あゝ坑道に鳥は啼く
あゝ坑道に鳥は啼く
━━その囀りが止まったのなら注意せよ。
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【PC1:ディック社長と君の仲】
君はバンシー・エンタープライズの社長、ディック氏から友人だと思われてるヒーローだ。 ある日、ディック氏は君に「戦艦島」という島まで護衛として付いて来て欲しいと依頼する。それは歪み石の海底鉱脈を持つ島であり、現在、坑夫達のストライキ真っ只中の島のことだ。※PC1は、ディック氏と何故知り合ったのか、何故友人と思われているのかを好きに設定して良い【PC2:古代遺跡は告げる】
君は南極大陸に出土した、古代遺跡の調査に訪れている。 謎の古代遺跡には、古代の碑文が残されていた。 そこにはとある太平洋に浮かぶ島に関する壁画が刻まれていたのだが…。 その時、遺跡全体が奇妙な輝きを放ち始めた!【PC3:大嵐の先で】
君は海洋上に突然出現した巨大台風への対処の為に派遣されたヒーローだ。 前触れなく出現した不可思議な自然現象は、不可思議な猛威を伴って海上の船を襲っている。 現地に向かい、救助活動に勤しむ君は、嵐の先で蠢く不気味で巨大な影を目撃した。 そして、君は…。※PC3は、単体での海上救助を可能とする設定のPCであることが好ましい(高い飛行能力を持つ、水中活動能力を持つ、高性能の移動艇を所持しているなど)【イベント1:ディック社長と君の仲】
【状況1】
「いや〜、よく来てくれた! ワイン飲む? あ、コーヒーの方がいい? トロピカルジュースもあるぞ! 私のオススメはだな……」 君の視界一面に広がっているのは、地平線まで続く真っ青な空と海。空からは太陽の眩しい光が降り注ぎ、キラキラと海に反射している。 君がいるのは、豪華クルーザーの一室。その前では、君をここに連れてきた男──世界でも有数の金持ちであろう男、バンシー・エンタープライズの現社長、ディック・バンシーの姿がある。【状況2】
「その調停なんだが、どぉーもおかしい」 ディックはふてくされた様子で言う。 曰く、バンシー社はストライキに対し譲歩の姿勢を見せているが、先方の言い分は『我々を放っておいてほしい』という奇妙なもののみで、それ以上の要求はない。戦艦島が陸地から遠く離れた海洋プラントであることもあり、具体的な要求すら不明のまま、交渉は暗礁に乗り上げているのだ。「要求があるからこそストを起こしてるはずなのに、その要求が賃上げでも待遇改善でもなく、『放っておいてくれ』。こんなストがあるか?」「だから、私は疑ってる。……私の元に届いている現地職員の声は、本当にそのままか? 私の意思は、本当に彼らに正しく伝わってるのか? どこかで誰かが、誰かにとって都合よく、何かを捻じ曲げてるんじゃないか、とね」「なので、現地に行って、社員と直接話をしたい。だがどいつもこいつも口を開けば、危険です、危ないです、何考えてるんですか、だ!」「私は天下のバンシー・エンタープライズの社長! 世界有数のスーパーお金持ち! 山盛りの部下に大量のSPを抱え、1日で国家予算を稼ぐと噂される男! ……だけど、だからこそ、こういうワガママを言える相手は少ない。窮屈なもんだよ。……最近は特にね」 ディックは寂しそうにそう言うと、捨てられた子犬のような目で君を見た。「頼むよ、私にはもう君しか居ない」【状況3】
「君ってやつはサイコー!」 かくして、君とディックを乗せたクルーザーは、戦艦島を目指して進んでいる。 船のハンドルを握るのはディックだ。彼は普段の高級然としたスーツを脱ぎ捨て、観光客のようなカラフルなアロハシャツとヘンテコなサングラスをかけている。「いきなり社長を名乗るのが不用心だとは流石に分かるからな! 私は体当たりで取材にきた飛び込み記者! きみはその記者に雇われた用心棒だ! さあ飛ばすぞ、ヒャッホォーウ!」 周囲の監視の目から逃れたディックはすっかりと浮かれている。まさかこちらが本当の目的だったのだろうか? しかし、ここまで来たならもう引き返せない。君は諦めて、船の進行方向を見た。 ……どう見ても、ものすごい大嵐が、渦巻いているように見えるのだが!【エンドチェック】
□ディック社長のお願いを引き受けた□大嵐を目撃した【解説】
●どこかで誰かが 主にマーヴ副社長のこと。それ以外でも、彼はあまりにも敵対者の多い社長だ。身内にすら。●ストライキ 便宜上ストライキと称してはいるが、実態は原因と目的不明の労働放棄だ。●捨てられた子犬 彼は交渉に於いてどういう態度を取るのが効果的かよく知っている。これはかなりやりすぎているが。 PCがあまりに渋るようなら、「あの島は私にとって特別なんだ」などと意味深なことを匂わせると良いだろう。その理由はクエリーで明らかになる内容のため、ここでは明かさない方が好ましい。●すぐ行くの? バンシー社社長であるディックが自由に動ける時間は少ない。彼はこの計画のために、かろうじて1日だけ休暇をもぎ取った。【イベント2:古代遺跡は告げる】
