ラスト・ラビリンス
━━ 君たちは英雄となるか、それとも……。
【共通エントリー】
プライムバースが有するラグナロクのメモワールの情報が両世界へ広まったことと、度重なるバスターバースからの侵略行為を受け、プライム・バスター両世界の緊張はかつてないほどに高まりつつある。 二つの世界を繋ぐ、テセウスたちの赤い柱も未だ健在だ。 G6は地球上の大国のみならず、ついには宇宙よりの来訪者、銀河連邦の使者からも圧力を受けるほどに至った。【PC1:ハービンジャーのヒーロー】
鏡面世界災害対策本部の一人として、銀河連邦の使者との面会を終えた君は、マスター・フォーカスライトとヒューマンサイドが話をしている光景を目にする。 フォーカスライトと別れたヒューマンサイドは複雑そうな顔で君へこぼした。「そっくりだけど、やっぱり別人なんだな」【PC2:足を洗いたい闇医者】
君は人工アリアドネの糸を生み出し得る人材として、現在G6の鏡面世界災害対策本部に身柄を保護されている。もともと君の身柄保護の任務を受けていたブラックジャケット捜査官たちも一緒だ。 そんな時、買い出しに出ていたレディ・レンズが傷ついて帰ってきた。「い、いやあ、誰かと間違われちゃったんですかね! しょうがないですよ、みなさん不安になってるタイミングですから!」 どうやらバスターバースの人間ということで攻撃されたようだ。 双方の溝は未だ深い。【PC3:テセウスの船】
君は人工アリアドネの糸の保有者『テセウスの船』として、現在G6の鏡面世界災害対策本部に身柄を保護されている。 目下、君に期待されている役割は、『テセウスの船』としての力をより使いこなし、二つの世界を別つ方法を探ることだ。 過去の記録を参照していた君は、バスターバースで同じ計画が行われている可能性について考える。【共通エントリー:プライムバースの今】
【状況1】
プライムバースとバスターバース。二つの世界は今もなお、鏡合わせのような形で対峙し続けている。 リャナンシーは存在を消滅させ、ラグナロクはプライムバースが身柄を確保した。カリブ海で暴れていたテセウスはバスターバースのヒーローが討伐に成功したと伝えられている。 しかし二つの世界を結ぶ、赤い三本の柱は未だ健在だ。世界各地に開かれたという世界を結ぶポータルも、未だ総数が明らかとなってはいない。昨日もちょうど、アメリカ、ロシア、中国が新たなポータルを発見したと発表したところだった。 グレート・ワン、バスターバースのPC2が率いた科学者連合、そしてラグナロクの持つ世界封印の力を持つ赤いメモワールの情報が明らかとなったことで、世論はバスターバースを排除すべきという論調に傾いている。『侵略者を許すな!』『私たちの世界を守れ!』『バスターバースの連中はプライムバースから出ていけ!』 G6前では連日デモが繰り広げられている。 そうした世界の中、君たち三人とブラックジャケット捜査官たちはG6の鏡面世界災害対策本部に身を寄せている。 そこで君たちはどのような日常を送っているだろうか?【状況2】
そんなある日、状況はついに地球外にも波及した。 街一帯を影が覆い尽くす。空を見上げれば、そこに巨大な宇宙船が来ていた。地球の技術によるものではない。 PC1はそれが、銀河連邦と呼ばれる、宇宙一の大国の船であることを知っている。 ついにこの鏡面世界現象は、宇宙からの使者を呼び寄せるほどの事態となったのだ。【エンドチェック】
□プライムバースが今どうなっているかを理解した□PCたちの現在の状況を演出した【解説】
PCたちが何をしてもしなくても、ただそこにあるというだけで、二つの世界の情勢は悪化し続けている。そうした二つの世界の状況を改めてPLへと伝えるシーンだ。【エントリー1:似てるけど違う人】
【状況1】
プライムバース全体を巻き込んだ鏡面世界災害は、地球外の存在をも呼び寄せた。アメリカ合衆国エリア51軍事基地にて、君は宇宙の連邦国家である銀河連邦からの使者と対峙し、今後の世界均衡の方向性について意見を交えた。 G6からは君の他に鏡対災の職員や、立場を隠して同行したマスター・フォーカスライト、日本国首相の護衛のために同行したヒューマンサイドらの姿があった。 世論に対し、G6はバスターバースへの積極的な排除行動は避けるべきという立場を貫いている。 銀色のサーフボードに乗った液体金属状の体を持つ使者は、G6の意見を聞き届けた後、地球人には聞き取れない言語で君へと尋ねた。『コトは既に、地球という惑星だけでは収まらなくなっている。バスターバースにも銀河連邦は存在するだろう。彼らがこの地球人たちと同じ意見を持っているとは考え難い。時間は差し迫っている』『君はこの地球人たちの信用を得ているようだ。君の口から彼らを説得してはくれないか?』 その申し出に、君はなんと答えるだろう?【状況2】
会談はどうにか終わりを迎えた。使者は君の主張に理解を示すようなそぶりを見せたが、会談の後、米国の政治家と何事かを話しているらしかった。 会談終了後、君は人気のない部屋でヒューマンサイドとフォーカスライトが何事かを話している光景を目にする。やり取りはすぐに終わり、フォーカスライトは去っていった。 君に気付いたヒューマンサイドは気まずそうに話す。「一回話してみたかったんだ。なんか俺、あの人に避けられてるし、今しかないと思って。ごめん」「……話してみてわかったよ。そっくりではあるけど、やっぱり別人だ」 立ち去るフォーカスライトの背を見送りながら、ヒューマンサイドはしみじみと呟いた。「あの時、セカンド・カラミティでティーチャーにトドメを刺したのがあの人じゃなかったら……あんな未来もあったのかなあ」【エンドチェック】
