激走! バクソウ! スラローム
──3、2、1……GO!!
【エントリー1:奇妙なスポーツカー】
君は正体を隠してヒーロー活動をしているヒーローだ。 その日も活動を終えた君だったが、WAVEのマスコミに追われ、咄嗟に路地裏に停められていたスポーツカーの中に身を隠す。 何とかマスコミをやり過ごした君だったが、謎の戦闘機からの空爆が街を襲う! 迎え撃とうと車外へ飛び出そうとした君を乗せたまま、スポーツカーは急発進を始めた!【エントリー2:スポーツカーを追いかけろ!】
君は一週間前に発生した、バイスデバイスによるスミソニアン博物館急襲について調べているヒーローだ。 機械の巨人たちは真夜中のスミソニアン博物館を急襲し、解析中であった遺物を奪って逃げ出した。 彼らにセイント・ジェムが奪われたとあっては地球の危機だ。君は米軍全面協力下のもと、バイスデバイスの行方を追う。 そして遂に、NYを爆走する奇妙なスポーツカーがバイスデバイスの一人「スラローム8」であることを突き止めた。 君はそのスポーツカーの後を追う。【エントリー3:地獄兵団を追え!】
その日、君はニューヨークの街で平和な日常を過ごしていた。 しかしそこに地獄兵団が現れる! 君はヒーローとして彼らを迎撃したのだが、そこに所属不明の戦闘機による空爆が襲いかかった。 一台のスポーツカーが街から走り去るのを目にした地獄兵団のザ・チャンピオンが怒りの咆哮をあげる。「あの車野郎、騙しやがったな!」 地獄兵団たちはそのスポーツカーを追い始めた。無論、周囲に甚大な被害を振り撒きながら! 捨て置くわけにはいかない。真相をつきとめ、異星人たちにはご退場いただこう!【エントリー1:奇妙なスポーツカー】
【状況1】
君は正体を隠してヒーロー活動をしている。 謎めいた君の素顔はマスコミたちの関心を否応なしに引き寄せ、今日もまた、君は迷惑で厄介なWAVEのマスコミに追われていた。「PC1さん! せめてファンへ一言だけでも!」「あなたには見た目以上のものがある、我々はそれを分かっています!」 彼らを引き離すためにも、どこかに身を隠さなければ。 周囲を見回した君の目に、路上駐車されている一台のスポーツカーが目に入った。君は咄嗟にその中に隠れ、やり過ごすことにした。【状況2】
厄介なマスコミたちは去っていった。 君は安堵と共に、改めて車内を見回す。見たことのないロゴが、ハンドルの中央に位置していた。どこの会社のものだろう? 目的を果たしたことで車から出ようとしたとき、凄まじい爆撃音と揺れが周囲を揺らした! 空を見上げれば一気の戦闘機が、この車めがけてミサイルを撃ち込んでくる!『──ああああ! クソッ、マジかよ!? どれだけツイてないんだ俺は!?』 突如、カーラジオから悪態が流れた。それと同時に、車はひとりでに走り出した!【エンドチェック】
□車内に閉じ込められた□車が走り出した□奇妙な声と空爆を見た【解説】
PC1とスラローム8が出会うシーン。 スラローム8にとっての予想外は、PC1が自分の中に隠れてきたことと、予想よりも早くバイスデバイスに自分の居場所が発見されたことの二つだ。最初は黙ってPC1の潜伏をやり過ごそうとしていたが、バイスデバイスからの攻撃(戦闘機の正体はエアヘッドQである)に遭い、誤魔化すどころではなくなってしまった。【エントリー2:スポーツカーを追いかけろ!】
【状況1】
一週間前のことだ。 通報を受けた君が駆けつけたとき、スミソニアン博物館はひどい状態だった。 火の手が上がり、大地は抉れ、夜空にもうもうと立ち込める暗雲の中に機械の巨人の姿が見える。「ハァーーハッハッハ!! このマッシャーV様の手にかかれば、この程度のセキュリティなど脆い脆い!」「ついでに他のお土産も探しちゃお〜よ! ボクちゃんファミコンほしーなー!」「遊びじゃないんだ! 目的の物質は確保した、さっさとズラかるぞ!」 巨大な重機と一台の戦闘機、そして一台のスポーツカーに変形した彼らが走り出す。 君は咄嗟に攻撃を放ち、その攻撃がスポーツカーに小さな傷を残した。 だが、彼らには逃げられてしまった。【状況2】