【状況1】
君は今、南極大陸で新たに発見された、古代遺跡の調査に訪れている。 雪と氷によって長らくを隠され続けてきたその遺跡は、巨大石造物で作られた、正方形が連なるような奇妙に均一な都市の遺跡だった。遺跡には大量の壁画が残されていた。かつてこの遺跡を作った者達の残した歴史のようだった。ほとんどは古代文字で記されており、解読は出来ない。 その中の一つに、抽象的で連続した画図によって記された壁画があった。それは現代に生き、言葉を異にする君であっても比較的理解しやすいものだった。ある種、奇妙なほどに。 それは、どこかの海に浮かぶ島を示していた。周囲に陸地はなく、四方を海に囲まれた孤島だ。 その島に、船が送り込まれる様子が描かれている。しかしその後、船が島から全ていなくなる様子が描かれている。最後の図には、島を描いた上で、執拗にその島を塗りつぶしていた。 これは古代人からの警告だろうか? この島は何を示しているのだろうか?【状況2】
君の疑問を察したかのように、壁画が眩い光を放ちはじめた。 君の目の前で、壁画が一人でに動き出す。ぶるぶると振動し、溶けるように形を変えていく。組み代わり、入れ替わり、溶け動き、壁は形を変え、非ユークリッド幾何学的な模様に彩られた「門」へと姿を変えた。 「門」は、さも、最初からその形を保って古代から存在したように、そのままの形で固定される。君の目の前、ほんの数歩み足を動かした先に、ぽっかりと暗闇が開いている。極寒の南極の地にあって、その「門」の先からは潮の香りが漂ってくる。中は真っ暗で、ここからでは何があるのか全く分からない。君の訪れを待ち望んでいるように、深淵へと君を誘っているのだ。 君はどうする?【状況3】
気がつくと、君は暗闇の中にいた。後ろを振り返れども、君をここに連れてきたはずの「門」は無く、一寸先も見えないほどの暗闇が続いているばかりだ。 天井が随分と低く、左右に迫る岩肌も随分と近い。濃密な潮の匂いが君の鼻を刺激した。 一体ここは何処なのか? 出口を探さなければ。【エンドチェック】
□壁画を確認した□「門」の先に着いた【解説】
●古代遺跡の調査 一人で来るのが難しい場合は、調査チームとともに来ていることにしてもよい。彼らの護衛を任されたなどだ。●深淵の門 自発的に入ってもらえない場合、背を向けた途端、あるいは意識が僅かにそれた途端、「何か」に中へと引き摺り込まれたとすると良い【イベント3:大嵐の先に】
【状況1】
『こちらパナマ船籍貨客船ヴォイジャー号、現在嵐によって進行が著しく困難な状態にある。現在の乗客数は12名、至急救援を要請したい』『こちら己護路島海難救助隊、貴船の現在位置の特定に成功した。至急救援を向ける。──行けるか、PC3?』 君の耳元で、海難救助隊オペレーターの声がする。それと同時、君の所持する端末に、ヴォイジャー号の現在位置が送られてきた。 君の前では、荒れ狂う海と、吹きすさぶ風、叩きつけるような大雨と落雷が飛び交っている。突如として太平洋沖に出現したこの大嵐は、偶然その海域を航行中だった船を飲み込み、海難事故を引き起こさんとしていた。それを防ぐため、人命救助のために派遣されたのが君だ。 大嵐の中を進めば、やがて大波に揉まれる客船が見えてくる。 さあヒーロー、君の力が必要だ。【状況2】
君はヴォイジャー号の人々を救い出した。海難救助隊の職員達に人々を無事引き渡す。そんな君の耳に、オペレーターの通信が聞こえてきた。『PC3、聞こえるか? レーダーに反応があった。どうやらこの先に、まだ航行中の船があるらしい。申請は受けてないんだが……』 かくして、君は反応の元へ向かう。そこでは、浮かれとんちきなサングラスをかけた若い男と、付き添いと思しき人物(PC1)がいた。「なんだこの嵐は! 聞いていないぞ!?」 それにしてもあのサングラスの男、どこかで顔を見たことがあるような……。【状況3】
君はPC1達と遭遇し、彼らを救助しようとする。 その時、ひときわ巨大な雷が海へと落ちた。眩い閃光が周囲を照らし、視界を染める。 その一瞬、君は見てしまった。波と風と雨の先、君たちを容易く飲み込んでしまいそうな、おぞましいほど巨大な「何か」が、そこに立っていたことを。 視界が取り戻されていくにつれ、巨大な「何か」は蜃気楼のように消えてなくなる。 そして、周囲の嵐が、またたく間に止んでいく。暗雲が消えていき、嵐があったことが嘘のような青空が広がり始めた。明らかに異常な速度で。「……は、はは、よかった、これで予定通りの取材旅行が続けられるな?」 浮かれたサングラスの男が、びしょ濡れになりながら、間の抜けたコメントを残した。【エンドチェック】
