マンゲーム・コンゲーム
マンゲーム・コンゲーム
━━あなたの命、おいくらですか?
【エントリー1】
君の知り合いの善良なヒーローが死んだ。 犯人は食い詰めた貧しい一般市民だったという。 しかし犯人の家族がその後、不自然なほど急速に裕福になった。 この事件、裏で何かある。【エントリー2】
君が知人の大富豪、ムッシュ・リトーレ・アリガーネ伯爵の屋敷に招かれていたとき、とあるビジネスマンが現れた。 伯爵に紹介され、ブローカーを名乗るビジネスマンは君へこんなビジネスを説明した。「ヴィランの首に賞金をかけてみませんか?」【エントリー3】
ある日、一人の老人が君に風変わりな依頼を持ち込んだ。「私の所有する島に、よからぬ輩が入り込んでいるようだ。奴らを退け、島を守って欲しい」 島を見る老人の目は、物悲しげで、強い罪悪感を滲ませたものだった。【イベント1:謎の死】
【状況1】
君の知り合いのヒーローが死んだ。善良な男だった。 しかし、死因はヴィランとの戦いではなく、貧しい一般人による通り魔であったという。 犯人はすでに捕まり、殺害動機に関しては黙秘を貫いている。 この事件に疑問を抱いた君は、調査に乗り出した。【状況2】
事件について調べていた君は、遠方に引っ越した犯人の家族が急速に裕福になっていることを知る。 何者かから巨額の入金があったようだ。家族たちも誰から送られたものなのかは分からないらしい。「……もうすぐ娘が進学するんです。あの人がお金のことで悩んでいたのは知っていました。……でも、人を殺すような人じゃ、なかったはずなんです……」「……このお金がよくないものだなんてのは分かっています。けれどあの人を失って、犯罪者の家族と石を投げられて……もう、どうしたらいいのか」 悲しむ家族の姿に嘘は無さそうだ。 この事件、裏で糸を引く黒幕がいる。 真相を掴まねばなるまい。【エンドチェック】
□ヒーローの死の裏に陰謀があると察し、調査に乗り出した【解説】
死んだヒーローについては自由に設定して良い。 犯人の家族は、父親が罪を犯したことを悲しみ、多額の入金に怯えている。しかし同時に、生活苦からその金に魅力を感じてしまってもいる。良心と欲望の最中で心揺れながら、真相解明を望むだろう。【イベント2:資金調達】
【状況1】
君は大富豪として知られるムッシュ・リトーレ・アリガーネ伯爵の知り合いだ。 ムッシュ・リトーレ・アリガーネ伯爵は、善良な大富豪で、しょっちゅう騙されては悪徳ビジネスに金を払ってしまっている。悪人ではないのだが、人を見る目がないのだ。 君はそんな彼の家に招かれた。「PC2くん、久しぶりだねえ! 欲しいものとかある? 何でも我輩に言ってくれていいよ!」「あっ、でも我輩ウッカリ、今から商談があるの忘れてたの。契約書にサインするだけだし、すぐ終わるから、そこに居てくれたまえ〜」 それと同時、使用人が伯爵へ来訪者を告げた。伯爵は君の返事を待たず、来訪者を招き入れてしまう。【状況2】
現れたのは覆面で顔を隠したビジネスマン風の男だった。これまでに幾度か話をしてきたのか、伯爵との仲も気安げだ。「お世話になっております伯爵様! 先日の商談について、本日は契約書をお持ちし……ンー、そちらの方は? もしやヒーローのPC2様では?」「あー……いやあ、お初お目にかかります、PC2様! ワタクシ、(長くて複雑で覚えにくい肩書き)のブローカーと申します。お会いできて大変光栄ですよねぇ!」 探るような視線がPC2に向けられる。【状況3】
「PC2くんにも、君のビジネスの話を聞かせてあげてほしいんだ。きっとPC2くんも賛同してくれるさ!」「あっはっは、席を外していただくことは難しいと。ですよねえ〜」 伯爵がキラキラとした目でブローカーを見る。ブローカーはその言葉に肩を竦め、すぐに気を取り直したように話し出した。「今回ご提案に参りましたのは、画期的なヴィラン討伐支援ビジネスでございます」【エンドチェック】
□ブローカーが現れた【解説】
