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研究室の指針 :「機能性の多置換有機分子の立体多様性合成を目指して新規の触媒開発をする 」

「標的化合物合成の研究」か「新規合成法の研究」か? 

 有機合成化学の研究対象として,特定の天然有機化合物や医薬品など合成を目的にした 「標的化合物合成の研究と,新規の反応を開拓したり,新規の触媒を開発したりする 「新規合成法の研究に大別されます。後者の研究により,目的化合物の合成が従来より 合成段階が少なく簡単に達成できることにつながり,さらに,新規な化合物の合成へと発展します。新規合成法の研究対象として,「多様性指向有機合成」があり,これは多くの 種類の有機化合物の誘導体を簡単に合成する研究です。「標的化合物合成の研究」が,標 的化合物の構造や生物活性が人類の生活の上に役に立つので合成自体に意味があります。 一方,「新規合成法の研究」は,人類の生活に役に立つ化合物を発見するため,手当たり次第に沢山の誘導体を合成し,その生物活性を調べることを目的にしています。 


「多様性指向有機合成」 

 医薬品開発において,実際に使用できる化合物の発見確率は約3万分の1と言われてい ます。単純に計算をすると,一人の研究者が一年に医薬品の候補となる新規化合物を100 合成したとしても,一つの医薬品を開発するには300年かかり,同じ能力の10人の研究者 で行っても30年かかるということです。医薬品の発見確率を上げるには,候補となる化合物を短時間で多く合成すると,発見する年限を短縮できます。合成法が難しく,合成ステ ップが多段階に渡ると,限られた期間で合成できる数は限られてしまうので,一段階の反 応で混ぜるだけの操作ならば,新規化合物の合成の数をこなすことができます。すなわち,「簡単,早い,大量」に合成するための有機合成の手法として多様性指向有機合成という概念が提案されています。 

「キラル触媒による立体選択的かつ立体多様性・多目的合成」 

 不斉炭素を持つ化合物は,その立体化学に応じて生物活性が異なるので,多様な立体化学のをもつ化合物を合成する必要があります。ただし,生物活性を妥当に評価するため に,多様な立体化学の混合物ではなく,単一の立体異性体を選択的に合成すること必要が あります。そして,多様な化合物・多様な立体異性体を作り分ける方法として,触媒によ る合成反応の制御が提案されます。当研究室では,生物活性の可能性を秘めた多置換有機分子の立体選択的かつ「立体多様性・多目的合成」を目指して新規の触媒開発をしています。 


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触媒有機化学研究室 紹介PDF (2024年度に配属される学部生向けです!)

研究室紹介_2024.pdf