VS.I
VS.I
──偶像vs君自身
▼シナリオPDF
【PC1】
君はヴィランとの戦いで負傷した。 療養を終え、ヒーロー活動へ復帰しようとした君は、 自分がヒーローとしての姿を取れなくなっていることに気付く。 そんな時、君ではない君がヒーローインタビューに答えている姿が報道された。【PC2】
君はパトロール中、通りすがりの警察官に呼び止められ、礼を言われる。 曰く、君が知らないところで、君と同じ姿・同じ名前・同じ能力を持つヒーローが、警察と協力して事件を解決したというのだ。 勿論、君にはそんな覚えはない。 警官から詳しい話を聞こうとしたとき、突然だが君のコスチュームが消滅した。【エントリーについて】(事前公開推奨)
このシナリオのコンセプトは、ヒーローという偶像vs一個人としてのPCという対立構図にある。 その為、PCは周囲に正体を隠してヒーロー活動を行っているキャラクターや、世間に認知されているヒーローとしての姿とプライベートの姿でギャップのあるキャラクターなどが好ましい。 最低でも、素顔を隠してヒーローをしている等、ヒーロー時の姿とプライベート時の姿が異なる人物が良いだろう。【GM向け情報:使用サプリについて】
【エントリー1:身に覚えのない復帰】
【状況1】
君はヴィランとの戦いで負傷し、ここしばらく療養していた。 無事に傷も回復し、君は再びヒーロー活動に復帰することにした。 さあ、ヒーロー・(PC1)が復活する時だ。 いつも通り、ヒーローとしての姿を取ろうとする君だったが……。 その時、奇妙なことに気が付いた。 ヒーロー姿を取れなくなっていたのだ。【状況2】
困惑する君に、テレビのニュース番組の報道が聞こえてくる。 新宿で発生したザ・カーニバルの暴走毒ガス事件を、ヒーローPC1が止めたというのだ。 緑の髪に紫色のスーツを着たインタビュアーが、ヒーローPC1を呼び止め、インタビューを行っている。 それに答えているのは……まぎれもなく、ヒーローである君自身だった。【エンドチェック】
□ヒーロー姿になれないことに気付いた□自分ではない自分がいることに気付いた【解説】
◆状況1 どのような経緯で負傷したのか、療養期間中どのように過ごしていたか、どんな気持ちで復帰しようとしているのか、何故ヒーロー姿が取れなくなっているのか等の演出を楽しむと良いだろう。◆ヒーロー姿を取れなくなっていた 「ヒーロー姿が取れなくなっている」というのは、PCの設定に応じて状況を変えると良い。コスチュームを着るタイプのヒーローならば服が消えているのかもしれないし、テックアーマーを装着するタイプならシステムがエラーを起こすのかもしれない。体そのものが変身するタイプなら、そもそも変身が出来なくなっているかもしれない。プレイヤーと相談しながら、納得できる「ヒーロー姿になれない状況」を作り上げよう。◆緑の髪に紫色のスーツを着たインタビュアー 基本ルールブック掲載の公式シナリオ「12時間」でWAVEの番組のインタビュアーを務めてる男性と同一人物だが、本シナリオには然程関係はない。 この時、偽PC1(と、偽PC2)が解決している事件についても、シナリオと大きく関与しているわけではない為、どのような事件でも構わない。迷ったらとりあえず「12時間」の事件をそのまま流用してしまってもよいだろう。【エントリー2:突然の身バレ】
【状況1】
その日、君はヒーローとして街中をパトロールしていた。 昼頃にはザ・カーニバルによる毒ガス事件があったというが、それは君が出向くまでもなく、PC1というヒーローによって解決したという。 念のためのパトロールを続けたが、幸いに、今日はこれ以上の事件は起きていなさそうだ。【状況2】
「ヘイ! PC2!」 そんな君に声がかけられる。視線を向ければ、パトカーから巡回中と思しき警察官が声をかけてきた。 警察官はフレンドリーな様子で君に手を振り、パトカーから降りてくる。「昼は助かったよ。アンタがいなけりゃ俺は死んでた。テレビじゃ全然取り上げられてないけど、アンタこそまさにヒーローだ。礼にもならねえけど、よければ受け取ってくれ」 そう言って警官は君に買いたてのドーナッツを差し出す。 どうやら、昼の毒ガス事件で、君に命を救われたというのだ。しかし君にそんな記憶はない。 詳しい話を聞き出そうとしたとき……君の姿がヒーローPC2としてのソレではない、ただの一個人としての(PC2本名)の姿へ、いきなり変わってしまった。 目の前の警察官も、突然の出来事に目を丸くする。「……アー、コレ、見なかったことにした方が良いかな?」 間違いない、何か事件がおきている。【エンドチェック】