アリガーネ伯爵との関係性は自由に設定して良い。 詳しいビジネス内容はクエリー1で。 ブローカーはヒーローとは関わりたく無いと思っているが、伯爵の手前無理に逃げるわけにもいかず、ビジネスを続ける。 アリガーネ伯爵の使用人たちはブローカーのことを胡散臭いと疑っている。演出の流れ次第では、使用人の口から直接、PCへ力添えを依頼しても良いだろう。 ブローカーの名刺にはそれっぽい会社のそれっぽい肩書きが記されている。精巧に作られた偽の肩書きだ。【イベント3:老人からの依頼】
【状況1】
今、君はある人物の家に招かれている。 書斎の調度品の中には、軍からの賞状やメダルが多く混ざっている。 やがて、車椅子に座った老人が部屋にやってきた。「やあ、急な呼び出しに応じてくれて感謝する。私がシャトラーだ」【状況2】
シャトラー老は一枚の写真を差し出す。どこかの小島の衛星写真だ。「ソロモン諸島の一つ、私が所有しておる島でな。 過去の戦で使われた古い兵器が眠っているだけの、何もない無人島だよ。 ここに、どうも最近よからぬ輩が出入りしているようだ。 密猟者か、ヴィランが秘密基地でも作ろうとしてるのかは知らんが……そいつらを退け、この島を守ってほしい」 写真を見る老人の目は、物悲しげで、強い罪悪感を滲ませたものだった。【エンドチェック】
□シャトラー老の依頼を受けた【解説】
この時点では、シャトラー老は島に何があるのかを語らない。「……必要と判断すれば、その時は語ろう。だが今は触れてくれるな。これは私の罪の証なのだ」「この一件が終わったら、その時に」などといって誤魔化すと良い。詳しい事情は後のクエリーで語られる。【クエリー1:ビジネスチャンス】
【状況1】
「今回ワタクシがご案内しますのは、ヴィランへの懸賞金ビジネス『マンゲーム』でございます」 ブローカーはホログラムの映像を映し出す。 そこにはランキング形式で、多くの著名ヴィランの名と、それに賭けられた懸賞金額が映し出されている。「悪党に懸賞金をかけることで、ヒーロー以外にもヴィラン討伐の旨味を持たせるのです! すでに多くの賛同を受けており、これまでにも多数の実績が」「今の状態は皆さまヒーローに過剰な負荷がかかり過ぎてますよね? それをお金でスパッと解決! ね、合理的ですよね?」「何よりこのプランの有意義な所は、今まで以上にヴィラン同士の同士討ちを期待できる所です。懸賞金が高ければ高いほど、その可能性は上がりますよね。……憎いあいつらの首に、ドル札をぶら下げてやりません?」「今なら入会費無料! とってもお得なサービス特典もプラス! ささ、是非ご契約を!」 アリガーネ伯爵は嬉々として拍手をし、今にも契約書にサインしようとしている。 さて、君はどうしよう?【状況2】(断った場合を想定)
君の意見を受け、伯爵はブローカーの提案を断った。「なるほど、貴重なご意見ありがとうございます。今後の参考にさせていただきますね。では、またご縁がございましたら、よろしくお願いします」 ブローカーは意外なほどあっさりと身を引き、聞き分け良く撤収していく。「戦う力のない我輩でも、ヒーローの役に立てると思ったんだけどなあ」 残された伯爵がしょんぼりとした様子でつぶやく。ブローカーがそうした善意に付け込んだのは明らかであった。 今は被害を免れた。だがこれを捨ておけば、同じ被害が広がる可能性は高いはずだ。 あのブローカーという商人について、もう少し調べてみる必要があるだろう。【エンドチェック】
□状況に対応した□ブローカーについて調べることにした□グリットを1点得た【解説】
PC2がマンゲームのことを知るシーン。 PC2に強く反対された場合、ブローカーは無理に説得しようとすることはなく、あっさりと引き下がる。 奇妙な引き際の良さは、君がいない間に彼が伯爵に接触するつもりなのだと察せられる。PC2の調査のモチベーションとなるものだ。 伯爵もPC2の意見次第で契約締結か、止めるかを決める。伯爵からの信用は常にPC2の方が高い。【チャレンジ1:調査開始】
【状況1】
