シング・シング・シング:REMIX!
シング・シング・シング:REMIX!
━━Let's Sing Sing Sing !!!
▼シナリオPDF
【エントリー1:フライ・ミー・トゥ・ザ・ギャラクシー】
君はスイング・ヒューマンズの楽団長ジマーの秘密を知るヒーローの一人だ。 ある日、テレビの中で、スイング・ヒューマンズの公演が生中継されていた。 パフォーマンスはつつがなく終わるかに見えた、その時! 空一面を覆い尽くす、宇宙騎士団バッシュザールの大艦隊が現れた!【エントリー2:A市行き列車で行こう】
君は田舎町A市の調査に赴いている。 過去にA市周辺の土地を買収しようとした悪徳企業の資料から、A市周辺の山の中に凄まじいエネルギーを秘めた物質が眠っていることが分かったからだ。 君を歓迎したA市の住民たちは、君にこんなことを教えてくれた。「そういや、東の山の中に、でっけえクレーターがあるんだっぺ」【エントリー3:ジャックポットの到着】
君は福引に当選し、二等景品である『スイング・ヒューマンズ公演チケット』を手に入れた。「うっそだろ、まじかよ!?」 チケットを受け取った君の背後から、ショックを受けたらしい青年の声がする。 振り返れば、大量の福引券を手にした地球人の青年が、君の受け取ったチケットを見つめていた。【エントリー1:フライ・ミー・トゥ・ザ・ギャラクシー】
【状況1】
A市のダム開発を巡る戦いから二週間が経った、ある日のお昼時。 君はその日、自宅で(あるいはセーブハウスの一室で)日常を過ごしていた。 テレビをつけると、どこかの国のスポーツ大会の開会セレモニーが開かれていた。リポーターが告げる。【状況2】
演奏はつつがなく進み、やがてクライマックスへと至る。最後の一音が青空に響き、楽団はピタリと一糸乱れず動きを止めた。【状況3】
PC1はスイング・ヒューマンズへと連絡を取る。警察やG6の対応に追われる中、ジマーと話をすることが出来た。「PC1さん~! お~ひ~さ~し~ぶ~り~で~す~!」「まさか~、こんなことが起きるとは~。 私は大丈夫です~。 しかし~二週間前から立て続けにこんなことになるなんて~、 団員たちに申し訳が立ちません~」「そうだ! PC1さん、どうか団員たちの護衛をお願いできませんか〜? PC1さんなら安心です〜!」 対応するジマーはいつも通りに見える。彼は君に楽団員たちの護衛を依頼した。【エンドチェック】
□放送を見た【解説】
バッシュザールとスイング・ヒューマンズの接触をPC1が知るシーン。 ジマーはバッシュザールの襲撃と、向けられた言葉に衝撃を受けているが、団員たちの手前それを表に出さないようにしている。【エントリー2:A市行き列車で行こう】
【状況1】
君は周囲を山に囲まれた田舎町、A市へと調査に訪れている。 この町はつい二週間前まで、ダムの開発計画と、それに伴う周辺の土地の買収計画が進んでいた。しかしヒーローの活躍により、買収を進めていた企業の悪事が発覚したことで、その計画は白紙となっていた。かくしてA市は一旦ただの田舎町に戻った、かに思われた。 しかし、その企業の極秘データの中に、A市の山の中に凄まじいエネルギーを秘めた物質が眠っていることが分かった。かくして、君はそのエネルギー物質調査の為、A市を訪れている。 A市の人々は公民館で君を歓迎しながら、エネルギー物質について、めいめいに意見を述べる。【状況2】
「てえへんだてえへんだあ~~!!」 そんな話をしている君たちのもとに、一人の老人が駆け込んできた。「あれま、及川どん。どしたんべか」「てえへんなんだ! てれび! てれびつけてみい!」 老人の言葉に促され、テレビをつける。するとそこには、スイング・ヒューマンズの公演中に現れたバッシュザールに関する報道が行われていた!「こ、こりゃあ、スイング・ヒューマンズさじゃねえべか!」「なんてこった! こりゃあコトだ!」 ざわめく老人たち。君もまた、スイング・ヒューマンズとこの街のつながりについては(過去の資料を通してか、実際に現場にいたからかはさておき)知っている。 A市にエネルギー物質が眠っていることが明かされたこのタイミングでの、バッシュザールのスイング・ヒューマンズへの接触……果たしてこれは無関係の偶然なのだろうか? とてもそうは思えない。 画面の中では、仮面の楽団長ジマーが、手にしたバンドメジャーをぽろりと取り落としていた。【エンドチェック】
