シング・シング・シング:REMIX!


━━Let's Sing Sing Sing !!!
▼シナリオPDF

1.エントリーとシナリオ概要

【シナリオ概要】


 マーチング・バンド楽団『スイング・ヒューマンズ』と、ある田舎町A市を巡る戦いから二週間。 新たに姿を現したのは……バッシュザールの大艦隊!? 田舎町A市に眠る謎のエネルギー物質と、スイング・ヒューマンズの運命は、いま、ヒーロー達に託された。 ヒーローよ、ふるさとを守るのだ!

【GM向けシナリオ概要】


 このシナリオは「シング・シング・シング!」の続編を想定して制作されたシナリオだ。参加キャラクターはエントリー1以外は継続PCである必要はないが、プレイヤーは当該シナリオを経験済みであることが望ましい。

【事前情報】


 チャレンジ:2 クエリー:3 リトライ:1 初期グリッド:3
 想定時間:3〜4時間 推奨経験点:20点前後

【GMに要するルールブック】


・基本ルールブック(R1)・学園マッドネス(R2)・パワー・トゥ・ザ・ピープル(D1)

【エントリー】

【エントリー1:フライ・ミー・トゥ・ザ・ギャラクシー】

 君はスイング・ヒューマンズの楽団長ジマーの秘密を知るヒーローの一人だ。 ある日、テレビの中で、スイング・ヒューマンズの公演が生中継されていた。 パフォーマンスはつつがなく終わるかに見えた、その時! 空一面を覆い尽くす、宇宙騎士団バッシュザールの大艦隊が現れた!

【エントリー2:A市行き列車で行こう】

 君は田舎町A市の調査に赴いている。 過去にA市周辺の土地を買収しようとした悪徳企業の資料から、A市周辺の山の中に凄まじいエネルギーを秘めた物質が眠っていることが分かったからだ。 君を歓迎したA市の住民たちは、君にこんなことを教えてくれた。「そういや、東の山の中に、でっけえクレーターがあるんだっぺ」

【エントリー3:ジャックポットの到着】

 君は福引に当選し、二等景品である『スイング・ヒューマンズ公演チケット』を手に入れた。「うっそだろ、まじかよ!?」 チケットを受け取った君の背後から、ショックを受けたらしい青年の声がする。 振り返れば、大量の福引券を手にした地球人の青年が、君の受け取ったチケットを見つめていた。

2.導入フェイズ

【エントリー1:フライ・ミー・トゥ・ザ・ギャラクシー】

舞台:PC1の自宅(前作の二週間後)登場キャラクター:PC1

【状況1】

 A市のダム開発を巡る戦いから二週間が経った、ある日のお昼時。 君はその日、自宅で(あるいはセーブハウスの一室で)日常を過ごしていた。 テレビをつけると、どこかの国のスポーツ大会の開会セレモニーが開かれていた。リポーターが告げる。
『さあ、選手宣誓も終わりました! 続いてはマーチング・バンド楽団「スイング・ヒューマンズ」の皆さんのパフォーマンスを、現場から生中継でお届けします!』
 リポーターの言葉と共に、カメラの中には揃いのコスチュームに身を包んだ、『スイング・ヒューマンズ』たちの姿が映し出される。楽団の先頭には、バンドメジャー(指揮棒)を振るう仮面をつけた楽団長、ジマーの姿がある。君は彼の秘密を知っているヒーローの一人だ。 ほんの二週間前には、ジマーの過去にも関わる、A市を巡る戦いの渦中にあったというのに……やがて始まったスイング・ヒューマンズのパフォーマンスは、それらの多忙を感じさせない、相変わらずの見事なものだった。

【状況2】

 演奏はつつがなく進み、やがてクライマックスへと至る。最後の一音が青空に響き、楽団はピタリと一糸乱れず動きを止めた。
『「スイング・ヒューマンズ」のみなさん、ありがとうございました~! では続きまし……えっ、なにあれ!?』
 その時だった。リポーターの困惑の声が響く。画面に目を向ければ、先ほどまでは青空が広がっていたはずのスタジアムの上空を覆い尽くさんばかりの、大艦隊が姿を現していたのだ! 艦隊の掲げるエムブレムは、宇宙騎士団バッシュザールの紋章! 艦隊の一隻が、競技場を覆い尽くすほど巨大なホログラムを投影する。その中に映し出されたのは、バッシュザールの首領、ティノグリフの姿だった。
『実に見事な演奏だった、スイング・ヒューマンズの諸君』 ティノグリフは重々しく告げる。『君たちの演奏に敬意を称し、我らの船へと歓待したい。 丁度、諸君らの楽団長殿に、相談したいこともあってね。 ……私は君の秘密を知っている。悪いようにはしない』『明日、迎えを向けよう。どこに行こうと、逃がしはしない。忘れるな』
 そう告げると、ホログラムは消え、大艦隊もまたテレポートによって一瞬で姿を消してしまう。 静まり返った会場の中、スイング・ヒューマンズの先頭に立っていた楽団長ジマーの手から、ポロリとバンドメジャーが転がり落ちたのを、君は画面越しに目にした。

