他の研究室との連携や共同研究も含め、多角的な取り組みを行っておりますので、ご興味のおありの方は、一度お尋ねください。
発達障害者支援法が制定され、20年弱になります。その中で、必要と感じてきたことに対して取り組んでいます。医療、学校、社会、さまざまな立場が一緒に取り組まないとならない分野と考え、皆様にご協力・ご一緒頂きながら進めております。具体的には、臨床も継続、他の診療科との連携、地域行政とのやりとり、学校現場、保育現場、教育センターとの連携、学部をまたいだ共同研究などを行っております。
後から振り返って過去の軌跡を調べる調査方法もある一方で、より正確に軌跡を調べるために前方視的なコホートが大切な場合があります。
乳幼児の発達に関するコホートは大変な労力がかかりますが、このように手厚く接していくことからわかることも多くあります。京大病院産婦人科、小児科と連動して、胎児、生後1ヶ月、10ヶ月、1歳半、3歳、6歳と身体・精神・運動発達を追跡しています。当研究室は生後10ヶ月以降を担当しています。
コホートでは、私たちも先がわからない部分があり、赤ちゃんの健やかな発達を願って、ご家族と一緒に調査を進めています。また、必要な時には、共同研究先と連携し、最先端の技術を取り入れたり、開発したりしながら行っております。
最近は、WEBアンケート調査やお子さんの歩行計測などにも取り組んでいます。
発達障害の方と定型発達の方の違いを客観的に脳機能レベルで理解し、生活上の工夫に役立てることを目的としています。より基盤的なメカニズム解明を目指しており、脳波、MRI、NIRS、自律神経、それらの同時計測などを手法としています。静的および動的な活動を捉えようと、各種工夫を凝らした課題を作成し、身体感覚、姿勢制御、2者間コミュニケーション、記憶、巧緻性などと、各種認知検査、臨床行動評価との関連も解析中です。
私たちはメンタルヘルスの維持に関しても取り組んでいます。特に、特性・発達・環境との相互作用の観点から、メンタルヘルスの破綻要因を解析し、予防と維持に役立てることを目的としています。
そのためのツールとして、国際的に頻用されるメンタルヘルススケールのASEBAの日本版をとりまとめ、ライフステージごとの自己評価・他者評価ごとに国内の標準化を行い、国際比較を通して課題を見出だし、その解決を検討しています。
ASEBAはT.M.Achenbachによって開発された行動評価のための質問紙です。乳児から高齢者まで幅広く対応し、自己評価、他者評価の両面から対象者の行動を評価できます。日本語版を取りまとめ、国内の標準化を行いました。
ASEBAの詳細や、質問紙購入については、京都国際社会福祉センターのASEBAに関するWEBページをご参照ください。
MSPA(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)は、発達障害の特性の程度と要支援度の評価尺度です。
自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害(限局性学習症)、運動の課題(発達性協調運動症)など発達障害の概念に含まれる症候群は互いに重複し、また、評価も画一的ではありません。このような中、様々な立場の方々がよりよく理解し、共通言語として取り組み、早く当事者のサポートにつながりますよう、評価ツールを開発そして普及をしております。
MSPAは、2016年4月1日より保険収載されています。
MSPAの詳細や、MSPA評定用紙、講習会の開催については、京都国際社会福祉センターのMSPAに関するWEBページをご参照ください。
※Funabiki et al. (2011). Development of a multi-dimensional scale for PDD and ADHD. Research in developmental disabilities, 32(3), 995-1003.