Research Topics

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研究内容

1. 半導体性カーボンナノチューブの分離と薄膜トランジスタ応用

カーボンナノチューブはカイラリティと呼ばれる側面構造の違いによって、金属的な性質を示すカーボンナノチューブと半導体的な性質を示すカーボンナノチューブと分類されます。近年、応用が期待されている薄膜トランジスタへ向けては、半導体性カーボンナノチューブのみを選択的に集める必要があります。我々はグラジエントカラム法や水系2相分離法などによって、半導体カーボンナノチューブを精製する手法を開発しました。さらに分離した半導体カーボンナノチューブを用いて作製した薄膜トランジスタは、未分離カーボンナノチューブにはない優れた特性を示すことが確認されています。

2. 集合構造制御による高性能ナノカーボンエレクトロニクスの創出

ナノカーボン物質を様々な電子材料として応用する場合、集合体および複合体の集合構造を制御しなければ、優れた性能のデバイスを得ることはできません。我々は化学的なアプローチによってナノカーボン材料の集合構造を制御することで、優れた特性を示すデバイスの実現を目剤しています。現在までに熱架橋性アミンポリマーを利用したフレキシブルCNT-TFTや、硫黄修飾グラフェン/金属クラスター複合体のバッテリー応用などを報告しています。

3. カーボンナノチューブの内部空間を利用した新奇1次元物質創製

カーボンナノチューブはsp2炭素原子からなるチューブ状構造の物質です。極めて安定な物質であることに加えて、その内部は中空であることから、その内部空間を利用することで様々な新しい1次元ナノ物質を合成することが可能です。我々は選択的な脱ハロゲン化反応や水素結合ネットワークといった従来にはない分子化学的なアプローチによって、出発物質の骨格を保持したまま連結させる新合成法を開発してきました。原料分子の骨格を活かした1次元ナノ物質の合成が可能なったことで、今後は1次元ナノ物質特有の新たな物性を見出すとともに、内包に伴うカーボンナノチューブの物性制御へと繋がることが期待されます。

4. 系中トリフルオロメチル化を利用した不安定金属内包フラーレンの単離と性質解明

金属内包フラーレンはフラーレンとよばれる球状sp2炭素分子の内部に、希土類などの金属原子が存在する物質です。通常のフラーレンとは異なる物性を示すことが注目されており、様々な構造の金属内包フラーレンが単離されています。しかし、依然としてその不安定性のために、物性どころか構造さえ未解明な金属内包フラーレンも数多く存在しています。我々合成系中でトリフルオロメチル化する方法で、多くの未踏内包金属フラーレンの単離と構造決定に成功しています。現在、共同研究によって光物性などの性質解明に取り組んでいます。