□会談を終えた□ヒューマンサイドとフォーカスライトの関係性を知った【解説】
会談の席でフォーカスライトはその弁舌を存分に発揮した。会談でG6の意見が多少なりと勘案されるに至ったのはその政治的手腕が大きい。 異世界との世界間戦争になった場合、間違いなく超人種が大きな戦力となり得ること、テセウスの船であるPC3とそれを作り出したPC2の存在がプライムバース側の大きなアドバンテージとなるため、彼らの身柄を預かるG6には多くの圧力がかけられている。プライムバースのG6はセカンド・カラミティの影響で弱い立場にあるが、多くの力を借りながら、PC2と3の身柄保護も含めてかろうじて最後の一線を保っている状態だ。 ヒューマンサイドとフォーカスライトの関係性をPC1が知らない場合、ここでヒューマンサイドの口から説明させると良いだろう。「俺の師匠だった人なんだよ。セカンド・カラミティでザ・ティーチャーにトドメを刺して……ティーチャーになっちまった。最後は俺の前で死んだよ」【エントリー2:溝と板挟み】
【状況1】
バスターバースのPC2が引き起こした情報漏洩によって、君の存在とPC3の存在は世間に周知されるに至った。両世界の緊迫した状況も併せ、君の診療所はやむなく閉鎖に至った。 君の身柄は今、G6の鏡面世界災害対策本部(以下:鏡対災)預かりとなっている。ただ、問題は……。「ケッ。俺たちばっかり悪者扱いか? プライムバースからだって迷惑な客人は山ほど来てるっつーのによ」 バスターバースからの来訪者が齎した被害について報道するテレビのニュースを見てた黒衣の捜査官がガラ悪く吐き捨てる。 もともと君の身柄保護の任務を受けていたブラックジャケット捜査官たちも、今はともに鏡対災にいる。「元ヴィランのアンタが今は世界の運命を握る鍵として、ヒーロー様たちにチヤホヤされてるってわけだ。こうなっちまったら、しばらくバスターバースへの高跳びは厳しそうだな。真面目な話、あんたこれからどーすんだ?」 鏡対災からの保護といえば聞こえは良いが、それは監視と何が違うのか。現状に、君はどう思っているだろう?【状況2】
「あいたたた……戻りました〜」 外に買い出しに出ていたレディ・レンズが戻ってくる。しかし戻ってきた彼女は傷だらけだった。「い、いやあ、誰かと間違われちゃったんですかね! しょうがないですよ、みなさん不安になってるタイミングですから! でも大丈夫ですよ! 見た目ほど大した怪我じゃないんで!」「それより私が見てない間、みんなちゃんといい子にしてました?」 気丈に振る舞う少女の顔はレディ・マリスと呼ばれるヴィランにそっくりであることを、君は既に察している。そうでなくとも彼女がバスターバースの世界の人間であるというだけで、プライムバースの市民にとっては受け入れ難いだろう。 背後で捜査官たちが舌打ちをする気配。 両世界の溝は、深くなる一方だ。【エンドチェック】
□世界の状況はじわじわと悪化している□現状への意見を述べたor考えた【解説】
鏡対災職員たちは良くも悪くも慣れているのでPC2やBJ捜査官たちのことをあっさり受け入れているが、捜査官たちは未だ警戒心を持って接している。PC2が望んでいようといまいと、PC2の周辺だけ常にどこかガラが悪い。 レディ・レンズはレディ・マリスと誤認された際にバスターバースの出身者であることがバレ、民衆から酷い扱いを受けた。本人はそれを公にするつもりはなく、皆を心配させまいと振る舞っている。【エントリー3:もう一人の君のかつて】
【状況1】
君は今、鏡対災の片隅で、過去の映像資料を眺めている。QEの罠に嵌められ、二つの世界が鏡合わせになるに至った時の映像だ。(第一話・マスターシーン) そもそもの発端となったQEというヒーローは、バスターバースの君を殺した際に抵抗を受け、プライムバースへと飛ばされたと言っていた。ではQEは、なぜ君の命を狙ったのだろう? なにより、QEは君に接触してきた時点でコル・タウリの名前を知っていたのだ。 プライムバースにはもう、『テセウスの船』の研究資料は残されていない。しかし……もしかしたらバスターバースなら、この研究に関する何らかの研究資料が残されているかもしれない。 思考を巡らせる君の元に、一台のドローンが近付き、話しかけてきた。『嫌な映像見てんね〜。どしたん、なんか悩んでる?』 G6へ協力しているBJオペレーター・スニークだ。【状況2】
君から詳しい話を聞き、スニークは感心した声を上げ、興奮したように早口で捲し立てる。『……な・る・ほ・ど〜!? あり得る! QEはミスティック派閥のヒーローだったから、僕らの知らない情報網を持ってた可能性は十分にある。魔術師たちってハッキングが効かないから厄介なんだ!』『あいつの立場を考えると誰かの命令を受けてた可能性が高いから……エターナル・ウィドウ? でも彼女はポータルの件で錯乱しちゃったし……』 スニークの言葉を遮るように、鏡対災にアラームが鳴り響く。『あ、出動な感じ? オーケー、その件はその間にこっちで調べてみるよ。じゃ、頑張って、ヒーロー!』 映像のスニークがサムズアップで君を見送った。【エンドチェック】
□もう一人の君のかつてを調べることにした□アラームを聞いた。出動だ!【解説】