【状況3】

 PC1はスイング・ヒューマンズへと連絡を取る。警察やG6の対応に追われる中、ジマーと話をすることが出来た。「PC1さん~! お~ひ~さ~し~ぶ~り~で~す~!」「まさか~、こんなことが起きるとは~。 私は大丈夫です~。 しかし~二週間前から立て続けにこんなことになるなんて~、 団員たちに申し訳が立ちません~」「そうだ! PC1さん、どうか団員たちの護衛をお願いできませんか〜? PC1さんなら安心です〜!」 対応するジマーはいつも通りに見える。彼は君に楽団員たちの護衛を依頼した。
 別れ際、団員たちを見ながらぽつりとジマーがこぼした言葉が、小さく意味深に君に届いた。「本当に~……PC1さんならきっと大丈夫、ですよねえ〜」

【エンドチェック】

□放送を見た

【解説】

 バッシュザールとスイング・ヒューマンズの接触をPC1が知るシーン。 ジマーはバッシュザールの襲撃と、向けられた言葉に衝撃を受けているが、団員たちの手前それを表に出さないようにしている。

【エントリー2:A市行き列車で行こう】

舞台:田舎町A市(前作の二週間後)登場キャラクター:PC2

【状況1】

 君は周囲を山に囲まれた田舎町、A市へと調査に訪れている。 この町はつい二週間前まで、ダムの開発計画と、それに伴う周辺の土地の買収計画が進んでいた。しかしヒーローの活躍により、買収を進めていた企業の悪事が発覚したことで、その計画は白紙となっていた。かくしてA市は一旦ただの田舎町に戻った、かに思われた。 しかし、その企業の極秘データの中に、A市の山の中に凄まじいエネルギーを秘めた物質が眠っていることが分かった。かくして、君はそのエネルギー物質調査の為、A市を訪れている。 A市の人々は公民館で君を歓迎しながら、エネルギー物質について、めいめいに意見を述べる。
「いンやァー、そっだらおっかねえモンの話は聞いたことがねえっぺけどなあ」「郷土資料みてえなもんはお役所に残ってねえんけ?」「オラのかかあが、そういうもんはずいぶん昔に、ぱあーっと消えちまったって言ってたっぺよ」「市村んとこの婆さん、町一番の長生きだべ。なんか知らねえけ?」「ボケがキツくってなあ……他にいねえべか? 昔のこと知っとるひと」「そうそう都合よくはいねえべなあ……」 皆がウンウンと頭をひねっていた時、一人の爺さんが、そういえばと口を開いた。「そういえば、東の山の中に、でっけえ湖があるって聞いたことがあるっぺ」

【状況2】

「てえへんだてえへんだあ~~!!」 そんな話をしている君たちのもとに、一人の老人が駆け込んできた。「あれま、及川どん。どしたんべか」「てえへんなんだ! てれび! てれびつけてみい!」 老人の言葉に促され、テレビをつける。するとそこには、スイング・ヒューマンズの公演中に現れたバッシュザールに関する報道が行われていた!「こ、こりゃあ、スイング・ヒューマンズさじゃねえべか!」「なんてこった! こりゃあコトだ!」 ざわめく老人たち。君もまた、スイング・ヒューマンズとこの街のつながりについては(過去の資料を通してか、実際に現場にいたからかはさておき)知っている。 A市にエネルギー物質が眠っていることが明かされたこのタイミングでの、バッシュザールのスイング・ヒューマンズへの接触……果たしてこれは無関係の偶然なのだろうか? とてもそうは思えない。 画面の中では、仮面の楽団長ジマーが、手にしたバンドメジャーをぽろりと取り落としていた。

【エンドチェック】

□東の山の湖のことを知った□バッシュザールの報道を見た

【解説】

 PC2がA市で調査を行っている最中、スイング・ヒューマンズの事件を知るシーン。 PC2が前作「シング・シング・シング!」に参加していたPCの場合、老人たちはPC2を町の恩人として大いに歓迎するだろう。 老人たちは、A市の山の中にあるという湖については、実際に目にしたことがあるわけではない。親などからそういう話を聞いたことがある、というだけだ。 踏み込もうとすると、その段階で状況2へ移ってしまい、老人たちの関心はそちらに移ってしまう。

【エントリー3:ジャックポットの到着】

舞台:商店街登場キャラクター:PC3

【状況1】

 ガランガラガランガラン。「大~当たり~!!」 君の目の前で銀色の玉が転がる。目の前で法被を着た中年男性がガランガランと鐘を鳴らす。「二等景品、『スイング・ヒューマンズ公演チケット』をプレゼントです! おめでとうございます~!」 君は商店街の福引を回し、二等景品である『スイング・ヒューマンズ公演チケット』を手に入れた。君はスイング・ヒューマンズという楽団について、知っていてもいいし、何も知らなくてもいい。 君が商品を受け取ると同時、君の後ろから悲鳴が聞こえた。
「うっそだろ!? マジかよ!?」 振り返るとそこには、大量の福引券を手にした、地球人の青年が呆然と立ち尽くしていた。 その視線は、君の持つチケットへとまっすぐに向けられている。

