エアヘッド・シンドローム
エアヘッド・シンドローム
━━ボクちゃん、良いこと思いついたヨォ!
【エントリー1:破壊大帝エアヘッドQ】
その日、地球全土にとある宇宙人が宣戦布告した。 破壊大帝エアヘッドQを名乗るヴィランは、24時間以内にセイント・ジェムなるものを用意するよう地球人へ告げる。 用意できなければ地球を破壊すると宣言したエアヘッドQは、その証拠と言わんばかりに月を破壊してみせた! このあまりに急に訪れた地球の危機へ対応するため、君は大急ぎでセイント・ジェム探しを依頼される。【エントリー2:須羅牢夢だぜ! 夜露死苦ゥ!】
パトロールをしていた君の元へ、二人組の小学生男子が、頼み事があると声をかけてきた。 彼らの友達が突然性格が変わってしまったので、正気に戻して欲しいというものだ。 二人に案内された廃工場には、仏恥義理で喧嘩上等な感じにデコられた、一台のスポーツカーの姿があった。【エントリー3:ニューリーダー・マッシャーV】
君は石油コンビナートで巨大なロボットが暴れているという通報を受け、現地へと駆けつける。 そこにはコンビナートを占拠して、地団駄を踏んで大の字になるマッシャーVの姿があった。 彼は何故かすっかり飲んだくれて、くだを巻いている。「パノプティコンの老いぼれめ! バイスデバイスのニューリーダーはこの俺、マッシャーV様だけだ! ダーッ!!」【イベント1:破壊大帝エアヘッドQ】
【状況1】
ある日、唐突に全世界の映像と音声が同時にジャックされた。映像の中に映し出されたのは、頭に赤い宝石をあしらった王冠を被り、ゴージャスなマントを翻した、偉そうなロボットの姿だ。『やっほー! 有機生命体のみんな! 初めまして! ボクちゃん、破壊大帝エアヘッドQ! 新生バイスデバイスのリーダーだよ! 突然だけど、24時間以内にセイント・ジェムを用意してね! じゃないとボクちゃんが地球を木っ端微塵に破壊しちゃうよ〜ん!』 破壊大帝エアヘッドQはリアクションを期待するように、耳を傾けるそぶりをする。 しかし一方的な映像送信なので、当然地球人側からの返事はない。 無視されたと思い込んだエアヘッドQは、むくれて地団駄を踏む。『あー! 嘘だって思ってるでしょー!? 本気なんだけどなあ……そうだ! ボクちゃん、良いこと思いついたヨォ!』 エアヘッドQは身を翻す。彼の背後には宇宙空間が広がっており、月が、その先に地球が見える。『指示に従わなかったら、次は地球がこうなる番だもんね〜!!』 KABOOOOOOOON!! エアヘッドQが月を破壊!! 映像は途絶えた…。【状況2】
君は世界に名だたるヒーローだ。この唐突な地球の危機に瀕して、国連G6支部に呼び出された。 君を呼び出したお偉いさんは頭を抱えている。「あのイカれた宇宙人がどこにいるのか、まるで見当がつかん。それどころか、奴の要求するセイント・ジェムなるものが何なのかすら分からん……」 誰も彼もが頭を抱えている。君はセイント・ジェム探しを依頼されるが、しかしそれがどこにあるのか、どんなものなのかを、地球人は誰も知らなかった…。【エンドチェック】
□エアヘッドQが地球に宣戦布告し、月が壊れた□PC1がセイント・ジェム探しの依頼を受けた。【解説】
月は壊れたが、地球に影響はないものとする。 このシナリオでは、バイスデバイスと地球人はほぼ初遭遇であるものとして扱う。 PCがバイスデバイスと面識がある場合、詳細不明の謎多き宇宙人たち、ということで適宜調整してほしい。 エアヘッドQが自分の居場所を地球人に教えていないのは悪意ではなく、ただのウッカリである。【イベント2:須羅牢夢八だぜ! 夜露死苦ゥ!】
【状況1】
エアヘッドQの宣戦布告のせいで、地球人たちは上へ下へのおおわらわ。便乗して暴れ出す、終末思想の過激派ヴィランたちもいて、街は大騒ぎだ。 君はそういった暴徒への対応に追われている。 そんな時、二人の少年が君に助けを求めてきた。「友達が、なんかおかしくなっちゃったんだ……」「あいつを正気に戻してくれよ! 絶対ヘンなんだよ!」【状況2】
少年たちに案内されたのは、町外れの廃工場だった。そこに居たのは……。【エンドチェック】