□PC1とディックと遭遇した□怪物の姿を見た【解説】
●君の力が必要だ たっぷりスーパーヒーロームーブをしてもらうシーンだ。派手に行こう!●どこかで見たことがあるような PC1とPC3の合流ロールを行なってもらう。ディックの正体は分かって構わない。●エントリー3 PC3は以後、PC1とディックと行動をともにすることになる。戦艦島へ向かうことを諦めないディックの護衛としてついていく、腕を見込まれたディックに一緒に来て欲しいと頼まれる、などがやりやすいだろう。君が海難救助の仕事中であるといえば、ディックはどこかに電話を一本かけ、「君の仕事は今変わった」などと言って終わらせてしまう(これだから金持ちは!) もちろん、「今の嵐で戦艦島に影響が出てないか調べたい」などの人道的理由で推してもよい。 怪物の姿は、PC3にしか見えなかったとした方が、この後の展開に繋げやすいだろう。巨大な怪物と不審な嵐、自然現象が自然由来のものではない可能性を、PC3はありありと感じる。それはバンシー・エンタープライズの若社長を放り出してはいけないという危機感に繋げやすいはずだ。【イベント:未知なる孤島に夢を求めて】
【状況1】
君たちがクルーザーに揺られ始めて間も無く、戦艦島と呼ばれる海洋プラントが見えてくる。「案内は任せてくれ。何せ私は設計にも関わった! こっちに秘密の抜け道が……」 ディックは意気揚々と先導するが、着いた先は完全に封鎖されていた。ディックはがっくりと肩を落とす。「……まずは情報収拾だな」【状況2】
君たちは戦艦島へと乗り込んだ。 家族連れでの赴任者もいるのか、少なくない子供達の声や、主婦のような女性の姿もよく見かける。ストライキ中だからなのか、手持ち無沙汰に釣り糸を垂らしている鉱夫風の男達もいた。 さて、まずはこの島をいろいろと見て回るとしよう。【状況3】
君たちは島の様子を見て回り、ストライキを起こしている坑道労働組合の組長と接触することが出来た。 しかし、組長はにべもなく交渉を切り捨てる。「俺たちはただ、外の人間にこの島に金輪際関わって欲しくねえだけだ。アンタらみてえなやつらには特にな」「この島の利権が欲しいということか?」「違う。……アンタは所詮部外者だ、言っても分からねえよ。さっさとこの島を出ていきな」 理由を尋ねても、組長は何も語らずにその場を後にしてしまう。他の労働者たちも同様だ。「な、なんだ部外者って! お前たちだって五年前に来たばっかだろ! 原住民気取りか全く…!!」 ディックがブツブツと文句を呟くが、彼らが取り合うことはない。 目的のはっきりしない、けれど頑ななストライキ。やはりこの島は、いま、何かがおかしい。【エンドチェック】
□島の雰囲気を知った□島の違和感を感じた【解説】
●戦艦島 それは小さな島を覆い尽くすようにして作られた海洋プラントだった。巨大な人工建築物は、島そのものの面積と等しい、否、それ以上を持っているのではないかと思われるほどだった。建築物に覆われたその島は、シルエットを見れば、戦艦を思わせる。●サイドトラック 詳細はR2/79頁、あるいはBJRの同名のイベントより。いわゆる寄り道イベント。PCたちが戦艦島の雰囲気を知り、無辜の島民とコミュニケーションを取ることを目的としたシーンとなる。後半とのギャップを際立たせる為、平和な島の様子を演出すると良いだろう。●成長点ボーナス BJRから出展のルール。消費アイテムとして扱い、消費せずにセッションを終了した場合、残った欠片の数だけ成長点が増える。●歪み石の欠片 サイドトラック・イベントをクリアすると、ころっと転がりながら、いつの間にかPCのそばに落ちている。次元でも歪めたのだろうか。【クエリー1:闇に囁くもの】
【状況1】
君は暗闇の中、出口を探す。徐々に暗闇に慣れてきた目で見れば、それはどこかの洞窟のようだった。自然に作られたものではない、人の手によって作られた坑道だ。しかし鉱夫の姿はどこにもない。 耳を澄ませば、どこかで小動物が駆け回るような音がする。鼠か何かだろうか? 君は出口を探し、暗闇を歩き回る。【状況2】
