海外ポスドクを始めるまで1

海外で研究活動ためにはいくつかの方法があると思います。ここでは、ある程度の長期間の滞在について私の経験を交えながら記録を残したいと思います。短期滞在は科研費や民間の助成を利用すれば何とかなると思いますので、ここでは対象としないことにします。

長期間の滞在を行うためにはある程度のまとまった収入が必要です。最所に、どのように海外での生活費を準備するかを考える必要があります。そこで考えられるのが、以下の3パターンのいずれかになると思います。

私はAとBを検討しましたが、結局Cの方法で海外ポスドクを始めています。私の検討は以下の通りです。


博士後期課程3年次

学位取得後すぐに海外で研究を行うため、学振の海外特別研究員に申請しました。上記Aに対応します。若手研究者も申請できるためか競争率が高いため、学位取得後すぐに採用されることは簡単ではなく、残念ながら不採用となりました。しかし、申請を行うことは滞在先の研究者とつながるための重要な一歩でした。申請を完了するためには、受入研究者からの受入承諾書 (letter of interest) が必要となります。これは学振の申請システムを通して受入研究者が提出するものです。よって、申請を完了するためには、事前に必然的に受入研究者と打ち合わせをし、受入の承諾をとり承諾書の発行作業を依頼する必要が出てきます。

私の場合は申請直前の3月にメールでアポを取り、1週間は返事が来ず、再度送ると返事があり、日程調整しteamsで打合せしました。ちょうど打ち合わせの数日前にサマータイムに替わり、焦ったことを覚えています。幸い相手方の教授がteamsのカレンダーに予定を入れて下さっていたので問題ありませんでした。打ち合わせでは博士論文の内容や、相手方の研究室でどういったことをやっているか、自分が行った場合どのようなことができるかを確認しました。受入承諾書についてもあっさり理解してもらえました。

結果発表後は不採用を伝えたのですが、海外の奨学金制度の案内を頂き申請したり(上記Bです、大学でのセレクションの時点で不採用となりました)、別途採用頂いた学振PDとして短期滞在することについて打ち合わせを行いました。また次年度の国際学会で会うことについても話しました。


学振PD1年目

幸い学振PDに採用頂いたので、比較的自由に研究活動を行うことができました。学振PDの研究課題と関係するテーマで短期滞在を検討しました。滞在先での生活費を確保するため、学振PDの奨励費や研究費以外の収入があるに越したことはありません。実際、制度上では勤務時間さえ規定に収めれば学振PDとして給料をもらいながら滞在することは可能です。しかし、実際に話を進めていくと難しい問題が出てくると思います。私の場合、滞在先の大学で滞在をするには身分が必要で、「ポスドクの身分を持つのであればフルタイム以外で給料をもらいながら滞在することはできない(time part jobは不可)」という規定がありました。学振の規定を遵守しないと恐らくとてもまずいので、個人的には学振PDとして海外滞在するためには全て自分で費用を準備するのが良いと思います。もしかすると、交渉次第では渡航費や海外旅行保険の分を返してもらう、といった方法が可能なのかもしれません。