【実習内容】
(状況により予定が変更される場合がある。以下のURLなどで確認すること)
※ ドローン(Mavic Air等)を使って,生物の分布や密度を明らかにする.さらに,ドローンソフト(DroneDeploy等)で,事前に飛行ルートを決め,自動操縦で生物各種の分布図を作製する. なお,班分けを行い,1班(3名程度)に1台のドローンを使用する.
(1) ドローンとドローンソフトの基本的な操作法を学ぶ.
(2) 有明海特産種(ムツゴロウなど)・準特産種(シオマネキなど)・特定外来生物(ヒガタアシ)を対象に,軟泥で立ち入ることが難しい干潟生物の分布を,ドローンを使って明らかにする.
(3) 岩礁における生物の帯状分布を,ドローンを使って明らかにする.
※ 野外実験・室内実験の合間には,ウミホタル,ナメクジウオやミナミハンドウイルカなどの生態観察も行う予定である.なお,実習の内容は天候などによって変更する場合がある.
実習期間:2024年 3月22日(金)〜3月28日(木)
定 員 : 12名
締 切 : 2024年 3月 1日
詳細は,こちら(外部サイト)
有明海・八代海には,国内ではここにしかいない生物(有明海特産種)や,他の海域ではほとんどみられない生物(有明海準特産種)が多数生息しています.底生動物では,アリアケカワゴカイ・アズキカワザンショウ・ウミマイマイ・ヤベガワモチ・フタツトゲテッポウエビ・アリアケヤワラガニ・ハラグクレチゴガニ・ヒメモクズガニ・オオシャミセンガイ・アリアケシラウオ・エツ・ムツゴロウなどが有明海特産種,ナメクジウオ・ヒメケフサイソガニ・シオマネキ・ムツハアリアケガニ・アリアケガニ・シマヘナタリ・クロヘナタリ・ゴマフダマ・センベイアワモチ・コケガラス・ハイガイ・アゲマキ・ウミタケ・ミドリシャミセンガイなどが有明海準特産種にあたります.
これらの生物の多くは,中国大陸の黄海周辺にも生息する種で,日本が大陸と陸続きで,有明海・八代海が『古黄河』の河口だった頃(約2万年前)の生き残り(大陸系遺存種)です.
有明海特産種には,軟泥干潟(非常に細かい泥でできた,歩くのも難しい軟弱な干潟)や塩性湿地(ヨシ・フクド・ハママツナ・シチメンソウなどの塩生植物が生育し,潮の満ち引きの影響を受ける海岸の湿地)に生息するものが少なくありません.ムツゴロウ・ヒメモクズガニ・ハラグクレチゴガニ・ウミマイマイ・アリアケカワゴカイは軟泥干潟の,アズキカワザンショウ・ヤベガワモチは塩性湿地の代表的な有明海特産種です.その意味では,軟泥干潟や塩性湿地が最も有明海・八代海らしい場所と言ってもいいでしょう.
残念ながら,有明海特産種には,オオシャミセンガイやアリアケシラウオのように,国内では個体数が減少している種類が少なくありません.また,生息地の多くが悪化・消滅した種も多く見られます.特に塩性湿地など潮間帯上部や潮上帯に住む種の多くが,絶滅の危機に瀕しています.