あの日以来、君は米軍との協力体制のもと、機械の巨人たちの行方を追っている。 米軍は彼らのことを認識していた。彼らは『バイスデバイス』と呼ばれる異星人であり、地球にはセイント・ジェムと呼ばれるエネルギー物質を求めてやってきたのだと。 そしてあの日、奪われた古代の遺物の中には、謎の解析不能エネルギー物質が存在していたという。「バイスデバイスの手にセイント・ジェムが奪われたなら、この星は終わりだ。奴らはすぐにでも地球を破壊しようとするだろう。そうなる前に、対応しなくては」 解析を進める君は、ついにあの日と同じエネルギー反応を見つける。 映像を確認すれば、それはあの日見たスポーツカーだった。君が残した傷も、変わらずそこに存在している。【状況3】
「現地上空に到着しました! PC2、投下します! 3、2、1…!」 米軍の輸送機から君は地上へと投下される。 スポーツカーは一路ニューヨークを爆走している。 任意の乗り物に乗り込み、君はその後を追い始める。──その背後を、さらに別の追跡者が追っていた。 あれは……地獄兵団!?【エンドチェック】
□スミソニアン博物館から、謎のエネルギー物質がバイスデバイスに奪われた□スポーツカーを追い始めた□その背後からさらに地獄兵団が追いかけてきている【解説】
PC2は米軍と協力してバイスデバイスを追っているPCだ。基本的には組織所属というよりも、利害の一致や依頼などで手を組んでいるような関係を想定している。よってPCは軍や国家の命令を過度に遵守する必要はない。 バイスデバイスの情報は、米軍などの限られた機関は認知しているが、混乱を避けるためにそれらの情報は一般には公開されていないものとしてこのシナリオは進行する。PCがどの程度バイスデバイスのことを知っていて良いかはGMの裁量に委ねる。【エントリー3:地獄兵団を追え!】
【状況1】
その日、君はニューヨークの街で平和な日常を過ごしていた。ヒーローにだって、日常は存在する。「やあ、最近調子はどう?」「サインを……おっと、プライベートでしたか、これは失礼」 街の人々は朗らかに君を歓迎する。 だがその平和はあっけなく崩れ落ちた。空に赤い裂け目が現れ、その中から地獄兵団が姿を現したのだ! 君はヒーローとして彼らを迎え撃つ!【状況2】
その戦いの中に、奇妙な助けが入った。 突如として上空から、所属不明の戦闘機が空爆を仕掛けたのだ! その攻撃により、地獄兵団の勢いは削がれ、戦いはヒーロー有利へと傾く。【状況3】
兵団の指揮をとっていたザ・チャンピオンが1点を指差して怒りの咆哮を上げた。「あの車野郎、騙しやがったな! ふざけやがって!」「野郎ども、地球人は後回しだ! まずはブリキの巨人を八つ裂きにしてやろう! 俺たちをコケにしやがったことを後悔させてやる!」 チャンピオンの指さす先には、ニューヨークから走り去る一台のスポーツカーがあった。 地獄兵団は街への攻撃を止め、一斉にそのスポーツカーを追い始める。 捨て置く訳にはいかない。君もまた、その後を追い始めた。【解説】
PC3はニューヨークの街を拠点にしているような地元民的ヒーローを想定しているが、たまたまその日、ニューヨークで休暇を過ごしていただけでも成立するだろう。PC3とニューヨークの街の関係がどのようなものなのかを、GMは事前にそれとなく聞き出しておくと、後のクエリーに役立つはずだ。 PC3がスポーツカーを追いかける方法はなんでもいい。生身で高速移動が出来るPCなのかもしれないし、近場の車やバイクを拝借するのかもしれない。【位置関係】
