僕はクラッドを探して手柄を独り占めするために、よく都市の外へ出かける。

ある日、相当な遠出をしてみたら打ち捨てられた建築物を見つけた。昔はそこにも人が居たんだろうね。

そこを散策してもほとんどの物は朽ちていて、金目のものは何も残ってなかった。

唯一、目についたものは、＜愛の物語（あいのものがたり）＞という手書きの絵本。

字は読めなかったけど、そこに描いてあった絵は何となく理解できたよ。

――そこは、同じ顔をした少女が何人も存在する世界だった。

でも「同じ顔をしたある一人の黒い少女」がみんなに対して何か反発している。

その黒い少女は孤立していって、いつしかみんなから虐められてしまった。

そこから先はページが破れていて見れなかったけど、最後のページだけは残ってた。

「Hack the future. Show your DUNAMIS ――」だったかな。

あと、その下には「Philia」と書かれてたよ。

そういえば、以前にも同じ文字列を見たことがあったなぁ。

もう一度、あそこへ行く必要があるかもしれない。根拠はないけどそう感じるんだ。