暗闇の中をどれだけ進んだことだろうか。時間感覚すら麻痺しそうな世界の中で、君の耳は鳥の囀る音を聞いた。その音は羽ばたき音と共に近付いてくる。そして、暗闇の中から、一羽のカナリアが姿を現した。「おーい、おーい、ひとりにしないでくれよぅ」 カナリアを追いかけるように、暗闇の中から人の声が聞こえてくる。声の主は君を見つけたらしく、驚いた声をあげた。「なんてことだろう、外の人を見るのは久々だ」 周囲を見るが、人の姿は見えない。声は暗闇から聞こえてくるようだ。「ああ、光を向けるのは止めてください。僕には眩しくて目が潰れてしまう」「あなたは外の人ですね? だったら、どうか外に行って助けてください、道は案内しますから。この島は、いま、狂ってしまっているのです」【状況3】
「残ったのはもう自分だけ……この何もない空間を聞き手にして、お話ししましょう」 声の主は君にこの島で起きたということを語る。【状況4】
声の主は、君を案内し、洞窟の出口へと送り届けた。遠くに出口の光が見える頃合いに、声の主は足を止め、案内はここまでだと君に別れを告げる。「いまの僕には、光の中へ出るのはひどく恐ろしい。だから、どうか、この島のことはあなたに任せます」「大丈夫、僕には友達がいます。……知ってます? カナリアはね、危険があると、鳴き止んで教えてくれるんです。頼もしい友達です。だからこいつが鳴いていてくれる限り、僕は狂いはしませんよ」 返事をするようにカナリアがチュンと鳴いた。【エンドチェック】
□声と会話をした□坑道の外へ出た□グリットを1点獲得した【解説】
●暗闇の中を進む 明かりのない暗闇での行動を想定しているが、PCが光源になるものを持っているのであれば、それを使用して進んでいてもいいだろう。実際の坑道では火気厳禁だが、そこまで徹底する必要もない(もちろん、PCが知識としてそれを持ち、自発的に注意するのであれば、それを活かしてもよいだろう)。●目が潰れる 彼がモグラのサイオンだからこそのセリフだが、PLにはこの時点では知り及ぶことのない話。クトゥルフ神話の地下生物として名高い食屍鬼(グール)や、そもそも幽霊なのではないかと思わせるような、怪しい演出にすると良い。とはいえ、過剰に混乱を招くようであれば、さっさとネタバラシをしてしまっても構わない。●震える声 この語り手は、長期間の高ストレス環境下に於ける暗闇での活動と、そこで味わった恐怖体験により、だいぶ精神的に追い詰められている。別システム風に言うのであれば、SAN値が危ない、というやつだ。【クエリー2:ディック・バンシーの陳述】
【状況1】
君を連れ回し、ディック・バンシーは島の人々と言葉を交わし、島の様子を見て回る。 島民たちに君との関係を問われたディックは、ごくごく当たり前のように君との関係をこう答えた。「彼は私の友達さ」 いやはや、随分と懐かれてしまったものだ。 そもそも、君が彼と知り合ったきっかけはなんだっただろうか。君は彼と知り合った日のことを思い出した。【状況2】
君たちは戦艦島を見て回り、情報を集めたが、めぼしい情報は見つからなかった。 時刻はすっかり夕方を迎えている。地平線には鮮やかな夕日が降り、入り江を赤く照らしていた。「やれやれ、交渉には自信があったんだけどなあ」 ディックはがっくりと肩を落とす。そして、ぽつりと、この島へ強硬に足を運んだ理由について、君に話し始めた。「歪み石は、まだまだ謎の多い鉱石でね。その中に絶大なエネルギーを内包していることは分かっているが、いつ、どうして生まれたのかは全く不明なんだ。 数こそ少ないが、その内に秘められたエネルギーは莫大。流通が安定しさえすれば、石油や石炭、天然ガスを抑え、人類の次期エネルギー資源として迎えられるだろう。使い道はあまりにも多様、まさに可能性の鉱石さ。 ……だが現状、歪み石の主鉱脈は『あの』獄門街にしかない。どうにかする方法はあるよ? 獄門街と『仲良く』するとかね。でも……私は、そういうのはもう終わりにしたい」「この島を見つけたのは偶然だった。だからこそ、まるで運命のように思えたんだ。一から、新しく、まっさらな気持ちで、綺麗なビジネスを始められるんじゃないかと思った。だから余計に肩入れしてたんだろうな」「……愚痴だと思って忘れてくれ。巻き込んで悪かったよ。そろそろ日も暮れるし、帰ろうか。ストライキのことは……大人しく部下に任せるよ」 ディック社長はすっかり意気消沈し、帰路につく気でいる。 君はどうする?【エンドチェック】
□ディックの言葉に答えた□グリットを1点獲得した【解説】
●ディックとの出会い ディック社長との出会いをPL自身に設定づけてもらうシーンだ。改めて、PC1とディック社長の関係性を掘り下げると良いだろう。PLが特に思いついていないのであれば、以下の表を使って決定しても良い。【ディックとの関係表(1d6)】【1】セカンド・カラミティの日に彼を救助した。【2】ヴィランに誘拐された彼を救った。【3】彼が社長になる前からの古い知り合いだ。【4】お忍びで会社を抜け出した彼を案内した。【5】彼からの支援の申し出を断ったことがある。【6】食パン咥えた彼と曲がり角でぶつかった。【チャレンジ1:戦艦島を覆う影】