【スラローム8&PC1】←【PC2】←【地獄兵団】←【PC3】
【クエリー1:こんなつもりじゃなかったんだよ!】
【状況1】
突如奇妙な車に閉じ込められてしまったPC1。 その上、背後からは地獄兵団と、謎の戦闘機、他のヒーローらしき人物まで追いかけてきているようだ。「くそッ、くそッ! 何で俺はいつもこうなんだ!? 一体何がどうなってる!? 落ち着け、落ち着けよ、どうにかこの状況を丸く納める方法があるはず…!」「うわーックラクション鳴らさないで! ごめんって! あーっまた事故ーっ!」 カーラジオからはパニックになったような声が聞こえてくる。 どういうことなのかを聞きたいのは君の方だ!【状況2】
「巻き込んだことは悪かったと思ってる! でも君がいきなりひとに乗り込んでくるのも悪いと思わないか!?」「分かってる、反省してる、本当だ! だから逃げ切ったら君は安全な場所に逃し…!!」【状況3】
君の回答に、スポーツカーはようやく落ち着きを取り戻したらしかった。「……この状況で俺が何を言ったって、君には信じられないんじゃないか?」「俺の名前はスラローム8。地球人じゃない。 ディサイマルズっていう宇宙人で、バイスデバイスって組織に所属してる、要は地球の敵だ。 ……だった、の方が正確かも」「……後部座席を見てみろ。トランクが見えるようにしてやるよ」 振り返った先、後部座席がひとりでに奇妙に組み変わっていく。トランクの中が見えるようになった。 トランクの中には、奇妙な赤い光を放つ宝石が鎮座している。「ボスからパクったんだ! 裏切り者だよ、俺は!」 ヤケクソじみてスラローム8は叫んだ。【エンドチェック】
□スラローム8の言葉に答えた□スラローム8が裏切り者であることを知った□グリットを1点獲得した【解説】
スラローム8とPC1が初めて出会うシーン。 スラローム8は予想外の状況と激しい攻撃に混乱しており、なかなか具体的な説明に移れない。しかしどう見てもワケアリだ。 そうした状況の中で、PC1は彼に対しどう接するだろうか? それがクエリーとなる。 必ずしも友好的に接する必要はない。PC1のスタンスを表明できればクエリーは達成となる。【チャレンジ1:チェイス! チェイス! アターック!】
【状況1】
PC2は背後から迫る地獄兵団の攻撃をいなしながら、前方を走る謎のスポーツカーを追っている。 人型へと変形した姿を米軍が照会する。 あれはバイスデバイスの構成員が一人『スラローム8』の可能性が高いようだ。 車内には地球人らしき人間の姿も見られる。人質であるならば救助しなければならないだろう。 どう動くにも、まずは追いつかねば話になるまい。【チャレンジ判定】
※同じPCが複数の判定を行うことはできない。【状況2】
PC2とPC3は、どうにか地獄兵団からの攻撃をかいくぐり、PC1へと追いつくことが出来た。 だがPC1はまるで君たちの追跡から逃れるように車を走らせている。いや、車が勝手に走っているのだろうか? 車内にいるPC1へ、君たちはどんな言葉を投げかけるだろうか。PC1はそれにどう答えるだろうか?【状況3】
君たちがやりとりをしているとき、上空から一発のミサイルが放り込まれる。 ミサイルは車道に命中し、橋は崩落! 君たちは川へと真っ逆様に墜落した。 濁流に揉まれ、君たちの意識が遠のいていく…。【エンドチェック】
□ヒーローたちが合流した□橋が落ちた□墜落し、意識を失った【解説】
激しいカーチェイスを繰り広げながら、PCたちが合流するシーン。 状況2と状況3の間で、PC同士の自己紹介や立場の説明をすると良いだろう(とはいえ、あまり長い時間を割いていると緊張感が薄れるので、程よいタイミングでGMは状況3へ移ってしまうと良い)。 ヒーローが空を飛んでいる等、橋の崩落に巻き込まれなさそうなタイプであれば、巻き込まれて堕ちそうになった一般人の車両を助けた結果、瓦礫にぶつかってしまったなどとして、一緒に巻き込まれてもらおう。【クエリー2:孤独な裏切り者】