□罵詈罵詈で悪羅悪羅な感じのスラローム8と出会った【解説】
変わり果てたスラローム8とPC2が遭遇するシーン。 スラローム8はデコトラ的なヤンキー風の装飾に包まれている。 子供達は真面目だった友人の変わり果てた姿に困惑し、ドン引きし、ちょっと泣いてる。【イベント3:ニューリーダー・マッシャーV】
【状況1】
エアヘッドQの宣戦布告のせいで、地球人たちは上へ下へのおおわらわ。便乗して暴れ出す、終末思想の過激派ヴィランたちもいて、街は大騒ぎだ。 君のもとにも、奇妙な通報が入ってきた。 石油コンビナートで巨大なロボットが暴れており、そのエリアを占拠してしまったのだという。 君は急ぎ、現地へ向かった。【状況2】
石油コンビナートは崩壊し、随所で破壊されたタンクから石油がだばだばと溢れ出している。 崩壊した廃墟の中央で、巨大なロボットが……オイルをがぶ飲みしながら、目から洗浄液をぶちまけ、おーいおいと地面を叩いている。「ちきしょう、パノプティコンの老いぼれめ! バイスデバイスのニューリーダーはこの俺、マッシャーV様だけだ! ダーッ!! それなのに……それなのにぃ……!!」「なぁ〜〜〜んで頭空っぽエアヘッドQなんだよォ〜〜〜〜〜〜!!!」 君は察する。これは、やけ酒だ! 姿がデカいだけの、完全な酔っ払いである!【エンドチェック】
□酔っ払ったマッシャーVを発見した【解説】
バイスデバイスからしてみれば石油コンビナートは飲み放題の居酒屋みたいなものである。 人類の被害は甚大なので、さっさと大人しくさせなければならない。【チャレンジ1:戦え!超ロボット生命体バイスデバイス】
【状況1】
君たちはそれぞれの状況に対面し、対応に追われる。 まずは各々、目の前の難題を解決することが出来るだろうか? さあ、戦いだ!【状況2】
PC1は、セイント・ジェムの行方について調べるうち、スラローム8とマッシャーV、そしてそれぞれに対応するPC2とPC3というヒーローのことを知る。 やみくもにセイント・ジェムを探すよりは、エアヘッドQの関係者に接触して情報を得た方が話が早いだろう。 君は彼らと合流することにした。(自由に合流ロールを行う)【状況3】
君たちは合流し、二人のバイスデバイス構成員から話を聞く。彼らがどのような組織であるのか、何のために地球に来たのか、そして何故このような状況になったのか……。 二人曰く、・ある日突然、首領パノプティコンが世代交代を宣言し、エアヘッドQを後継者に指名した。・組織のナンバー2であったマッシャーVは、そのショックで家出した(その後は地球で飲んだくれていた)・残って詳細を聞こうとしたスラローム8の意識は、不自然な形で途絶え、気付いたら今だった。 ということだった。【エンドチェック】
□チャレンジ判定を終えた□バイスデバイスの二人から話を聞いた【解説】
スラローム8はエアヘッドQにより、セイント・ジェムの破片を使って洗脳させられていた。(エアヘッドQはアホなので、口うるさいスラローム8は遠くに追っ払っておけば十分と思っている) 正気に戻ったスラローム8は自分の装飾にめちゃくちゃ恥ずかしがって洗車を求める。 このシーン以降、マッシャーVは小型化する。大きさについては自由だが、無力化できたと思える程度の小型サイズが良いだろう。【チャレンジ2:作れ! 偽セイント・ジェム作戦!】
【状況1】
スラローム8とマッシャーVの話を聞けば聞くほど、セイント・ジェムを24時間以内に発見するのは不可能に思える。 ここは打って出て、エアヘッドQと一戦を交える方が話が早いだろう。 幸いに、スラローム8とマッシャーVは事態解決に協力的だ。 君たちはエアヘッドQを騙すため、偽物のセイント・ジェムを作り上げ、騙し討ちをかけることにした。「あいつ、バカだからよ〜。どうせコロッと騙されるぜ、その隙を囲んで叩いて大勝利って寸法よ!」 小さなマッシャーVがえっへんと胸を張った。【エンドチェック】
□チャレンジ判定を終えた【解説】
判定に成功すれば、精巧な偽セイント・ジェムが作れる。 失敗すると、タイムリミットを迎え粗末な出来の偽セイント・ジェムとなる。【クエリー1:戦うために生まれた種族】