【状況1:PC3】
PC3は、海で見た例の怪物について調査を続けていた。しかし島民達に尋ねても、彼らはそんな怪物のことは知らず、まして昼の嵐すら目にしてはいないという。 島民達は夜になるにつれて、昼の穏やかな顔を忘れ、皆がよそよそしい態度になっていく。どこへ行っても、誰かの視線が監視するように、じっと君を見つめ続けている。否応のない居心地の悪さを覚えながらも、調査を続ける。【状況2:PC1】
戦艦島は夜を迎える。日が落ちるにつれ、島の電気が一つまた一つと消されていく。就寝にはあまりにも早い時間だというのに…。 PC1はひとまず、ディックと共に、彼の所有するクルーザーへと戻ってきた。 しかし君たちが目にしたのは、破壊され、炎に包まれたクルーザーの姿だった。その周囲には、船を取り囲むように、大勢の人間の姿がある。それはツルハシを構えた、戦艦島の島民達だった。 島民達は君とディックへと振り返り、逆光で黒く染まった表情のまま、ゆっくりと歩み寄ってくる。 君の側でディックが騒ぐ。「お、おいおい、どうなってる? さっきまでみんなまだまともだったじゃないか、なあ?」「……PC1! 頼む、あんまり傷つけないでやってくれ、全員うちの社員だ!」 全く、注文の多い社長様だ。【状況3:PC2】
PC2が坑道を抜けると、外はすっかり暗くなっていた。周囲に明かりはなく、状況を把握するのが難しい。海に面しているのか、波の打ち寄せる音がすぐ近くに聞こえてくる。さて、誰か話を聞けるような人は……。「わーっ! 待てーっ! 話せば分かるーっ!!」 ……誰かの悲鳴が聞こえてくる。大人数が移動するような音もだ。 さて、話して分かる相手だと良いのだが。ここは一つ、声の主を助けて情報を得るとしよう。【エンドチェック】
□島の異常を理解した□PCたちが合流した□坑道へ逃れた【解説】
●話せば分かる! もちろんこれはディックの声だ。もしかしたらPC1やPC3の声も聞こえるかもしれないし、戦ってるような音も聞こえてくるかもしれない。剣呑な雰囲気だ。●坑道へ逃げろ PC達の合流シーンを演出しながら、地下へ向かってもらおう。【チャレンジ2:狂気の鉱脈にて】
【状況1】
背後から迫る声に追い立てられるように、君たちは地下坑道へと入っていく。 洞窟の主が言っていたように、様子のおかしい島民たちは坑道には入ってこないようだ。 入ってきた入り口は完全に包囲されてしまった。この状況を脱する為には、別の出口を探さなければならない。 しかし、島民たちは何故、坑道に降りてこないのだろうか? まるで、何かを恐れているかのように……。【状況2】
君たちは無人の海底坑道を、奥へ奥へ、地下へ地下へと逃げていく。 やがて、坑道の奥にぼんやりと光が見え始めた。どこかひらけた場所につながっているようだ。 その先から、鳥の鳴き声が聞こえる。PC2には聞き覚えのある、あのカナリアの声だ。 そして、暗闇の先から誰かの悲鳴が聞こえてきた。【エンドチェック】
□全員がチャレンジ判定に成功した【解説】
●ランダムチャレンジ イベント内容は同じものが重複しても良いし、振り直して違うイベントへ挑んでもいい。GMの自由だ。【クエリー3:海底の呼び声】
【状況1】
君たちが声の元へと向かえば、やがて坑道を抜け、大きく開けた空間へと辿り着く。そこは、PC2が南極で目にした古代文明とよく似た特徴を持った古代遺跡だった。異常極まりない非幾何学的な外見を持つ多くの建造物が連なり、高度な文明の残滓を感じさせる。天を見上げれば、いかなる技術によってか、真上には海があった。この遺跡は海底に存在するのだ。 遺跡の先からは、錯乱した人の声が聞こえてくる。声の元へと向かえば、そこではモグラのサイオンが、泣きながら地面に落ちた金色の羽をかき集めていた。「かえしてくれよう、僕の友達だよう、かえしてくれよう」 その声はPC2が暗闇の中で聞いた、あの声だ。 そのサイオンの前から、ひっきりなしに、大量のカナリアの鳴き声が聞こえていた。しかし、注意深く耳を澄ませてみれば、それは録音を繰り返すように、ただ同じ鳥の声が繰り返されているだけの音に過ぎなかった。暗闇の中、壁がぞろりと蠢く。それは壁の形を取った粘液だった。テラテラと玉虫色に光りながらも黒を基調とするアメーバ状の物質は、石油や、石炭の表面を思わせる。しかしそのタールのような物体には、数えきれないほどの目があった。それらの全ての目が、羽を抱えてうずくまるサイオンを見下ろしていたのだ。 鳥の鳴き声を発するタールが、モグラのサイオンへと触手を伸ばす…!【状況2】