【状況1】
PC2が目を覚ましたとき、周囲はすっかり夜の帷に包まれていた。 君はずぶ濡れだったが、近くには焚き火が焚かれている。他二人は未だ意識を失っているようだ。 君が周囲を警戒すれば、巨大な人影が、夜の川を渡ろうとしているのが目に入る。「……げ、起きちまったか」 人型に変形したスラローム8だ。【状況2】
PC2が一週間前に自分達と戦ったヒーローであることに気付いたスラローム8は、目を覚ました君にこんな説明をした。【状況3】
「そ、そうだったのか……なんてこった」 当てが外れたスラローム8はガックリと肩を落とす。「……でも、クリムゾン・エネルゴンは、地球人には渡したくないんだ。 お前たちに渡せば、内戦の道具になっちまうかもだし……あのセカンドなんちゃらみたいな」【エンドチェック】
□スラローム8と対話した□クリムゾン・エネルゴンのことを知った□スラローム8を引き留めた(PC2が引き止める選択を取らなかった場合、他のPCが目を覚まして逃げるタイミングを失ったことにすると良い)□グリットを1点獲得した【解説】
このシナリオのスラローム8には単体で成層圏を突破できるような飛行能力は無いものとする。 半機械生命体であるスラローム8は、ジオット人たちの戦闘狂的思考を理解出来ていない。 そのためこのような取引を、良かれと思って実行しようとしている。 また同時に、長いあいだ機械に紛して地球に潜伏し人類を観察してきた経験に基づき、人類という種族のことをあまり信じていない。 後半のクエリーにも関係するためここで口にすることはないが、スラローム8の思考は「親しい友人たち(日本の小学生たち)が守れればそれで良い」というのが本質だ。裏を返せば、それが満たせるのであれば、PCたちと一時的に手を組むことはやぶさかではない。 GMはこのバランスをうまく利用し、都合よくスラローム8を立ち回らせると良いだろう。【チャレンジ2:危険物の処理方法】
【状況1】
目を覚ました君たちは、自己紹介と互いの状況の確認を済ませた。 スラローム8が手にしたクリムゾン・エネルゴンをどうするべきか? 鎮痛な空気に包まれた車内で、君たちは互いに意見を交わしあう。【チャレンジ判定】
【状況2】
作戦の方針が固まり、君たちは一路、ケープ・カナベラルにあるケネディ宇宙センターを目指して旅立った。【エンドチェック】
□作戦方針が固まった□ケネディ宇宙センターを目指し、走り出した【解説】
クリムゾン・エネルゴンの処分方法について検討するシーン。 もしPCがぽろっと判定1の成功時の内容を思いつくのであれば、判定1の内容は割愛してもいいかもしれない。ライブ感を大事にしよう。 ここからPCたちの奇妙なロードムービーが幕をあける。【サイドトラック:道中トラブル紆余曲折】
【状況】
宇宙センターにたどり着くまでの道は長く険しいものだ。車で約16時間ほどかかる。 その道中に、PCたちはどんなトラブルに見舞われ、それをどう乗り越えただろうか? さあ、サイドトラックだ!【サイドトラック表(1d10)】
判定に参加するPCは最低1人、最高で全員。誰が判定を行うかは任意とする。 全三回のイベントを想定。GM判断で増やしたり減らしたりして良い。 この判定は、複数人で挑んだとしても、誰か一人でも成功すれば成功として扱って良い。1:【ナンパ】
補給に訪れた街で買い物をしていると、セクシーな美女三人組が君たちへ声をかけてきた。「素敵な車ね、すっごく高そう。誰の?」「ねえ、ドライブしない?」「ワオ、ヒーロー? それって最高!」 それどころではないのだが……どうにかお帰り頂こう。■判定:【交渉】or【心理】or【白兵-10%】2:【ヒッチハイク】