【状況2】

「な、なあなあなあ! 頼むよ、そのチケット、よければ俺に譲ってくれねえか!? 金なら払うから! な! この通り! もうすぐ誕生日なんだ俺! 自分へのプレゼント!!」
「俺、アッシュっていうんだ。 この星生まれなんだけど、いつもは訳あって地球外で生活してて……。 俺、『スイング・ヒューマンズ』のファンなんだ。 次にこの星に来れるのがいつか分からないから、どうしてもその公演に行きたくてさあ! 普通に買うと完売なんだよ!」
 アッシュと名乗った青年は、君の後ろを付きまといながら、君の持っているチケットをねだる。君がチケットを快く渡すならば、彼は感激し、何か礼をさせてくれと大喜びでつきまとう。(君がスイング・ヒューマンズのことを知らないのであれば、信じられない!と叫び、鼻歌とその場でのダサいダンス(多分真似)で説明する) 君がアッシュとの縁を深めた頃、街の街頭テレビでスイング・ヒューマンズの姿が映し出される。
「そうそう! まさにああいう感じの……」『緊急ニュースが入りました!』 テレビの中で報道されるのは、スイング・ヒューマンズの公演のもとに現れたバッシュザールに関する報道だった。アッシュは呆然とそれを見届け、唖然としながら呟いた。「そん、そんな、艦長、どうして……!?」

【エンドチェック】

□アッシュと知り合いになった□スイング・ヒューマンズの報道を見た

【解説】

 PCがバッシュザールのジャックリー・アッシュと知り合いになるシーン。 アッシュはバッシュザールが何故スイング・ヒューマンズを襲撃したかは知らない。 状況としてはここで区切られてはいるが、PCとアッシュが互いの立場を打ち明けるようなシーンや、PCにアッシュが協力を求めるシーンを作ってしまっても構わない。

3.展開フェイズ

【クエリー1:ミステリーマスクマン】

舞台:スイング・ヒューマンズ宿泊地登場キャラクター:PC1

【状況1】

 あの報道の翌日。スイング・ヒューマンズの護衛を依頼された君は、あてがわれたホテルで楽団員たちと夜を明かす。 そんな朝のこと。君のもとに、スイング・ヒューマンズの楽団員達が現れた。
「「「「ヒーローさん、団長来てませんか!!」」」」「探せ探せ」「隠しだてしてちゃタダじゃおかねえ」「おちつけまずは弁明の機会を与えろ」「くそっいねえ!」
 楽団員達は君に詰め寄りながら、何故ここにやってきたかを告げる。 曰く、ジマー楽団長の部屋にこんな置き手紙が残され、彼が忽然と姿を消していたというのだ。『旅に出ます。探さないでください。ジマー』 筆跡は間違いなくジマー楽団長のものだという。 君に詰め寄った楽団員は、悔しげに地団駄を踏んだ。「ジマー団長が!! あの! 馬鹿が! いなくなりやがったんですよ、このタイミングで!!」

【状況2】

 楽団員たちが次々に叫ぶ。
「あの人がねえ! 我々にねえ! 知られたくない事があるってことぐらい分かってましたよ!」「だって24時間あの仮面ですよ? どーーーー控えめに見ても不審者でしょ!」「一緒に演奏してりゃ、ただの人間じゃねえなーってことぐらい分かりまさァ」「それでも尋ねなかったのは、あの人を信じてたからですよ! それなのにあの人は……ああもう! そんなに俺たちが信じられないっていうのか!?」
 楽団員達は口々にジマーへの文句を叫ぶと、おもむろに君の肩を、一斉にガシッと掴む。
「「「「あの野郎、許せねえ!」」」」「「「「ヒーローさん、一緒に団長を探しましょう!」」」」「「「「見つけて2~3発殴ってやらなきゃ、気が済みません!!!」」」」

【エンドチェック】

□楽団員たちの言葉に答えた□グリッドを1点獲得した

【解説】

 1d10+3人ぐらい押し寄せたことにしてもよい。面倒だったら3人ぐらいでいい。 前作と間を空けずにこのシナリオを進めているのであれば、訪れた代表三人は「トランペットのラインハルト」「木琴のリー」「シンバルのタナカ」としてもよい(前作のチャレンジ1でヒーローたちが救出した者たちだ) スイング・ヒューマンズの団員たちはジマーの素顔を知らないということを示すシーンも兼ねている。 PC1は最終的に、スイング・ヒューマンズの依頼を受けたという形でジマーの捜索を行うことになる。前作の縁でPC同士が面識がある場合、ここで連絡を取り合わせてもいい。だがその場合、後述のイベントの為、PC2とは連絡が取れないとすると良いだろう。田舎すぎて圏外になっている、などの理由がそれらしい。 シナリオ描写上はスイング・ヒューマンズの団員がPC1に同行することになるが、PCが待機を優先させるのであれば、無理して連れていく必要もないだろう。

【クエリー2:So Why?】

舞台:商店街の喫茶店登場キャラクター:PC3

【状況1】

 君は、青年から詳しい事情を聞いた。 青年は、自らの素性を明かした。青年の名はアッシュ。スイング・ヒューマンズに脅迫をしかけた、宇宙騎士団バッシュザールの一員なのだ、と。「俺、もとは地球の生まれなんだけどさ。 ガキの頃、地獄兵団に攫われたんだ。それで、ジオットへ行った」
「そこで奴隷みたいに働かされて……。 いつ死ぬか分からない中で、死にたくなくて、必死に働いた。 毎日が怖くて怖くて仕方なかった」
「そんな環境から、俺を助けてくれたのが、バッシュザールだったんだ。 艦長……俺は親父って呼んでるんだけど。 親父たちは助けたつもりなんてなかったかもしれないけどよ、 でも、俺は確かに救われたって思ったんだぜ」
 バッシュザールのことを語るアッシュは誇らしげだった。