今更? とは言わないお約束。ようやくそこに思考を巡らせられる段階に至った、と考えてほしい。 ブラックジャケットもバスターバースのPC3について調査は行っていたが、QEによって殺されたということまでしか掴めていなかった。PC3本人の口から、PC3がPC2たちに出会うまでどのように生きてきたのかを改めて聞くことによって、捜査の余地があるとスニークは考え、行動を起こすことになる。 このアラームはPC2とPC1にも届くことになる。緊急出動だ!【バトル1:奪われたテセウス】
【状況1】
アラームの内容は、サハラ砂漠の地下深くに作られたラグナロク収容施設が、ファクトの襲撃を受けたというものだった。君たち三人は、急ぎ現地へ急行する。 君たちが現地へ到着すると、すでに守りは破られていた。最深部へ到達すると同時、施設を守っていたヒーロー、メルティ・スノウとペインドクターが吹き飛ばされたのを目にする。「ったく、目障りな奴らだぜ! テメーらが粘るせいで、増援が来ちまった!」 彼女たちを蹴り飛ばしたのは、恐竜怪人コールドテイルだ! その腕には無抵抗のラグナロクが捕えられ、側では傷ついた殺芽が膝をついて息を整えている。「テセウスだとかいうくせにこの程度かァ? とんだ期待はずれだぜ。おい殺芽、せいぜい時間を稼げよ!」 コールドテイルは吐き捨て、テレポート装置を用いてラグナロクを連れて姿を消してしまう。「やれやれ、貧乏くじを引きましたね。……とはいえ全員、殺すまで」 君たちの前に、殺芽とファクトの構成員たちが立ちはだかる…!【状況2】
戦いを終えた君たち。しかしラグナロクの身柄はファクトが奪い、何処かへ連れ去ってしまった。 ラグナロクは抵抗をみせなかった。能力封じの首輪のせいで抵抗できなかったのだろうか、それとも…? いずれにせよ。世界からまた一つ猶予がなくなったのは確かだ。 二つの世界に残された時間は少ない。【エンドチェック】
□ラグナロクが奪われた□戦いを終えた【解説】
コールドテイルは偉そうにしているが、ヒーローと主に戦ったのは殺芽である。 メルティ・スノウとペインドクターはR1リプレイ「マスク・オブ・ビースト」に登場し、ヒューマンサイドと共に戦ったヒーローたちだ。ちょっとしたカメオ出演である。 ラグナロクはフォーカスライトとの取引をすでに終えていることもあり、世界の命運をPCとフォーカスライトへ委ね、一切の抵抗を見せない。自身の為すべきことは全て終えたと思っている。この後、ラグナロクはファクトによって手酷い拷問を受けることになるが、一切の情報を漏らすことはない。【チャレンジ1:潜入! バスターバース・G6】
【状況1】
ファクトのラグナロク強奪を受け、世界はますます猶予を失った。鏡対災へと帰ってきた君たちをスニークの声が出迎える。「お帰り、話は聞いてるよ。ヤバいことになってるみたいじゃん? 余裕がないなら、サクッと切り換えて次の話をしてもいいかな」「PC3に頼まれてた、クエスチョン・エクスクラメーションの情報網について多少情報を掴めたんだ。情報を持つ可能性のある候補者を五人まで絞り込めた」 ドローンが五人のヒーローの映像を投影する。スニークは続ける。「ラッキーなことに、彼らはちょうど明日、バスターバースのG6本部で行われるファン感謝デーに出席するみたいだ。そこに潜入してほしい。各派閥のリーダーも席を外してる日だからちょうどいい」「ヒーロー様のイベントだからね、ウチの捜査官を送り込むのは、こう……多分無理があるだろうし。あ、サポートはするよ!」 スニークは苦笑いでそう告げた。 かくして君たちはブラックジャケットと協力し、バスターバースのG6に潜入して『プロジェクト:テセウス』に関する情報を探ることになる。『五人の候補者』
■ミセス・エクソシストネグリジェがトレードマークの悪魔憑き。愛想のない冷酷な女。得意技はブリッジと白目。■ブラックマジシャン星の智慧派所属。黒い鎧と特殊な黄金のアーティファクトを身につけた魔術師。金にがめつい。■怪僧・波羅蜜多ボンバーアングリーフィストからやってきた巨漢の破戒僧。必殺技の波羅蜜多トンファーキックは全てを粉砕する。■バーバヤーガ・ジョン数多の魔犬を操るサモナー。犬が死ぬと怒りで手がつけられなくなるため、職と信頼と肝臓を失っている。■ブードゥ★ナートゥ特殊な舞を踊り精霊を人形へ宿す。荒々しいダンスは女性を中心に大人気で本年度レコード大賞受賞。【状況2】
バスターバースのヒーロー感謝デーの様子は、プライムバースで行われる類似のイベントと大きく変わらないように見える。少なくとも市民の大半は、ヒーローのことを素直に慕い、未知の恐怖に怯えている。 道ゆく人々から聞こえてくる囁き声も変わらない。「プライムバースの連中がいつか侵攻してくるんじゃないかって、怖いわ」「侵略者どもから俺たちの世界を守ってくれよな、ヒーロー!」【チャレンジ判定】
『成功時に判明する情報』
ミスティック派閥『星の智慧派』所属ヒーロー、ブラックマジシャンからもたらされる情報。 地中海の無人島に、かつて所属不明のヴィランが残した研究施設の残骸がある。 QEが殺したバスターバースのPC3は、その施設で目覚め、脱走した個体だった。 QEは詳細を知らされぬまま、研究所を脱走したエンハンスドとしてバスターバースのPC3を殺したが、その際に反撃にあってプライムバースへと放逐されるに至った。 ブラックマジシャンがQEにPC3殺害を命じた理由は、施設の研究結果を独り占めするよう夢枕に立った神に告げられたため。QEへと告げたコル・タウリにまつわる情報も、その神から告げられたという。 しかしその後の両世界の混乱により、未だ詳しく調べられず歯がゆい思いをしている。【状況3】
