本展示は、「カジノ」や「競馬」の持つスリルや楽しさを体験してもらうと同時に、賭け事にのめり込むことの怖さやリスクについても考えるきっかけを提供することを目的とする。近年、ギャンブル依存や違法賭博といった問題が社会的な関心を集めている。一見楽しい「遊び」も、行き過ぎることで深刻な問題へとつながる可能性があるのだ。本展示を通して、来場者の皆さんにはその楽しさの裏にある現実にも目を向けていただきたいと考える。テーマは、「カジノ × 競馬」のワクワク・ドキドキの世界。ここでは「運」だけでなく、「計画力」や「運動能力」も求められる。賭けるのは、お金ではなく名誉とプライド。ゲーム性とメッセージ性を融合させた展示をお楽しみあれ。
現在、日本ではスマートフォンの普及により、SNSを利用する人が急増中だ。それに伴い、SNSを通じたトラブルや被害に遭う危険性も高まっていると考えられる。このような現状を踏まえ、12HRではSNSの危険性について考えてもらう機会を提供したいと考えた。そこで、「SNSで知り合った人の家に行った結果、監禁され、そこから脱出する」という設定をもとにした体験型の展示を企画する。この体験を通じて、SNSの光と闇の両面、特にその危険性をより身近に感じてもらえるはずだ。
多くの人は地震=津波 or 建物の倒壊といったイメージを持つあだろうが、地震の危険はそれだけではない。昨年発生した能登半島地震や、今後予想されている南海トラフ地震などでは、多くの人が「家屋の倒壊」や「エレベーター内での閉じ込め」によって生き埋めになる可能性が指摘されている。南海トラフ地震では、最大2万3000人が閉じ込められると予測され、このような事態は決して他人事ではないのだ。本展示では、地震による「生き埋め」や「閉じ込め」の危険性に焦点を当て、それを実体験に近い形で感じてもらえるように工夫した。単なる知識の提供ではなく、参加者が体験を通して震災の危険性を「自分ごと」として捉えられるようにしてほしい。
トマトはとても美味しく、栄養も豊富な野菜だが、苦手な人も多くいる。そこで私たちは、子どもだけでなく大人にもトマトを好きになってもらいたいという思いから、この展示を企画しする。私たちがモデルにしたのは、スペイン南東部にある小さな町・ブニョールで毎年8月に開催されている「トマト祭り(La Tomatina)」。この祭りでは、廃棄予定のトマトを使い、参加者たちが互いにトマトを投げ合うのだ。世界中から人々が集まり、見知らぬ人ともトマトを投げ合うことで、自然と笑顔が生まれ、仲良くなることができる。この展示でも、参加者にはトマトを思いっきり的に向かって投げてもらう。スペインの町を赤く染めたあとは、投げたトマトを回収して「玉入れゲーム」を行い、後片付けまで体験できる。この展示を通じて、「楽しさ」と「絆の深まり」を感じてもらうと同時に、「楽しんだあとはきちんと片付ける」「他人に迷惑をかけない」というマナーや教訓も学べるよう工夫した。参加者の皆さんには、トマトを通して新しい発見や交流の楽しさ、そして責任ある行動の大切さを体感していただきたいと考える。
ある日、弟が風邪をひいてしまい、大好きな夏祭りに行けなくなってしまった。そんな弟のために、あなたは「おつかい」を頼まれる。弟がほしがっていたものが書かれたメモを手に、夏祭りの屋台をめぐってアイテムを集めていく。この展示では、「おつかい」という日常的な体験を通して、家族の一員としての自覚を育て、頼まれることへの責任感を学ぶことを目的としている。また、私たちのために日々頑張ってくれている家族、特に親への感謝の気持ちを改めて感じてもらいたいという思いを込めた。この体験を通して、「誰かのために動くこと」の温かさや、「ありがとう」と言いたくなる気持ちを感じてほしい。小さなおつかいの中にも、大きな思いやりと成長のチャンスが詰まっているのだ。
