人間中心型情報投影ロボット
Ubiquitous Display(UD)
近年,固定な場所に情報を投影することだけに満足せず,どこでも情報投影のできる移動プロジェクションが求められる.このようなニーズを背景に,プロジェクタを搭載した移動ロボットが開発された.例えば,株式会社Cerevoが開発したTipronは,プロジェクタ機能に加え,移動ロボットを搭載,壁や天井のどこにでも角度を変えて80インチのプロジェクションができる. また,様々なシーンで生活をサポートしてくれる家庭用ロボットKeeckerは,プロジェクタ,スピーカー,カメラやセンサなどを搭載し,自宅を自在に自走しながらエンタテインメントから防犯まであらゆるシーンで活躍している. さらに,立命館大学の李研究室では,2006年から人に対してより分かりやすく快適な情報提供を目的として,人間中心型情報投影ロボット,Ubiqutious Displayを開発してきた.
しかし,現在の教育ロボットは主に初心者,子供などのプログラミング技術,ロボット知識を全然持っていない人に向けたものがほとんどであり,プログラミング技術を持ち,ロボット知識を学習しにくい人に向けの教育ロボットは少ない.これらの人はほとんどロボットを研究し始めるプログラミング経験のある大学生・院生などの研究初心者である.一方,様々な技術の融合体であるプロジェクタ移動ロボットは,複数のデバイスを搭載しており,学習すべき内容が高度だったり,複雑だったりするため学習しにくい.もし研究初心者向けに開発された教育プロジェクタ移動ロボットがあれば,やさしく様々な技術を同時に学習することができ,ロボット技術のさらなる普及につながると考えられる.
ミニUD(Mini Ubiquitous Display)
教育手順
これらの問題を解決するために,ミニUDと呼ばれる学習用カメラ・プロジェクタ搭載移動ロボットを提案する.学習者がミニUDを活用して,移動ロボットからカメラ・プロジェクタまでの様々な知識と融合技術を体験しながら学べることを目的としている.
ミニUD(Mini Ubiquitous Display)は,カメラ・プロジェクタ搭載の対向二輪型移動ロボットであり,ラズベリーパイが全システムを制御する.車体はギヤ付きDCモータとロータリエンコーダからなるものが使われ,車体の上部には小型DLPプロジェクタとRGBカメラを搭載する.また,カメラ・プロジェクタのチルト角はアクチュエータによってコントロールされ,投影を行う.
移動ロボットの制御とキャリブレーションや画像投影を体験的に学習することができ,移動ロボット知識やカメラ・プロジェクタ知識を学習できる教材を開発し,基礎知識を学ぶ同時に,課題探求能力や問題解決能力を養えるようにする.小型カメラ・プロジェクタ移動ロボットが提供され,異なるレベルの人でもプログラミングすることができ,研究初心者がいち早く本格的なロボット,あるいはカメラ・プロジェクタ研究ができるようにする.