君たちは無事に情報を入手する。あとはここを去るだけだ。 そんな時、君たちの元にファン感謝デーに参加していた子供達が、君たちをヒーローと勘違いしてやってきた。「あなたもヒーローさんですね! いつも守ってくれてありがとう!」「見慣れないヒーローさんだ! お名前教えてくださいな」 無邪気な目でヒーローを見る子供達の視線はバスターバースであっても変わらない。 君たちは無邪気なその言葉に、さてなんと言おう。【エンドチェック】
□情報を入手した【解説】
クエスチョン・エクスクラメーションはバスターバースのG6・ミスティック派閥のヒーローだった。ミスティック派閥のリーダーはエターナル・ウィドウと呼ばれる人物だが、他派閥に以上に個人主義者が多く、流派もさまざまな魔術師たちの中で、エターナル・ウィドウは形だけのリーダーという側面が強かった。 そのエターナル・ウィドウが倒れ、グレート・ワンが失脚したことで、現在のバスターバースG6で力を強めているのはサイオン、ジャスティカ、エンハンスド、テクノマンサー派閥だ。彼らはミスティック・ハービンジャー派閥の失脚を内心喜んでいる。【クエリー1:戻れるもしもはどこにある】
【状況1】
子供達へ対応し、ファン感謝デーの会場を立ち去る君たち。そこに声がかけられ、PC2の腕が掴まれた。「お前! 知ってる、お前を、知、知ってるぞ…!」 それは全身をサイボーグ甲冑で覆った、エンハンスド派閥のヒーローの一人らしかった。しかし言葉はチグハグで、どこか様子がおかしい。「なんで俺はお前を知ってる? いや、いい、いいんだ! 来てくれ! 来て! やあ少年たちよ、ファン感謝デーを楽しんでくれてるかな? ヒーローの応援よろしくな! ……こっち! こっちだ!」 エンハンスドはPC2を強引にひっぱり、エンハンスド派閥の研究所へと連れ込む。 甲冑から垣間見えた日焼けした腕に、紅のジョリー・ロジャーの刺青が彫られている様が見えた。 男からは微かに潮の香りがする。【状況2】
エンハンスド派閥の研究所へと連れて行かれたPC2は、そのまま施設の地下へと連れて行かれる。暗証番号が入力され、扉が開く。 扉の先には、エンハンスド化手術を施された大勢のヒーローたちがポッドに入って眠っている。その体には、君を連れてきたエンハンスドと同じく紅のジョリー・ロジャーの刺青があった。 エンハンスドは泣きながら君の肩を掴む。「お前が誰なのか、覚えてない。覚えてないのに、俺は知ってる。分からない。どこから来たのか、なんでここにいるのか……でも、俺も、こいつらも、こんなんじゃなかったはずなんだよ!」「助けてくれ、こいつらを、俺を、元に戻してくれ。お前なら出来る、そのはずだ、なあ、出来るんだろう?!」 どうやら彼は記憶に細工が施されているらしい。なぜ君のことを知っているのかは不明だが、望んでエンハンスドになったわけではないことは確かなようだ。 助けを求める見ず知らずのエンハンスドに、君は何と答えるだろう?【状況3(助けると答えた)】
エンハンスドは本心から安堵し、泣きながら繰り返し感謝を述べる。「何も思い出せないが、自分たちがヒーローなんてもんじゃなかったことは、自信を持って言える。きっと、俺たちはこれまで散々悪いことをしてきた。過去は消えない。いつか清算の時がくる。俺たちにとってはそれが今だった」「でも、俺たちはいつだったら間に合ったんだ? いつ間に合わなくなっちまったんだ? ……なんで、あんたは間に合ったんだ?」 エンハンスドは独り言のように呟く。その瞬間、男は頭を押さえて悲鳴をあげてのたうち始める。【状況3(助けられないと答えた)】
エンハンスドは泣きそうになりながらも、意外にもその言葉をすんなりと受け入れる。「……そうだよな。そりゃそうだ。へ、へへ……。 何も思い出せないが、自分たちがヒーローなんてもんじゃなかったことは、自信を持って言える。 きっと、俺たちはこれまで散々悪いことをしてきた。今更助かろうなんてムシが良すぎるのさ。 過去は消えない。いつか清算の時がくる。俺たちにとってはそれが今だった」「なら、俺たちはいつだったら間に合ったんだ? いつ間に合わなくなっちまったんだ? あんたは……あんたは、なんで間に合った?」 エンハンスドは独り言のように恨み言を呟く。 そのまま力無く座り込み、「行けよ。さっさと行け。振り返るな。行っちまえ!」と君を解放した。【エンドチェック】
□エンハンスド派閥の地下で望まぬ改造手術が行われていることを知った□実験体は紅のジョリー・ロジャーの刺青を彫っている□問いに答えた□グリットを1点得た【解説】
彼らは真紅海賊団の乗組員の成れの果てである。 ヘルムズマン自体は死亡しているが、そのことを知っているのは現場にいた真紅海賊団だけだ。ヘルムズマンからザ・ティーチャーの記憶を引き継いだキャプテン・クリムゾンは、自身の死を偽装し、船員たちを改造して何食わぬ顔をしてエンハンスド派閥を動かしている。同時にザ・ティーチャーとしてプライムバースのフォーセイクン・ファクトリーへ接触し、鏡面迷宮の情報や『プロジェクト:テセウス』に関する情報を共有している。 ヒーローたちが具体的にその真実を知るのは次のシーンになるだろう。【バトル2:もう一つの『テセウスの船』】
【状況1】