□東の山の湖のことを知った□バッシュザールの報道を見た【解説】
PC2がA市で調査を行っている最中、スイング・ヒューマンズの事件を知るシーン。 PC2が前作「シング・シング・シング!」に参加していたPCの場合、老人たちはPC2を町の恩人として大いに歓迎するだろう。 老人たちは、A市の山の中にあるという湖については、実際に目にしたことがあるわけではない。親などからそういう話を聞いたことがある、というだけだ。 踏み込もうとすると、その段階で状況2へ移ってしまい、老人たちの関心はそちらに移ってしまう。【エントリー3:ジャックポットの到着】
【状況1】
ガランガラガランガラン。「大~当たり~!!」 君の目の前で銀色の玉が転がる。目の前で法被を着た中年男性がガランガランと鐘を鳴らす。「二等景品、『スイング・ヒューマンズ公演チケット』をプレゼントです! おめでとうございます~!」 君は商店街の福引を回し、二等景品である『スイング・ヒューマンズ公演チケット』を手に入れた。君はスイング・ヒューマンズという楽団について、知っていてもいいし、何も知らなくてもいい。 君が商品を受け取ると同時、君の後ろから悲鳴が聞こえた。【状況2】
「な、なあなあなあ! 頼むよ、そのチケット、よければ俺に譲ってくれねえか!? 金なら払うから! な! この通り! もうすぐ誕生日なんだ俺! 自分へのプレゼント!!」【エンドチェック】
□アッシュと知り合いになった□スイング・ヒューマンズの報道を見た【解説】
PCがバッシュザールのジャックリー・アッシュと知り合いになるシーン。 アッシュはバッシュザールが何故スイング・ヒューマンズを襲撃したかは知らない。 状況としてはここで区切られてはいるが、PCとアッシュが互いの立場を打ち明けるようなシーンや、PCにアッシュが協力を求めるシーンを作ってしまっても構わない。【クエリー1:ミステリーマスクマン】
【状況1】
あの報道の翌日。スイング・ヒューマンズの護衛を依頼された君は、あてがわれたホテルで楽団員たちと夜を明かす。 そんな朝のこと。君のもとに、スイング・ヒューマンズの楽団員達が現れた。【状況2】
楽団員たちが次々に叫ぶ。【エンドチェック】
□楽団員たちの言葉に答えた□グリッドを1点獲得した【解説】
1d10+3人ぐらい押し寄せたことにしてもよい。面倒だったら3人ぐらいでいい。 前作と間を空けずにこのシナリオを進めているのであれば、訪れた代表三人は「トランペットのラインハルト」「木琴のリー」「シンバルのタナカ」としてもよい(前作のチャレンジ1でヒーローたちが救出した者たちだ) スイング・ヒューマンズの団員たちはジマーの素顔を知らないということを示すシーンも兼ねている。 PC1は最終的に、スイング・ヒューマンズの依頼を受けたという形でジマーの捜索を行うことになる。前作の縁でPC同士が面識がある場合、ここで連絡を取り合わせてもいい。だがその場合、後述のイベントの為、PC2とは連絡が取れないとすると良いだろう。田舎すぎて圏外になっている、などの理由がそれらしい。 シナリオ描写上はスイング・ヒューマンズの団員がPC1に同行することになるが、PCが待機を優先させるのであれば、無理して連れていく必要もないだろう。【クエリー2:So Why?】
【状況1】
君は、青年から詳しい事情を聞いた。 青年は、自らの素性を明かした。青年の名はアッシュ。スイング・ヒューマンズに脅迫をしかけた、宇宙騎士団バッシュザールの一員なのだ、と。「俺、もとは地球の生まれなんだけどさ。 ガキの頃、地獄兵団に攫われたんだ。それで、ジオットへ行った」【状況2】