【状況2】

 それだけに、あの報道のことが、彼には解せないのだという。
「バッシュザールは、そりゃ、宇宙海賊として扱われちゃいるがよ。 団長たちは、誇りを持って戦ってた。 俺たちなりに、正義があるんだ。 少なくとも非戦闘員相手に、あんな脅迫じみた、カッコ悪いことする集団じゃなかったはずだ」
「……俺は……バッシュザールの人間だ。親父に忠誠を誓って、 騎士団の一人であることを誇りに思ってる。 あそこは俺にとっての家族さ。 ……だけど、いろいろあって地球に来た時、俺、確かに嬉しかったんだよ。 ずっと、俺が生まれた星がどういうところか、知りたかったから。 ……故郷ってのは、そういうもんなのかもしれねえな」
「スイング・ヒューマンズの曲を聴いてると、不思議と元気が湧いてきて……。 どこか懐かしい気持ちになれるんだ。それで、ファンになっちまった」
「……親父はどうしてあんなことを……どうすりゃいいんだろうな」
 アッシュは苦悩の表情で、独り言のように問う。 君はどんな言葉をかけるだろうか。

【状況

 君の言葉を受け、アッシュは覚悟を固めた。「やっぱり、俺、親父を止めにいくぜ! 聞いてくれてありがとな!」「親父は俺よりめちゃくちゃつえーから、俺ブッ殺されっかもしれねーけど! ここでやらなきゃ男がすたるぜ!」 ……やれやれ。放っておくのは、どうにも寝覚めが悪そうだ。

【エンドチェック】

□アッシュの言葉に答えた□アッシュに同行することにした□グリッドを1点獲得した

【解説】

 PCがアッシュの身の上を知ることになるシーン。 PC3がジマーの正体を知っている場合、ここでアッシュにそのことを打ち明けようとすると、毎度毎度奇跡的なタイミングで妨害が入り打ち明けられない。大変申し訳ない。 ヴィラン相手にお悩み相談を受けるというちょっと妙なシーンになるが、このシーンのアッシュは本人の言葉通りそこまで悪い奴ではないとするといいだろう。

【クエリー3:マイ・フェイバリット・シングス】

舞台:田舎町A市登場キャラクター:PC2

【状況1】

 君はA市で、引き続きエネルギー物質についての調査を行なっている……のだが、『スイング・ヒューマンズ』のニュースを聞いてからというもの、A市の人たちの関心はすっかりとそっちに移ってしまった。 致し方なく、一人で調査を行なっていた君は、フードを目深に被った見慣れない人物が、とぼとぼと歩いていくのを目撃する。 フードの人物は、人目を偲ぶようにこそこそとしながら、町外れの山の麓に建つ、小さな廃墟の中へと姿を消していった。

【状況2】

「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」 廃墟の中にいたのは、正にニュースで話題になっていたあの人物、『スイング・ヒューマンズ』の楽団長ジマーだった。 彼は楽団員たちの目を盗み、こっそりとA市へ、そしてこの廃墟へとやってきたのだという。「バッシュザールの目的は私のようでしたので~、とりあえず~、離れておけば団員たちは助かるかな~? と思いまして~。PC1さんがいればきっと安心ですし〜」「……彼らをこれ以上、私の個人的な事情に巻き込みたくはないのですよ〜……」「二週間前の地獄兵団との戦いのことを思い返すと、今でも手が震えます〜…。あの時は、ヒーローさんたちのお陰で、どにかなりましたが〜……次もそうなるとは限らないじゃないですか〜……今度は〜……誰かが〜……」「……でも、この町以外、行く場所も思いあたらなくて〜……結局ここに……どこに行けばいいのかなぁ……」 意気消沈するジマー。そんな彼に、君はどんな言葉をかけようか?

【状況3】

「そうですよねえ〜……私が間違っていましたねえ〜……PC1さんにも悪いことをしました〜……東の山の奥にある、私が落ちてきた時のクレーターで体育座りしながら世を儚もうとしている場合ではありませんでした〜……」 すっかり意気消沈しているジマーだが、いま、さらりととんでもない事を言わなかったか?
 東の山のクレーターについて尋ねられれば、ジマーは以下のことを説明する。-----------・自分は二百年前にこの町に降ってきたハービンジャーであり、東の山に落ちてきたこと。・自分が故郷から放逐された理由は分かっていないこと。・自分が落ちてきた時にできたクレーターは東の山にあり、何故かそのクレーター一帯にだけは、大きな植物が育たないので、今でも場所は分かりやすいのだということ。-----------
 一通りの情報を君に伝えたジマーは、君の顔を見て、おそるおそる尋ねた。「……あれ? もしかして、そこまでご案内した方がいいです〜?」

【エンドチェック】

□東の山のクレーターの詳細を知った□グリットを1点獲得した

【解説】

 PC2がジマーの素顔のことを知らない場合、ここで前作『シング・シング・シング』の『クエリー3:コパカバーナの昔日』と同様の遭遇イベントを起こし、PC2にジマーの正体のことを教えてもよい。 PC2が事前に東の山について調べようとした場合、単独では「何か奇妙な力場が働いていることは分かるが、それがなんなのか詳細が分からない」としてしまえば都合が良いだろう。空から見ても違和感のある場所はなく、山へ一人で向かっても鬱蒼と繁る田舎の山の中は案内が無ければ目的の場所が分からない。道案内が必要なのだ。 PC2が前作を通してジマーの正体や設定を知っている場合などは、PC側からの自発的な質問や進行を誘える場合がある。その時はPCの自発性に合わせて適宜シーンを調節してしまおう。 ジマーが一人で出てきたのは、恐怖と罪悪感による逃避だ。厳しい言葉をむけても良いし、優しい言葉をむけてもいい。