PC1はヒーローの死の裏の陰謀を探る。 PC2はブローカーに関する詳しい調査を行うことにする。 PC3は離島に出入りしているというよからぬ輩を捕まえ、その背景について調べる。【状況2】
【PC1判定結果】 PC1はヴィランへの懸賞金システム『マンゲーム』が、ダークウェブ上でヒーロー側にも懸賞金をかけていることを知る。件のヒーローの名前もそこに掲載されており、犯人にはその懸賞金が支払われたようだ。【状況3】
調査の中でPCたちは同じヴィランを調べている者同士、調査の過程で顔を合わせてもいいし、合わせなくてもよい。【エンドチェック】
□PCたちが情報を集めた□ブローカー改め、コンマンズブローカーの悪事に気づいた【解説】
兵器の量は多く、回収した場合置く場所が必要になる。不可能では無い。決戦フェイズで、コンマンズブローカーはその兵器の保管場所に現れる。 ここでPC同士が合流している場合、以後のクエリーでは他のPCが同席していても良いだろう(あくまでメインとなるのは対象のPCだが)。 シナリオ上はこのあたりでPC同士が顔を合わせることを推奨するが(PC同士のロールプレイの機会が増えるため)、PLがそれを望まないのであれば、チャレンジ2まで単独行動を貫くPCがいてもいいだろう。【クエリー2:老人の懺悔】
【状況1】
離島へ出入りしていた者達の正体と、新たな謎を抱えた君は、再びシャトラー老の元を訪れる。 島に立ち入っていた者たちに関する報告と、あの兵器群に関する詳しい事情を聞き出すためにだ。「君があの島でチンピラたちを捕まえたことは耳にしている。詳しい報告があるなら聞こう」【状況2】
シャトラー老は報告を受けると、重々しいため息を吐く。 やがて老人は覚悟を決めたように口を開いた。「かつて、あの土地周辺を巻き込んだ大きな戦争があった。その時、私は軍の司令部にいた」「あるミッションのため、私は極秘に傭兵部隊を雇い入れた。しかし、司令部の立てた作戦にミスがあり、彼らは窮地に陥った」「救援を求める彼らからの要請を、私は無視した。見殺しにしたのだ。……そして、彼らはあの島で全滅した」「あの兵器群は、その時の傭兵部隊が使っていたものだ。戦争が終わり、私はあの島を買い取って……だが、それ以上は何もしてこなかった。彼らの死から、目を背けてきたのだ」「それなのに今更、あの島を守りたいと言う私を……君は軽蔑するかな」 老人の懺悔に、君は何と返すだろう?【状況3】
懺悔を終えた老人は、長年背負っていた重荷を下ろしたようであった。「そのコンマンズブローカーなる者が何者なのかは、私には分からない。思い当たる節もない。だが、捨て置くわけにはいかなさそうだ。引き続き調査を行い、あの島を守ってはくれないか。私に出来ることがあれば、何でも協力しよう」 シャトラー老は改めて、君へ深く頭を下げた。【エンドチェック】
□問いに答えた□グリットを1点得た【解説】
島に残された武器はシャトラー老にとっては意味のあるものだが、コレクターや武器商人には無意味なものだとシャトラー老も同意する。よって、島に人を差し向けたコンマンズブローカーの真意は謎のままだ。 シャトラー老は引き続き、コンマンズブローカーの目的に関する調査をPCへ依頼するだろう。 PC3のクエリーではあるが、合流後のタイミングということで、望むのであれば他のPCが同じシーンに登場していても良いだろう(クエリーの対象はあくまでPC3だ)【クエリー3:マンゲームの欺瞞】
【状況1】
PC1はマンゲームの裏側を突き止め、コンマンズブローカーを捕えるため、彼を呼び出す。 表向きの顔を持つ男は、商談を装って呼び出せばあっさりと姿を現した。「お世話になります、ブローカーと申します! いやあ、ヒーロー様から直々のお呼び出しとは光栄だ。ワタクシのことはどちらでお知りに?」 揉み手をしながら朗らかに対峙する男は、後ろ暗いところなど何もないと言いたげだった。【状況2】