それだけに、あの報道のことが、彼には解せないのだという。【状況3】
君の言葉を受け、アッシュは覚悟を固めた。「やっぱり、俺、親父を止めにいくぜ! 聞いてくれてありがとな!」「親父は俺よりめちゃくちゃつえーから、俺ブッ殺されっかもしれねーけど! ここでやらなきゃ男がすたるってもんだ!」 ……やれやれ。放っておくのは、どうにも寝覚めが悪そうだ。【エンドチェック】
□アッシュの言葉に答えた□アッシュに同行することにした□グリッドを1点獲得した【解説】
PCがアッシュの身の上を知ることになるシーン。 PC3がジマーの正体を知っている場合、ここでアッシュにそのことを打ち明けようとすると、毎度毎度奇跡的なタイミングで妨害が入り打ち明けられない。大変申し訳ない。 ヴィラン相手にお悩み相談を受けるというちょっと妙なシーンになるが、このシーンのアッシュは本人の言葉通りそこまで悪い奴ではないとするといいだろう。【クエリー3:マイ・フェイバリット・シングス】
【状況1】
君はA市で、引き続きエネルギー物質についての調査を行なっている……のだが、『スイング・ヒューマンズ』のニュースを聞いてからというもの、A市の人たちの関心はすっかりとそっちに移ってしまった。 致し方なく、一人で調査を行なっていた君は、フードを目深に被った見慣れない人物が、とぼとぼと歩いていくのを目撃する。 フードの人物は、人目を偲ぶようにこそこそとしながら、町外れの山の麓に建つ、小さな廃墟の中へと姿を消していった。【状況2】
「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」 廃墟の中にいたのは、正にニュースで話題になっていたあの人物、『スイング・ヒューマンズ』の楽団長ジマーだった。 彼は楽団員たちの目を盗み、こっそりとA市へ、そしてこの廃墟へとやってきたのだという。「バッシュザールの目的は私のようでしたので~、とりあえず~、離れておけば団員たちは助かるかな~? と思いまして~。PC1さんがいればきっと安心ですし〜」「……彼らをこれ以上、私の個人的な事情に巻き込みたくはないのですよ〜……」「二週間前の地獄兵団との戦いのことを思い返すと、今でも手が震えます〜…。あの時は、ヒーローさんたちのお陰で、どにかなりましたが〜……次もそうなるとは限らないじゃないですか〜……今度は〜……誰かが〜……」「……でも、この町以外、行く場所も思いあたらなくて〜……結局ここに……どこに行けばいいのかなぁ……」 意気消沈するジマー。そんな彼に、君はどんな言葉をかけようか?【状況3】
「そうですよねえ〜……私が間違っていましたねえ〜……PC1さんにも悪いことをしました〜……東の山の奥にある、私が落ちてきた時のクレーターで体育座りしながら世を儚もうとしている場合ではありませんでした〜……」 すっかり意気消沈しているジマーだが、いま、さらりととんでもない事を言わなかったか?【エンドチェック】
□東の山のクレーターの詳細を知った□グリットを1点獲得した【解説】
PC2がジマーの素顔のことを知らない場合、ここで前作『シング・シング・シング』の『クエリー3:コパカバーナの昔日』と同様の遭遇イベントを起こし、PC2にジマーの正体のことを教えてもよい。 PC2が事前に東の山について調べようとした場合、単独では「何か奇妙な力場が働いていることは分かるが、それがなんなのか詳細が分からない」としてしまえば都合が良いだろう。空から見ても違和感のある場所はなく、山へ一人で向かっても鬱蒼と繁る田舎の山の中は案内が無ければ目的の場所が分からない。道案内が必要なのだ。 PC2が前作を通してジマーの正体や設定を知っている場合などは、PC側からの自発的な質問や進行を誘える場合がある。その時はPCの自発性に合わせて適宜シーンを調節してしまおう。 ジマーが一人で出てきたのは、恐怖と罪悪感による逃避だ。厳しい言葉をむけても良いし、優しい言葉をむけてもいい。【チャレンジ1:リターン・トゥ・バッシュザール】