現代社会にはさまざまな世代ごとの課題が存在するが、私たちは自分の世代に関わる問題には関心を持っても、他の年代の問題には無関心になりがちだ。この「世代間の無関心」こそが、よりよい社会の実現を妨げる要因の一つであると私たちは考えた。展示は「人生ゲーム」をモチーフにしており、参加者はすごろくのようにマスを進みながら、4つの世代ごとに設定された社会問題に関するミニゲームに挑戦していく。各ゲームで獲得できる「所持金」を競うことで、楽しみながら社会問題への理解を深められる体験型の展示だ。この展示は、単なるゲームではない。異なる世代の問題に対して「知る・考える・感じる」ことで、他人ごとだった社会問題を「自分ごと」として捉え、未来に向けた関心と行動の一歩につながることを願う。
現在、「EXPO2025 大阪・関西万アク博」が開催されており、世界中から大きな注目を集めているだろう。しかし、パビリオンの建設の遅れや「空飛ぶクルマ」の運行休止といった課題やハプニングも相次ぎ、話題性とともにさまざまな問題点も浮き彫りになっている。そんな中、万博の存在を「なんとなく知っている」人は多くても、「どんな内容なのか」「何を目指しているのか」、さらに「1970年の大阪万博では何が行われていたのか」まで理解している人は少ないのではないか。加えて、実際に現地へ足を運べる人も限られており、万博の本当の魅力に触れられない人が多いと感じている。1970年と2025年、2つの大阪万博を比較しながら、万博の意義や変遷、そして未来へのメッセージを学べるような内容にすることで、来場者が「万博とは何か」を体験的に理解できるような展示とした。
半面教室のみを使い、学校祭を楽しめる展示に当てはまるタートルトークにした。テーマの戮力協力は全員が力と心を合わせるという意味がある。クラス全員で力と心を合わせることで、タートルトークを素晴らしいものにでき、1つのものを全員で作り上げることの楽しさを知ることができる。また、ディズニーシーにあるアトラクションを真似た展示であり、カメ役が客に質問をしたり、客がカメ役に質問したりしながら展示を進行する。
年生は1年生らしく無邪気に楽しむことを忘れず、先輩にならい、来場者の方に歴史に触れるよい機会にしたいと考え、ユーモアあふれる恐竜を選んだ。近年数の減少している射的の楽しさを感じてもらい、フォトスポットが注目されていることを利用して空間を盛り上げる。来場者の方に恐竜の世界を肌で感じて楽しんでもらえるような体験型展示。来場者の方には恐竜の視点になって射撃、ボール転がしに参加してもらう。
Switch2が発売されたことで、「ゲーム依存」が更に問題視される可能性がある。海外でゲームの影響から殺人事件が起こった。今は健全で正しいゲームとの付き合い方を再考することが必要だ。「ゲーム中の出来事だと思っていたが、実は現実世界で起きていた」という体験型展示。展示ではゲームの世界で銃を撃ってもらう。そして現実の世界はどうなっていたのか。
冤罪は誰でも加害者、被害者になること、盲目的な正義感のもつ危険さをメッセージとする展示。袴田事件の無罪判決から少し時間が経ってしまったが、人々の冤罪事件への感心が冷めてはならないと考える。旅館で起きた事件に対し、来場者の方は探偵として証拠を集め、犯人を特定する。果たして命運はいかに。
「報復関税」「貿易摩擦」という言葉を耳にするようになった。国家間という遠い存在のような「関税」。実はすぐそばの問題である「関税」について考える機会をつくりたい。ある2カ国は自国のため関税を互いに引き上げるが、この”報復合戦”はヒートアップしていくという設定。そして、経済バトルによって私たちの生活が変わってしまっていることに気づく。来場者の方には関税という壁を越えるため、ミッションを達成してもらう。
