RESPONSE
RESPONSE
ねえ、ねえ、ねえ。こたえて。ねえ、こたえて……。
【奇妙な夢】
+ + + 貴方達は気付くと奇妙に青みがかった景色の中に居た。 そこは夕陽に照らされた小高い丘の上。後ろを振り返れば山があり、森がある。 傍らには青白い夕陽に照らされた電波塔が、まるで貴方達を見下ろすかのように聳え立っていた。『ノストラダムスの…(ざざッ)い規模な混乱が予想——…(ざりッ)(ざッ)』 どこかからともなく、ノイズまじりのテレビの音声が聞こえる。 電波塔の名前が目に入る。第弐八電波塔。「そんな所で何してるの」 すぐ傍らから声が聞こえた。 振り返れば、制服を着た一人の少年が、不思議そうな顔をして貴方達を見詰めていた。■シナリオ内特殊ルール
【夢ルール】
導入以降、探索者達は1日経過するごとに【CON×4】の判定を行う。これによって成功で1、失敗で1d4の正気度喪失が発生する。【CON×4…正気度喪失1/1d4】 またシナリオ内では常に「狂人の洞察力」ルール(基本ルールブック91頁参照)を採用する。これは本作のテーマの一つである「狂気=既知」を示している。KPは周囲からヒントになるような情報を与えるなどし、進行に都合の良い情報を適宜示していくといいだろう。■第弐八電波塔について
探索の起点となる情報の為、これを知るのにダイスを振る必要は無い。 調べると赤霧市という山間の街に存在した電波塔の名称であることがわかる。老朽化等の問題により、一週間前に壊されている。1年前に奇妙な事件が起きたらしい。■赤霧市に移動する
1ターン分消費して行動する事が出来る。経過時間は1d4+2時間程度。 街へ辿り着けば、街の人に話を聞いたり、電波塔について直接調べたりする事が可能である。以下に取れそうな行動を具体的に記す。 山に囲まれた都会とも田舎ともつかない閑静な街。1年前の事件や軍司直衛の事に関しては、住人達はあまり好んで口を開かないだろう。表立っては分からないが、田舎町特有の閉鎖的な空気も併せ持っているのだ。■【流累市へ行く】
1ターンかけて移動する事が可能である。具体的な時間としては1d4+1時間程度。 海に面したひっそりとした街。赤霧市とはまた違った閑静さを感じさせる。 この街の住人達は、赤霧市の住人とは異なりどこか朴訥とした真面目な雰囲気を演出すると良いだろう。 街外れにひっそりとサナトリウム流累が存在する。 街の住人への【交渉技能】など、適切なロールで下記情報を入手する事が出来る。■【サナトリウムの訪問】
直接施設を訪れるとまずは受付でナースが応対する。軍司の知人である等の何らかの理に適った説明を行えば、響や軍司と面会する事が可能だろう。働いているナースの数は非常に少ない事が判る。 サナトリウムに入ってすぐに【目星】を行わせる。成功で、待合室に非常口の扉がある事に気付くだろう。■【イベント:サナトリウムでお茶会を】
最終決戦及び最終日の夢に繋がるイベント。4日目を迎える、或いは情報が十分集まったとKPが判断した段階でこのイベントを発生させる。このイベントで眠りに落ちる事で、夢の世界でも最終日を迎えるようになるよう、KPは情報の出し方を留意するように。【基本背景情報】
1999年7月の赤霧市では「宇宙星辰会」と呼ばれる哲学サークルが爆発的に流行していた。宇宙星辰会の教義は「宇宙進出を果たした人類は、これからは更にもう一段上のステップに立って物事を考えなければならない」というものであり、暗に外なる神々の存在をゆっくりと人々に植え付け信心を育て上げていた。尚、宇宙星辰会の正体は星の智恵派の分化組織であり、外なる神の招来と知識の授与を目的とし活動を続けるカルト団体である。 宇宙星辰会は赤霧市の経済活動に積極的に資金援助を行う事で、昨今のオカルトブームも相俟り、数年前から急速に赤霧市内で勢力を伸ばしていった。その動きを警戒する者も居るが、法に触れる事もしておらず、組織として行っている活動もただ月に数度のセミナーのみである為、表立って反対する者は少数派であった。 月に数度市民会館でセミナーを行っている。セミナーでは当たり障りの無い世間話やお茶会が行われているとされているが、このセミナーに参加した者は皆一様に宇宙星辰会に対して親和的になる。というのも、このセミナーで教祖である福良乙女は狂気の音色を用いて、参加者達を洗脳し、信者としているからである。(※洗脳方法は基本的にはクトゥルフカルトナウ 星の知恵派の項目に倣う) 代表者の名は福良乙女(ふくらおとめ)。美しい黒髪のスレンダーな女性、手に黒い扇を持っている。正体はニャルラトホテプの化身である。彼女はこの街の人々を生贄に、外なる神の何かしらを召喚してやろうと目論んでいる。 無論、そこには何の意味もありはしない。■宇宙星辰会について調べる