【状況1】
PC1は、A市がジマーにとって思い入れのある土地であるということを知っている。君はジマーの足取りを追い、楽団員たちと共にA市へとやってきた。 PC3はアッシュと共に、バッシュザールの足取りを追ってA市へとやってきた。かくして、二人のヒーローは、各々の同行者と共に無人駅から出た。【状況2】
A市の老人たちは手に手に竹槍やさすまたを持ち、鉢巻きを締め、バッシュザールの百戦錬磨の戦闘員たちと向き合っていた。「スイング・ヒューマンズさはオラたちの恩人だ! けえれけえれ!」「オメェらに教えることは何もねえっぺ!」 逆に、バッシュザール側の戦闘員たちは、明らかに非戦闘員の市民たちから向けられる敵意に困惑しているようだ。「ど、どうする? 明らかに戦闘員じゃない……よなあ?」「だがやる気みたいだぞ? やっちまうか? ……あっ勝手にぎっくり腰になってる……」 そんな双方の前に、フクロウの宇宙人こと、ウーフ=アングーマ三世が歩み出た。「双方落ち着かれよ。ご老人がた、あなた達の力では我々に勝てないことは明白のはず。我々も目的さえ果たせれば対立は望まない、まずは話を──…」【エンドチェック】
□バッシュザールとの交渉が決裂した【解説】
PC2とPC3の合流シーンであり、A市とバッシュザールの関係が勝手に拗れるシーン。 ウーフ・アングーマ3世は、普段なら落ち着いて話のできる、バッシュザールでも有数の有識者だ。だが流石に、全身アレまみれになったら、怒ると思う。【リトライがマイナスになった時】
チャレンジ1時点でリトライがマイナスになってしまったのであれば、チャレンジ2の出来事が起き、判定に全て失敗したという扱いで、全てのデメリットを適応した上で決戦フェイズに突入するとすれば良い。プライマル・スプリットのカケラは暴発し、A市全域を巻き込みながら、皆をまとめてその内へと飲み込んでしまう。その過程でアッシュはジマーの素顔を見ることになるだろう。 辛い戦いが予想されるが、それを乗り越えた暁には、ヒーローたちの尽力のおかげで飲み込まれたA市ごと無事帰還を果たした、ということにしてもよい。【チャレンジ2:ワルツ・フォー・スプリット】
【状況1】
「足元に~お気をつけて~!」 PC2はジマーと共に、A市・東の山へと踏み入っている。夏も盛りの山の中は、雑草が鬱蒼と生い茂り、木々が陰鬱に空を覆い隠している、不気味な雰囲気だった。(なので、PC2たちは街でバッシュザールと市民たちのドタバタが起きていることに気付けない) 森の中を進むと、やがて奇妙にぽっかりと開けた場へとたどり着く。地面がすり鉢状に深く抉れており、その周囲には木も草も生えていない。すり鉢状に抉れた地面には湧き水が溜まり、湖のようなそこから生じた川が、下流の村へと流れ込んでいるのが見える。「この辺りが私が落ちてきた場所ですね~。いつの間にか湖になってたんですか~」「でも~、特におかしなものは見つからないですよね~?」 不思議そうに首を傾げるジマー。しかし君の目には、湖の中央で赤い光を発する『何か』がはっきりと映っていた。「ハテ?」 ジマーには見えていないようだ。 君が湖底に沈むそれを回収しようとした時、眩い光が周囲を包み込む! その光の中から、凄まじい鉄砲水が君たちを襲った!【状況2】
バッシュザールとA市の老人達、そしてヒーロー達は、東の山から赤い光が迸る様を見る。そして徐々に近づいてくる轟音にもだ。 次の瞬間、山から鉄砲水がA市の畑へと流れこんでくる。「オラ達の畑がー!!」 幸いに鉄砲水は畑へと広がり、住宅区へと流れこむことはなかった。 そこにPC2とジマーも駆けつけた。「うおっ!」「あぶな〜い!」 水と共にバランスを崩しかけたアッシュに、咄嗟にジマーが手を伸ばす。しかし足を滑らせ、綺麗に顔面から地面にぶつかったジマー。そして……。「あっ」「!?」 ジマーの仮面がパキリと割れる。アッシュは正面からジマーの顔を見てしまった。「お前……ッ!!!」「ひ〜っ!?」 アッシュの顔が怒りと困惑に染まる。彼は反射的に、手にした武器をジマーへと向けた!【状況3】