君たちはブラックジャケットの協力を受け、地中海にあるという研究施設が残された島へと向かう。 目的の場所には確かに小さな島があり、古い研究所があった。残されていた実験体たちはとっくに死亡しており、施設も打ち捨てられてボロボロだった。 調査を進める君たちに、唐突に声がかけられる。「奥から三台目のパソコンを調べるのがおすすめだ。かろうじてデータを吸い出せるはずだよ、我々と同じようにね」 振り返れば、フォーセイクン・ファクトリーの首領、ザ・ティーチャーが、何食わぬ顔をしてそこにいた。【状況2】
「君たちがこちらに来た、と部下から聞いたものだからね。 ちょうど尋ねたいこともあったから、一度会っておこうと思って」「君がPC3? へえ、『我々が生み出したテセウスの船』とあまり変わらないな」「もちろん簡単じゃなかったよ。特にPC2に協力してもらうのが大変だった。でも、267人目のPC2がようやく首を縦に振ってくれてね。おかげで、『テセウスの船』の量産に我々も成功できたという訳さ」「言ってる意味が分からないという顔をしているね。何、簡単なことだ。つまりこういうことだよ」 ティーチャーが指をパチンと鳴らすと、背後の海上に赤い光が迸り、歪んだ空間の中から一隻の紅い帆を持つ海賊船が出現する。その船からは、リャナンシーやラグナロクから感じたアリアドネの糸の力を感じるだろう。 ティーチャーがマスクをずらし、その下の素顔を見せる。討ち取られたと報道されていたはずのキャプテン・クリムゾンの顔が、君たちへとウインクを送った。「チェックメイトだよ。君たちにはもう勝ち目がない。大人しく降参して、質問に答えてもらおう」 マスクを被り直すと、ティーチャーは君たちへと問いかける。 しかしそれは君たちにしてみれば意外な問いかけだった。「ありとあらゆる手段を用いたのだけど、本人からは教えてもらえなかったんだ。さすがはテセウスと言ったところか」「ラグナロクの赤いメモワールを渡してもらおう。持っているのだろう?」 持っていない。【状況3】
ラグナロクの身柄はファクトが強奪したはずだ。 にも関わらず、ファクトは赤いメモワールを所持していないということになる。 君たちの反応から、自分の予想が外れたことをティーチャーは察する。そして手を打って笑った。「なるほど? となると……ああ、そっちかあ!? 確かに、私ならそうするな!?」「いやあ、勘違いしてしまってすまない。お詫びにここで一つ、私の首を獲るチャンスをあげようじゃないか。でも少しだけ急ごう、今のメモワールの持ち主がどう動くのか、俄然楽しみになってきた」 意味深なことを告げるティーチャーの背後で、真紅の海賊船から降りてきたエンハンスドヒーローたちが戦闘体制に入った。【エンドチェック】
□戦闘を終えた【解説】
攫われたラグナロクはファクトの拠点でありとあらゆる拷問を受けているが、メモワールを誰に譲ったのか口を割らなかった。ファクトはPC3人のうち誰かが持っていると考え、ここに姿を現した。 実際には、メモワールを持っているのはPCではなく、マスター・フォーカスライトである。 第二話でリャナンシーがグレート・ワンにアリアドネの糸の力を貸し与えたように、ラグナロクはフォーカスライトへ自身の糸の力を貸し与えている。【クエリー2:消えた方がいい世界】
【状況1】
ザ・ティーチャーとの戦いを終え、PC1はラグナロクの赤いメモワールを誰が持っているのかに気付く。 リャナンシーがグレート・ワンにアリアドネの糸の力を貸し与えたように、ラグナロクもまたメモワールを誰かに貸し与えている可能性がある。 ラグナロク収容施設に立ち入ることが出来たのはG6、特に鏡面世界災害対策本部関係者のみだ。裏返せば、その中に犯人がいることになる。 施設の解析をPC2とPC3に任せ、PC1は一足早くマスター・フォーカスライトの元へ向かった。【状況2】
アメリカ合衆国、エリア51軍事基地にて。 フォーカスライトはこちらの世界でも行われていた、銀河連邦とG6との会談の最中にあった。 会談は終わった。人気のない軍事基地の一角で、暗い顔をしたフォーカスライトは俯き、立ち止まった。彼は忌々しげに、傍らの壁を殴りつけた。何度も、何度も……。 フォーカスライトは黒いコートの懐へと手を伸ばし、その中から赤いメモワールを取り出した。 眼鏡の奥の双眸が、赤く暗い光を灯す。 あわやメモワールの力が行使される……その寸前に、PC1はフォーカスライトの元へと到着した。【状況3】
「……君か。報告は受けている。そちらはうまく行ったようだな」「銀河連邦とG6は協力体制に入り、プライムバースへの侵攻を決定した。明日未明、予告なしの先制攻撃が行われることになった。……止められなかった。つくづく、私はヒーローにはなれないようだ」 フォーカスライトは疲れたように溜息を吐き、メモワールを示す。その中にはラグナロクが収集した数多の世界が封印されているのが分かる。 その世界群を見下ろしながら、フォーカスライトはぼんやりとした様子で語った。「……ずっと、考えてきた。あの時、私がティーチャーにトドメを刺せていれば、峰神ジンは生きていたのではないか。……彼が居れば、この世界はここまで、腐り落ちなかったのではないかと」「最後の手段だ。このメモワールにバスターバースを封じる」「こんな世界は、消えた方がいい。……君が誰より、それを知っているはずだ。 フォーカスライトの言葉に、PC1よ、君は何と答えるだろう。【エンドチェック】
□赤いメモワールはフォーカスライトが持っている□フォーカスライトの問いに答えた□グリット1点を得た【解説】