浜松北高は進学校として知られているが、来場者の方はその魅力を十分に理解していないかもしれない。今回の展示で「勉強だけではない北高の魅力」をより多くの方に知ってもらい、中学生の中から多くの浜松北高を志す生徒が生まれ、北高の発展へと繋がることを願っている。入口は入学式、出口は卒業式。来場者には北高の行事をモチーフとしたミニゲームの体験型展示。また最後のイベントにも注目。
私たちの体は多くの細胞から構成され、器官を形成し高度な機能を発揮するが、日常生活の中で体内に意識を向ける機会は多くない。この展示は体内に広がるダイナミックな働きを直感的、能動的に感じられる体験型展示。血流をイメージした空間から心臓へ進み、心臓でコースが分岐し、異なる器官へ進んでいく。器官がどのように生命活動を支えているかを理解し、生命その尊さや体の仕組みへの興味感心を高める機会となることを目指す。
サラエボ事件でセルビアの青年がオーストリアの皇太子夫妻を撃ったことは本当に悪なのか?ハンガリー帝国はセルビア人系の人々が住む国を支配し、それに対抗するために引き金を引き、戦争が始まった。しかし、戦争がないことは幸せに直結するのか?植民地化や自由を奪われたかもしれない。来場者には展示の中で銃を撃つか撃たないかを選択してもらい、今世界で起こっている戦争や紛争について、考えるきっかけを持ってほしい。
世界には1200ほどの動物園、水族館がある。動物園で飼育されている動物は楽しそうに見えるかもしれないが、実際は自由に動くことができず、限られた空間で生活している。来場者には、「もし自分が動物の立場だったらどう思うか」を体験してもらいたい。お化け屋敷という設定で入場してもらうが、中に入ると自分は展示される側だったと気づく仕掛け。この展示で、動物がおかれている現状について考えるきっかけになってほしい。
現在、若者を中心に”闇バイト”が広まり、実行役として活動し、警察に逮捕される事案が後を絶たない。被疑者は、「金が欲しかった」という軽い気持ちで応募している。指示役は応募者の個人情報を把握しているため、応募したものが闇バイトだと後から気づいても、逃げることはできず、実行せざるを得なくなる。実際に闇バイトがどんなものか実感がわかないだろう。そのため、闇バイトを体験し、啓発活動を行っていくべきである。
SNSや検索エンジンでは、ユーザーの過去の行動に基づいて情報が自動で選ばれ、フィルターバブルが生まれる。その結果、自分にとって都合の良い情報ばかりを信じやすくなる。展示では、来場者が選ぶ質問内容とタイミングによって、殺人事件で誰が怪しいか変わってしまう。限られた情報で犯人を探し出すことは、フィルターバブルと似ている。そのような状況の中で目にする情報に対してどう向き合うべきか、改めて考えてほしい。
「動物の権利」とは、動物が人間によって搾取や虐待をされずに、自然のままに生きる権利があるという考え方。「種差別」という言葉が作り出されてから、数多くの問題提起と権利運動が行われてきた。具体的には「動物実験」や「食肉問題」といったものが議論の的になってきた。サーカスで娯楽の一つとして消費される動物の一生は、彼らが持つ権利に値するのか。この展示で、動物の権利について考えるきっかけになればよいと思う。
恐竜はかつて地球を支配していた最強の生物といえる。展示ではタイムマシーンに乗り、そこで銃を持って恐竜を密猟している不審者を発見する。ガイドが、タイムマシーンで過去に戻った人が違法に恐竜を捕まえたり環境破壊したりしていたこと、そしてそれが現代の地球でも起こっていることを伝える。今までに多くの生物が乱獲によって絶滅しているという事実を多くの人に知ってもらい、展示を通して乱獲について考えてもらいたい。