PC1が自分を呼び出した理由が死んだヒーローの件と察し、コンマンズブローカーはわざとらしく悲しんでみせる。「ああ、なるほど例の件。いやあ、実に痛ましい話でしたよねえ」「しかしこう考えることもできるのでは? 無駄に終わるはずだったヒーローの死に、意味を差し上げることができた、と」「悪党との闘いで、その悪党に殺されてしまっては、何の利益も得られません。しかし今回のパターンはどうです? ヒーローは死にましたが、市民はお金を手に入れ救われました。死んだヒーローの命は決して、無駄に消費されたわけではありませんよね」「ヒーローは最期まで市民の助けとなった、市民もお金がもらえて嬉しい、そしてワタクシもビジネスが成功して嬉しい! 三方良しのwin-win-winじゃあないですか、ねえ?」 ……欺瞞!【状況3】
「あっこりゃダメだ。ブラックマーン! 助けてー!!」 ブローカーの言葉に黒ずくめの男が飛び出してきて、君の前へと立ち塞がる。 ブローカーがその背後に隠れると同時、ヘリコプターがダイナーの上空へと現れた。「イヤやっぱり無理筋ですよねえ! 流石にアレはしくじったな〜と思ってたんですよ。ご家族にお金、払うべきじゃありませんでしたよねぇ!」「撤収します、お疲れ様でしたー!!」 コンマンズブローカーは黒衣の男に守られ、その場から逃げ出した!【エンドチェック】
□コンマンズブローカーの言葉に答えた□グリットを1点得た【解説】
ここで助けに来たのは『ブラックマン』。 言葉巧みにコンマンズブローカーに丸め込まれ、彼に協力している。 コンマンズブローカーがPC1の接触に応じたのは、ワンチャンの説得と、自分を調べているヒーローが何者なのかを見極めるためだ。ここで得た情報をもとに、チャレンジ2でPC1を含めた全てのPCがマンゲームの標的となる。 ヒーローの対応次第では、金を払うから自分を見逃せ、と取引を迫ることもあるかもしれない。(「ねえヒーロー。いま、あなたの口座にいくらかお送りしました。手を引いていただけるのなら倍、お支払いしましょう。それで見なかったことにして頂けません?」)【チャレンジ2:コンゲームの悪意】
【状況1】
PC達はそれぞれの理由からコンマンズブローカーを追う。 しかしこれまでの接触により、自身の存在がヒーローにバレたことを向こうも悟ったのだろう。 裏のマンゲームリストには君たちの名が掲載され、高額の報酬が提示された。 君たちの元には、君たちの命を狙うヴィラン、金に困った民衆たちが障害として立ちはだかる。 道行く悪意ある者たちは、君たちへとスマホを向け、君たちの現在位置を殺し屋たちへリークする。 欲望の敗北者を退け、このゲームに終止符を打てヒーロー!【状況2】
襲撃者を退けながら、君たちは仲介者であり、詐欺師であり、煽動者でもある男、コンマンズブローカーを追う。 退けても退けても、襲撃者たちはなかなか減らない。襲撃者は欲望を煽られた者たちであるのは間違いないが、それ以上に奴の人脈の成せる技ともいえた。それが奴のやり方、それこそがコンマンズブローカーの武器なのだ! コンマンズブローカーのパワー『コネクション』をここで公開する。【エンドチェック】
□チャレンジ判定を終えた【解説】
PC2が島の兵器を回収していた場合、ブローカーの向かう場所(決戦の舞台)は孤島ではなくシャトラー老の自宅などの兵器が回収された先になる。 公開するパワー『コネクション』は代償さえ払えれば2ラウンド目以降も使用可能なパワーだ。GMはそのことを、それとなくPLへ伝えておくと良いだろう。【決戦:マンゲーム・コンゲーム】
【状況1】
君たちはついにコンマンズブローカーを追い詰めた。 兵器の回収を進めていたコンマンズブローカーは、嫌そうな溜息を漏らす。「ですよね、そう簡単にはやらせてくれませんよねえっ!」「勘弁してくださいよ。私のような三下に、どうしてそうこだわるのです。もっと悪い奴らはいくらでもいるでしょう?」【状況2】
