スリー・ダニット・ミステリー



──おいで名探偵!

1.シナリオ概要

■【想定プレイヤー数】

3〜4名

■【シナリオの背景】

 ある日、メイガス達のもとにU.Nオーエンを名乗る謎の人物からの手紙が届く。 手紙にはこれからとある孤島で起きるという予言の夢の内容がしたためられており、その予言の夢の阻止をメイガス達へ依頼するという内容だった。 あまりにも奇妙な手紙ながら、その手紙に記された孤島の洋館へとメイガス達は足を運ぶ事になる。そこにはPC達の他にも、手紙に招かれたのだという4名のメイガス達が居た。 彼らが屋敷の中へと入ると、そこには8体のインディアン人形と、2人の人間の死体が、「そして誰もいなくなった」の文面になぞらえるようにして倒れていた…。
 この事件の真犯人はレジェンダリ《真犯人》であり、手紙の送り主U.N,オーエンは勿論、現地を訪れていた4人のNPCもまたこのレジェンダリによって形作られた存在である。 レジェンダリ《真犯人》は謎を求める人々の心から生じた存在であり、それ故に完全犯罪を嘯きながら、名探偵によって自らの作り出した謎が論破される事を望んでいる。PC達はそのレジェンダリの暴走に巻き込まれたのである。

■【シナリオ難易度】

GM難易度:★★★★★(柔軟な対応が求められる)PL難易度:★★★★★(柔軟な発想が求められる)

■【シナリオ傾向】

 ミステリーごっこ

■【シナリオ運用上の諸注意

 TRPGで手軽にミステリーっぽい雰囲気を遊ぶ事を目的として制作したシナリオ。 とはいえPL自身による謎解きが出来ない訳ではないが、演出の都合上、情報項目の内容がやや飛躍している為、基本的には情報項目取得による演出という形で進行を進めると良いだろう。 その分、PC達の演出やファクターの使用などの幅を、GMは広く認めるようにする事を推奨する。
このシナリオはシェアワールド企画『メイガスソウル』の世界観・TRPGルール(Night Hunters ver2.0)に従って制作されました。

2.オープニングフェイズ

【夢シーン】

「犯人は、お前だ!」 そこに立っているのはあなただ。 あなたは誰かを指差して、そうして誰かを摘発する。 その瞬間、視界は激しい炎に飲み込まれる。 何も見えない。犯人を指摘したあなたの姿も、指摘された犯人の姿も。「間違えやがった……間違えやがった!!」 炎の中で、複数人の人間の声が同時に轟く。 その声は怒号のようであり、歓声のようであり、悲鳴のようでもあった。 ……そして、誰もいなくなった。

【導入シーン】

《導入シーンその メイガス達の元に一通の奇妙な手紙が届く。 手紙の送り主は『U.N.オーエン』と書かれている。 それはこれからとある孤島の洋館で起きるという予言の夢の内容がしたためられており、その予言の夢の阻止をメイガス達へ依頼するという内容だった。
 この手紙を受け取り、孤島へ向かう、というのが導入シーンとなる。 演出は各自自由に行って構わない。
《導入シーンその2》 手紙には孤島の最寄りの舟場へ通じる通廊の術式が施されている。この船着き場でPC達を合流する事になる。 皆が挨拶を交わした頃合いに、手に手紙を持った船頭が、皆の元へと近付いてくる。「あー……ええと、探偵さんっちゅうのは、アンタ達かい?」

【マスターシーン】

 メイガス達が漁船に連れられやってきたのは、とある国の沖合にある小さな島でした。 そこは最近謎の金持ちによって買い取られたとの事で、皆さんが近付けば、その島には立派な洋館が建っているという事がすぐに分かったでしょう。「つい一時間前にもアンタ達みたいな人たちを連れてった所でさ、多分島で会えるでしょうよ。何せ洋館以外何もない島ですんで…」 そう言って船頭は皆さんを孤島へと案内すると、明日には迎えに来ると告げ、皆さんを置いて去っていきました。 そうして皆さんが洋館を目指した、丁度その時です。「キャアアアアアアアアアアアア!!!!」 劈くような女の悲鳴は、洋館の中から聞こえてきました。 悲鳴を聞いた皆さんが洋館を訪れると、リビングで4人の男女が各々の驚愕を露わにしながらある一点を見詰めていました。 視線の先には、リビングテーブルに並べられた皿に突っ伏して口から泡を噴いている青年、そしてソファに手足を縫い付けられ、そして目を縫い付けられている女性の姿がありました。 当然、二人とも、既に死んでいました。 そしてあなたたちは気付く事でしょう。彼と彼女の死体の傍らに置かれた、二体のインディアンの小さな人形に。
 四人の男女は、現れた貴方達に一斉に驚愕の目を向けます。 そうしてここに、探偵と、死体と、容疑者が揃いました。 さあ、謎解きを始めましょう。