暗闇の中から、君たちへ声が投げかけられた。「ああ、困った。予想外の人たちが紛れ込んでしまった」 男の声にも、女の声にも、子供の声にも、人ではない何かの発する音にも聞こえる、奇妙な声音だった。声の主は君たちへ言う。「皆様、ご迷惑をおかけしました。今宵目にした全てを忘れて、陸へとお戻りいただけませんか? 島の人々には、私からきちんと良く言って聞かせておきますから」「私はこれ以上の犠牲は望んでいないのです。島民総勢1000人、数としては丁度良い。数人増えても問題がある訳ではありませんけれど、惨劇を望んでいる訳ではありません。可愛さ余って『餌』を与えすぎては、飼い主失格というものですし」 声の主はそんなことを言いながら、暗闇をゆっくりと歩いている。その姿は常に影に隠れ、正体が分からない。「ですので、おかえりください。ここで失われてしまっては、大きな損失になるお人も、そちらにはいらっしゃるようにお見受けします」 声の主はディックを見て、嘲笑ったようだった。 声の主が意図的に言葉を選んでいるのは明らかだ。全てを話している訳ではないだろう。【状況3】
「一から十までご説明するのは、あまり趣味ではないのですけれど……判断材料が無いと決めかねるというのなら、仕方ありません。幼子を導くことも、私のつとめ」 カナリアの声が響く中、声の主はさも当然のように言った。「この島は今日、沈むことになっておりまして」「島民は一人残らず皆死ぬでしょう。大丈夫、苦しみは一瞬、すぐに何も分からなくなります。悲劇ではありましょう、しかし、これは必要なこと。世界の円滑な運行の為に」「雛は飢えています。たいそう良く食べる子なので、定期的に餌をあげることにしているんですよ。お腹が膨れれば、おとなしく、静かに眠っていてくれるのですが、飢えから目を覚ましてしまったら……ああ、考えるだけでみっともない。きっと、目に入るもの全てを見境なしに、ぶくぶくになるまで食べ続けてしまう。育ち盛りですから」 神殿の頭上、君たちの頭の上で、巨大な何かが身動ぐように水が揺れる。暗い水の先、何かが蠢いている。暗闇の中、突如、巨大な眼球が現れた。頭足類特有の感情の無い目が、わずかな光をテラテラと反射しながら、すぐ間近から君たちを見下ろしている。それはPC3があの大嵐の中で見た、天を衝くほどに巨大なあの怪物の姿だ。それがすぐ至近距離にいる、神殿を挟んで、島のすぐ隣、人の目の届かない海の中に! この怪物が無差別に解き放たれれば、どれだけの人間が犠牲になるのだろうか? そんな不穏な未来を想像せざるを得ない、それはあまりにも、ただ巨大で、恐ろしい生物だった。 声の主は嗤った。「ご理解頂けましたか? では、どうか、全てを忘れてお帰りください。あなたたちはただ、悪い夢を見ただけなのですよ」「それに……元はといえば、彼らの自業ではありませんか」「別に、なんでも良かったのです。金でも、ダイヤモンドでも、石炭でも、石油でも、人を呼び寄せられるならば、なんでも。最近の流行りは歪み石だったので、それに便乗しただけのこと。魅力的な寄せ餌を置いておけば、あなたたち人間は浅ましい欲望に導かれて、飴に群がる蟻のように勝手に集ってくださる。あとは収穫するだけだ」「私は餌を撒いただけ。島への上陸を選んだのは彼ら自身でしょう? ああ、それとも……」 声の主はディックを見たらしかった。そして、嘲るように笑って言った。「彼らをこの島に送り込んだ、お金儲けが大好きな社長様のせいかな?」 これを見逃せば、この島は海へと沈み、島民達もまた死ぬ。 しかしそれを拒めば、より大勢の人間が命を奪われることになるかもしれない。 カナリアの声は合唱のように、闇の中から、つんざかんばかりに響き続けている。それはまるで、悪意そのものが嗤い声をあげているようだった。 さあヒーロー、君の選択を突きつけろ。【エンドチェック】
□声の主の提案に答えた□グリットを1点獲得した【解説】
●触手を伸ばす PCにかっこよく助けてもらうことを想定している。誰も救出に入らない場合、寸前で声の主がそれを止める。「いけませんよ、それはあなたたちの餌ではないでしょう」●奇妙な声音 口調は便宜上ナイ神父風を想定しているが、GMが望むのであれば、チクタクマン風でも、赤の女王風でも、黒扇公主風でも構わない。ここにいるのは彼ら全てであり、彼らではない。闇の中から囁きかける、顔のない何かだ。●提案に答えた 基本的には、声の主の言葉を否定することを想定しているクエリーだ。しかしクエリーである以上、想定外の回答は発生し得る。例えば、ここで島を去ることを選ぶ可能性もあるだろう。 そうなった時は、ディックが反論し、戦闘開始の発端となる、とするのがよいだろう。