□自分ではない自分の存在に気付いた□ヒーローの姿を取れなくなった【解説】
◆いきなり変わってしまった コスチュームタイプならばそれが溶けるように消滅して私服に変わってしまい、変身タイプならば本来の姿に戻ってしまい、テックアーマータイプなら稼働を停止したと思ったらバラバラになってしまうなどなど。PC1と同様に、プレイヤーと相談しながら、納得できる「ヒーロー形態が解除される状況」を作り上げよう。◆巡回中の警察官 善良かつ無能なモブだ。PCと敵対する存在ではないが、物凄く役に立つ訳でもない。PCの設定の中で利用できる存在がいるのなら、そちらに置き換えてしまってもいいだろう。【チャレンジ1:ドッペルゲンガーを捜せ】
【状況1】
君たちは各々の立場から、自分の偽物が生まれていることを知る。 調査の為、君たちは街へと乗り出した。 今の君は、能力こそ普段の君と変わらないが、その見目は一般人としての姿になっている。調査方法には一手間必要になるだろう。【状況2】
偽物についての情報を集める君たち。 偽物は、PC1がヴィランとの戦いで負傷した数日後から生まれているようだ。 どうやら偽物たちは、別段君にとって不利益になるような行動を取っているわけではないらしい。 「君ならばそうしただろう方法で」「君ならばそうしただろう事件へ介入し」「君ならばそうしただろう方法で事件を解決している」のだ。 その為、G6やWAVEといった組織も含めて、君の正体を知らない人々はヒーローPC1/2にトラブルが起きているとは気付いていない。 事態に気付いているのは本人である君たちだけなのだ。【状況3】
君たちは偽物の行方を追う。 君自身が、ヒーローとして動くときは、その動きを辿れないようにするのと同様に、彼らの足取りを辿るのは至難の業だった。 どうにかその足取りを辿った君たちは、やがて同じ地下鉄のホームへとたどり着いた。 君たちが同じ駅のホームへと降り立ったその時……突然、路線から突っ込んできたブロブが地下鉄を飲み込み大暴れを始めた!【エンドチェック】
□偽物の行方を追った□野良ブロブに襲われた【解説】
◆チャレンジ判定…このイベントのチャレンジ判定は、全ての判定を2人で行う必要があり、どちらか一人が成功する必要がある。それぞれが別々の場所で、同じ問題について調べているとする為だ。とはいえ、支援やチャレンジ判定に使用するパワーは適応できて構わないだろう。◆野良ブロブ… このブロブは毒ガス事件ともこのシナリオとも関係がない。地下のどこかでメイヘムの会員達が冒涜的な儀式を行い、召喚してしまったのだろう。プライムバースは常にマジでとっても危険がいっぱいなのだ。◆戦う…姿が変えられないだけで、戦闘能力等に支障はない。あくまで見た目が違うだけだ。【クエリー1:君を助けた人の名は】
【状況1】
突然現れたブロブへの対応に追われる君たち。そんな君たちに、暴れるブロブによって崩れていく瓦礫が迫る。 あわや生き埋め、その瓦礫に君たちが対処しようとしたとき、君たちの前に飛び込む影があった。【エンドチェック】
□クエリーに答えた□グリットを1点獲得した【解説】
ヒーロー姿の(偽物の)PC1/PC2のリアクションは、実際にプレイヤーに「君のPCだったら、そういう民間人と会ったときどういう反応すると思う?」などと聞きながら演出していくと良いだろう。このシナリオではPLの思うPC像と極力解離が少ない方が、このシナリオの偽物像には合致するはずだ。 偽PC1と偽PC2は素顔の自分たちを見てもノーリアクションだ。偽物たちは自分たちの素顔というものを知らないし、PC達がヒーローとして開示していないようなプライベートな情報も知らないだろう。【クエリー2:偶像の是非】
【状況1】