【状況1】
時は少し遡る。 PC2はスラローム8と共に、偽セイント・ジェム作成のための資材を運搬しているところだ。 作戦が実行に移されてからというもの、スラローム8はどこか物憂げな様子だった。「……少し、愚痴ってもいいか?」 彼はついに、PC2へと話を切り出した。【状況2】
「俺たちは、もう何万年も昔から地球にいる。お前たち人間が生まれるよりずっと前からな。だから最初は気にしてなかった。でも今や、お前たちは知性を獲得して、この星は俺たちの故郷トレジアと何も変わらないんじゃないかって思う時がある」【エンドチェック】
□スラローム8の言葉に答えた□グリットを1点【解説】
ディサイマルズが「戦うために生まれた」というのはこのシナリオ独自の設定だ。【クエリー2:ミステリアス・マインド】
【状況1】
同じく、偽セイント・ジェムの制作を続けていた最中のこと。 PC3は廃墟が連なるゴーストタウンで、マッシャーV(小)が暴れていることに気づく。「ダーッ! ダーッ! ダーッ!」 廃墟を相手に、鬱憤を晴らすようにマッシャーV(小)は暴れていた。一体どういうつもりなのか。【状況2】
マッシャーV(小)は地団駄を踏みながら鬱憤の理由を話す。【状況3】
「だが、何よりも許せねえのは、今の俺!」「俺はずっと、パノプティコンを倒したいと思ってる! だが今、同時に助けたいとも思ってる!」「この矛盾した気持ちは何だ!? 自分で自分が分からねえぜーッ、ダーッ!!」 鬱憤の理由を打ち明け、じたばたと暴れるマッシャーV(小)。 そんな彼に、君は何をしようか?【エンドチェック】
□マッシャーVの疑問に答えた□グリットを1点得た【解説】
マッシャーVはパノプティコンAにライバル意識と敬愛とが入り乱れた複雑な感情を抱いている。しかし自分ではその心情を整理しきれていない。 それはそれとして迷惑な話である。【イベント:地球最後の日】
【状況1】
偽セイント・ジェムが完成し、君たちはマッシャーVとスラローム8の協力で、エアヘッドQの居場所に辿り着く。 成層圏に漂う秘密基地内に、彼らの姿はあった。「ちょっとパノプティコン様ァ〜座り心地サイアク〜! もっと椅子になりきってヨ〜!」「夢の300段目チャレンジなんだから! ちゃんと皆じっとして! 動いたやつはショケーだからねっ!」 基地内ではエアヘッドQがパノプティコンAを椅子にして、リトル・コアたちを使った積み木遊びに興じている。パノプティコンにもリトル・コアたちにも目に赤い光が灯り、エアヘッドに従順だった。 PCの存在に気付いたエアヘッドQが目を輝かせる。「あれ? 君たち……えーっ!? もしかしてホントにセイント・ジェム見つけたの!? スッゴーイ!! 見せて見せてー!!」【状況2】
君たちの見せたセイント・ジェムに、エアヘッドQはすっかり騙されたらしかった。 今がチャンス! 隙をつこうとしたその時、エアヘッドQが虚空に向かって首を傾げ、奇妙な独り言を言いはじめた。「え? 騙されるな? これ偽物なの!? ……あっ、そーじゃんね!? これが本物なわけないよね!」「だって、セイント・ジェムはもう、ボクちゃんが持ってるんだもんねぇ!」 エアヘッドQが空へと舞い上がる。その頭上で、王冠についた赤い宝石が光を放った!【状況3】
上空から君たちを見下ろしながら、エアヘッドQが胸を張る。「騙そうったってそーはいかないぞ! よーし、恐竜がどうやって滅んだか、お前たちに教えてやるもんねーっ!」「それじゃあ元ボス! よろしくお願いしまーす! せーのっ、『スクラップ&ビルド』〜〜〜!!」 エアヘッドQの呼びかけと同時、跪いていたパノプティコンが自分で自分の頭を握り潰した! マッシャーVが悲鳴を上げる! 崩れ落ちた大量の残骸を、リトル・コアたちが瞬く間に加工! 加工! 加工! やがて、そこには巨大な門が生み出された! それこそは宇宙と宇宙を繋ぐ巨大ワープゲート、スペースブリッジ! 時空が歪んだその奥に見える、いま正にスペースブリッジを潜り抜けようとしているのは……巨大な彗星! スラローム8が驚愕の声を上げて叫んだ。「と、トレジア!? あいつ、トレジアを地球にぶつける気か!?」【エンドチェック】