「荒事は苦手なのですが、こうなったらあなた方をここで仕留め、胴元の総取りにするしかなさそうだ」 コンマンズブローカーの合図と共に、PC1を妨げた黒衣の男と、スマートフォンを手にした少年が立ちはだかる。「観ていますよねグッドボタ~ン!? 投げ銭は山分けですよ、どうぞ!」 コンマンズブローカーのマスク越しに、どこからか君たちを『観て』いるような、不気味な気配が周囲に充満するのを感じる……この戦いすらも、誰かの娯楽に、この男のビジネスに、消費されているのだろう。 人の欲望を弄ぶ悪党を蹴散らせ!【戦闘情報】
【エネミー】
・コンマンズブローカー・ブラックマン・グッドボタン・ホープレス(「マンゲーム・マーケット」参照)【エリア配置】
■PC初期配置 エリア1・エリア2■NPC初期配置 エリア4:コンマンズブローカー、グッドボタン エリア3:ブラックマン、ホープレス【勝敗条件】
勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:PCの全滅【GM向け備考】
・グッドボタンの「ルックアットU」はコンマンズブローカーに対して使用する。・チャレンジ1に失敗している場合、エリア3に「エース」を追加する。・ホープレスの「スパークインストール」は、1R目は「粘液発射(R1/122ページ)」、2R目は「誘導弾(R1/135ページ)」を取得する。【エネミーの戦法】
【永続】
・グッドボタン:「ルックアットU」→コンマンズブローカーに対して使用・ブラックマン:「未成熟体」【ラウンド開始時/イベント開始時】
・ホープレス:「ロールオーバーライド」(イベント開始時)・ホープレス:「スパークインストール」(ラウンド開始時)→1R目:粘液発射(R1/122ページ)/2R目:誘導弾(R1/135ページ)/3R目:取得なし・コンマンズブローカー:「コネクション」→1R目:ブリッツクリーグ(R2/111ページ)/2R目:殺芽(R1/190ページ)/3R目:コールドテイル(R1/190ページ)【行動順ロール直後】
・コンマンズブローカー or グッドボタン:「マッチング」 or 「エブリシング4U」【行動】
・コンマンズブローカー or グッドボタン:「セールストーク」or「オールコミットU」・ホープレス:「スパークリング」・ブラックマン:「コンバットナイフ」 or 「炙り出し」【特殊】
・グッドボタン:「グッドボタン」(誰かが戦闘不能になった時に使用)・ホープレス:「バーンアウト」(スパークルが10点に達した時に使用)【シナリオの結末(一例)】
【戦闘終了時】
傷ついたコンマンズブローカーが意識を取り戻し、よろよろと立ち上がる。 マスクの一部が壊れて欠け、声にはノイズが走っていた。そこから覗いた目は、これまでの態度からはかけ離れた、老人の瞳だった。 ノイズ混じりの声でコンマンズブローカーが皮肉げに笑う。「こんなことなら、最初からシャトラーのジジイから島を買収しておけば……いや、どうせ売らないか……意地を張った時点で失敗でしたね。ワタクシの完全敗北です……ので!」「さようなら、ヒーロー! 金輪際会わないことを祈っておりまぁ〜〜〜す!」 足場が爆発して崩れる。コンマンズブローカーは崖下の海に落ちていった。 戦いは終わった。【PC1】
君が死んだヒーローの墓参りにやってくると、そこには花を備える先客がいた。犯人の家族だ。 犯人の家族は改めて、真相を突き止めてくれたことに感謝の言葉を述べるだろう。「娘とも相談をして、あのお金はすべてチャリティーへの寄付に使いました」「ゼロから再出発して、あの人が帰ってくるのを待とうと思います」「……真実を明らかにしてくれてありがとう、ヒーロー」【PC2】
アリガーネ伯爵は自分が騙されそうになっていたことを教えられ、ショックを受けるが、真実を明かしてくれた君へ改めて感謝する。「我輩ってば、すーぐ悪い人のことを信じて騙されちゃうね……トホホ、我ながら情けないや」「我輩もう少し、人を疑った方がいいのかな? どう思う?」 君を信じきった目で、アリガーネ伯爵は意見を求めてくる。さて、君は何と答えよう?【PC3】