突然の鉄砲水に騒然となるA市、何が起きたのかと街の人々が困惑している時、水と共に川を降ってきた赤いカケラが、君たちの前に転がり出た。そして次の瞬間、再び赤い光が周囲を包み込む。光の先には、ここではない、見たことのない、知らない世界が垣間見えた気がした。 この光の波に飲み込まれたら、『どこかに連れていかれる』。 ヒーロー達の脳裏を、本能的な直感と恐怖が襲った。【エンドチェック】
□アッシュがジマーの素顔を目撃した□ヒーローとバッシュザールが赤い光に呑まれた【解説】
ジマーに赤い光が見えないのは、ジオット人は赤色を識別できないという身体的特徴の影響だ。 ジマーの仮面が割れるシーンは、PCたちの立ち回りや行動に応じて、適宜シチュエーションを調整しよう。最終的に仮面が割れ、アッシュが素顔を目撃することになれば、どんな状況でも構わないはずだ。 アッシュはジオット人への憎しみと、突然の事態への混乱から、落ち着いて話をすることは出来ない。なし崩しに事態は進んでいく。 PCたちが判定を終えたところで、マスターシーンへ進む。【マスターシーン:シング・シング・シング:REMIX!】
【状況】
混乱するA市の上空に、新たな宇宙船が飛来する。 慌てた様子で宇宙船から飛び降りてきたのはディノグリフだった。「遅かったか…! まさかこんな恐ろしい代物が、こんな場所に眠っていようとは!」 ディノグリフは説明する。「詳細は省くが、あれは『プライマル・スプリットのカケラ』と呼ばれる物質だ。 意志持つ異次元、『主なる裂け目』から剥離したものが結晶化した物質。 銀河そのものを内包するが如き莫大なエネルギーを秘めるアレは、異世界への扉を開き、世界線跳躍を可能とする……一度飲み込まれれば、その自我も、肉体も、どこに弾き出されるか定かではない」 ディノグリフはカケラへ手を伸ばすが、弾かれたように触れることができない。 忌々しげにそれを見下ろし、ディノグリフは重々しく告げた。【エンドチェック】
□演奏が始まった【解説】
●プライマル・スプリットのカケラ このシナリオ独自のアーティファクトだ。 基本的な設定はディノグリフの言葉通り、「主なる裂け目(プライマル・スプリット)」(参照:R1/211頁 or R2/72頁)のエネルギーの一部が結晶化し剥離したもの。銀河そのものを内包するとも言われるほどの莫大なエネルギーを秘め、異世界への扉を開き、世界線跳躍を可能とする物質。 その特性は「アリアドネの糸」(参照:D2/29頁)に類似するものがあるが、直接の関係は不明。特定の所有者を持たず、無差別かつ気まぐれにその力を発揮する迷惑な物質だ。 過去にジマーがジオットから地球へとやってきてしまった原因と思われるが、その経緯と詳細は不明。 他、GMは都合よく「大体これのせい」と、便利で都合の良いアイテムとして使ってしまって良いだろう。【決戦:故郷の歌】
【状況】
光に呑まれたPC達は、どことも知れぬ赤い空間を漂っていた。 赤く明滅する周囲には、窓のように、穴のように、鏡のように、多くの世界が漂っている。自分たちがどこからやってきたのか、分からなくなってしまうほどの膨大な数だった。 上も、下も、右も、左も分からない世界の中で……ふと、君たちの耳が、音楽を捉える。 それは帰ってこいと君たちへ告げるかのように、微かに、しかし確かに君たちの耳へと届く。 この音色を辿れば、自分たちの故郷(世界)へと帰れるのではないか。君たちの中に、そんな希望が湧き上がる。【戦闘情報】
【エネミー】