【チャレンジ1:リターン・トゥ・バッシュザール】

舞台:田舎町A市登場キャラクター:PC1・PC3

【状況1】

 PC1は、A市がジマーにとって思い入れのある土地であるということを知っている。君はジマーの足取りを追い、楽団員たちと共にA市へとやってきた。 PC3はアッシュと共に、バッシュザールの足取りを追ってA市へとやってきた。かくして、二人のヒーローは、各々の同行者と共に無人駅から出た。
 君たちが目にしたのは……A市の田園地帯の上空に浮かぶ、物々しい一隻の宇宙船! その下では、A市の老人たちとバッシュザールの戦闘員たちが何事か言い争いをしていた。バッシュザール側の最前線にいるのは、フクロウのような姿をした人物だった。 アッシュが喜びの声を上げる。「ウーフ老師だ! よっしゃ、まだ話が通じる方……!」 しかしどうも、市民たちとバッシュザールの様子がおかしいようだ…?

【状況2】

 A市の老人たちは手に手に竹槍やさすまたを持ち、鉢巻きを締め、バッシュザールの百戦錬磨の戦闘員たちと向き合っていた。「スイング・ヒューマンズさはオラたちの恩人だ! けえれけえれ!」「オメェらに教えることは何もねえっぺ!」 逆に、バッシュザール側の戦闘員たちは、明らかに非戦闘員の市民たちから向けられる敵意に困惑しているようだ。「ど、どうする? 明らかに戦闘員じゃない……よなあ?」「だがやる気みたいだぞ? やっちまうか? ……あっ勝手にぎっくり腰になってる……」 そんな双方の前に、フクロウの宇宙人こと、ウーフ=アングーマ三世が歩み出た。「双方落ち着かれよ。ご老人がた、あなた達の力では我々に勝てないことは明白のはず。我々も目的さえ果たせれば対立は望まない、まずは話を──…」
 そんな時、事件が起きる。 老人たちのもとへと近づいていたウーフ・アングーマ三世が、突如として姿を消した。 否、彼の姿は足元にあった。雑草が生茂る野原の中、彼は穴のようなものにすっぽりと落ちたのだ。その中には、名状しがたい異臭を放つ泥のようなものが溜められている……。 地球人は知っている。宇宙人も知っている。 肥溜めだった。 無言で出てきたウーフ・アングーマ三世は、無言で鋭い爪を構えた。「……宣戦布告とみなす!!!!!!!!!」
–––––––––––––––––判定:<任意の戦闘技能>-20% ×2……バッシュザールからA市市民を守る×2
失敗時:PCも肥溜めに落ちる。「BS:孤立」を受ける。–––––––––––––––––

【エンドチェック】

□バッシュザールとの交渉が決裂した

【解説】

 PC2とPC3の合流シーンであり、A市とバッシュザールの関係が勝手に拗れるシーン。 ウーフ・アングーマ3世は、普段なら落ち着いて話のできる、バッシュザールでも有数の有識者だ。だが流石に、全身アレまみれになったら、怒ると思う。

【リトライがマイナスになった時】

 チャレンジ1時点でリトライがマイナスになってしまったのであれば、チャレンジ2の出来事が起き、判定に全て失敗したという扱いで、全てのデメリットを適応した上で決戦フェイズに突入するとすれば良い。プライマル・スプリットのカケラは暴発し、A市全域を巻き込みながら、皆をまとめてその内へと飲み込んでしまう。その過程でアッシュはジマーの素顔を見ることになるだろう。 辛い戦いが予想されるが、それを乗り越えた暁には、ヒーローたちの尽力のおかげで飲み込まれたA市ごと無事帰還を果たした、ということにしてもよい。

【チャレンジ2:ワルツ・フォー・スプリット

舞台:田舎町A市登場キャラクター:PC全員

【状況1】

「足元に~お気をつけて~!」 PC2はジマーと共に、A市・東の山へと踏み入っている。夏も盛りの山の中は、雑草が鬱蒼と生い茂り、木々が陰鬱に空を覆い隠している、不気味な雰囲気だった。(なので、PC2たちは街でバッシュザールと市民たちのドタバタが起きていることに気付けない) 森の中を進むと、やがて奇妙にぽっかりと開けた場へとたどり着く。地面がすり鉢状に深く抉れており、その周囲には木も草も生えていない。すり鉢状に抉れた地面には湧き水が溜まり、湖のようなそこから生じた川が、下流の村へと流れ込んでいるのが見える。「この辺りが私が落ちてきた場所ですね~。いつの間にか湖になってたんですか~」「でも~、特におかしなものは見つからないですよね~?」 不思議そうに首を傾げるジマー。しかし君の目には、湖の中央で赤い光を発する『何か』がはっきりと映っていた。「ハテ?」 ジマーには見えていないようだ。 君が湖底に沈むそれを回収しようとした時、眩い光が周囲を包み込む! その光の中から、凄まじい鉄砲水が君たちを襲った!
–––––––––––––––––【チャレンジ判定】■判定1:PC2のみの判定■鉄砲水から自分とジマーを守れ!…<生存> or <霊能-20%> or <科学>■失敗時:決戦時『エリアタイプ:スイングヒューマンズ』の適応範囲をエリア1のみとする。–––––––––––––––––

