私の愛しのソニー・ビーン



──或いは、何故それに至ったか

1.シナリオ概要

■【想定プレイヤー数】

3〜4名

■【シナリオの背景】

 アメリカのとある街で、連続猟奇殺人事件が発生している。犯人はその街でダイナーを営むメイガスのアレクサンダー・ハリス。彼は半年前にソウルレスの犯罪によって妻であるクラリス・ハリスを失っており、またその事件によってライカンスロープ《ソニー・ビーン》と化してしまった娘、ソニア・ハリスを守り、娘に肉を食わせるために人を殺していた。 ソニアの正気は着々と蝕まれており、このままではアレクへと牙を剝くのも時間の問題である。メイガス達が介入する事になるのは、そういったタイミングだ。

■【シナリオ難易度】

GM難易度:★★☆☆☆PL難易度:★★★☆☆

■【シナリオ傾向】

 陰惨/海外サスペンス
このシナリオはシェアワールド企画『メイガスソウル』の世界観・TRPGルール(Night Hunters ver2.0)に従って制作されました。

2.オープニングフェイズ

【夢シーン】

 早朝。咀嚼音が聞こえるキッチンで、一人の男が腸から臓物を垂れ流した状態で倒れている。 その手には新聞が握られている。その新聞の一面には、ここ半年で8人もの人間が犠牲になった事が報じられている。 男はどこか満足したような、諦めたような、そんな死に顔をしていた。

3.メインフェイズ


3人の場合:4ターン4人の場合:3ターン

【◎新聞記事】

 この情報は最初から調査項目にある。
 アメリカのローカル新聞。A市という街に関する事件がまとめられている新聞であり、朝刊と夕刊が発行されている。A市には《ハリス・キッチン》というメイガスが運営するダイナーがある。 予言の夢で見た新聞は、今から2日後の朝刊だ。
 →この情報を獲得したら調査項目に《ハリス・キッチン》を追加する。

【◎連続猟奇殺人事件】

 この情報は最初から調査項目にある。
 アメリカのA市で発生しているという連続猟奇殺人事件。半年前の1月に最初の被害者が生じ、以降8人もの人間が犠牲になっている。今も犯人は逮捕されていない。 被害者は皆、身体の一部を抉り取られ持ち去られていたと言う。 現地の警察が捜査に当たっている。《フレイド・ギーナ》という捜査官が担当刑事のようだ。
 →この情報を獲得したら調査項目に《フレイド・ギーナ》を追加する。

【ハリス・キッチン】

 A市の表通りにあるダイナー。近隣住民達の憩いの場となっている。 営業時間は午前9時から午後20時まで。店主はメイガスの《アレクサンダー・ハリス》。 一階がダイナーとしての営業フロア、二階が生活区域となっている。
 →この情報を獲得したら調査項目に《アレクサンダー・ハリス》を追加する。

【フレイド・ギーナ】

 A市の刑事である警察官。不真面目を絵に描いたような刑事で、恐喝・買収・色仕掛け、他考え得る様々な方法で情報を引き出す事が出来るだろう。 連続猟奇殺人事件の捜査に当たっており、現場で目撃された不審人物を第一容疑者として捜査を進めている。その不審人物は《ビーンズ・バー》というバーに出入りしている事が分かっているようだ。 また、連続猟奇殺人事件の被害者達からは《不審な細胞》が発見されているという。
 →この情報を獲得したら調査項目に《不審な細胞》《ビーンズ・バー》を追加する。

【不審な細胞】

 連続猟奇殺人事件の被害者から検出された不審な細胞。現在の科学では解読不能な情報が入っている。メイガスならばライカンスロープの細胞のようだと推察が出来るだろう。 何れの動植物とも異なる情報を持ちながら、敢えて具体的な部位を例に挙げるならば、唾液の細胞ではないかと考えられる。
 →この情報から繋がる情報は無い。

【ビーンズ・バー】

 A市の裏通りにひっそりと佇む薄暗いバー。その雰囲気から、この街の柄の悪い人間達の溜まり場となっている。 連続猟奇殺人事件が起き始めてから、臆病者のナットというチンピラがこのバーに通い詰めている。 ナットはビーンズ・バーに通い詰めるソウルレスのチンピラであり、昨年の12月に起きた路上強盗事件の一端を担った。その際の共犯者達が連続猟奇殺人事件によって立て続けに死亡した事から、次は自分の番なのではないかと怯え続け、酒に逃避し続けている。
 →この情報から繋がる情報は無い。

【アレクサンダー・ハリス】

 ハリス・キッチンを運営するメイガスソウル。 既婚者であり、クラリス・ハリスという妻と、身体の弱い《ソニア・ハリス》という娘が居る。昨年の12月に発生した路上強盗事件によって妻のクラリス・ハリスを失っている。犯人は未だに捕まっていない。 クラリスの死体は発見が遅れた影響か、野犬に襲われたらしく酷い姿になっていたという。12月の事件の第一発見者は現場に居合わせたソニアである。 この人物は予言の夢で犠牲になっていた人物である。
 →この情報を獲得したら調査項目に《ソニア・ハリス》を追加する。