【NPC】

【容疑者】 GMに余裕があれば、参加PL達の他のPCを使うなどすると喜ばれるかもしれない。(ただし演出上、偽物と言えども死亡シーンが入る可能性もある為、その点については事前に許諾を得ておくべきだろう) 以下にシナリオ基本の簡易NPCを用意しておく。設定上、全員メイガスだが、能力に関しては演出程度に留め、然程活躍させるべきではない。基本的には役立たずにすべきだ。
・刑部啓事(おさかべけいじ)…比較的冷静なハードボイルド系男性。               言動が刺々しい。拳銃で戦う系。・名探偵子(なさぐりさだこ)…ヒステリックな女性。こんな所に居られるか! 系。             PC達が行動を起こさない場合、彼女が予言の夢の引金を引く。             レジェンダリ的にはタイムアウトの宣言だ。             炎を操る系メイガス。・傍手蹴助(そばでしゅうすけ)…臆病者の青年。電流を操る系メイガス。・甲斐菱也(かいひしや)…穏やかで不思議な雰囲気の青年。傷を癒す系メイガス。             1ターン目終了時点のイベントで死亡する。             一人がそこに残って7人になった担当。
【初日の被害者】 個人を特定できない。

3.メインフェイズ


3人の場合:2ターン4人の場合:2ターン

【◎How done it ?

 この情報は最初から調査項目にある。 どうやら被害者は犯人によって何らかの魔術をかけられ、操られるままに自ら死を演出し、死に至っているようだ。 そうしてなぞらえているのはあまりにも著名な、既に手垢がついているといってもいい、殆どの者がネタバレを知っているような、そんなミステリーだ。 ──それは、何故?【達成値14】

【◎Why done it ?

 この情報は最初から調査項目にある。
 わざとらしく配置された証拠品。叩けば幾らでも出てくる埃。 あまりにも作為的。目眩ましのつもりだろうか? しかしそうとも思えない。 あなたの中の探偵の勘ともいえる何かが最後の後押しをする。 即ち、この事件の犯人の目的は、《名探偵》への挑戦だ。 ──しかし、何故?【達成値14】

【◎Who done it ?

 何故犯人は事件を著名なミステリーをなぞるものにしたのか? 何故犯人はわざわざ探偵へ挑むような行動を取っているのか? それは、犯人が既存のミステリーをなぞる事しか出来なかったからだ。 それは、犯人が探偵へ挑まざるを得ない存在だからだ。
 この事件の犯人はレジェンダリ《真犯人》。 この島全てが、《真犯人》によって形作られた迷宮現象なのである。 それは、この事件を構成する、被害者、そして容疑者……刑部、名探、傍手、甲斐、彼ら全てを意味している。 あなたは気付くだろう。 ──ここには、あなた達以外、最初から誰も居ないのだということを。
【初期達成値23】(情報項目が一つ開示される度に達成値は19→15と移り変わる)

【マスターシーン2】

発生タイミング:1ターン目2ラウンド目終了時》
ゴロゴロと雷鳴が聞こえ、窓に大粒の雨がぶつかった。そうして屋外は瞬く間に激しい雷雨に包まれていく。誰ともなしに、室内の電気をつける。ちかちかと明滅した後に、蛍光灯の穏やかな光が室内を照らした。「……嵐か。随分荒れそうだな」窓の外を見た刑部がぽつりと呟いた。

イベントシーン

 1ターン目終了時点で上記情報項目が全て引かれていない場合、NPCの誰か一人が被害者として発見される。 また、PCの中から一人を選び、その人間を物陰から謎の人物によって襲わせ、ダメージを1点与える。このダメージはボス戦まで引き継がれる。
【描写】 手がかりを求めて屋敷内を動き回る(PC名)。 ブツン! と、突如として屋敷の電気が落ちる。 そしてその瞬間、(PC名)の背後で、ギラリと、不気味な刃が輝いた! GMは2d6+6でキャスト判定を行い、PCはそれに対するガードを行う。
【イベントシーン】 電気が再び戻った時、(PC名)の目の前には誰も居なかった。 遠くから誰かが走ってくる音や、悲鳴のような音が聞こえてくる。「おい、大丈夫か!」 あなた達は気付くだろう。甲斐菱也の姿が無い事に。
 その後、皆の捜索によって、甲斐菱也の姿は発見される。 ……洋館の裏手。彼は崖によって巧妙に隠された入り江にある、手漕ぎボートの傍らで、無惨に頭を撃ち抜かれていた。
※情報項目が出揃った時点で、PLは自発的にクライマックスフェイズへの突入を宣言しても構わない。これ以上の調査は必要無いと判断すればそれもまた適切な判断だろう。