【軍司少年が持っている情報】 宇宙星辰会は数年前から街に存在する哲学サークルである。月に数度市民会館でセミナーを開いている。代表者の名前は福良乙女。 地元民は警戒している者も居るには居るが、殆どが無関心、或いは好印象である。理由までは軍司には分からない。 1年前から両親が参加するようになった。その結果、家事を放棄する、仕事を不規則に休む等、急速に様子がおかしくなっている。真面目だった両親がああなった理由が分からない。恐らくは健全な理由ではないように思える。 教義内容については気持ち悪くて聞いていない。 彼は半年前から独力で調査を行っている。■福良乙女について調べる
数年前に街に突如現れ、宇宙星辰会を立ち上げた美女。具体的にいつ現れたのかは誰も知らない。富豪の娘にして事業家であり、暇を持て余しているという。 普段は市内にある邸宅で生活を送っている。探索者が望めば快く面会してくれるだろう。後述のイベントのタイミングでも構わないが、福良乙女と面会すれば、彼女は脈絡無くティンダロスの猟犬の事を意味深に話す。これは最終戦での戦闘へのヒントである。■市民会館について
山の麓にひっそりと存在する小さく古い市民会館。探索者達は【アイデア】で、それが現在の軍司診療所がある場所であると察していいだろう。 月に数度、そこで宇宙星辰会のセミナーが行われていると言う。最も直近のセミナーは7月6日の18時からだという。 事前に探索者達が中に入ろうとすると「使用には予約が必要だ」と言われる。次に予約を入れられるのは直近でも四日後だと言われるため、セミナー以前に探索者達が市民会館の内部を調べるには忍び込む以外に方法は無い。■軍司少年について
【軍司少年が持っている情報】 宇宙星辰会への調査に協力すると伝え、自分たちが宇宙星辰会と関わりが無い事を証明すると、軍司は素直に自分の事を話すだろう。 軍司直衛。16歳。地元の進学校である赤霧高校1年生。塾通いをしており、帰りが遅くなることから両親に携帯電話を与えられている。 日常に退屈しており、何か自分でも熱中出来るものは無いだろうかと心の中で望んでいる。宇宙星辰会の案件に首を突っ込むのも、本人の好奇心に依るものが大きいと認識している。 父親は会社員。母親は専業主婦。平凡な一般家庭、の、筈だった。 最近、妙な耳鳴りが続いて困っている。■セミナー会場へ
宇宙星辰会セミナーは来る人拒まず、探索者達が向かえば問題無く迎え入れられるだろう。【目星】で少し離れた場に両親と共に軍司が座っている事が判る。 セミナー自体は雑談会のような気安い雰囲気で進む。ティンダロスの猟犬の話題を出していなかった場合、ここで話題に上げてもいいだろう。 セミナー中、【POW×3】で判定を行う。失敗時には激しい頭痛を覚え、正気度を2減少させる。成功した場合、どこからともなく奇妙な音色を聞く。 【聞き耳】でそれが地下室から聞こえてくる事が判る。探索者によっては聞き覚えがある狂気の音色であるという事が分かる筈だ。 その頃にはセミナーは奇妙な熱を帯びており、参加者達は福良を讃え始め、福良の言う事に服従し始めるだろう。軍司と探索者達だけがそれを眺める事になる。「知りすぎる事、知らなすぎる事、どちらが悲劇を招くのかしら?」 福良はそう言って信者達を煽り、軍司と探索者達へ襲い掛からせ、自分は地下へと降りて行く。探索者には1人につき1d2人の信者が襲い掛かる。福良を追うには自分に襲い掛かってきた信者をかわす必要がある。■地下へ
信者達を潜り抜けて地下へ向かうと、地下にはノイズを走らせたテレビが置かれている。 探索者達はそれが響が用いていたテレビだと気付くだろう。テレビからは狂気の笛のメロディが流れ続けており、画面の中にはこの部屋の中の様子が映されている。それは地下へ降りて来た探索者達の姿と、その前に立つ福良の姿もだ。■最終戦闘
響は夜鬼を1体、ムーンビーストを1体召喚して探索者達を阻む。2匹を抜き去り、響の召喚を阻止する事が戦闘の目的である。 この時、召喚された神話生物を目撃して発狂した探索者が居た場合、必ず<狂人の洞察力>を発揮させる事。 これにより、召喚に際する魔力は軍司から供給されている事が判るだろう。■ティンダロスの猟犬を追い返せ
彼女を軍司から引き離すと、響は爆発的な怒りを示し、召喚呪文を唱えティンダロスの猟犬の召喚を行う。しかし時空転移を許さない魔犬は、召喚と同時に召喚者である響に襲い掛かる。そして以降は探索者達にも平等に矛先を向けるようになるだろう。■夢の波と終焉