【ソニア・ハリス】

 アレクサンダー・ハリスとクラリス・ハリスの娘。現在8歳。 生まれつき病弱であり、特に心臓に大きな病を患っていた事から、3年前に臓器移植手術を受けている。その結果《奇妙な記憶》を持つようになったという。 母親の事件が起きた際、現場に居合わせ、現地に向かった警察によって保護されている。事件のショックから現在は学校を休学し、ハリス・キッチンの二階に引きこもって生活をしているようだ。
 →この情報を獲得したら調査項目に《奇妙な記憶》を追加する。

【奇妙な記憶】

 臓器移植を受けたレシピエントは、手術前と比べて若干人格が変化する事があるとされている。ドナーの記憶を受け継いでいるかのように、嗜好や性格が変化するのである。 レシピエントであったソニア・ハリスもまた同様であり、彼女の場合は軽度の二重人格のような状態になっていたという。
 →この情報から繋がる情報は無い。

4.クライマックスフェイズ

【阻止シーン】

シーン描写《マスターシーン》

 早朝のハリス・キッチン。新聞を回収したアレクサンダー・ハリスが仕込みを行っている。その背後にソニアが近付く。アレクはソニアに挨拶をするが、ソニアはその挨拶に答えず、無邪気で虚ろな声を父親へと向けた。「ぱぱ、おなかへった」 その瞬間、ソニアの身体はライカンスロープ《ソニー・ビーン》へと変貌を遂げ、理性無き食欲のままに父親へと牙を剝いた。 アレクは娘の変化に驚きながら、それでも諦めたような面持ちで、無抵抗にその牙を受け入れる。

《阻止シーン》

阻止難度:14必須情報:《新聞記事》《アレクサンダー・ハリス》無効情報:無し判定結果:アレクサンダー・ハリスの生死 仮に阻止に成功した場合、乱入者の姿を見て、アレクはソニアに「逃げろ!」と伝えながらメイガス達の敵へと回る。

【戦闘情報】

■登場エネミー

・ライカンスロープ《ソニー・ビーン》・メイガス《アレクサンダー・ハリス》(・ブギーマン《アレク》)
※ブギーマン《アレク》は、《アレクサンダー・ハリス》よりも先に《ソニー・ビーン》が倒された場合に限り変貌する。 ステータスに関しては以下エネミーデータを参照。

【ボスの補佐役:メイガス《アレクサンダー・ハリス》】

エネミーレベル:NPC形式支配力:2d6、或いはタクティクスで決定。キャスト能力:2d6+4ガード能力 :2d6+2脅威度:なしスロット数:6レシピ:《棘》《穿孔》《貫通》《カースガード》《ガードアップ》
設定: ライカンスロープとなったソニア・ハリスの父親のメイガス。ライカンスロープとなった娘を守る為にメイガス達の前に立ちはだかる。 魔術は金属を自由に操る魔術。攻撃というよりも、どちらかというと娘へ《ガードアップ》や《カースガード》付与、或いはカバーに入るのが主な役目となるだろう。 また、ファクター・マナを用いて戦闘を行う事が可能である。 ファクターは以下の5つ。「メイガスである」「ソニアの父親である」「刃物の扱いに秀でる」「肉の解体に秀でる」「形振り構わず捨て身で行動する」

【シナリオボス:ライカンスロープ《ソニー・ビーン》】

エネミーレベル:8支配力:10キャスト能力:2d6+7ガード能力:2d6+1脅威度:3スロット数 :6レシピ:《捕食》《超回復》《範囲攻撃(凶悪)》《剛力》
設定: 母親を失ったショックでライカンスロープとなったソニア・ハリスの変わり果てた姿。彼女は最早人肉しか受け付けない体となっている。 身体中に大量の口を生じさせ、周囲へ見えない口による噛み付き・咀嚼攻撃を行う。 特性上《捕食》のレシピを有してはいるが、使用してアレクを食べさせるかの判断はGMの裁量に委ねる。

【シナリオボス2:ブギーマン《アレク》】

エネミーレベル:8支配力:10キャスト能力:2d6+5ガード能力:2d6+3脅威度:3スロット数:6レシピ:《棘》《穿孔》《貫通》《カースガード》《ガードアップ》
設定: NPC形式のアレクサンダー・ハリスよりも先にソニー・ビーンが倒された場合、アレクは絶望から姿を変えブギーマンとなる。このエネミーを使用するかはGMの裁量に委ねる。 所有レシピは変わらず、その時点までで受けたダメージも引き継ぐ(脅威度がそのまま増えるだけと解釈すればいいだろう)。 GMは支配力・キャスト・ガード能力の値が変動する事にのみ注意。 ブギーマン化した場合はファクター・マナの使用は出来なくなる。