性能の作り方(VVVF編)その3~電流計算~
⑤基準となる段を決めて引張力分電流を計算する
④で引張力を計算できたので、ここからは電流を計算していきます。まず基準となる段を決めます。どの曲線を用いても構いませんが、引張力に対して正しい電流値が入力されている必要があります。ここでは一番頻繁に使われる最大ノッチの空車の引張力を使用します。
シートを新規作成し、空車時の最大ノッチ引張力をコピーします(数値のみ)
このようにコピーします。
電流値を計算するために、出力を求め、電力の公式を用いて電流値を算出します。
出力を求める公式は出力=速度×引張力なのでこれは掛け算します。電力を求める式は電力=電圧×電流なので電圧を仮に決める必要があります。
C列に電圧を入力しています。Maxを1とし、40[km/h]以下は速度に比例させているので40[km/h]以下は画像の通りの式を入力しています。40[km/h]以上は1です。
D列で出力を求めます。速度×引張力の式で計算させているので、A列とB列を掛け算しています。E列で電力=電圧×電流からC列の電圧で出力を割り、電流値を求めます。
引張力分電流はその1で80[A]と決めていたので、定トルク領域の電流値を80[A]になるよう、調整します。調整は80[A]がE列の2194240[A]の何倍かを求め、割るだけです。
これで4ノッチのトルク分電流が求まりました。Current.csvに入力する4ノッチの電流値はこれに+20[A]した値になります。
トルク分電流値を用いて、トルク分電流1[A]あたりの引張力[N]を求めます。
これで4ノッチの引張力分電流が求まりました。Current.csvに入力する4ノッチの電流値はこれに+20[A]した値になります。
引張力分電流値を用いて、引張力分電流1[A]あたりの引張力[N]を求めます。
⑤基準となる段を決めて電流を計算する
G列に引張力÷トルク分電流を計算します。定トルク領域の1[A]あたりの引張力は680[N]であることがわかります。この「アンペアあたりトルク」を揃えることでジャークがバグるのを防ぐことができます。
G列の値を用いて、実際に電流値を計算していきましょう。
G列にアンペアあたりトルクを値のみコピーし、I列より(引張力÷アンペアあたりトルク)+無負荷電流を計算しています。
Force.csvなどと同じ体裁で先程計算した電流値を値のみコピーして、Current.csvを作成します。
求めたアンペアあたり引張力を用いて、同じように満車引張力を使って満車電流値を計算します。
グラフにするとこうなります。これで電流値の計算は終わりです。続きまして無負荷電流と進段パラメータを設定します。
⑥無負荷電流とパラメータを設定する
Currnet0.csvを作成します。これは初めに無負荷電流は20[A]一定と決めているので、画像の通りにすれば大丈夫です。
Current0.csvで保存します。
Parameters.csvを作成します。ここでの詳しい解説は割愛しますが、
ジャークを40[A/s]に設定(空車時に2秒で所定の引張力になる)
全ノッチ戻る
仕様にしました。
これも同じく保存します。これでようやく走らせることができます。
走らせてみる
⑦試運転
物理量を開き、加速度に不自然な段差ができないかなどを確認します。10[km/h]刻みで全速度域行い、乗車率も変更しながら行います。
これで目標とする引張力特性になっていれば、作成できたことになります。
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