【状況2】

 バッシュザールとA市の老人達、そしてヒーロー達は、東の山から赤い光が迸る様を見る。そして徐々に近づいてくる轟音にもだ。 次の瞬間、山から鉄砲水がA市の畑へと流れこんでくる。「オラ達の畑がー!!」 幸いに鉄砲水は畑へと広がり、住宅区へと流れこむことはなかった。 そこにPC2とジマーも駆けつけた。「うおっ!」「あぶな〜い!」 水と共にバランスを崩しかけたアッシュに、咄嗟にジマーが手を伸ばす。しかし足を滑らせ、綺麗に顔面から地面にぶつかったジマー。そして……。「あっ」「!?」 ジマーの仮面がパキリと割れる。アッシュは正面からジマーの顔を見てしまった。「お前……ッ!!!」「ひ〜っ!?」 アッシュの顔が怒りと困惑に染まる。彼は反射的に、手にした武器をジマーへと向けた!
–––––––––––––––––【チャレンジ判定】■判定2:誰でも行える判定(1人)■アッシュの攻撃からジマーを守れ!…<白兵> or <射撃> or <霊能>■失敗時:決戦時『エリアタイプ:スイングヒューマンズ』の適応範囲をエリア1のみとする。すでにエリア1のみの場合、このエリアタイプを適応しない。–––––––––––––––––

【状況3】

 突然の鉄砲水に騒然となるA市、何が起きたのかと街の人々が困惑している時、水と共に川を降ってきた赤いカケラが、君たちの前に転がり出た。そして次の瞬間、再び赤い光が周囲を包み込む。光の先には、ここではない、見たことのない、知らない世界が垣間見えた気がした。 この光の波に飲み込まれたら、『どこかに連れていかれる』。 ヒーロー達の脳裏を、本能的な直感と恐怖が襲った。
–––––––––––––––––【チャレンジ判定】■判定3:全員が判定を行い、最低2人成功する必要がある。■赤い光からスイング・ヒューマンズとA市の市民を守れ!…<任意の技能-20%>■失敗時:A市が地図から消える。マスターシーンを行わず、決戦でエリアタイプ『スイング・ヒューマンズ』を適応しない。–––––––––––––––––
 ヒーロー達の尽力により、A市の市民達、スイング・ヒューマンズの楽団員、ジマーは光の奔流から逃れることが出来る。だが光が収まった時、そこにいたはずのヒーロー達、ジャックリー・アッシュ、ウーフ=アングーマ三世、幾人かのバッシュザールのメンバーは姿を消していた。

【エンドチェック】

□アッシュがジマーの素顔を目撃した□ヒーローとバッシュザールが赤い光に呑まれた

【解説】

 ジマーに赤い光が見えないのは、ジオット人は赤色を識別できないという身体的特徴の影響だ。 ジマーの仮面が割れるシーンは、PCたちの立ち回りや行動に応じて、適宜シチュエーションを調整しよう。最終的に仮面が割れ、アッシュが素顔を目撃することになれば、どんな状況でも構わないはずだ。 アッシュはジオット人への憎しみと、突然の事態への混乱から、落ち着いて話をすることは出来ない。なし崩しに事態は進んでいく。 PCたちが判定を終えたところで、マスターシーンへ進む。

【マスターシーン:シング・シング・シング:REMIX!】

舞台:田舎町A市登場キャラクター:なし(マスターシーン)

【状況】

 混乱するA市の上空に、新たな宇宙船が飛来する。 慌てた様子で宇宙船から飛び降りてきたのはディノグリフだった。「遅かったか…! まさかこんな恐ろしい代物が、こんな場所に眠っていようとは!」 ディノグリフは説明する。「詳細は省くが、あれは『プライマル・スプリットのカケラ』と呼ばれる物質だ。 意志持つ異次元、『主なる裂け目』から剥離したものが結晶化した物質。 銀河そのものを内包するが如き莫大なエネルギーを秘めるアレは、異世界への扉を開き、世界線跳躍を可能とする……一度飲み込まれれば、その自我も、肉体も、どこに弾き出されるか定かではない」 ディノグリフはカケラへ手を伸ばすが、弾かれたように触れることができない。 忌々しげにそれを見下ろし、ディノグリフは重々しく告げた。
「一度呑まれれば、脱出するには呑まれた者自身が、自らの意志で、自らの世界を探し当てねばならないという。このままでは……ヒーローも、アッシュ達も、生還は絶望的だろう」「そ、そんな…!」 沈痛な空気が周囲を包み込む。重苦しい空気の中、ぽつりとジマーが呟いた。
「無限の世界……赤い光……ああ! そうか! そうだったんだ! 思い出した!」「あの時…! どこに行けば良いのか分からなかったあの時…! 演奏が、音色が、音楽が! 聞こえたんだ! それがとても素敵だったから、だから私はこの世界を! ああ、そうだ、『私は知っている!』」
 素顔のジマーが、A市の老人たちへと振り返る。かつての地獄兵団の襲撃を知る市民達は、彼の素顔に息を呑んだ。だが、ジマーは最早その視線には臆さず、皆へと声を張り上げた。「みなさん、歌いましょ〜〜〜!!」「中の皆さんに、我々の演奏を届けるのです!! 彼らに音楽を届けるのです! 私たちがここにいることを、彼らに!」「お願いします、私がリードしますので、どうかご協力を! どうか!! どうか!!」
 その訴えに、まず動いたのはディノグリフだった。「……バッシュザール! 船内にある楽器になりそうなものを片っ端から持ってこい! 呑まれた同胞を救うためだ、急げ!」 ディノグリフの号令が響く。それを合図に、バッシュザールの構成員達が慌てて動き出す。 その様子を見、A市の老人たちも覚悟を決めたように肯いた。「オラたちにも手伝わせてくれっぺ!」「ジマーさんの頼みじゃあ断れねえべ」「若い頃にはピアノを習ってましてのう」 スイング・ヒューマンズの楽団員達は、当然のように、既に楽器の準備を始めていた。 かくしてここに、地球人の老人たちと、バッシュザールの戦闘員と、スイング・ヒューマンズの楽団員という、奇妙な混合編成が生まれた。「さあ、我々の演奏を皆さんに届けましょう! 曲はもちろん──…!!」