ノーと答えることを想定しているが、別にイエスと答えてもいい。 その場合、行使のタイミングはPCたちがバスターバースを去った後にするべきだなとフォーカスライトは一旦考え直す。PCたちがバスターバースを去ったのち、フォーカスライトはメモワールの力を行使する。この場合、決戦フェイズのタイムリミットを無くしてもいいだろう。 バスターバースが消滅したとしても、プライムバースのファクトによる鏡面迷宮侵攻は止まらないので、そのままシナリオを進めて問題ないはずだ。【クエリー3:欲することを為せ】
【状況1】
PC3はPC2と協力し、『プロジェクト:テセウス』研究施設の残骸から情報を収集していた。 ふと、君は瓦礫の中に一枚の鏡が落ちていることに気付く。その中から牛骨の男が君を見ていた。 はたと気付くと、君は研究施設跡地ではなく、鏡で作られた迷宮の中にいた。 目の前には玉座があった。 そこにあの牛骨の男が……コル・タウリが座っていた。【状況2】
「──力が欲しいか?」 コル・タウリは泰然と微笑みながら、君へと尋ねた。「君が望むなら、力を与えよう。君にも、君の望む誰かにでも、君の望むままの祝福を」 コル・タウリの表情は分からない。 唐突に与えられた選択肢。多くのテセウスたちを見届けてきた君は、彼に何を告げ、どんな話をするだろうか。【状況3(力が欲しいと答えた)】
君の言葉に、コル・タウリの表情が消えた。「……結局君も、他のと同じか」 コル・タウリは明らかに失望した様子で、一方的に話を切り上げてしまう。「今の私ははっきりと、欲望を抱いている。そして、それに抗えなくなっている。この欲望を叶えるためならば、君たちの世界がどうなろうと、他のテセウスたちがどうなろうと、私は構わない」「今の私が望んでいるのは、私のテセウスだけ」「君は私のテセウスではなさそうだ。じゃあ、他の誰かかな。今はいっぱいいるみたいだし」「君に祝福を贈るのはやめにした。ばいばい」 そして君の意識は現実へと帰ってくる。【状況3(力を拒否した)】
君の意志が固いことを見て、コル・タウリは心底嬉しそうに微笑む。「……その答えを、きっと私は期待していた」「うん。もう誤魔化せない。今の私ははっきりと、欲望を抱いている。そして、それに抗えなくなっている。この欲望を叶えるためなら、君たちの世界がどうなろうと、他のテセウスたちがどうなろうと、私は構わない。君たちの世界に、これからも新たなテセウスを送り込み続けよう」「私はこの呪いを振り撒くことを止めない。私がそうしたいから。その先の君たちを見たいから」【エンドチェック】
□コル・タウリの問いに答えた□グリットを1点得た【解説】
コル・タウリの目的は鏡面迷宮からの解放だ。 その解放の意味を、コル・タウリ自身は英雄による怪物の討伐、すなわちPCたちに自分を殺して欲しいと定義している。 PCたちが『呪いを断つ』という言葉をどう解釈し定義するかはPCの解釈に委ねるのが良いだろう。【チャレンジ2:世界間戦争開戦】
【状況1】
情報は揃った。 『プロジェクト:テセウス』の情報をもとに、PC3の人工アリアドネの糸は強化される。時間はない。急ピッチで進められた作業は、翌日未明ついに実った。 PC3の力がこれまでにないほど漲る。 それと同時、世界が激しく揺れる。上空を見上げれば、銀河連邦とバスターバースのG6の艦隊が迫っていた。世界各地のポータルから、多くの戦力がプライムバースへと投入される。フォーカスライトの言葉の通り、世界間戦争が開戦を告げたのだ。「俺たちが食い止める! お前たちはコル・タウリとやらの鼻っ面をぶん殴ってきてくれ!」「チッ、やるしかねえか!」「ご武運を!」 ヒューマンサイドが勇ましく君たちをけしかけ、迎撃へ向かう。BJ捜査官たちとレディ・レンズがそれに続いた。 最後の戦いへ挑む時だ。【チャレンジ判定】
【状況2】
鏡面迷宮への門が開く。君たちはその中へと飛び込んだ。 やや遅れて、迷宮に他の門が続々と開いていく。そこからはファクトによって生み出された『テセウスの船』たちと、彼らに連れられたファクトの構成員たちが一斉に雪崩れ込んできた。アリアドネの糸は蜘蛛の巣のように張り巡らされ、迷宮の奥に座す怪物を狙っている。 鏡面迷宮はもはや人智の及ばぬ領域ではなくなった。人の手はついに怪物に迫ろうとしている。 ファクトの手にコル・タウリの身柄が渡れば、今以上の悲劇が、プライムバース・バスターバース以外にも波及することになるだろう。誰よりも早く、迷宮の主の元へと辿り着かねばならない!【チャレンジ判定】
【エンドチェック】
□チャレンジ判定を終えた□迷宮へ突入した【解説】
PCたちが自らの意思、自らの力で鏡面迷宮へと乗り込むシーンとなる。プライムバースではプライムバースのG6とBJ捜査官たちがポータルから現れるバスターバースからの戦力を食い止めているが、長くは保たない。PCたちには迅速な決着が求められる。【クエリー4:英雄と怪物】
【状況1】
君たちは誰よりも早く迷宮を踏破し、最奥へと辿り着いた。 PC3が以前に目にしたのと全く同じ光景がそこにあった。 目の前にあるのは玉座。 そこにあの牛骨の男……コル・タウリが座っている。 一筋の稲光が迸り、コル・タウリの手の中に両手斧が現れる。コル・タウリは魔王然として朗々と告げた。【一騎打ちを受け入れた】
「……それでこそ英雄よ。今日という日を、どれほど待ち侘びたことだろう」 コル・タウリの言葉と共に、PC3とコル・タウリ二人の周囲に結界が貼られる。「決着をつける時だ。──行くぞ!」【一騎打ちを拒み、協力して挑んだ】