●声の主の提案を呑んだ場合 「そんなふざけた提案に、はいイエスなんて誰が言えるか! ウチの従業員、ウチの所有物だぞ! 勝手抜かすなクソ野郎!」 ディックの声が響く。世界一の大企業の社長は、気後れすることなく声の主へと吐き捨てた。 ディックの返事を聞き、声の主は嗤った。「大企業の社長様なら、損切りには慣れていらっしゃるかと思っていましたが」「お生憎様。こちとら、そういうやり方からさっさと手を洗いたくて頑張ってる最中だ」 ディックが振り返り、君たちを見る。そしてわざとらしく踏ん反り返り、わざとらしい横柄な態度で、わざとらしく君たちへ言った。「さあ、あんな陰険野郎の言葉なんか無視して、俺の島を守ってもらおう、これは命令だ! 金なら出す! ……頼むよ、お願いだ……戦ってくれ、ヒーロー!」【決戦:闇をさまようもの)】
【状況:決戦突入前】
「では、仕方ありません」 闇の中の声がそう零すと同時、凄まじい揺れが海底遺跡を襲う。天井を見上げれば、この島を軽々と覆い尽くしてしまいそうな巨大な怪物が、海底遺跡へと鉤爪を叩きつけたところだった。天を形為す『何か』が破壊され、海水が勢いよく流れ込んでくる。 それを合図にしたように、石造りの遺跡が一斉に溶け落ち、黒いタールのような怪物へと瞬く間に姿を変えていく。崩落の音と暗闇、水、カナリアの鳴き声が周囲を覆い尽くし始める。【戦闘情報】
【エネミー】
・闇をさまようもの×1・ショゴス×3・ク・リトル・リトルの雛×1【エリア配置】
■PC初期配置 エリア1・エリア2■NPC初期配置 エリア4:ク・リトル・リトルの雛 エリア3:ショゴス 「闇をさまようもの」はGMの任意のエリアに配置してよい。【勝敗条件】
勝利条件:3ラウンド生き残る敗北条件:ヒーローの全滅【備考】
・ショゴスは1ラウンド経過する都度、PCのいるエリアの隣接エリアに3体ずつ増えていく(GMが任意で配置して良い)・エリア1〜4のうち、1ラウンド目はエリア4・2・1を、2ラウンド目はエリア4・3・1を、3ラウンド目はエリア4・3・2を暗闇エリアとして扱う。【ショゴス】
■ショゴス
【エナジー】ライフ:13 サニティ:20 クレジット:10
【能力値】肉体:50 精神:50 環境:50【技能値】なし【移動適正】暗闇・水中・宇宙・地上【パワー】
『テケリ・リ!』属性:攻撃 判定:なし 射程:0 目標:2体タイミング:行動 代償:ターン12効果:目標は<意志>+10%で判定を行う。失敗した場合、1d6点のショックと[BS:不調]を受ける。──繰り返されるその音は、鳥の鳴き声に似ている。【闇をさまようもの】
■闇をさまようもの
【エナジー】ナイアーラトホテプと同じ値とする
【能力値・技能値】ナイアーラトホテプと同じ値とする【移動適正】暗闇・宇宙・地上【パワー】
『星の知恵』属性:攻撃 判定:なし 射程:3 目標:1体タイミング:行動 代償:ターン10効果:目標は<交渉>+10%の判定を行う。この判定に失敗したキャラクターは1d6点のショックおよび[BS:朦朧]を受ける。──暗闇の中から若い男の声がする。【ク・リトル・リトルの雛】
■ク・リトル・リトルの雛
【エナジー】ライフ:444 サニティ:444 クレジット:444
【能力値】肉体:80 精神:100 環境:40【技能値】白兵:99% 霊能:120%【移動適正】暗闇・宇宙・水中・飛行・地上【パワー】
『呼び声』属性:攻撃 判定:なし 射程:3目標:4エリア タイミング:特殊 代償:特殊(効果欄に記載)効果:行動順ロールの直前に使用できる。目標(自身と味方除く)は<意志>の判定を行う。この判定に失敗したキャラクターは2d6点のショックと『恐怖ポイント1点』を受ける。このパワーを使用したラウンドでは、『ク・リトル・リトルの雛』の行動順ロールを1d10+3で算出しなければならない。──深淵の彼方、深海の底、君たちを喚ぶ声がする。【リーサル:あゝ坑道に鳥が啼く】
【状況1】
君たちが坑道を抜けると、東の地平線に日が昇り始めていた。空はどす黒く濁り、戦艦島の周囲は波が大渦を巻いて荒れ狂っている。 叩きつける雨粒はそのまま島の大地を抉り、猛る風が重機やボタ山をなぎ倒し、荒れ狂う海の中へと次々に吹き飛ばしていく。 これまでに体験したいかなる嵐とも違う、意志をもった暴風が、君たちの命を抉り取り、戦艦島を飲み込まんとしていた。 島民達は、皆、海辺に集まっていた。彼らは、虚ろな目で海の一点を注視していた。視線をそこへ向ければ、大荒れの海から、巨大な何かが腕を伸ばした。否、それは君たちが海底で見た、あの怪物ク・リトル・リトルの腕に他ならない。それは戦艦島の海洋プラントを掴み、いとも容易く引きちぎった。 ク・リトル・リトルが立ち上がる。その巨体が朝日を隠し、島を再び夜の闇へと覆い隠す。巨体が立ち上がった、ただその余波だけで、島民達の集まる砂浜へと、あまりにも巨大な津波が押し寄せんとしているのを、君たちは目にする。【解説】