【エンドチェック】

□演奏が始まった

【解説】

●プライマル・スプリットのカケラ このシナリオ独自のアーティファクトだ。 基本的な設定はディノグリフの言葉通り、「主なる裂け目(プライマル・スプリット)」(参照:R1/211頁 or R2/72頁)のエネルギーの一部が結晶化し剥離したもの。銀河そのものを内包するとも言われるほどの莫大なエネルギーを秘め、異世界への扉を開き、世界線跳躍を可能とする物質。 その特性は「アリアドネの糸」(参照:D2/29頁)に類似するものがあるが、直接の関係は不明。特定の所有者を持たず、無差別かつ気まぐれにその力を発揮する迷惑な物質だ。 過去にジマーがジオットから地球へとやってきてしまった原因と思われるが、その経緯と詳細は不明。 他、GMは都合よく「大体これのせい」と、便利で都合の良いアイテムとして使ってしまって良いだろう。

4.決戦フェイズ

【決戦:故郷の歌】

舞台:プライマル・スプリットの中登場:PC全員、アッシュ、ウーフ、バッシュザール

【状況】

 光に呑まれたPC達は、どことも知れぬ赤い空間を漂っていた。 赤く明滅する周囲には、窓のように、穴のように、鏡のように、多くの世界が漂っている。自分たちがどこからやってきたのか、分からなくなってしまうほどの膨大な数だった。 上も、下も、右も、左も分からない世界の中で……ふと、君たちの耳が、音楽を捉える。 それは帰ってこいと君たちへ告げるかのように、微かに、しかし確かに君たちの耳へと届く。 この音色を辿れば、自分たちの故郷(世界)へと帰れるのではないか。君たちの中に、そんな希望が湧き上がる。
 ──しかし、その眼前にふらりと立ちはだかる影があった。 ジャックリー・アッシュだ。しかし、彼はその顔を怒りに染め、君たちへ憤怒の眼差しを向けてくる。その双眸が、赤く妖しく光った。彼の内なる激情をより増幅するかのように。「どういうことだよ……」「懐かしいと思ったんだ……故郷の音楽だと思ったんだよ……それなのに……!」「俺にとっての故郷は、地球(この星)じゃねえってのか!? あのクソッタレのジオットだってのか!? ふざけんなァッ!!!」 アッシュの瞳の赤い輝きが増す。同じ光を宿したバッシュザールの構成員達が、君たちの前に立ちはだかる。 どうやら正気を失っているようだ。故郷へと帰る為にも、彼らを正気に戻さねばなるまい!

【戦闘情報】

【エネミー】

・ジャックリー・アッシュ(エナジー3倍調整)・ウーフ・アングーマ三世(幹部)・バッシュザール構成員×3

【エリア配置】

■PC初期配置 エリア1・エリア2■エネミー初期配置 エリア4:アッシュ、ウーフ エリア3:構成員

【勝敗条件】

勝利条件:敵の全滅敗北条件:味方の全滅

【備考】

・『エリアタイプ:スイング・ヒューマンズ』の効果を、エリア1~2に適応する。・エリア1~4を『エリアタイプ:宇宙』とする。・バッシュザール構成員は「暗殺者」のデータを使用し、「移動適性:宇宙」を取得しているものとする。・アッシュは全てのエナジーを3倍にする。・アッシュのパワーを以下の形に強化・追加する。-----------------【暗黒闘法(強化)】攻撃/白兵100%/行動/射程1/目標:1体/代償ターン10目標は<心理>-10%。失敗で1d6+3点のダメージおよび[BS:不調]を受ける。
【局地専用装備】強化・永続/判定なし/永続/射程なし/目標:自身/代償なし選ばれたタイプのエリアタイプにいる限り、君は全ての判定に+30%の修正を得る。指定:「エリアタイプ:スイング・ヒューマンズ」。-----------------

