今昔之感
~再発見,過去と現在をつなぐもの~
~再発見,過去と現在をつなぐもの~
ごあいさつ
世界を襲った新型コロナウイルス感染拡大の危機は,ようやくその長いトンネルを抜けた感がある.とはいっても,まだまだ油断は許されず,学校は感染予防に努める責務を負っている.これまでの数年間は,学習院高等科でもオンラインによるリモート授業やオンデマンド授業,分散登校などを経験し,学校行事の中止や縮小も含め,従前の学校生活からは想像できない日々であった.
2023年度を迎え,高等科もコロナ禍以前の日常を回復しつつあり,授業は一年間を通して対面による通常の授業スタイルに戻り,本講座でもその集大成として受講生によるミニ展示の開催を目指すことになった.その成果として,ここに「今昔之感~再発見,過去と現在をつなぐもの~」を公開するするものである.
このささやかな取り組みを実施するにあたり,本講座開講前の2022年12月には,動機づくりとして東京国立博物館で開催された「150年後の国宝展」を見学した.この展覧会はとても刺激的で,大いに参考となった.そこでみた様々な展示資料にヒントを得,それぞれが自宅から持ち寄ったモノに向き合い,一年間かけてそのモノを多面的,多角的に考察し,創作したのが本展示である.
期せずして集まったモノは,実に多岐にわたり,古い貨幣やマッチ,ひと昔前の工芸品や電子機器などのほか,自分自身で採集した標本まで広がり,受講生が今昔を感じ,未来に残していきたいという思いを込めて展示づくりに勤しんだ.きわめてささやかなミニ展示及び図録であるが,受講生が一年間取り組んだ成果としてご高覧いただき,さらにご批判ご叱正をいただければ,担当教員としてこの上ない喜びである.
最後に,全国各地の博物館では,コロナ対応として休館が続いた中,オンラインによるWEBサイトの充実が図られたのは苦肉の策ともいえるだろう.本講座では,この新しい様式に学びつつ今年度も実際の空間を使用しないWEB上での展示とした.様々な形で工夫を重ねた受講生諸君の努力に敬意を表したい.
諸般の事情によりこうした実践となり,これはこれで魅力的ではあるが,いつの日にかは,また往年のようにリアルな空間での展示づくりも実践したいと願っている.
学習院高等科教諭 會田 康範
学習院大学史料館助教 越坂 裕太