「闇バイト」が社会問題となり、話題を集めている。しかし多くの人はインターネットの中だけで起こる非日常的なものだと思ってしまうだろう。展示では、来場者に意味を知らせずに謎解きゲームに参加してもらう。自分が犯罪に加担したと気づくのは罪を犯した後。〈被投性〉こそ非力さの根拠として現存在を〈責ある存在〉、〈不条理〉として〈不安〉の起源に存するものではないか。驚きとともに闇バイトの存在を感じてほしい。
最近、国内外で話題となっている闇バイト。自分には関係ない話と感じる人もいるだろう。しかし、実際には誰の身にも起こり得ることである。普段の生活に潜んでいるかもしれない闇バイトにつながる道を体験することで闇バイトの実態を少しでも知ってほしいというテーマを設定した。アトラクションを楽しみながら、いつの間にか闇バイトに関わってしまっていたという切り口から闇バイトの身近さ、恐ろしさをお客さんに共有したい。
新型コロナウイルスの脅威が一時よりも落ち着きを取り戻し私達の生活は制限のない、かつてあったものに戻ってきている。しかし、私達は本当にここで安心しきってよいのだろうか。最近では感染症に対する人々の意識の弱まりをふとして時に感じることが多いが、コロナの影響が下火になった今こそ、備えを手放してしまうのではなく次なる脅威に対応するべく意識を強めていかなければならない。この展示はそんな私達の「慣れ」や「油断」に対して警鐘を鳴らすものである。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」この言葉はフランス王妃マリー=アントワネットの言葉で「あった」。フランス革命時、彼女の言葉と信じられていたこの言葉は、後世になって赤の他人の発言であったと判明した。本当の事実が曲解されて拡散され、噂が人づてに広がり、真実と全く異なることが事実とされてしまう。我々はそこにSNSによるフェイクニュースという問題との類似性を見出した。36HRでは「もしフランス革命時にSNSが存在したら」をテーマに展示を作り上げる。SNSというネット上の目に見えないつながりの中で起こる分断が現実化するとどうなるかをこの展示を通して考えてほしい。
時は幕末、所は京、集まる武士が佐幕派と攘夷派に分かれ、血で血を洗う争いを繰り広げていった。思想の違い、それだけで何万もの人々が死んでいく時代に、攘夷志士の横暴を止めるべく、京都市中の秩序維持を請け負っていたのが新選組である。話し合うことも、何かを言葉で伝えることもできず、時代の荒波に飲まれていく恐怖を体験して、あなたは何を思うのだろうか。好き勝手に総理大臣の悪口を言える。内戦のニュースをテレビで見て家族と怖いね、なんて語っていられる。そんな現状のありがたさを見つめ直すきっかけとなればいい。
18世紀の産業革命以降、科学技術は急速に発展し、まさに『魔法』のように人類をさらなる発展に導いたが、それに伴い環境破壊など深刻な問題も山ほどもたらされた。我々は科学技術という『魔法』に取り憑かれ共存するべき自然を破壊し、結果として、本来もたらされる幸福を自ら遠ざけてしまっている。科学技術は環境を壊す兵器でも利益追求の競争道具でもなく、地球や人類の幸福を追求するための『魔法』であるべきだ。38HRは、この展示が自分たちが創り出すであろう未来の科学技術の発展に対して考えるきっかけになることを願い、制作に至った。
現代社会では、スマートフォンやSNSの普及により、薬物へのアクセスがより簡単になっている。匿名性の高いSNSは、違法取引の温床となり、特に若年層においては「好奇心」や「ストレス」、「現実逃避」といった心理的要因から薬物へのハードルが非常に低くなっている現実がある。この展示では、可愛い病院の裏に潜む薬物の恐怖をストーリー仕立てで体験してもらうことにより、薬物依存の現実を身近な問題として捉えてもらうことが目的だ。薬物依存の問題は、決して遠い世界の話ではない。私たちのすぐ近くに、その危険は潜んでいる。この展示を通して、「薬物の恐ろしさ」と「社会的支援の必要性」を自分ごととして考えるきっかけになれば幸いだ。