荒野を走る君たちの前に「助けて!」の看板を掲げた親子連れの姿が目に入る。 側にはエンストしたと思しき車がある。ヒッチハイクのようだ。「子供たちだけでも近くの街まで送ってやりたくて……助けて頂けませんか?」 子供達は見慣れないスポーツカーに興味津々だ。どうにか正体を隠し通さなければ…。■判定:【隠密】3:【ラジオ・ナウ】
長い渋滞に巻き込まれてしまった。退屈な時間が続く。 誰ともなしに、カーラジオのスイッチを押した。ちょうど音楽番組が流れていたらしく、女性アイドルグループの可愛らしい歌声が流れ出す。 その音楽を聴いたスラローム8の様子が変わった。「なんだ、このごきげんな音楽は…!? き、機体がざわめく、スパークが震える! もっとだ、もっと聴きたい! うおおお!!!」 様子がおかしくなったスラローム8が勝手にカーラジオの音源を爆音にあげる! めちゃくちゃうるさい!!!■判定:【知覚】4:【カーチェイス】
人気の少ない夜の峠を走っていると、背後から別のスポーツカーが現れた。 スポーツカーは君たちを追い越した後、わざとらしくスピードを落とす。開いた窓ガラスから、挑発的に立てられた中指が覗く。煽られている!「あ、あの地球人、舐めやがって…! おい、これは乗ってもいいよな!? 俺は負けんが!?」 スラローム8はすっかりやる気満々だ。さて、どうしよう。■判定を行う:【操縦】 or 判定を放棄する5:【パンク】
人気の少ない荒野を走っていると、突如としてスラローム8が悲鳴を上げた。「ギャーッ!!!」 そのまま人型に変形した彼は、足を押さえてのたうち回る。当然君たちは車外に放り出される。「ぱ、パンクした! 何か踏んづけたんだ! 痛い! 助けて! 取ってくれ、頼む!」 どうやら小さな何かがタイヤを傷つけたらしい。修理が必要そうだ。■判定:【科学】6:【車中泊】
夜もすっかり更けた。今日はここらで車中泊といこう。 満点の星空の下で眠りに落ちる中、スラローム8がこんなことを話してくる。「なあ。お前たちから見て、地球ってどんなところなんだ?」 何でも良いから地球のことを聞きたがる彼に、君たちはどんな話をするだろう?7:【迷子】
周囲は鬱蒼とした森に包まれている。山道に入っているようだ。 何だかさっきから同じ道をぐるぐるしているような気がする。 本当に道がこれで正しいのかをスラローム8に問い詰めてみれば…。「た、多分ダイジョーブ。うん、ちょこーっとナビがバグってるけど、ぜ、全然ヨユー、ヨユーだし?」 ……ダメそうだ!■判定:【生存】or【追憶】8:【検問】
道の先で警察が検問を敷いている。どうやら逃走中の殺人犯の追跡調査のようだ。 ナンバープレートの登録確認までしている徹底ぶりだが、スラローム8はといえば…。「ナンバープレート? え、最初に憑依した時のままだけど、まずいのか?」 このままでは盗難車扱いになってしまう!■判定:【隠密】or【操縦】or【知覚】9:【給油】
エネルギー補給のため、君たちはガソリンスタンドへ立ち寄った。「軽油は絶対ダメ。レギュラーも論外。ハイオク以外俺は認めないからな。 俺だって嫌さ! 原始的で粗悪で非効率的だけど、地球で一番簡単に使えるエネルギーって結局コレなんだよ。何かいい代用エネルギーない? え? 今までのエネルギー補給はどうしてたかって? 最近は楽になったぜ、電子通貨ってハッキングしやすくて最高だよな」 ……お説教はこの後たっぷりするとして、さて代用できるようなエネルギーなどあっただろうか?10:【車上荒らし】