・ジャックリー・アッシュ(エナジー3倍調整)・ウーフ・アングーマ三世(幹部)・バッシュザール構成員×3【エリア配置】
■PC初期配置 エリア1・エリア2■エネミー初期配置 エリア4:アッシュ、ウーフ エリア3:構成員【勝敗条件】
勝利条件:敵の全滅敗北条件:味方の全滅【備考】
・『エリアタイプ:スイング・ヒューマンズ』の効果を、エリア1~2に適応する。・エリア1~4を『エリアタイプ:宇宙』とする。・バッシュザール構成員は「暗殺者」のデータを使用し、「移動適性:宇宙」を取得しているものとする。・アッシュは全てのエナジーを3倍にする。・アッシュのパワーを以下の形に強化・追加する。-----------------【暗黒闘法(強化)】攻撃/白兵100%/行動/射程1/目標:1体/代償ターン10目標は<心理>-10%。失敗で1d6+3点のダメージおよび[BS:不調]を受ける。【敗北した時】
・PCは記憶を失い、知らないどこかの世界に漂着する。そこから先は、君ではない君の物語だ。ロストとなる。【エネミーの戦法】
アッシュとウーフ・アングーマ3世は「ダークステップ」を使用して、早めにエリア1or2に入り、「スイング・ヒューマンズ音響効果表」の影響を受けられるようにしよう。効果表の効果次第では、とんでもないシナジーを発揮するかもしれない。そのあとはそれぞれの攻撃パワーで攻撃を進めていこう。 このシナリオは、リトライが1点しかない関係上、PCがサニティでの臨死に入りやすい構成となっている。ウーフ・アングーマ3世の「魔悪よりも鋭い爪」による「憔悴4付与」は良いプレッシャーになるはずだ。 このシナリオのボスはアッシュとして設定しているが、不調こそ厄介なものの、彼の火力自体は控えめだ。GMはヘンチマンやウーフをうまく使って、PCへ攻撃を繰り出していこう。【エリアタイプ:スイング・ヒューマンズ】
【スイング・ヒューマンズ音響効果表(1d6)】
【シナリオの結末(一例)】
【状況1】
戦いの果てに、PC達は無事、プライマル・スプリットの中から本来の世界へと帰還することが出来る。バッシュザールのメンバーも、無事にこの世界へと帰還することができた。 平静を取り戻したウーフ=アングーマ三世は自身の暴走を恥じ、改めてヒーロー達へと謝罪する。 「プライマル・スプリットのカケラ」の暴走も一旦は収束を見せ、その処遇はヒーロー達へと委ねられることになる。 ディノグリフは言う。「『プライマル・スプリットのカケラ』という想定外の災厄があったとはいえ、今回は此方にも落ち度があったことは確かだ。そのカケラの処遇は、お前達地球の民に委ねよう」【状況2】
かくして、戦いからしばらくした後。 PC達は今、バッシュザールの戦艦タイガーディッシュの中にいる。 ディノグリフの誤解が解けた末、様々な紆余曲折の末に、スイング・ヒューマンズはその依頼を受け、タイガーディッシュ内で演目を行うことになった。その条件として、君たちヒーローがボディガードとして付き添うことになったのである。 慣れない催しに、バッシュザールの艦内は浮き足立っていた。その中で、ジャックリー・アッシュがブスッとした顔をしている。「別にもう要らねえってのによ……」 ジマーの素顔に関して、複雑なものがあるようだ。君たちが言葉を向けるならば、その結果として。向けないのであれば、一人でふんぎりをつけて、アッシュは呟く。「……ま、いいか。良い音楽に罪はねえしな」【状況3】
間も無く演奏が始まる。 整列するスイング・ヒューマンズの先頭に立ち、楽団長のジマーが挨拶をした。「皆様~、本日は~当楽団をお招きくださり~、誠にありがとうございました~。 素晴らしい一時を~お約束し~ま~す~。それでは~演奏に参りま~しょ~」 そうして、演奏が始まる……かに、思われたのだが。 ジマーとスイング・ヒューマンズは……ニヤリと笑い、ヒーローとバッシュザール達へ楽器を手渡し言い放った。「「「「「皆さん! 楽器演奏できますか?」」」」 演目はもちろん──…。