ティンダロスの猟犬の封印に成功すると、響の魔術の効能が解け、周囲の空間がぐにゃりと歪み始める。 探索者達は夜空に、そして海面に、電波塔と思しきものの根元が映り始めていることに気付く。それは夢で見た1999年の電波塔だと探索者達は本能的に気付くだろう。 やがて夢の光景は岩肌を、砂浜を浸食し、探索者達を追い始める。 徐々に全景が露わになっていく電波塔からは、苦悶の声と共に人々が飛び降りていく様が少しずつ映し出されて行く。映像の中の人々は、皆一様に夜空を見上げている。まるでその先に何かとてつもなく恐ろしいものが映っているとでもいうかのような顔で。 これは7月7日の集団自殺事件当日の映像であり、その視線の先には当時招来されたアザトースの姿が存在する。探索者達がその場に留まり続け、映像の末路を見届けようとするならば、探索者達はアザトースの姿を直視する事になるだろう。【ED分岐】
■基本エンディング
響はその後発見される事は無く、行方不明として処理され、サナトリウム流累は閉鎖が決定する。収容患者達は各地の病院へ分散される事になるだろう。街の人々は彼女の失踪を惜しむだろう。 彼女が執着していた一人の狂人の事は、人々が知る由も無い。 他、エンディングに関する演出は探索者の自由に行わせると良い。■エンディング分岐
【軍司を残し脱出する】 探索者達は夢の波に包まれていく男の姿を見る。 波に包まれる刹那、彼が顔を上げ、貴方達を見たような気がした。 その口が微かに動いたのが見えた。けれど何を言っていたのかを理解するよりも早く、軍司は夢の波に飲まれ消えてしまうのだった。 いつぞやに、夢で見た少年と同様に。 その後、彼の死体は響同様に発見される事はない。■響のアザトース招来阻止に失敗する(バッドエンド1)
アザトースの招来に成功した響は喜びの声を上げ空を見上げるが、すぐにそれは絶望と恐怖に満ちた後悔の悲鳴へと変わる。 赤黒く染まった空で門が開く。そしてその中から、これまでに見た何よりも醜悪で、冒涜的な怪物が、こちらを濁った目で見下ろしている。■探索者が夢の波に飲み込まれる(バッドエンド2)
夢の波に飲み込まれたあなたは、気付くと電波塔の頂上に立っている 周囲には泣き喚き、殺しあい、我先にと死を選ぼうとする人々で溢れ返っている。 その理由をあなたは察する事が出来るだろう。 頭上に、これまでに見た何よりも醜悪で、冒涜的な怪物が、こちらを濁った目で見下ろしているからだ。 信じられない、信じたくない光景に、けれどあなたの意志などお構いなしにありとあらゆる知識があなたの頭に注がれる。■クリア報酬
シナリオクリア(アザトース召喚阻止)…1d20の正気度回復福良乙女の撃退に成功…1d5の正気度回復軍司直衛の生存…1d10の正気度回復【NPC一覧】
■響恭(ひびき・きょう)(27歳)
「私は何も知らない」「だから教えて欲しいの、この人に」「ねえ、お願い、返事をして?」■夜鬼(ナイトゴーンド)
STR15 CON10 SIZ14 INT3POW14 DEX=(探索者の平均DEX-2)MP14HP12装甲:2ポイントの皮膚組み付き40%…STR対抗に成功しなければ離れる事が出来ない。くすぐり30%…1d3ターンの間行動不能(組み付き状態・恐怖の注入状態であれば100%)※組み付きを行っている間は夜鬼も行動する事が出来ない。消失SAN:1/1d8(多段SANチェック扱いとする)■ムーン=ビースト
STR10 CON12 SIZ17 INT16POW16 DEX=(探索者の平均DEX-3)db…1d4MP16HP15装甲:なし(火器に対してのみ耐性あり)攻撃:槍25%…1d10+1d4+1呪文:・恐怖の注入……対象に恐怖を覚えさせSANチェックを発生させる。0/1d6。即時発生。 またそのラウンド内、或いは次の1ラウンド行動不能にさせる。・ヨグ=ソトースのこぶし……不過視の攻撃で相手を殴り飛ばす。2d6ダメージ。(夜鬼に組み付かれている人間を吹き飛ばすと夜鬼の影響下から逃れさせる事になる)消失SAN:1/1d6(多段SANチェック扱いとする)■ティンダロスの猟犬
STR13 CON27 SIZ16 INT23POW33 DEX8 db…1d4MP33HP21装甲:2ポイントの皮膚1Rに4ポイントのHP再生物理武器無効、魔力武器・呪文有効攻撃:前脚90%…1d6+1d4+膿汁(POT6)舌90%…1d3POW吸収※ティンダロスの猟犬は真っ先に響を攻撃対象に選ぶ。彼女を殺害した以後、探索者達に襲い掛かる。撤退方法:魔力を帯びた球体を飛び込んでくる相手に向ける。勢い余ったティンダロスはその中に吸い込まれる事になるだろう。消失SAN:1d3/1d20■軍司直衛(ぐんじなおえ)(16歳)
「そんな所で何してるの」■福良乙女(ふくらおとめ)(31歳)
ニャルラトホテプの化身。 黒い扇を所持したスレンダーな美女の姿をとる。■宇宙星辰会狂信者
DEX:10 STR:9 攻撃:噛み付き40%…1d6こぶし50%…1d3耐久:10装甲:なし、気絶判定有り