補給に訪れた街で買い物をしていると、スラローム8から緊急通信が入る。『やばい! 車上荒らしに遭ってる! こいつらしつこい! ど、どうしよう、逃げた方がいいのか!? イヤーッ変なとこ触るなーッ!』 目立つことを避けるためか、スラローム8だけでは対処し切れていないようだ。■判定:【白兵】or【霊能】or【経済】【エンドチェック】
□サイドトラックを楽しんだ【クエリー3:邪悪な通信】
【状況1】
君たちは無事にケネディ宇宙センターへと辿り着いた。 事前に連絡を受けていたNASAの職員たちは、手早くロケットの発射準備へと取り掛かる。 発射までまもなく……そう思われた時、PC3の通話デバイスに、ひっそりと所属不明の通話が入った。『わ・れ・わ・れ・は・う・ちゅ・う・じ・ん・だ……アーもしもし? 繋がってる? 繋がってるね? よ〜しよし! ドォーモ親愛なるPC3君。ウチの若造が随分世話になったネェ』『初めまして、吾輩の名はパノプティコンA。スラローム8の上司だよ』【状況2】
パノプティコンAは、君に、何故スラローム8が自分たちを裏切ったのかを話す。『なあに、簡単さ。あいつ、日本の小学生とす〜っかり仲良くなっちゃったみたいでねえ。 この星を更地にするって作戦聞いて、泡吹いて頼み込んできたのさ。『せめて日本だけはご勘弁を〜』ってね。 バッカでしょぉ? 日本だけ助けたところでどうなるってカンジだよねえ?』『それを拒否したらこんな真似しでかしちゃってさあ……君からしたら、良い迷惑じゃない? つまりあいつ、日本以外なら……ニューヨークだったらどうなっても良いやって思ったってことでしょ?』『ムカつかないかい? そんなやつに力貸しちゃって、ホントに良いのぉ?』 裏切りを唆すパノプティコンA。その言葉に、君はなんと答えよう?【エンドチェック】
□パノプティコンAの言葉に答えた□グリットを1点獲得した【解説】
パノプティコンAの口から、スラローム8の裏切りの動機が明かされるシーン。 エントリーの時点で、地獄兵団とバイスデバイスの手によって、ニューヨークの街は被害を受けた。それはニューヨークの街を取引現場に指定したスラローム8のせいだとパノプティコンAは囁きかけ、不和を煽るのだ。 PCがニューヨークの街に思い入れを持つPCであればあるほど良く響くクエリーだろう。反面、PCがあまりニューヨークに思い入れがないヒーローであれば、クエリー後にパノプティコンAは『ちぇっ、聞く相手間違えたかな』などと毒吐く。【チャレンジ3:裏切りをもう一度】
【状況1】
『ふぅん、そーゆーこと言っちゃうワケね。……じゃ、これならどうかな?』 PC3の答えに、パノプティコンAは邪悪な笑みを漏らす。 それと同時、ケネディ宇宙センターのモニターがハッキングされ、宇宙空間に浮かぶ人工衛星の姿が映し出される。『やあ脆弱なタンパク質諸君! 初めまして! 吾輩の名はバイスデバイスのリーダー、パノプティコンA! さ〜てスラローム8、薄汚い裏切り者の君に、見せたいものがあるんだよねえ』 パノプティコンAは、人工衛星の内部に漂う、意識を失った日本人の子供二人の姿を映し出す。 スラローム8が悲痛な声で「ケイタ! ユウト!」と少年たちの名前を呼んだ。【状況2】
『このガキどもの身柄は文字通り、吾輩の手の内にある。 さあスラローム8、君なら何をすれば良いか分かるよねえ? 一度裏切ってみせたんだ、二度も三度も変わらないだろ?』 パノプティコンが邪悪に囁く。スラローム8は揺れ、腕を武器に変形させながら君たちへ視線を向ける。だが迷いがあった。『地球人は、多数を助けるために少数を犠牲にすることなんて、な〜んとも思いやしないよ。 君も吾輩も、すぐ近くでそれをずぅっと見てきたじゃないか。 さ、スラローム8。イイコちゃんぶるのはもうおしまい。 我々のもとへ帰っておいで。……これ以上は吾輩も我慢の限界だよ、君ィ』 これ以上、この邪悪な囁きを彼に聞かせる訳にはいかない…!【チャレンジ判定】
