda group

概要

高エネルギー分解能三軸分光器HERは中性子を用いて物質の構造とゆっくりとした運動を探査する実験装置です。研究用原子炉JRR-3のC1-1ビーム孔に設置されています。東大物性研共同利用プログラムを通じて全国の研究者に開放されています。利用希望者は、東大物性研益田までご相談ください。

HERでできること

■サブmeVの精密スペクトル測定 (AMATERAS, HRC@J-PARC とのコラボが有効)

■小q領域(q > 0.027Å-1)の高q分解能回折実験  

■長周期構造(分解能0.01A-1)の格子不整合反射の観測

■試料サイズ スキルミオン小角散乱実験でV=1mm3、m=0.7uBの測定実績あり

試料環境:GM冷凍機、1K冷凍機、3He無冷媒冷凍機、希釈冷凍機、6T縦磁場マグネット、横磁場マグネット

HODACA計画

多重アナライザ・検出器を装備したHOrizontally Defocusing Analyzer Concurrent data Acquisition spectrometer, HODACA, をコミッショニング中です。HODACAのウェブページはこちら。HODACAを中心的に設計・建設した菊地帆高氏の博士論文はこちら2022年9月にオークリッジ国立研で開催されたワークショップでのHODACA講演資料はこちら。興味のあるは、益田までご連絡ください。

主な仕様

モノクロメータ       PG002 垂直集光、120 mm(H) x 70 mm(V)  

入射エネルギー       2.2meV < Ei <12meV

アナライザ                  PG002 垂直水平集光

サンプルステージ  -8°< 2θ< 126°

サンプル位置             サンプルゴニオメータから高さ20mm

コリメータ                   1st: Niミラーガイド, 2nd: 10',20',Open 3rd: 20',40',80', 3 Radial Colls for HFA 4th:  20',40',80’

フィルタ                        Be /PG 自動切換えフィルタ@試料上流

ビームサイズ             25mm(H)x40mm(V)

ビームタイムスケジュール

ビームタイムカレンダーはこちら

マニュアル

HER分光器のマニュアルはこちら。(以下のSPICEマニュアルも含みます。)

HERはオークリッジ国立研で開発された分光器ソフトSPICEで制御されています。利用できるコマンドを示した簡易マニュアルはこちら

装置ログ(HER & HODACA)

C11の装置ログは電子化されています。まとめサイトはこちら

装置責任者に指示されたgoogle documentに下記情報を記述してください。前サイクルまでの装置ログは紙媒体のものをC11キャビンのデスク棚に保管してあります。

(1)日付、Experiment number. この行は文字フォントを一つサイズアップさせて、ページ左の見出しに日付とExperimental numberが現れるようにする。

(2)主に使用するエネルギーでのモニターカウント

(3) アクリルスキャン

(4) 横集光アナライザを使用する場合、使用するEfとTA-THの値

(5) トラブル事象

試料缶情報

物性研標準試料缶の図面はこちら

横集光アナライザ情報

典型的なEf(kf)での横集光アナライザ条件は下記の通り。CCWに当てた時の数値は一番下段にあります。

バックグラウンド情報

非弾性散乱実験時のバックグラウンド情報です。Flat Analayzerで0-1 cpm、Horizontal Focusing Analyserで3-4cpmです。分散曲線が急峻で集光による利得が少ない場合は、Flat Analyzerを用いたほうがバックグランドが低くS/N比が向上するケースもあります。

HFA (Guide-open-Be/PG-Sample-Be-RadCol-HFA-open)

Ef=4.2meV

3-4 cpm (exp54, scan53)

HFA (Guide-open-Be/PG-Sample-Be-RadCol-HFA-open)

Ef=5.0meV

4 cpm (exp56, scan49)

Flat (Guide-open-Be/PG-Sample-Be-RadCol-FlatAnal-open)

Ef=3.6meV

1-2 cpm (exp56, scan73)


ダイアリーモータデフォルト値

通常動かさないモーターのデフォルト値は下記の通り

XS=-1.5, YS=1.580, RXA=-0.041, XA=-0.186, RXM=1.020, XM=1.550 

8月10日C11日誌より

C11ダイアリー

2020年9月からのHERの作業記録は、こちらにございます。

Graffiti

SPICEデータを手軽に見るソフトGraffitiはこちら

その他、開発したソフトウェア(Windows only)

※ これらのソフトウェアは東京大学物性研究所益田研究室の菊地帆高が個人開発したものです。何か問題があった場合は(hodaka.kikuchi[at]issp.u-tokyo.ac.jp)まで連絡下さい。

1. SPICEのlog fileを読み込み、fileの最終行をfileが更新された直後にslackへ自動送信するプログラム。SlackにIncoming Webhookを設定し自動送信したいチャンネルのURLを取得してください。"history.txt"もしくは"logfile.txt"を選択して下さい。個人的には"history"の方が良いと思います。

ソースコードはこちら(githubのリンクです。)

spice_slack_bot.exe

2. 一定間隔でスクリーンショットから数値データを読み込みCSV fileへ書き込むプログラム。dilutionなどのlogが残せないSE用に作成しました。位置設定で範囲を指定(ドラッグで反映されます)し、指定時間ごとにSSを取り文字起こしします。Tesseract OCRを使用しているため、本ソフトをインストールするPCにtesseractをインストールし環境pathに追加してください。デフォルトであればC:\Program Files\Tesseract-OCR\をpathに追加すればよいはずです。(追加スクリプトでjapanese script, japanese verical script, javanese, japanese, japanese(vertical)の5つを選択するようにして下さい。)

基本的に白背景に黒字であればなかなかの精度で数値を読み込んでくれます。それ以外の場合にはSSを変換する等処理する必要があります。outputファイルには1列目に年月日、2列目に時間、3列目に読み取った文字列を記入するようになっています。データは積算されていくので上書きされることはありません。

ソースコードはこちら(githubのリンクです。)

SS_OCR_read.exe

3. 一定間隔でスクリーンショットを保存するプログラム。dilutionなどのlogが残せないSE用に作成しました。位置設定で範囲を指定(ドラッグで反映されます)し、指定時間ごとにSSを取り"year/month/day_hour/minite/second.png"というファイル名で指定したディレクトリに保存します

ソースコードはこちら(githubのリンクです。)

SS_temp.exe

エネルギー分解能

典型的なコリメータ条件のエネルギー分解能はこちらです。

Al2O3波長較正

方法はこちら。関連するmatlabコードはこちら

Analyzer校正

方法はこちら

Al2O3標準試料格子定数

a = 4.75881(5), c = 12.9943(2) Å 

XRD測定データ

Al2O3standardx-raydiff_Rietveld.pdf, 1000017_CuKa_fit_220615.out, 1000017_CuKa_fit_220615.pcr, 1000017_CuKa_fit_220615.prf

中性子フラックスのEi依存性

ここにあります。

偽のピークに注意

Efの5/4倍のエネルギーで観測されるピークは、偽ピークである可能性があります。

例 3.75 meV@Ef=3meV, 4.5 meV@Ef=3.63 meV
詳細はこちらをご覧ください。

C11装置担当者のためのTIPS

TIPSはこちら

MCAマニュアル

マルチチャンネルアナライザの簡易マニュアルはこちらです。メーカーのマニュアルはこちらです。

採択課題リスト

採択課題リストはこちら

過去のHER@C11ホームページ

2005年~2011年

2005年以前