□エアヘッドQの異様を知った□パノプティコンがスペースブリッジになった【解説】
クエリーでもチャレンジでもない、状況が進むだけのイベント。 PCが建築の妨害をしようとすると、エアヘッドQや大量のリトル・コアがそれを妨害する間に完成してしまう。 『スクラップ&ビルド』はパノプティコンAのパワーだ。それを本人に対して使用させ、スクラップとなったところを、大量のリトル・コアによって加工している。【クエリー3:頭空っぽ】
【状況1】
スラローム8とマッシャーVの、怒りに満ちた声がエアヘッドへ向けられる。「セイント・ジェムが最初から手元にあるなら何でこんなことをする!?」「このままではトレジアまで滅亡だぞ!?」 仲間達の問いかけに、エアヘッドQはケタケタと笑い続けて取り合わない。 君は彼に何かを問いかけるだろうか?【状況2】
「目的〜? そりゃーもちろん、セイント・ジェムを手に入れて〜……あれ? もう手に入れてるね? そしたらボスに褒めてもらってー! ……あれ? 今はボクちゃんがボスだった!」「えっとね、えっとね〜……あれ? えっと……何を……するつもりなんだったっけ?」 何やら、エアヘッドQの様子がおかしい。その頭上で、赤い宝石がちかちかと明滅する。エアヘッドQの目にも、赤い光が灯った。【エンドチェック】
□エアヘッドQの言葉に答えた□グリットを1点得た【解説】
戦闘開始と同時、大量のリトル・コアの軍勢が押し寄せてくる。 マッシャーVとスラローム8はその対応に当たるため、決戦には参加しない。(あるいはPCたちを運搬する足になっているかもしれない。自由に処理してほしい)【決戦:エアヘッド・シンドローム…戦闘情報】
【エネミー】
・破壊大帝エアヘッドQ(以下参照)・パノプティコン・スペースブリッジ(以下参照)・リトル・コア×3(D1・19P)【エリア配置】
■PC初期配置 エリア1・エリア2■NPC初期配置 エリア4:破壊大帝エアヘッドQ、パノプティコン・スペースブリッジ エリア3:リトル・コア×3【勝敗条件】
勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:PCの全滅【備考】
・3ラウンド以内に決着をつけない場合、地球とトレジアが衝突する。ゲームオーバーだ。【ボス:破壊大帝エアヘッドQ】
【エナジー】ライフ:66 サニティ:60 クレジット:60
【能力値・技能値】
・エアヘッドQ(D1・19P)参照【移動適正】エアヘッドQ(D1・19P)参照
【パワー】
■爆撃…エアヘッドQ(D1・19P)参照■インメルマンターン…エアヘッドQ(D1・19P)参照(チャレンジ1判定失敗時に追加)
■お友達の囁き属性:攻撃・装備 判定:なしタイミング:特殊 射程:3目標:4エリア 代償:なし効果:エアヘッドQが戦闘不能になった直後に使用できる。 目標は〈意志〉で判定を行う。 この判定に失敗した時、目標は2d6点のショックを受ける。【幹部:パノプティコン・スペースブリッジ】
【エナジー】ライフ:37 サニティ:20 クレジット:30
(チャレンジ2失敗時…ライフ:75 サニティ:40 クレジット:60)【能力値・技能値】
・パノプティコンA(D1・16P)参照【移動適正】パノプティコンA(D1・16P)参照
(本シナリオでは能動的に移動することはできないものとする)【パワー】
■サテライトビーム(弱体)…パノプティコンA(D1・16P)参照。目標を1エリアに変更。■スクラップ&ビルド…本シナリオでは使用しない。■サテライトキャノン…パノプティコンA(D1・16P)参照。■パラライズビーム(弱体)…パノプティコンA(D1・16P)参照。目標を1エリアに変更。【シナリオの結末(一例)】
【シナリオ経験点】
初期グリット:4クエリーグリット:3リマークグリット:3--------------------------------------------------=合計:10点