※同じPCが複数の判定を行うことはできない。【状況3】(判定成功時)
君たちの言葉に、スラローム8は早まった行動を思いとどまる。 君たちはパノプティコンAからの通信を遮断し、作戦を立てる。 どうすれば子供達を救助し、クリムゾン・エネルゴンを彼らに引き渡さずに済むのかを…。 そうして立てたプランはこうだ。 クリムゾン・エネルゴンと子供たちの身柄引き渡しを行い、子供たちを救出した後、クリムゾン・エネルゴンを破壊する。 この作戦を最も効果的に行える場所は一つだけ。 引き渡し現場は、子供たちが隔離されている人工衛星内部……つまり、パノプティコンAの体内だ!【エンドチェック】
□パノプティコンAは人質を取っている□子供達を救助し、クリムゾン・エネルゴンを破壊するための作戦を立てた【解説】
パノプティコンAが人質を取り、スラローム8を脅迫するシーン。パノプティコンAにとってはこちらの方が本命の脅迫だ、パノプティコンAにしてみれば、クエリー3はこの脅迫をより効果的にするための前振りのようなものである。 スラローム8の裏切りの理由を知っていたパノプティコンAにしてみれば、先回りして調査を行い、子供を特定し捕まえることなど容易いのである。あるいはこういう時のために、知っていながら敢えて泳がせていたのかもしれない。 PCたちがこのチャレンジに失敗した状態で決戦へ進む場合、スラローム8はPCたちを裏切ることを決め、再びバイスデバイスへと戻る。PCはその後を追い、決戦フェイズへと向かうことになる。決戦前描写などは適宜調整すること。【決戦:激走! バクソウ! スラローム】
【状況1】
君たちはスラローム8の体内に隠れながら、宇宙空間にただよう巨大な宇宙ステーション、パノプティコンAの体内へと辿り着いた。 ジェット機が姿を変えたエアヘッドQ、重機が姿を変えたマッシャーVが君たちと対峙し、囚われた小学生たちをリトル・コアたちが拘束している。 壁面いっぱいの巨大なモニターに、パノプティコンAの顔が映し出された。「現れたようだなァ、スラローム8。……だが、余計な奴らを連れてきてるんじゃあないかァ〜?」「……そうですね。だから、最後の警告に来たんです。……悪いことはよしましょう、ボス」 スラローム8の言葉に、パノプティコンAは邪悪な大笑いで答えた。端的な指示が部下たちへ下される。「立場が分かってないようだな。……マッシャーV、その小さめのタンパク質を一つ潰せ」 マッシャーVの拳が子供に叩きつけられようとした、そのとき……一際大きな爆発が、マッシャーVのすぐ近くの外壁を吹き飛ばした!【戦闘情報】
【戦闘情報】
・パノプティコンA(D1)・エアヘッドQ(D1)・リトル・コア×3(D1)【エリア配置】
エリア4:【PC全員】、パノプティコンA、リトル・コアエリア3:ロードウォリア、リトル・コアエリア2:エアヘッドQ、リトル・コアエリア1:ザ・チャンピオン、ミュージシャン【勝敗条件】
勝利条件:3ラウンドの耐久かエネミーの全滅敗北条件:PCの全滅【備考】
■援護 PCたちは任意のタイミングでスラローム8のパワー「ハイビーム」を使用できる。射程・タイミング・目標・効果は同パワーに準じる。代償を支払う必要はない。■移動戦 2ラウンド目以降のラウンド開始時、PCたちは隣接する数値の低いエリア(例:エリア4にいる場合はエリア3へ、エリア2にいる場合はエリア1へ)へ必ず移動する。(バラバラのエリアに居たとしても、常に同様に隣接する数値の低いエリアへ移動する) 3ラウンドが経過するか、エネミーを全滅させた時点でPCの勝利として扱う。【戦闘解説】