【敗北した時】

・PCは記憶を失い、知らないどこかの世界に漂着する。そこから先は、君ではない君の物語だ。ロストとなる。

【エネミーの戦法】

 アッシュとウーフ・アングーマ3世は「ダークステップ」を使用して、早めにエリア1or2に入り、「スイング・ヒューマンズ音響効果表」の影響を受けられるようにしよう。効果表の効果次第では、とんでもないシナジーを発揮するかもしれない。そのあとはそれぞれの攻撃パワーで攻撃を進めていこう。 このシナリオは、リトライが1点しかない関係上、PCがサニティでの臨死に入りやすい構成となっている。ウーフ・アングーマ3世の「魔悪よりも鋭い爪」による「憔悴4付与」は良いプレッシャーになるはずだ。 このシナリオのボスはアッシュとして設定しているが、不調こそ厄介なものの、彼の火力自体は控えめだ。GMはヘンチマンやウーフをうまく使って、PCへ攻撃を繰り出していこう。

【エリアタイプ:スイング・ヒューマンズ】

■当該エリアにいるキャラクターに【スイング・ヒューマンズ音響効果表】を適応する。  行動順ロール直後に1d6で効果を決定。効果はラウンド終了時まで続き、ヒーロー・ヴィラン双方に適応する。

【スイング・ヒューマンズ音響効果表(1d6)】


1:ドラムロール! どんどんテンポが早くなる! ターンカウンターを-3する。2:サックスのソロ! メロディアス! 行動順ロールを振り直す。3:クラリネットの優美な演奏! 心が落ち着く! 全てのパワーの代償が半分になる。4:パーカッションが盛り上げる! テンションが上がる! 全てのパワーの射程が1伸びる。5:フラッグ隊ゾーン! 与えるダメージの値が1d6上昇、受けるダメージの値が3減少。6:ヴィランが飛び込み演奏をしかけてきた! トランペッターが負けじと対抗! 突発セッション対決だ!  エリア内のキャラクターは全員【意志】判定を行い、失敗で回避判定・攻撃判定に-10%。  成功で回避判定・攻撃判定に+10%の補正を得る。

5.余韻フェイズ

【シナリオの結末(一例)】

登場:全員舞台:A市~タイガーディッシュ

【状況1】

 戦いの果てに、PC達は無事、プライマル・スプリットの中から本来の世界へと帰還することが出来る。バッシュザールのメンバーも、無事にこの世界へと帰還することができた。 平静を取り戻したウーフ=アングーマ三世は自身の暴走を恥じ、改めてヒーロー達へと謝罪する。 「プライマル・スプリットのカケラ」の暴走も一旦は収束を見せ、その処遇はヒーロー達へと委ねられることになる。 ディノグリフは言う。「『プライマル・スプリットのカケラ』という想定外の災厄があったとはいえ、今回は此方にも落ち度があったことは確かだ。そのカケラの処遇は、お前達地球の民に委ねよう」
 かくして、事態は解決した……かに、思われたのだが。 バッシュザールの立ち去り際に、ジマーが首を傾げて尋ねた。「そ~いえば、カケラが目的ではないのなら、ど~して私たちの前に、あんな形で姿を現したのですか~?」 ディノグリフがギクリと不自然に足を止めた。 アッシュとウーフが首を傾げ、続いた。「そ、そうだそうだ! バッシュザールはあんなケチなことをしでかす輩じゃなかった筈だぜ! 何が目的だったんだ!?」「むう、そういえばワシも、この男を連れてくるよう命じられただけだったな。ディノグリフよ、これはどういうことだ?」
 多くの人の視線がディノグリフへと集まる。 重々しい沈黙の後、蚊の鳴くような声で、ディノグリフが答えた。「……アッシュが、ずいぶんと、そこな奴らの演奏を気に入っているようで……。 故郷の歌というものは重要だと思い……そういえば誕生日が近いと聞いたなと……」「……え~と~……もしかして~……ただの演奏依頼ですか……?」 たっぷりと沈黙を保ったのち……ディノグリフは、ちょっとだけ、頷いた。 どうやら一連の騒動は、凄まじいはた迷惑だったようだ。PC達は彼に何を言ってやってもいい。

【状況2】

 かくして、戦いからしばらくした後。 PC達は今、バッシュザールの戦艦タイガーディッシュの中にいる。 ディノグリフの誤解が解けた末、様々な紆余曲折の末に、スイング・ヒューマンズはその依頼を受け、タイガーディッシュ内で演目を行うことになった。その条件として、君たちヒーローがボディガードとして付き添うことになったのである。 慣れない催しに、バッシュザールの艦内は浮き足立っていた。その中で、ジャックリー・アッシュがブスッとした顔をしている。「別にもう要らねえってのによ……」 ジマーの素顔に関して、複雑なものがあるようだ。君たちが言葉を向けるならば、その結果として。向けないのであれば、一人でふんぎりをつけて、アッシュは呟く。「……ま、いいか。良い音楽に罪はねえしな」

【状況3】

 間も無く演奏が始まる。 整列するスイング・ヒューマンズの先頭に立ち、楽団長のジマーが挨拶をした。「皆様~、本日は~当楽団をお招きくださり~、誠にありがとうございました~。 素晴らしい一時を~お約束し~ま~す~。それでは~演奏に参りま~しょ~」 そうして、演奏が始まる……かに、思われたのだが。 ジマーとスイング・ヒューマンズは……ニヤリと笑い、ヒーローとバッシュザール達へ楽器を手渡し言い放った。「「「「「皆さん! 楽器演奏できますか?」」」」 演目はもちろん──…。
【判定】■楽器を演奏する:自由な技能(補正+20%)(フレーバー判定のため、失敗時のデメリットは特にない)


【成長点】事前グリット…3点クエリーグリット…3点リマークグリット…3点(想定)---------------------------------------------------------=合計:9点