「いかにも群れる人らしい。だが、それでこそか。 よかろう、何人であろうとも構うまい! 全員まとめてかかってくるがいい!」【エンドチェック】
□コル・タウリの問いに答えた(一騎打ちか協力かを選んだ)□グリット1点を得た【解説】
このクエリーでの回答次第で、決戦フェイズの処理が変わる。GMはPLにその情報を伝えた上で、クエリーにどう答えるかについて考えを促すと良いだろう。 このシーンのコル・タウリは、これまでと異なりいかにも魔王然とした言動でPCたちの前に立ちはだかる。自らを怪物と定めた男にとっての長年の願いが叶う瞬間であり、最初で最後の華々しい舞台なのだ。【決戦:アイム・ホーム】
【状況(チャレンジ成功時を想定)】
君たちにやや遅れて、フォーセイクン・ファクトリーたちが迷宮を踏破し続々と玉座へと辿り着く。 数多のテセウスの船たちによって拓かれた道を、ザ・ティーチャーは悠々と進み、姿を現す。その背後に部下たちが続いた。「さあ、欲しいものを手に入れるとしよう。いつも通りに!」 対峙する怪物と英雄の様を見て、狼は邪悪に舌なめずりをしてみせた。【戦闘情報:一騎打ち】
【エネミー】
・コル・タウリ・迷宮ゾンビ×1・ティーチャー×1 or 2・コールドテイル・デラックスマン・『テセウスの船』×1【エリア配置】
エリア4:コル・タウリ・PC3エリア3:迷宮ゾンビ×1エリア2:PC1・2エリア1:ティーチャー×1 or 2、『テセウスの船』×1、コールドテイル、デラックスマン【勝敗条件】
勝利条件:4ラウンド以内のコル・タウリの撃破敗北条件:PC3の死亡・絶望【備考】
■一騎打ち この戦闘ルールの場合、コル・タウリとPC3は『一騎打ち状態』となり、コル・タウリとPC3は、お互い以外のキャラクターのあらゆるパワーの目標にならないし、目標にできない(エリア移動 / 支援 は可能とする) フォーセイクン・ファクトリーのエネミーはPC1・2を目標に攻撃を行う。 こちらのルールの場合、コル・タウリは通常ステータスとし、強化を行わない。【戦闘情報:混戦】
【エネミー】
・コル・タウリ(強化)・迷宮ゾンビ×1・ザ・ティーチャー×1〜2(強化)・コールドテイル・デラックスマン・『テセウスの船』×3【エリア配置】
エリア4:コル・タウリエリア3:迷宮ゾンビ×1エリア2:PC1・2・3エリア1:ティーチャー×1 or 2、『テセウスの船』×3、コールドテイル、デラックスマン【勝敗条件】
勝利条件:3ラウンド以内のコル・タウリの撃破敗北条件:ザ・ティーチャーの『記憶の継承』がコル・タウリへ行われる、PCの全滅【備考】
■混戦 この戦闘ルールの場合、コル・タウリ、PCたち、フォーセイクン・ファクトリーの三陣営の戦いとなる。 敗北条件に特殊な条件が追加され、コル・タウリへザ・ティーチャーの『記憶の継承』が発生した場合、PCたちの敗北となる。ファクトが迷宮の怪物の力を手に入れた時、プライムバース以外の世界へをも脅威を振り撒くことになるだろう。 敗北条件を明確にするために、『記憶の継承』の情報(特に射程)を、GMは事前にPLへと公開・共有することを推奨する。PCがエネミーのエリアを移動させるパワーを持っていない場合、ザ・ティーチャーがエリア3に到達した時点で、『記憶の継承』の射程内となってしまうためだ(その場合、PCはコル・タウリを優先的に倒さざるを得なくなる。逆にファクトのキャラクターがティーチャーを攻撃する状況が発生するかもしれない) コル・タウリはPCへと攻撃を行う。 フォーセイクン・ファクトリーはPCとザ・ティーチャーへ攻撃を行う。 ザ・ティーチャーへは基本的に『テセウスの船』によって攻撃を行うと良いだろう。 コールドテイルやデラックスマン、ザ・ティーチャー本人が自分を目標にすることは、『テセウスの船』が全て倒されるまでは避けた方が良い。回避判定の処理に関しては、基本的には回避判定が発生することを想定しているが、最終的にはGMの裁量に委ねる。 フォーセイクン・ファクトリーのキャラクターが隠密状態になり、それを解除された場合はエリア1へ出現する。鏡面迷宮のキャラクターが隠密状態になり、それを解除された場合はエリア4へ出現する。■ザ・ティーチャー(混戦時追加パワー)
■コル・タウリ(混戦時強化)
【エナジー】
・D2・30p参照【能力値・技能値】
・D2・30p参照【移動適正】地上・宇宙(※コル・タウリは能動的なエリア移動を行わない)
【パワー】
■ラブリュスの一撃(強化)属性:攻撃、装備 判定:なしタイミング:行動 射程:2目標:2体 代償:ターン10効果:目標は〈運動〉-20%の判定を行なう。この判定に失敗したキャラクターは3D6点のライフを失う。■オリジナルエネミー:テセウスの船
【エナジー】ライフ:15 サニティ:15 クレジット:15
【能力値・技能値】
・PC3と同じステータスとする【移動適正】
・PC3と同じステータスとする【パワー】
■バース・チェンジ属性:攻撃 判定:なしタイミング:行動 射程:3目標:1体 代償:サニティ4効果:行動順ロール直後に使用できる。目標は〈知覚〉+10%で判定を行う。この判定に『成功』したとき、目標はこのラウンドの間「BS:孤立」を受ける。この「孤立」はラウンド終了時に解除される。このパワーは臨死状態の目標には使用できない。【戦闘に勝利した】
【戦闘終了時】
