Rosette

SECRET STORY

装甲が剥がれボロボロになったクラッドの中心にコアのような結晶が見えた。

それは魔女が武器に使っている「シーラコア」の輝きにも似ている。


クラッドが出す擦り合うような不快な金属音は、幼い頃の出来事を思い起こさせる……。


――私の父は目の前でクラッドに殺された。その時の記憶が今でもフラッシュバックする……。そのクラッドは、荒廃した大地を探索するラガルトの調査隊の前に突如として現れた。父は私やラガルトの仲間を逃すために立ち向かい、都市へ帰ることはなかった。そして、最後に生き残ったのは私だけだった。


戦闘中も感じていたが、クラッドは明確な意思を持って行動しているように見える。都市に向かってがむしゃらに侵攻するだけでなく、戦況が悪いと見れば撤退もする。

クラッドがどうやって生まれ、エンクラティアにやってくるのかは分からない。だが、明確な意思を持って行動し、装甲の中心には「シーラコア」と似た物体が見える……。


もしかして、魔女が使う魔法と同じ原理で動いているのか?

そうだとしてシーラコアが適合者なしに自律稼働することなどあり得るのか?

私たちが相手にしているクラッドの意思はどこから来ているのか……。


ああ!分からねぇ!

考えてもしょうがないし、ひとまずラガルトの仲間を守ることが出来たから良かったじゃねぇか。そのうちきっと何か分かるだろうさ!