ヒーロー達の手によって、ブロブの暴走は無事解決した。「流石PC1だ」「PC2カッコよかったー!」「もうダメかと思ったよ」 市民による、PC1とPC2を称える声が随所で上がっている。ヒーローの二人は、事態を解決した後、事後処理の為に警察と何やら話をしているようだ(あるいは、PCの設定によっては、そのままその場を立ち去ってしまったかもしれない) 君ではない誰かが、君と同じように人を救い、それを受け入れる街の人々。 そんな街の中で、君はどんな思いを抱いているだろうか?【状況2】
市民たちがヒーローを称える声が響く中、PC2のもとにエントリーで登場した警察官が小声で声をかけてくる。「アー、リアクションしづらい話だったら悪いんだけど、コレって解決したの本当にアンタ?」「……どうする、なんかコッチで手伝った方が良い? いや、手伝えるか分かんないけどさ……大丈夫?」 警官は君のことを心配しているらしい。何と答えよう?【状況3】
PC1は、警察官に気遣わしげに声をかけられているPC2に気付く。やりとりをする声が、先ほど聞いたヒーローの声と似たもののように感じる。浮かべる困惑の表情にも、君に似たものがあるような気がした。 ヒーローとしての姿ではないPC1とPC2は、かくして邂逅を果たし、互いの立場を理解する。 そんな時、君たちはどんな言葉を交わすだろうか?【エンドチェック】
□PC1/2が合流した□グリットを1点獲得した【解説】
PC1とPC2が合流するシーン。偽物たちとはこの時点では直接話をすることは出来ないとした方が良いだろう。現場保護の為にかけつけた警察によって防がれたり、ヒーローである偽PC1・偽PC2たち自身の手で、危険だからと遠ざけられてしまうのだ。 状況2・3は、恐らくは別々に行動しているだろう、そして互いの素顔を知らない(と思われる)PC2人が合流するためのシナリオ上のきっかけを意図している。逆に、クエリー1や「状況1」の時点で、PC達が自発的に互いのことを認識しているのであれば、状況2・3は割愛してしまっても構わない。【チャレンジ2:ドッペルゲンガーの正体】
【状況1】
合流を果たした君たちは、偽物が生まれた原因を探ることにした。 君たちは現場を去った偽物の後を追跡する。【状況2】
君たちは偽物を追い、彼らの拠点を探る。その結果分かったことは、偽物たちは食事も睡眠も休息も必要とせず、24時間、常にヒーロー活動を続けているということだ。 いわばそれは『完璧な偶像』。……あの偽物は、人間が扮したものではないのだろう。 魔術か、科学か、能力か。いずれにせよ超人種のなんらかの力が働いていることは確かだ。ということは、犯人は別にいるということだ。【状況3】
魔術による探知か、科学による探索の末か、はたまたそのいずれでもない地道な調査のはてにか。君たちは、己護路島にあるとある病院で、ちょうどPC1がヴィランとの戦いで負傷した日に、強い魔術が使用された痕跡を確認する。 病院の名前は「私立蔵前病院」。病院としての活動もながら、超人種の能力の制御に苦しむ子供達のケアとサポートを行っている病院だ。【状況4】
病院を調査したところ、病院に入院しているスティーブという幼い少年が、この件に関係がありそうな能力を持っているということが分かる。 スティーブ少年は先天的なミスティックであり、特に対象を無機物・有機物・生命の有無を問わず複製してしまう能力を持っていた。いまだ幼い彼は能力を制御することができず、その制御を学ぶ為に病院に入院しているのだという。 そしてスティーブ少年は、ヒーローの、特にPC1の大ファンだという。 君たちは少年に会いにいくことにした。【エンドチェック】
□少年のもとへ向かった【解説】
◆スティーブ少年の「複製」 イメージはR2のミスティックのパワー「複製」。スティーブ少年はこのパワーをより強力に扱うことができ、生き物の複製をも可能とする力を持っている。 正しく使えばクローニング技術の代用にもなり、悪用すれば倫理を犯しかねない能力。正直なところ彼自身、その力を持て余しており、正しく制御できずにいる。 これまでは人間ほど複雑な存在を複製出来たことはなかったのだが、PC1負傷の恐怖と、彼の能力に目をつけた天球座の座長・マッドスクリプトの介入により、初めて一線を超えてしまった。 スティーブ少年は、5才程度の、本当に幼い少年としてしまうのが良いだろう(ヒーロー達が強硬な手段を取りづらくなり、背景になにか事情があるのだと察しやすいからだ)。【クエリー3:クレマチス】
【状況1】
