歯科医院前の看板を立て替えました。以前のものが、20年以上経過して診療時間や診療科の文字が読めなくなってしまったからです。
どうせお金を払うなら、趣味的な感覚を取り入れようと、業者の方とお話しし、下の写真のようなものが出来上がりました。
私は登山、というか自然の中を走ったり歩いたりすることが好きで、時間があればよく近場の低山を歩いたりするのですが、低山、といっても、薄暗い森を抜ける長いトレイル(登山道)の歩きでは道迷いが起きることがあります。一人で歩いていて「この道って、草に覆われているけど、ホントに目的地に行けるのか・・」、という気持ちになってきます。
そんな時に安心するのが、歩く先の木々の間からひょっこりと立っている写真のような道標(みちしるべ、どうひょう)を見つけた時です。長い間この道を通り抜ける登山者への安心役をしていたのでしょう。何十年もかけて味のある道標もあります。
「はざま歯科」も、そんな歯科医院にしたい。口のことでお困りな方への問題解決への案内役になりたい、・・というような思いで、このデザインを思い立ちました。
さて、今後雨風にさらされていくのでしょうが、そんな試練をこの看板は「味のある」風化をしていくのでしょうか。楽しみです。
院長の略歴について
1958年2月にこの場所で誕生しました。地元の小学校(笠寺小学校)卒業、東海中学、高校を経て愛知学院大学歯学部に入学し、卒業しました(1983年)。在学中は軽音楽部に所属し大学生活を満喫しました。
卒業後の進路は、一般開業歯科に就職するか、大学の医局に残るかのいずれかの進路を考えるのが当時の歯学部6年生の悩みどころでしたが、いきなり世間の風に吹かれるのも心配だし、両親が寛大で、卒後すぐに就職し独立しなくても、修行をした方がいいという言葉もあり、口腔外科学教室に入局することにしました(しかし、現在と比べ、その頃は、歯科医がまだ不足しているので、早ければ卒後数年で大学の助手(助教)の職を得ることができる歯科業界でした)。
入局後は医局から紹介された病院などでバイトをしながら大学での診療もし、口腔に関するいろいろな疾患を勉強する機会を得られたのは貴重な経験となっています。2年目からは総合病院(名古屋エキサイカイ病院)に出向することとなりました。そこで総合病院の中での歯科の立ち位置についても学ぶ機会を得ることができました。ここは救命センターも設置されている大病院で、外傷の急性期患者さんの口腔外科的な処置も経験できました。
また、この病院とその後名古屋大学附属病院で麻酔科の研修も行っています。卒後5年目に大学に戻り、教授からテーマを与えられ研究も行いながら臨床に臨む日々となりました。大学での目標は、学位の取得、口腔外科認定医の取得が二本柱でした。また、口腔がんの患者さんの主治医になることも一つの目標でした。
一応その目標を達成し、5年間の大学での臨床を終え、卒後10年、1993年1月にこの「はざま歯科」を開設することとなりました。開業後は、一般歯科の診療に励んでいます。また、名古屋市歯科医師会が運営する名古屋歯科保健医療センターにて、障害を持つ患者さんの診療も経験しました。障害者歯科からまた摂食嚥下機能に問題のある患者さんへの対応の研修などもしています(・・が、難しいです)。
歯科医師会では南区歯科医師会、名古屋市歯科医師会の仕事をしています。行政を含め多職種の方々との協力により、この地域の方々の歯と口腔に関してのさらなる健康向上をめざそうと考えています。趣味はスポーツ(以前はマラソン、今は低山の登山)、音楽、写真などですね。
2022年4月記
現代のう蝕の発生プロセスの考え方
臨床を長く続けていると、う蝕の成因について疑問がわいてきます。
すなわち、口の中を清潔に保っている患者さんでも、歯と歯の間(隣接面)や、奥歯の溝(咬合面)に小さなう蝕ができる人がいる一方、タバコのヤニや歯石が多く付着しているにもかかわらず、う蝕が見られない患者さんがいます。
このように歯科医師が誰しも感じている現実をカバーするような研究が進み、21世紀ころになり、カリオロジーという分野が注目されるようになりました。その中で、う蝕は特定の細菌のみで発生するものではないという仮説が提唱されるようになりました(非特異的プラーク仮説)。
つまり歯垢中にある莫大な量と種類の細菌叢のバランスが崩れることによりう蝕が発生すると考えられるようになってきました(生態学的プラーク仮説)。これによりますと、う蝕は細菌叢のバランスが変化し酸産生菌の割合が多くなることにより発生するというものです。
う蝕の発生プロセスをミクロの目で見てみましょう。歯の表面では常に常在菌により産生された酸により脱灰が行われていますが、それに抗う唾液の緩衝作用によって再石灰化がまた常に行われています。しかし遊離糖類を多く含むジュースやお菓子を摂取することにより歯垢内の環境が酸性になる時間が多くなると、耐酸性のある細菌の割合が増え、さらに歯垢内の酸性化が進み脱灰をおこなう状態が優位になって、分子レベルでのう蝕が進行し、エナメル質が破壊され、臨床場面で見る実際の「穴(う窩)」となります。これがう蝕のプロセスと考えられるようになりました。
また、マクロの視点から見ると数十年前の教科書ではう蝕は、歯質、糖分、原因菌の3条件が重なったときに発生すると言われましたが、現在では、う蝕の発生にはその他、多因子が関与していると考えられています。それは、個人の体質のみでなく、家庭的、社会的な環境まで考えないといけないということです。このように考えれば、むし歯になりやすい人、なりにくい人が存在する理由も理解できると思います。
参照:Dental Caries The disease and its clinical management
(2022年11月記)
はざま歯科30周年のご挨拶
はざま歯科は平成5年1月に開業し、令和5年1月で30周年を迎えました。
この30年の間、地域の方々のお口の健康についてかかりつけの歯科医院として努めてまいりました。今後もスタッフ一同業務に邁進する所存です。よろしくお願いします。
(2023年4月記)
チームメイトの募集要項を簡潔に説明します。