岩石薄片(クロスニコル)
これまで、マグマの発生から固結に至る各過程における現象(具体的には、初生マグマの生成、マグマの分化・混合、マグマの地表での堆積など)および島弧初生マグマの生成に関与するスラブ由来流体の放出および上昇プロセスについて、火成岩岩石学・地質学・実験岩石学・地球化学などの物質科学的手法にこだわって研究してきました。2022年度から所属する産総研・地質調査総合センターでは、「火山地質図」シリーズの作成に係る野外調査と研究にも従事しています。
これまでの主要研究現場
利尻火山(2015年4月〜)
大学院1年次からのフィールドです。火山体を構成するカルクアルカリ系列の安山岩がマントル由来苦鉄質マグマと地殻由来珪長質マグマの混合で形成されたものであることを明らかにしました。また、同時期に少量活動し、現在の山頂部を構成する岩石であるアダカイト質のデイサイトマグマが、利尻直下に沈み込んでいる太平洋プレートに由来することを示し、それらがスラブ由来超臨界流体が水流体とメルトの2相に分離し、分離したメルト成分から生成したマグマであることを解明しました。さらに、Na/K 比で2タイプ(低 Na/K タイプ玄武岩と高 Na/K タイプ玄武岩)に分類できることが知られていた本火山の玄武岩について、前者の初生マグマは超臨海流体がフラックスとなって生成していたのに対し、後者は超臨界流体が水流体とメルトの2相に分離した水流体がフラックスとなって生成していたことを明らかにしてきました。
渡島大島火山(2021年3月〜)
渡島大島火山は日本で最大の無人島でもあります。様々な化学組成の火山岩が分布するほか、さらにそれらにはマントルおよび地殻を構成していたと考えられている超苦鉄質岩および苦鉄質深成岩がゼノリスとして含まれています。2021年に、北海道大学の第一講座 OB である早川氏が学生時代に採取された火山岩試料を譲り受け、研究を開始しました。研究費を獲得することが出来次第、自身でも島に渡って現地調査を行い、本格的にマグマの成因に関する研究を開始したいと考えています。
岩木火山(2022年4月〜)
産業技術総合研究所・地質調査総合センターが発行している「火山地質図」を整備するための野外調査および研究を行っています。2022年度からは年間数十日間の野外調査を継続しています。岩木山は弘前市の西方約 10 km 程度の距離に位置する第四紀複成火山です。最新の比較的大きな(= 地質記録として残る)噴火は西暦 1600 年に発生したと考えられており、気象庁によって活火山にも指定されています。我々は後期更新世以降の岩木山の噴火履歴を解明するために、火山体全域での地質踏査を実施しています。弘前からほど近い、大変美しい火山ですので、ぜひ皆さんにも訪れていただきたいと思います。
研究に使う主な道具
・岩石ハンマー
・偏光顕微鏡
・蛍光X線分析装置(XRF)
・誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS, MC-ICP-MS)
・電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)
野外調査で愛用している双眼鏡(Nikon MIKRON 7×15) →