スティーブ少年の部屋は一人用の入院部屋だった。部屋には至る所にヒーローグッズが所狭しと置かれており、窓際では生けられて間がないだろうクレマチスの花が一輪揺れていた。ヒーローグッズの種類で一番多いのはPC1、次いで多いのはPC2がモチーフとなっているものだと分かる。(グッズが無いようなヒーローの場合、新聞や雑誌の記事や、少年が描いた絵などがそうだ) ベッドの上の少年は、ヒーローコミックを読んでいるところだったが、その表情はどこか浮かないものだ。彼はPC達が部屋へと入ってくるのを見ると、不思議そうに首を傾げる。「おにいちゃんだあれ?」 彼は君たちの素顔を知らないのだ。【状況2】
「おにいちゃんもヒーローすきなの? ぼくもねえ、だいすき!」「あのね、あのね、ぼくがすきなのはね、PC1! あ、でもPC2もすき。にばんめにすきなの。ああ、でも、うんっとね、うんっとね、うーーーん……どっちもすき! おにいちゃんどっちがすき?」「このまえねえ、PC2がねえ、しんぶんにのってたんだよ! かっこういいんだよ。みせてあげる」(PCたちがヒーロー本人であると知った場合)「うそだあ! だってぜんぜんちがうよ?」「ほんと? ほんとにほんと? ほんとにヒーローなの? !!(奇声じみた歓声を発しながらベッドに飛び込んで足をジタバタさせる)」 少年は君たちにヒーローのことを生き生きと語るが、PC達がヒーロー本人であると気付く、ないしは熱が落ち着き始めると、再び浮かない表情を浮かべる。そして叱られるのを待つ子供のような顔で言う。「でもきっと、PC1とPC2はぼくのこときらいになっちゃうよ」「ぼくわるいことしちゃった。ぼくゔぃらんになっちゃったんだ」【状況3】
「このまえね、テレビでね、PC1がゔぃらんと戦ってたんだよ。 ぼくもね、がんばれー! って応援してたの。 PC1はね、ヴィランに勝ったんだけどね、ケガしちゃったの」「それ見てたらね、怖くなっちゃったの。 PC1が死んじゃったらどうしようって思ったの。 だからね、PC1以外の人がね、PC1の代わりに戦えばいいんだって思ったの」「今朝もそうだよ。毒ガス事件のことがテレビでやっててね、 誰かPC1を助けてーって思ったの。それでね、そしたらね、ぼくね……」「つくっちゃった。PC1とPC2をつくっちゃった。 ぼくヴィランになっちゃったよう」 少年曰く、彼はPC1の負傷姿を見て、いつかヒーローが消えてしまうのではないかという恐怖を覚え、その恐怖からPC1を複製してしまった。そして複製されたPC1が毒ガス事件で活躍する報道を見ながら、PC1の助けになってほしいと、PC2も複製してしまったのだという。 少年は自分が取り返しのつかないことをしてしまったことを自覚しているが、彼自身制御できない力ゆえに、その消し方が分からないのだという。 君たちはこの少年になんと声をかけようか? そのやりとりを、窓際のクレマチスの花だけが見つめていた。【エンドチェック】
□少年の言葉に答えた□真実を知った□グリットを1点獲得した【解説】
◆罪悪感 少年は悪いことをしてしまったという自覚と罪悪感があるが、それを大人たちへ打ち明け荒れずにいた。PC達だからこそ、彼は口を開いてくれたのだ。 少年自身、作り出してしまったものを自分自身で制御できず、消し方も分からない。その為、偽物を消滅させるには、PC達が自分たちの手で偽物を倒すしかない。PCたちがヒーロー姿になれなくなったのは、少年の行った大規模な魔術による副作用だ。◆ヴィランになっちゃった 少年が自分のことを「ヴィランになってしまった」と称しているのは、自分の力を悪いことに使ってしまったという負い目からくる幼い言葉選びだ。◆クレマチス 実際には天球座の介入と誘導の末だが、スティーブ少年自身、その介入に気付いていない。クレマチスの花の描写だけは、天球座の介入を示唆するため、さりげなく、しかしPLの印象に残るように挟むこと。 PCやPL自身がこれまでの経験や知識などから、クレマチスの花から天球座の関与を疑った時などは、GMはあくまでしらばっくれてもいいし、早々に種を明かしてしまってもいい。双方にとって楽しめる方を選ぶと良いだろう。◆天球座 もしかしたら、ヒーローのことを応援する少年の傍らに、見知らぬナースがいたのかもしれない。 もしかしたら、ヒーローとヴィランとの戦いを見る少年の傍らに、初めて会う入院患者がいたのかもしれない。 もしかしたら、ヒーローが傷つく姿を見る少年の傍らに、一人の老人がいたのかもしれない。 少年自身、誘導された自覚はないだろう。見知らぬ舞台の端役達は、少年の耳元でただ囁いただけなのだから。「このままじゃあ、彼らは死んでしまうかもしれない」「誰かが彼らの代わりに戦ってくれたらいいのにね」………。【決戦:VS.I】