4.クライマックスフェイズ

【阻止シーン】

 リビングにて一同に介するメイガス達。「外は大嵐だ。この様子じゃ明日までは帰れないな」「ハァ!? 殺人犯が居るかもしれない島で一晩を過ごせっていうの!?」「そうは言っても仕方がないさ、他に方法があるのかい?」「はは、犯人は……い、一体、誰なんだ……?」 容疑者達はそんなやりとりをしている。さあ、真実をつきつける時間だ。
《阻止シーン》阻止難度:無し必須情報:《Who done it ?》orリアル推理による犯人摘発(犯人の正体がレジェンダリであるという事を指摘出来ればOK)
無効情報:とくになし判定結果:【成功時】 3〜4人のNPC達が同時に呵々大笑と拍手喝采をし、その姿が融合。同時に屋敷中から火の手がのぼり、エネミー《真犯人》(エネミーレベル8)との戦闘になる。【失敗時】 予言の夢と同じシチュエーションとなり、エネミー《真犯人》(エネミーレベル9)との戦闘になる。

【戦闘情報】

■登場エネミー

・レジェンダリ《真犯人》・レジェンダリ《四人の容疑者》×4
舞台装置・迷宮現象《炎上する洋館》…ラウンド末に全キャラクターに炎によるダメージを1点与える

舞台装置:迷宮現象《炎上する洋館》

設定: 探偵に追い詰められた真犯人は、最後の悪あがきに屋敷へと火を放つ。それが彼の役割である故に。 屋敷は炎上しながら、戦うメイガス達をその熱で苦しめる事に成るだろう。 ラウンド末に全PC・全エネミーに炎によるダメージを1点与える。 もしPCに火を消そうとする者が居た場合、キャストでダイスを振らせ、ダイスの合計数値が20以上になれば鎮火したという事にしても良い。

弱い雑魚敵:レジェンダリ《4人の容疑者》

エネミーレベル:2支配力:4キャスト能力:2d6+2ガード能力:2d6+1脅威度:0スロット数:2レシピ:2
設定: レジェンダリ《真犯人》と迷宮現象《孤島の洋館》によって発生した、謎を生み出すための舞台装置。レジェンダリ《真犯人》の分身でもある。 NPCである名探偵子、刑部啓事、傍手蹴助、甲斐菱也の四名の姿をとる。使えるレシピはそれぞれ異なるので注意。名探偵子…【カース付与:炎上】《コンボマスター》刑部啓事…【ブレス付与:貫通】《ブレスの破壊者》傍手蹴助…【カース付与:脱力】《ボディガード》甲斐菱也…【ブレス付与:カースガード】《ヒーラー》

シナリオボス:レジェンダリ《真犯人》

エネミーレベル:8(9)支配力:10(11)キャスト能力:2d6+6(7)ガード能力:2d6+2脅威度:3(4)スロット数:6レシピ:《人類の敵》《範囲攻撃》《しぶといヤツ》《混乱》《魅了》(《幻惑》)
設定: ミステリーを愛する人々の心から生じたレジェンダリ。 完全犯罪を嘯き熱望しながら、名探偵によって自らの作り出した謎が論破される事を望んでいる。 その容貌は4人の容疑者とも、それ以外の誰とも似ておらず、或いは誰にも似通った、個人の特定出来ない人影めいた姿として描写される。   様々な凶器を顕現させ、手段を選ばずメイガス達を殺そうと襲い掛かる 基本的にはとにかくお前らパニックにしてやるぜ戦法。 このエネミーが倒された場合、戦闘はそこで終了する。

5.エンディングフェイズ

【顛末】

 レジェンダリ《真犯人》は探偵達を讃え、泣いているのか笑っているのかすら分からぬ声を残し消滅する。 同時に迷宮現象も解かれ、そこには小さな荒れ島があるだけとなる。 台風も消滅し、穏やかな気候が戻って来ている。そうしてメイガス達はこの島から無事に生還する事が出来る。 その後の演出はメイガス達の自由に行わせるといい。