●リーサルイベント 詳細はBJRに登場する同名イベントに準じる。 簡単に言えば、リトライを消費して挑み直すことの出来ないイベントだ。グリットによる振り直し、成功値上昇は出来て構わない。 ここに至る時点で、恐らく既にリトライは0だろう。つまり、実際にはただ成功するかしないか、それだけだ。【各PCの結末(一例)】
【PC1の結末】
君は君の日常へと帰ってきた。 テレビの中では、バンシー・エンタープライズ社長のディックと、スカーレット財団代表のレディ・スカーレットが朗らかな様子で握手を交わしている。戦艦島を襲った大型台風の被害と、その被災者への援助の為、二組織は提携し事態の収束に努めていくと発表がなされた。 暴走社長の横暴と悪辣な評価が下される一方、彼の行動があったからこそ救われた命もあるのだと評価する生存者の声もある。 カメラからフレームアウトする刹那、ディックが、げんなりとした表情を浮かべていたのに気付けたのは、君ぐらいのものだろう。数分後、君の端末にディックからのメッセージが届く。『今日空いてるか? いい酒を開けたい気分だ。愚痴も言いたい』『責任は取るさ、それが上に立つ者の役割だ。だが、私は後悔していないぞ。大体、一番悪いのはあんな島作った奴に決まってる! 悪い奴が一番悪い!』 ディックから届いたメッセージは、愚痴めいた語調ながら、いつも通りのディック・バンシーのもののように思えた。だが最後に残されたメッセージは、いつになく弱気なものだった。『一つ懸念事項があるとすれば、それは君を巻き込んだことだ』『……まだ、君を友と呼んでも?』 さて、どう答えようか。【PC2の結末】
戦艦島は廃坑が決まった。島一つが海の底に沈んだのだから、続けられないのが当然だ。救助された島民たちは、バンシー・エンタープライズの全面的な援助を受けながら、病院での治療が続けられている。君が知り合ったあのモグラのサイオンもその中に含まれていた。しかし彼は、友達であったカナリアがいなくなってからというもの、すっかりと意気消沈してしまっていた。 そんな彼に、君はどう声をかけようか? そんな君たちの元に、鳥の声が響く。そう、あの坑道で、散々聞いた…。「あ! あれは!」 サイオンが窓の外を指差し、声をあげた。 君はその指の先、ボロボロになったカナリアが、病室へと飛び込んでくるのを目にした。長い間飛び続けていたのだろう、その羽は随分とボロボロだ。サイオンの頭に飛び乗ったカナリアは、再会を喜ぶようにぴよぴよと鳴いた。「……よ、よが、よがった、よがっだよぉ、生きてたんだな、よかった、よかっだぁ……」 サイオンが再会にわんわんと声をあげて泣く。 甚大な被害が生じたかもしれない。けれど、救えたものが、確かにここに一つある。 そんな君の手にも、金色の小鳥が頭をすり寄せ、上機嫌に鳴いていた。【PC3の結末】
君はバンシー・エンタープライズが立ち上げた、深海調査プロジェクトの護衛任務を請け負うことになった。この調査プロジェクトはいつになく急に、そしてディックの強い主張によって、反対派の意見を強引に無視して行われることになった。表向きは戦艦島沈没の調査のためと称されてはいるが……その裏にある思惑がどのようなものか、君であれば真実を知っている。 船とスタッフの準備は進められている。間も無く出航だ。そんな君に、声がかけられる。 振り返ればそこにいたのは『星の知恵派』代表のナイ神父だ。「こんにちは。今回の調査プロジェクトに参加されるヒーローさんですね」「このプロジェクトには、我々『星の知恵派』からも、スタッフを何人か派遣させていただいています。どうか無事に終わりますよう、皆様の無事を祈っております」 その声を、君はどこかで聞いたことがあるような気がした。あれは、どこでだっただろう……? 彼は君と言葉を交わしたのち、他のスタッフの激励のためにその場を去っていく。 視界の先に映る海は広大だ。その下にどのような秘密を隠しているのか、人類は未だ全貌を知らない。 空からは鳥の鳴き声がする。それが海鳥のものなのか、それ以外のものなのか──君がそれを知るのは、これからの物語だ。【シナリオ経験点】
・初期グリット3点・クエリーグリット3点・リマークグリット3点(想定)・成長点ボーナス最大3点(随時可変)----------------------------------------------=最大合計経験点:12点