【状況1】
少年から事情を聞き届けた君たちは、偽物──改め、複製たちのもとへと向かう。 君たちから事情を打ち明けられた、複製であるヒーローPC1とヒーローPC2は一定の理解は示すものの、完全な無抵抗にはならない。「なるほど……それを指摘されれば、確かに思い当たる節が無いわけではない」「だけど、君たちが本当に真実を話しているとは限らない。ヴィランの策略かもしれない……と、どうしても疑ってしまう」「君たちと私たち、どちらが本物のヒーロー(PC名)なのか……君たち自身に、それを証明することは出来るのか? もしかしたら複製は君たちの方かもしれない、だろう?」(口調はPC達に即した口調にすること) ヒーローPC1とヒーローPC2は、君たちの答えを聞き届けると、試すように問いを投げかける。「仮に我々が複製であったとして。 ……ヒーローとしての私は、君がやるように人を助け、君がやるように悪と戦う。 君の身に危険が及ばぬところで。 君はもう戦う必要なんてない。 ……それでも私たちを取り戻したいと、君は願うのか?」「それは何故?」【状況2】
君たちの答えを聞き届けると、ヒーローPC1とヒーローPC2は満更でも無さそうに笑い、戦闘態勢に入る。「それだけの覚悟があるのならば、良いだろう」「我々を倒し、見事その力を取り戻してみせるがいい!」 さあ、自分との戦いだ。【解説】
◆理解は示す PC達の指摘を受けて、偽物達は自分たちの記憶の欠落や生物としての違和感を初めて自覚することが出来る。だが、それを証拠には出来ない。何故ならこの世界には、そういう風に本人に思い込ませることの出来る悪い奴もたくさんいるからだ。◆偶像 複製たちは、スティーブ少年が理想とするヒーローとしてのPC1とPC2の姿が反映されている。その為、(もともとのPCが特殊な設定でない限りは)悪辣な存在では無い。彼らもまた、天球座の介入については自覚していない。 倒された暁にはPCたちを称える言葉を延べこそする。しかし『最悪の脚本』が発動する時には、「しまった、罠だ!」と君たちへ忠告を放ちもするだろう。 倒されれば彼らは消滅し、君たちの中に失われた力は戻ってくる。さあ、存分に変身だ!【戦闘情報】
【エネミー】(PC四人時)
・ヒーロー『PC1』・ヒーロー『PC2』【エリア配置】
PC、エネミー、いずれも全てのエリアへ配置可能【勝敗条件】
勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:味方の全滅【備考】
【エネミーについて】 エナジー、各能力値、移動適正は各PCと同じ数値とする。 PCの所有するパワーと同じパワーを所有する。経験点による命中補正が付いている場合はこれを計算に入れる。また、回避判定のないすべての攻撃パワーに<運動-20>の回避判定を追加する。 エネミー化にあたり、取得パワーの詳細に齟齬が生じる場合、GMが自由に調整を行ってよい。 集中・支援・臨死状態に突入することが出来る。グリットを使用することはできない。エナジーがマイナスになった際は、デスチャートを振り、結果を採用すること。 このエネミーの戦闘不能条件はPCのロスト条件と同じとする。【敗北時】
エネミーとの戦いで死亡/絶望に至った場合、君のヒーローとしての存在はエネミーに乗っ取られる。PCは生還できて構わないが、ヒーローとしての君は、君の手の届かない『別の誰か』になるだろう。 『最悪の脚本』で絶望に至った場合は最悪だ。通常の絶望と同様の処理を行い、君という『ヒーロー』は完全に消滅するだろう。【シナリオの結末(一例)】
【状況1】
少年に君たちの復活を告げれば、彼は喜び、もう2度とこんなことが起きないよう、能力の制御訓練に励んでいくと約束する。 去り際、少年はPC達へと、幼く憧れと期待に満ちた目で尋ねた。「ヒーローはこれからも、わるいやつなんかに、ぜったい負けたりしないよね?」