一連の話を聞いたシャトラー老は考え込みながら語った。「君たちが最後に見たという奴の武器は、当時の傭兵部隊に配備されていたものに間違いない」「あの島に眠っているのは、コレクターにも、武器商人にも、意味のない兵器たちだ。だが、私にとっては意味がある。そしておそらく、やつにとっても……複雑なものだな」「私は今度こそ、あの島に向き合っていこう。私に出来ることがあるとすれば、それぐらいだ」 シャトラーは礼を言うだろう。【シナリオ成長点】
初期グリット:4クエリーグリット:3リマークグリット:3--------------------------------------------------=合計:10点【NPC情報】
■コンマンズブローカー
コンマンズブローカーは凄腕の仲介人(ブローカー)であり、同時に凄腕の詐欺師(コンマン)だ。つまり、ビジネスマンである。 自他共に認める金の亡者で、その執着は偏執狂の域。兵器密造、人身売買、麻薬密売etc、およそ彼の関与するビジネスは幅広い。彼は何でも売るし、何でも買う。手放す者と求める者を的確にマッチングさせる彼のコネクションは歩くブラックマーケットとも呼ばれ、悪党たちの中でも忌々しげに、けれど確かに一目置かれている。 彼はトップに立つことは決して望まず、のらりくらりと肉体労働を押し付け、誰かの陰に隠れながら私腹を肥やす。当然、危険の多い立場だが、彼の類まれなる弁舌と立ち回りはそれを可能としているのだ。 さる大戦で壊滅した傭兵部隊の武器を蒐集しているとされ、実は旧世代ではないかとも噂されている。■ブラックマン
とあるヒーローのクローン人間。 自分の顔や能力にひどく罪悪感を覚えており、真っ黒のマスク、スーツを着用。活動してない際もサングラスをつける徹底ぶりだ。 彼は自身の能力に罪悪感を覚えているが、体の内から湧き上がる正義感は止めることができず、やりすぎてヴィランを殺害してしまう。 街で見かけたとあるミスティックの魔法少女を見かけて以来、胸に押し寄せる謎の感情を覚えている。恋かなぁ?■グッドボタン
動画投稿型SNSのヒーローショーチャンネル「グッドボタン」は、開設当初はただのヒーローの活躍や市民との心温まる一幕を投稿するチャンネルだった。しかし、セカンドカラミティの日に投稿された一本の動画がこのチャンネルのありようを変えた。 ヒーローが市民を庇って死ぬスパークの瞬間を映したのだ。 その日からグッドボタンは「あの感動」をもう一度撮り、SNSに投稿して喝采を共有するためにあらゆる場に忍び寄るチャンネルになる。チャンネルの運営者は未だ不明。噂によれば犯人は複数だとも一個人だとも言われている。 グッドボタンはわざとこの感動を生むために事件を引き起こしたり、プライベートに忍び寄ってヒーローの動向を”観て”いるとも。■ホープレス
特別に成れなかった少年少女たちを率いるリーダーの名前。その実態は存在せず、少年少女の誰かがホープレスを名乗っている状況のみが存在する。ある種の世襲制であり、集団の内、ホープレスを名乗れった者がホープレスになり、他メンバーへの命令権を持つ。この特性から幾人かのホープレスが同時存在する事があり、またホープレスが存在しない状況もある。命令されたメンバーは他のホープレスが役を演じ切るために力を貸すことが多い。■エース(チャレンジ1失敗で追加)
かつてはヒーローとして名を馳せた男。 しかし、救った相手がヴィランへと堕ち、別の誰かを害する存在となってしまう。 そのことに彼は苦悩した。自分の行為は無駄なのか? 確かにヴィランはこの世に存在し続けるし、争いもいさかいも消えることはない。 そんな時、彼は人類が団結した瞬間を知ってしまっていた。セカンドカラミティ。人々が結束するには、より強大で、明確で、分かりやすい悪が必要なのだと、彼が考えるには十分な光景だった。 エースはヒーローをやめてヴィランとなった。世界の平和のために、誰からも畏れられる存在になればいいのだと。 けれど時間を重ねるうちに、目的が消え、手段が目的に成り替わりつつある。悪行を楽しんでいる自分がいる。危険な兆候だと時折、彼は我に返る。 けれど。それもすぐに使命感と……快楽に押し流されてしまう