2024年度から本格始動したGlobal R&Dチーム。理系だけでなく文系学生や多様な専門性を持つ社会人も巻き込み、国際学会発表や論文投稿を通じて、社会的インパクトのある研究活動を推進しています。
大学生・大学院生にとっても貴重な海外学会への参加・発表機会もあり、理系・文系を問わず、自分の専門や関心を生かして研究に挑戦することができます。博士号取得者である社会人メンバーが研究の進め方から論文執筆、学会発表まで丁寧にサポート。さらに、これまでに参加した学生たちの経験をもとに、研究活動を継続的・組織的に行える仕組みづくりも進めています。
活動概要
活動実績
'24年10月に行われたAsian Conference on Pharmacoepidemiology (ACPE 2024) にて、研究内容に関するOral Presentationを行いました。
'25年8月に行われたInternational Society for Pharmacoepidemiology (ISPE 2025)にて、ポスター発表を行いました。
'25年12月に行われる12月に行われるAsian Conference on Pharmacoepidemiology (ACPE 2025)にて、学生5人が1つずつテーマを持って発表を行う予定です。
'26年9月に行われたISPOR Asia Pacific Summit 2026 (ISPOR 2026)にて、社会人/学生の計5名が1つずつテーマを持って発表を行いました。
研究内容
ISPOR Asia Pacific Summit 2026 (ISPOR 2026)での発表
日本では、COVID-19流行下で医療環境が変化する中、外来でのがん治療を推進する政策が進められてきました。本研究では、外来で使用される抗がん剤について、処方動向の推移を年齢・性別・薬剤カテゴリー別に分析しました。
薬剤耐性(AMR)への対策として、日本では抗菌薬の使用量削減や適正使用を目的とした政策が段階的に導入されてきました。本研究では、COVID-19流行前後を含む期間の抗菌薬の使用状況と医療費の推移を分析し、使用量や薬剤カテゴリー別の変化を検討しました。
バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と品質・安全性・有効性が高く類似した医薬品です。日本では、バイオシミラーの利用を促進するため、2020年以降、医療機関への加算などの政策が段階的に導入されています。本研究では、2019年度から2024年度のデータを用いて、政策介入期間におけるバイオシミラーの利用状況と生物学的製剤の医療費の推移を分析しました。
日本では、精神科の長期入院が課題となっており、地域生活への移行を促進するための制度改正が進められています。2022年には精神保健福祉法が改正され、2024年4月から本格施行されました。本研究では、全国の調査データを用いて、制度改正の前後における精神科の長期入院患者数の推移を、年齢層別・都道府県別に分析しました。
在宅透析は、患者が自宅で治療を行う透析の選択肢の一つです。日本では、2022年度の診療報酬改定で在宅腹膜透析(HPD)への遠隔モニタリング加算が導入されるなど、在宅透析を支援する取り組みが進められてきました。本研究では、診療報酬改定後の在宅腹膜透析の利用状況を、年齢・性別・都道府県別に分析しました。
今後の取り組み
プレスリリース
メンバーの声
比嘉 結
文系の私にとって、医療や統計を扱う研究は、当初は自分から遠い世界のように感じていました。それでも、海外学会で発表する先輩方の姿に憧れ、「こんな機会は今後ないかもしれない」と思い、R&Dに飛び込みました。
医療や統計の知識がなく、現在もキャッチアップに苦労することはありますが、学んでいくうちに、研究で扱うテーマは決して自分の日常と無関係ではないという発見がありました。普段服用する抗菌薬の位置づけや処方の背景を知ったり、同じ事象でも統計的な見方によって異なる側面が見えてきたりすることに奥深さを感じています。専門外だからこそ得られる新たな視点もあると知り、今後も興味を持ったことには、分野にとらわれず飛び込む姿勢を大切にしたいです。
私は看護学生として授業でヘルスケアについて学んではきましたが、腹膜透析という一つのテーマについて考察を深め、現地でポスター発表を行うことは初めての経験でした。多くの方に支えていただきながら、自分なりに研究と向き合い、発表という形にできたことは大きな学びとなりました。また、講演や他の発表を聴講する中で、ヘルスケアを様々な角度から捉える難しさと面白さを実感しました。一つの疾患や治療にも、多様な背景や立場を持つ人々が関わり、より良い医療のために尽力されていることを、現地の空気や発表者の熱量から強く感じました。今回の学会参加は、自らの見聞を広げるとともに、これからヘルスケアに携わる一人としての思いを新たにする貴重な機会となりました。
私は2024年からGifTs Global R&Dチームで活動していますが、本チームの研究活動を通じて、感じたことを大きく三つ紹介させていただきます。一つ目は、メンバーの協力体制です。日ごろの活動では、データ解析や先行研究の調査など研究に必要な作業をメンバーで手分けして進める体制をとっているほか、自分の取り組んだことやアウトプットを他のメンバーにわかりやすく共有することも意識しています。チームワークの大事さを実感する機会が多い点がとても印象的です。
二つ目は、専門知識だけでなく「伝え方」が問われることです。例えば、分析で得た情報から何を伝えるかを取捨選択し、日本の医療制度を海外の方にどこまでの粒度で分かりやすく伝えるか。研究には専門分野への理解が欠かせないのはもちろんですが、いわゆるソフトスキルも同じくらい重要だと、この活動を通して気づかされました。この学びは理系の大学院生である私の普段の研究にもそのまま生きており、GifTsの活動と大学の研究の相乗効果を感じたところでした。
三つ目は、データ分析とはこういうことか、と理解を深められた点です。活動を通じて、臨床の方々からの視点を伺う機会もあり、それを分析した数値と結びつけて考え、データと現実社会がつながったと感じられた瞬間には大きな納得感があり、そこがデータサイエンスの醍醐味の一つであると感じました。