スラローム8に乗りながら、パノプティコンAの体内を駆け抜けながら戦っているような戦場を想定している。PCによっては自力で並走している可能性もあるだろう。 チャンピオンの「ブン投げ」やリトルコアの「陣形サポート」を上手く使ってPCやエネミーを動かし、チャンピオンの「ダイナマイト!!」や、チャンピオン・ロードウォリア・エアヘッドQのエリア攻撃を上手く射程におさめていこう。この戦場にいるヴィランたちのエリア攻撃は全て味方を巻き込むものであることに留意すること。 パノプティコンAはラウンド開始時の「パラライズビーム」で束縛が入らない限りは、「スクラップ&ビルド」でリトル・コアを増やしながらチャンスを待つと良いだろう。 ミュージシャンの「フレイムギター」の効果は地獄兵団・バイスデバイスの双方に効果をもたらすものとして良い。器霊種は皆、音楽が大好きだ。【各パワー処理タイミング】
【ラウンド開始時】
・チャンピオン:ダイナマイト!!(2ラウンド目から:PCたちのエリア移動)【行動順ロール直後】
・パノプティコンA:パラライズビーム・エアヘッドQ:気まぐれ【行動】
・パノプティコンA:スクラップ&ビルド or サテライトビーム・ザ・チャンピオン:ブン投げ or 大筒【特殊】
・エアヘッドQ:インメルマンターン(自分が「属性:攻撃」のパワーの目標になった時)・ミュージシャン:バンジー!!(自分のライフが0以下になった時)(スラローム8:ハイビーム(目標が何らかの判定を行う直前)【ラウンド終了時】
・「パラライズビーム」のBS:束縛解除・BS:転倒解除・ダイナマイト!!の爆発処理【シナリオの結末(一例)】
【戦闘終了】
君たちがパノプティコンAの体内から飛び出すと同時、スラローム8がパノプティコンAの体内にクリムゾン・エネルゴンを投下する。「撃て! ヒーロー!」 その言葉に応じるように、君たちはクリムゾン・エネルゴンを狙い撃つ。 凄まじい爆発がバイスデバイスを、地獄兵団を襲う!「スラローム8ォオオオ!!!! 覚えてろォオオオ!!!」 爆炎の彼方から、パノプティコンAの絶叫! その咆哮を尻目に、君たちはNASAが寄越した迎えのジェット機に回収された。 かくして、戦いは終わった…。【PC1】
戦いを終え、君は日常へ戻った。 今日も正体を隠して活動を続ける君の元に、WAVEの記者たちがしつこくつきまとう。「先日の宇宙空間での謎の爆発にPC1さんが関与しているというのは本当ですか? ぜひコメントを!」 そんな君の前に、一台のスポーツカーが停車する スポーツカーの窓から、観光サングラスをつけた二人組の少年が、ひょっこりと顔を覗かせ手招いた。 聞き覚えのある声が君に言う。「よう、乗ってくか? 良いNYの観光地を教えてくれたら、タダにしとくぜ」【PC2】
地球の危機は去った。 だが米軍はクリムゾン・エネルゴンが破壊されたことに苦い顔をした。人類の思惑も様々だ。 地球上に残ったスラローム8は監視下にあるものの、彼が今後も地球人の味方で居続けるかは……さて、どうなることやら。 この地球上に眠るという本物のセイント・ジェムが発見された時、君はそれをどうするべきなのだろう。 そんなことを考える君の耳に、今日も通報が入る。「南極でバイスデバイスの活動を確認! 迎撃に向かってくれ!」【PC3】
君はようやく、君の日常に帰ってきた。 ニューヨークは復興を続けており、タイムズ紙にはこんな見出しが踊る。『ロボットたちは隠れている! 機械に擬態する彼らの正体はエイリアン!?』 その報道の真実を君だけが知っている。 さて、今日は何をしたものか。【獲得経験点】
・初期グリット:4点・クエリーグリット:3点・リマークグリット:想定3点・サイドトラックグリット:0〜2点--------------------------------------------------------合計:10〜12点