戦闘に勝利することで、コル・タウリは死亡する。「鏡は消えない。どれだけ砕かれても細かく別たれ、新たな世界が映るだけ。 合わせ鏡は永遠だ。 けれど──光を失えば、鏡は何も映せない」「君たちは光だった。君たちは、何より眩く輝く、私にとっての星だった」「君は怪物にならないで」 コル・タウリはそれを告げ、その姿を消滅させるだろう。 それと同時、鏡面迷宮全体が崩壊を始める。君たちは急ぎ、プライムバースへと戻ることになるだろう。【その後】
コル・タウリの死によってアリアドネの糸の力は消滅する。 それにより真紅海賊団も、ラグナロクも、量産『テセウスの船』の力も消滅する。 鏡合わせの二つの世界は離れていく。それを察し、プライムバースへ侵攻していたバスターバースの尖兵たちは撤収していくだろう。 二つの世界を結ぶ糸の柱は時と共に一本また一本と断たれ……数日後には、最後の一本を残すだけとなった。 別れの日がやってくる。【シナリオ成長点】
初期グリット:3クエリーグリット:4リマークグリット:3--------------------------------------------------=合計:10点【戦闘に敗北した】
【一騎打ちの場合】
PC3が倒れる。 勝利したはずのコル・タウリはPC3の死を嘆き、落胆する。もはや彼の興味はプライムバースから失せ、鏡合わせの二つの世界は唐突に分たれることになる。 PC1とPC2は鏡面迷宮を永遠に彷徨う存在となるかもしれないし、無関心にプライムバースへと叩き戻されることになるかもしれない。 確かなことはただ一つ。 君たちは負けたのだ。【混戦の場合】
ザ・ティーチャーの記憶がコル・タウリへと継承される。 コル・タウリはPCたちへの興味を失い、フォーセイクン・ファクトリーを率いて多元世界の侵攻を開始する。 数多の世界から数多のザ・ティーチャーが集まり、その全てがアリアドネの糸の力を与えられることになるだろう。 数多の世界が暗黒の未来へと包まれる。 君たちの、完全なる敗北だ。■鏡面世界災害対策本部
通称「鏡災対」。 プライムバースのG6に臨時で設置された部署。 鏡合わせの二つの世界に関して、各国が競って解明・解決・利用に向けて研究を続けている中で、災害対応に重きを置いて活動している。 多くの専門家や国の橋渡しになるなどの役割を持っているが、所属ヒーロー自体は乏しく、PC1が代表ヒーローとして扱われている。■テセウスの船
世界渡航の力「アリアドネの糸」の力を人工的に再現するプロジェクトで生み出された、人工アリアドネの糸の保有者の名称。 計画自体は既に頓挫・遺棄されており、PC3はその計画の不完全なプロトタイプであった。 PC2の施術によって、PC3は完全な『テセウスの船』としての力を有するに至った。■コル・タウリ
鏡面迷宮の主人。世界線を渡る力「アリアドネの糸」を気まぐれに人へ与え、世界渡航者(テセウス)と呼ばれる存在を生み出している。 自らの望みを叶えるために無差別に力を与えていると言われており、この世界線に生まれた自らが関与しない形で世界線渡航の力を得たPC3に関心を持っている。■ヒューマンサイド
R1リプレイ「マスク・オブ・ビースト」より。 プライムバースのG6所属ヒーロー。本名、峰神ジン。 世間的にも「マスク・オブ・ビースト」の事件を、ザ・ティーチャーを倒し解決した新進気鋭のニューヒーローとして知られている。 PCたちもそれらの情報は知っていて構わないだろう。 ヒーロー:キャプテン・フォーカスライトの元部下であり、『記憶の継承』を受けてザ・ティーチャーとなった彼の死を見届けた人物。■マスター・フォーカスライト
バスターバースにて、犯罪者を用いて犯罪へ対処する特殊部隊『超人警察機構ブラックジャケット』の総隊長を務める人物。 冷徹非情な不屈の意志を持つ男。女性アレルギーを持ち、女性の半径5メートル以内に近寄ると蕁麻疹が出る。 悪を滅ぼすためであれば罪に手を染めることを厭わず、悪人の命をものの数ともしていないサイコパス。 かつてはヒーローとして名を馳せ、バスターバースで発生しようとしていたセカンド・カラミティを事前に食い止めた人物でもある。 その戦いの中で、部下である峰神ジンを失ったことが、彼が今の考えを持つに至った理由ではないかと噂されている。■レディ・レンズ
ブラックジャケットの構成員。ブラックジャケットの中では珍しい善良な少女。 他の捜査官たちと共に、PC2の護衛としてPC2の拠点へと送り込まれる。 荒くれものの捜査官たちを抑え、鏡対災とのやり取りをするなど、緩衝材として立ち回っている。 顔立ちがレディ・マリスにそっくり。■ラグナロク
コル・タウリによってアリアドネの糸を渡された世界渡航者(テセウス)の一人。 赤い甲冑に身を包んだ騎士であり、ハービンジャーの間では『次元災厄』と噂され、神も同然の存在として恐れられている。 アリアドネの糸の力は所持した赤いメモワールに宿る。メモワールには世界を封じる力があり、ラグナロクがこれまでに簒奪してきた数多の世界がメモワールの中に封じられている。 コル・タウリによってプライム・バスターバースへとけしかけられたが、PCたちに敗北し、プライムバースのG6監視のもと、収容下に置かれている。 ラグナロクのメモワールの力は現状を解決する手段として注目されているが、諍いを加速させる可能性が高いとして厳重に秘匿されていた。 しかし第三話にて、バスターバースよりやってきたPC2の暗躍により、現在はその力の存在が両世界へと公開されてしまっている。