古墳を動かしてみよう≫≫
御領古墳群3D画像集
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御領古墳群3D画像集
「御領の古代ロマンを蘇らせる会」では、御領古墳群にある古墳を3D 画像にして記録する試みを行っています。240基を超える古墳御領古墳群の一部を三次元の世界で探検していただければ幸いです。
・スマートフォンでご覧の方は、ページ左上の三本線からご覧になりたい古墳群をお選びください。
・3D画像はデータ量が大きいため定額制のWi-Fiなどを使用されることを推奨します。
御領古墳群とは
広島県府中市から福山市を流れる芦田川流域に広がる神辺平野の東部にある福山市神辺町 に、縄文時代から中世にかけての集落跡「亀山遺跡」「大宮遺跡」「御領遺 跡」があります。どの遺跡からも弥生時代の環濠跡がみつかっています。 御領遺跡を東西に古代山陽道が通り、山陽道の北側には備後国分寺があ ります。この御領遺跡の北の「御領山」東西約3キロ、南北約2キロに分 布する10支群から成る群集墳が御領古墳群です。
大東古墳群・張田古墳群・奈良原古墳群・上御領中組古墳群・八丈岩古墳群・上御領下組古墳群・下御領古墳群・法童寺古墳群・表山古墳群・国分寺裏山古墳群の支群があり、2013年からの当会の分布調査により約240基が確認しています。その内、約220基が古墳時代後期の6世紀後半~7世紀前半に造られた横穴式石室を埋葬施設とする直径10~20mの円墳または方墳と考えられます。同時期の群集墳としては中国地方以西で最大規模です。
昭和3年発行の『御野村郷土史』に、かつては870基以上の古墳があったが、砂留の築造で古墳の石が転用され多くが破壊されたと記されており、全国最大規模の群集墳が存在した可能性があります。
2017年には、古墳時代初頭(3世紀後半~4世紀初頭)に遡る可能性がある前方後円墳・大東大仙山古墳(全長約47m)、2019年には、古墳時代前期の前方後円墳の形状を持つ江草古墳(全長55m)を確認し、その他にも弥生時代後期の土器が散布する前方後円形の地形が複数確認されたことから、前方後円墳発生に深く関係した地域である可能性も浮上しています。
古代、神辺平野東部には「吉備穴国(きびのあなのくに)」があったと伝わり、古墳群の南に広がる平野に全国最大級の面積を誇る古代集落遺跡「御領遺跡」があることから、吉備穴国の中心部と想像され、前方後円形の墳墓は吉備穴国を治めた首長墓と考えられます。そして、横穴式石室は家族墓であることを考えると、数百基の群集墳の存在は、当時、御領遺跡は大人口をかかえた古代都市であったことを物語っています。
御領遺跡とは
御領遺跡は広島県福山市神辺町御領地区の平野部、東西約1.6㎞、南北約1.4㎞に広がる大規模集落跡です。縄文後期~中世の遺構が確認されており、弥生後期~古墳時代前期が最盛期だと考えられています。
これまでに発掘調査が行われたのは、遺跡の範囲のわずか1%ほどともいわれています。しかし、そこから見つかった遺構や遺物は、いにしえの御領の営みを物語るに足るものです。縄文後期の住居跡、農耕具、人工水路、弥生前期・中期の環濠、そして弥生後期後葉の土坑からは、大型準構造船が描かれた伊予産と見られる壺をはじめ、山陰・山陽・四国北部など各地から持ち込まれた土器がまとまって出土し、近くの竪穴住居跡からは朝鮮半島産の土器も出土しています。
弥生終末~古墳初頭頃には、出現期の前方後円墳祭祀に使われた加飾二重口縁壺が複数出土しており、ヤマト政権勢力拡大の拠点的な集落であったことがうかがわれます。『国造本紀』には吉備の9か国に国造が任命されたことが記されています。そのひとつである「吉備穴国造」が置かれたのがまさに御領遺跡のある神辺平野だと考えられます。
『御領発古代ロマン 遺跡・古墳・砂留』(2015)
探索!御領の古代ロマンシリーズ
①『大東古墳群‐古墳時代の夜明け』(2017)
②『弥生の首長墓群』(2020)
③『穴国の前方後円墳‐28基の前方後円墳が語り始めた吉備穴国の姿とヤマトとの関係』(2024)
御領古墳群エリア別ガイド
『古墳の丘・きつね岩』(2017,2020,2024)
『上御領中組古墳群・八丈岩』(2018)
『奈良原古墳群・お月さん』(2018)
御領の古代ロマンを蘇らせる会の活動
◇分布調査と測量
御領遺跡の北陵にある通称「御領山」から派生した尾根を探索して横穴式石室や墳丘を探索し、GPSで位置と古墳の開口方向を確認、メジャーで石室の規模を計り記録
◇古墳周辺の整備
240基ある古墳群の中から歩きやすいルートを選び、見学道の整備
古墳周辺の雑木・倒木の撤去、草刈り
古墳案内看板の設置
◇普及活動
「御領古墳群スタンプラリー」「御領古墳群探検隊」「土器づくり体験」などのイベント開催
御領古墳群・御領遺跡・会の活動の成果をまとめた冊子の発行
御領古墳群ガイドブック、古墳群ハイキングマップの製作
講演会の開催
古墳群見学ガイド
御領古墳群PR動画『御領の古代ロマン―見渡す限り古墳―』製作
当会設立から3D画像集作成までの経緯
2012年偶然山城跡らしき石垣をみつけたことから始まった里山探索。その後、みつけた一つの古墳が新発見だということを知り驚きました。さらに道なき道を進むと、次々に現れる古墳。
御領の山には古墳がたくさんあると言われていましたが、公的な分布調査は行われていませんでした。
そこで、有志の皆さんとどれほどの古墳があるのか探してみることに。古墳をみつけると、GPSで位置を確認し、メジャーで大きさを測り記録します。約2年間で230基の古墳を確認しました。
2014年10月、地域の方からのお力添えもあり、「御領の古代ロマンを蘇らせる会」を立ち上げ、それまでの活動で記録したことを紹介する冊子『御領発古代ロマン 遺跡・古墳・砂留』を発行。
その後も古墳探しを続け、2022年現在で240基の古墳を確認しています。古墳時代初期の前方後円墳から終末期の横穴式石室を持つ古墳まで、西日本最大規模の古墳群が御領の山に眠っていたのです。
御領古墳群の公的な調査が叶わないなかで出会ったのが、スマートフォンやドローンで撮影した3D 画像データの活用です。石室や墳丘を立体的にとらえた臨場感のある画像を見ることができるだけでなく、石室と墳丘のサイズや高低を計測することも可能です。古墳の3D撮影をご紹介くださった方のサポートを受けながら、個々の古墳の3D画像を残す取り組みを始めました。随時画像を増やしていく予定です。